草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
草木染めでコットン、麻、シルクの布を染める基本手順です。
草木染めのやり方はいろいろありそうですが、私がよくやっている簡単に布を染める方法です。家でできる遊びとしてもオススメです。服もこの方法で染めています。
ウール(毛糸)はやり方が違います→ 毛糸を染める方法(ウールの草木染)
目次
草木染めの具体的な方法
布を洗う
中性洗剤(台所洗剤、モノゲンなど)を入れた熱めのお湯で布を洗います。しっかりすすぎます。
私は事前に洗濯機で洗濯洗剤(トップクリアリキッド・弱アルカリ性・蛍光剤無配合)で洗ったり、洗濯石けんで煮洗いすることもあります。木綿は、昔ながらの洗濯石けんや重曹などアルカリ性で煮洗いする人が多いです。
「精錬済」と書かれた商品は、そのまま使います。念のため洗ったほうがいいかもしれません。
古布を染める時、皮脂汚れや食べこぼしシミがあると染ムラになります。落とすのはむずかしいので模様でごまかすといいかも。
布をお湯にひたす(重要)
乾燥した布をそのまま染めると色むらになります。タライやバケツで、ぬるま湯(お風呂ぐらいの温度)に布をひたします。充分に水分を吸収させて、濡れた状態にします。
水面に浮いてしまう場合も、少し水面に浮かべておいて、そっと手で押せば水中に入ります。要は空気が抜けてそこに水が入ればいいので、水中でギュッと絞って空気を抜くという手段もあります。
※絞り模様を入れたい場合はこちら参照→ 布に絵を描く
濃染処理をする
綿・麻などの植物繊維の場合、そのままでは色がつきにくいので、カチオン化してプラスに帯電させます。シルクの場合は必要ありません。
市販の濃染剤(誠和ならディスポン、藍熊染料なら濃染剤カラーアップZBなど)や豆汁、豆乳などが使われます。
私はディスポンか、濃染剤カラーアップZBを使っています。ディスポンで説明します。
お湯を沸かして熱湯を作ります。(80~90℃がディスポンの適温で、移したり布を入れるとすぐ温度が下がるので熱湯を沸かして使っています)
お湯の量は、布が泳ぐぐらいです。水1Lに対してディスポンを3~4mlの割合で入れて、かき混ぜます。布を20分ひたします。ときどき動かします。終わったら、ディスポンが残らないように、よく水洗いします。
染物専用の鍋がある場合は、鍋で煮ることもできます。台所のシンクの排水溝に栓をして、シンクを容器代わりにすることもできます。
※濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
※濃染剤以外の詳細はこちら→ 草木染めを濃く染める方法
※濃染によって、色が濃くなるだけでなく、色あい自体が変わることもあります。
※濃染しなくても、思ったより染まる染料も多いです(玉ねぎ染め、紅茶染めは濃染なしで染まります)
※一度濃染した生地を重ね染めする時は、再度濃染する必要はありません。
染料を煮出す
植物・野菜・果物などの材料を、水1~2Lに入れて、火にかけます。フタをします。沸騰してから20分、強火で煮出します。1番液になります。水をかえて再度20分煮出して、2番液、3番液もとります。
※材料の量の目安はこちら→ 草木染めの材料となる植物や染料の量
※使う鍋についてはこちら→ 草木染めにはステンレス鍋を使う
※煮出すときの水量によって、色あいが変わることがあります。
※2番液のほうが1番液より澄んだ色になることが多いです。
染料をザルや不織布でこす
材料の細かいくずが入ると、色むらになります。バケツなど、染色に使う器にザルを置き、こし布を洗濯ばさみで留めます。そこに染液をそそぎ、こします。
ザルやこし布がなくても大丈夫です。少量ならお茶パック、多い場合は、さらしの巾着袋を使っています。煮出す段階から材料を不織布(三角コーナーに使う袋として売っています)に入れておく方法もあります。その場合は、こす必要はありません。
染液をお湯で薄める
煮出した染液が入ったバケツに、お湯を足します。お湯の量は、布が入って泳ぐぐらいが理想ですが、お湯を入れすぎると濃度が低くなり、色がつきにくいです。お湯の温度は高いほうが染まりやすいです。
※十分に液量がある場合は、薄めずに染めます。
濡れた布を染液に入れる
お湯にひたしていた布の水分をしぼり、染液に布を入れます。空気が入らないように、布の表面が染液に均一につくようにします。布を水面から出さないようにします。20分たったら、布を取り出して絞ります。
※火にかけながらステンレス鍋で煮染めする方法もあります。その場合は鍋底に布が付かないように動かします。強火でガンガン煮ると生地は傷みます。
大きい布の場合は、屏風だたみ(じゃばら折り)にしながら入れます。
布同士がくっついたり、気泡が入っているとその部分が色ムラになるので、気をつけます。布をこまめに動かしたほうがムラなく染まります。動かし続けなくても、色むらにならないことも多いですが、入れてすぐはよく動かします。水量が足りない時は、たくさん動かしたほうがいいです。
箸でつついたりして傷がつくと色むらになるので気をつけます。
水洗い
水洗いをして、布に入らなかった染料を洗い流します。しぼります。
※布の外に染料が付いたまま媒染すると、布に入っていない染料に、媒染液が反応してしまいます。
色止め用媒染液作り
媒染(色止め)は常温で行います。媒染には色止めと発色の効果があります。アルミ媒染は明るい色、鉄媒染は暗い色になります。
アルミ媒染の場合は、ミョウバンを少量の熱湯に溶かして透明にしてから、水で薄めます。
布の重さに対して、5~6%の焼みょうばんを入れます。
※水量は布が泳ぐくらいの量です。例えば、布100gなら、みょうばん6g、水3Lくらいです。
※スーパーで売っている漬物用のみょうばんは、焼きみょうばんです。1袋30g程度100円くらい。大さじ1が3gくらいです。
※みょうばんアルミ媒染の詳細はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
鉄媒染の場合は、誠和(高田馬場にある染料屋さん)の木酢酸鉄液のうわずみを1滴~小さじ1杯ぐらい入れています。入れすぎると灰色になります。古いものは使わないほうがよいです。
誠和には、アルミ、チタン、銅、スズなど金属媒染用の液が売られています。規定量を目安にして入れるので簡単です。
※安全性や環境面から考えると、よく使われるアルミ(みょうばん)と鉄を使うのがよさそうで、でも、銅媒染液を使う発色が好みな時に使っています。
媒染液に布をひたす
水洗いしてしぼった布を、媒染液につけます。染液同様、均一になるように気をつけます。20分たったら、布を取り出して絞ります。
布同士がくっついたり、気泡が入っているとその部分が色ムラになるので、気をつけます。布をこまめに動かしたほうがムラなく染まります。動かし続けなくても、色むらにならないことも多いですが、入れてすぐはよく動かします。水量が足りない時は、たくさん動かしたほうがいいです。
水洗い
水洗いをして、布に入らなかった媒染液を洗い流します。しぼります。
※布の外に媒染の金属がついたまま染液に入れると、布に入っていない金属に、染液が反応してしまいます。
再度、布を染液に入れる
再度、染液に20分つけます。加熱できる場合は、加熱して水温を高くして行います。20分たったら、布を取り出して絞ります。
色づきが薄い場合は、再度、水洗い→媒染→水洗い→染液→水洗いを繰り返します。もしくは、染液に入れたまま一晩放置します。
「媒染→水洗い」ではなく「染液→水洗い」で終えるようにします。
※自分ではやってませんが、色の好みで媒染で終えたい時は、専用のソーピング剤で最後洗うといいと思います。
水洗い(重要)
しっかり水洗いをして、布に入らなかった染液を洗い流します。水をかえて3回以上、洗います。水に色が出なくなるまで繰り返します。しぼります。
※水洗いが足りないと、色落ちや変色の原因になります。重要です。
脱水
水分をよくしぼったら、布をバスタオルにくるくる巻いて水気をとったり、洗濯機で脱水します。
※水気が多いと、干した時に布の下のほうが乾くのが遅くなります。できるだけ均一に乾かしたほうがいいので、残った水分を少なくします。
陰干しする
注意点は、日光に当てないこと、金属ハンガーなど、金属が付着しないようにすることです。ステンレスは大丈夫です。
※日光に当てて干すことで強度が増すという説もあります。日干しする場合は、均一に当てるようにします。
アイロンをかける
乾いたら、中温でアイロンをかけます。裏面からかけられる場合は、裏面からかけます。色を固定させます。
草木染めした後にすること
廃液の処理
染液と媒染液をまぜてから、自宅の排水溝に流しています。廃棄するタイミングがあわない時は、そのまま排水溝に流しています。
気になる時は、一晩置いて沈殿させて、上ずみを排水溝に流し、沈殿物はゴミとして捨てています。
残液から顔料を作るという手もあります。まだきちんとできてませんが、私がチャレンジした方法はこちらに書きました→ 植物染めでステンシルする方法
お手入れ
中性洗剤(台所洗剤、モノゲン、頭髪用のシャンプーなど)でやさしく手洗いします。漂白剤や蛍光剤、強い洗剤は避けます。ドライクリーニングも変色の原因になるそうです。
酸やアルカリに弱いので、汗や食べこぼしで色落ち、変色することがあります。ついてしまったら、すぐにぬるま湯、薄めた中性洗剤で手洗いします。
わたしは服などは当初洗濯機で洗っていましたが、色落ちや色変わりが早いので、お湯洗いして陰干しすることに切り替えました。
※お手入れや保管方法の詳細はこちら→ 草木染めのお手入れ、保管方法
色が落ちたら、重ね染めする
使っているうちに色が変わったり、抜けたりします。そうしたらまた染め直しします。同じ染料、媒染を使うことが多いですが、別の染料、媒染に変えることもあります。
※色落ちについてはこちら→ 草木染めの色落ちや色変わり
※重ね染めの仕方はこちら→ 服の染め直し(草木染め)
染めた色が気に入らない時、飽きた時も、他の染料で重ね染めすればまた違った色が楽しめます。
草木染めをする際の注意点
- やけどに注意(湯気も熱いので注意)
- 手袋をする(薬品に限らず、身近な食物の染液でも素手で触らない)
- よく換気をする(特にハーブ系を煮る時は精油成分に注意)
- 生地は染める前より少し縮みます(傷みもします)
布を染める実践例
シルクなら濃染処理が必要ないので、スーパーでみょうばんを買えば、すぐできるのでオススメです。ヨモギ染めの方法はこちら→ よもぎ染めでシルクストールを染める方法
こちらも濃染不要。アボカド1個とミョウバンで、木綿ハンカチがピンクに染まります→ 簡単アボカド食べ染めレシピ
サクランボの軸(実が付いてる棒のところ)でもアボカドと似た感じに染まります→ サクランボを食べたら、布を染めてみよう
玉ねぎの皮も濃染処理をしなくても木綿が染まるので、おすすめです。アルミ媒染で黄色に染まります→ 玉ねぎ染めの方法
マリーゴールドの花はかなり濃く染まります→ マリーゴールドで草木染め。よく染まる。
いろいろな方法がある
わかりやすいように具体的な流れを書きましたが、草木染めのやり方にはいろいろあります。
植物や色素によっても違うし、染める目的によっても変わります。「とりあえずやってみたい」と思った方の参考になればと思います。
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。実際に染めてみた方は、感想なども教えてください。