濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

濃染剤カラーアップZBとディスポン

草木染めで木綿や麻を染める時、植物繊維にはうまく染料が入らないため、濃染処理をすることがあります。私は主にコットンを染めているので、何もしないと染まらない染料の場合は、染料屋さんで買った草木染め用の濃染剤を使っています。成分はカチオン化剤という界面活性剤の一種です。

ワークショップでヨモギ染めをすることにしたので、藍熊染料の「濃染剤カラーアップZB」と誠和の「ディスポン」、豆汁処理をテストしました。

タンニン系の染料で薄い色を下地染めをする方法も検討はしましたが、やめました。時間的にも厳しいし、例えば似たような色あいのミロバランで下地染めをするんだったら、ワークショップのテーマ自体をミロバランにすればいいんじゃないの?という気がしたからです。

柔軟剤にもカチオン化剤が含まれているので、代わりに市販の柔軟剤を使うという手もありそうですが、私は柔軟剤とか香料が苦手で、精練の際に少量のモノゲンを使うことも実は少し気になっているくらいなので、柔軟剤は使いません。

ちなみに、今習いに行っている草木染の講習会の場合、濃染剤は一切使いません。濃染剤を使うと、濃くなるだけでなく、色自体が変わる場合もあるのでご注意ください。

染めた日:2019年3月27日,2019年4月1日,2019年4月10日

濃染剤処理あり・なしの色の違い

テスト1:一緒に染めた場合

一緒に染めた場合、こんなに違います。白いものが処理をしなかったものです。「濃染剤カラーアップZB」と「ディスポン」はほぼ同じ色でした。生地はコットンガーゼ、よもぎ染めです。

濃染剤を使った場合と使わない場合

濡れている状態だともっと明確にわかります。

ヨモギ染め濃染有り無しの色の違い

一緒に染めると、染まりやすいほうに色素がとられるので、余計に白くなってしまいます。

テスト2:別々に染めた場合

下記は、染液を分けて染めた時のもの。使った染液は違います。生地はコットンガーゼ、よもぎ染めです。

左から、ディスポンの鉄媒染、ディスポンのアルミ媒染、濃染処理なし、短時間(5分)の豆汁処理のアルミ媒染です。豆汁が緑っぽくなっているのは、染液の違いです。「色の濃さ」だけ見てください。ヨモギ染め濃染処理での色の違い

濃染処理しない場合、本当にうすい黄緑です。写真では色が飛んでいます。染めていても、色が入っていく感じがせず、つまらない感じです。

短時間の豆汁は、ディスポンした場合と濃染処理なしの間ぐらいの濃さでした。無処理に比べれば色は入っていく感じはしたものの、処理する際に少し魚臭いニオイがしました。豆汁下地は、本来はカラカラに乾かすもの。経験不足なので練習をしてから、自然な天然物だけでやりたい時に活用できればと思います。

濃染剤の成分

濃染剤が「何でできているのか」がずっと疑問でした。今も正しい成分名は知りません。ディスポンの裏には、「成分:特殊カチオン性高分子」と書かれています。

わかっていることは、カチオン化剤であるということです。

植物繊維のセルロースはマイナスに帯電しているので、そのマイナス帯電をプラス帯電にするという作用があります。繊維の表面をプラス(陽イオン)に持っていって、シルクなどの動物繊維に近い状態にすることで、染まりやすくします。

危険な薬品ではありません。それを無害と言い切れるのかは、個人のモノサシ次第かと思います。

例えば、食器を洗う台所洗剤が無害ではないと思うような敏感な人にとっては、無害ではないと思います。でも、普通にシャンプーやリンス、柔軟剤を使って生きている一般の人から見たら、無害だと思います。

わたしのモノサシだと、香りが残る柔軟剤に比べたら安全です。

濃染剤をテストした理由

初めて使った濃染剤がディスポンだったので、今までずっとディスポンを使っていました。愛読している「草木染め大全」の著者、箕輪直子さんのオンラインショップでも販売されているし、わたしにとっては身近な存在です。

ただ、ディスポンの場合、使う際のお湯の温度が80~90度と高く、熱湯を作る必要があります。

それが、使ったことのない「濃染剤カラーアップZB」の場合は、50~60℃であることに気がつきました。

ワークショップで借りる部屋の給湯器から出る最高温度が60℃なので、「濃染剤カラーアップZB」なら、わざわざお湯を沸かすことなく濃染処理ができます。ちなみに自宅の給湯器の最高温度も60度なので、自宅で使うにも手軽そうです。

そこで、使ったことがない「濃染剤カラーアップZB」を使ってみて、ディスポンとの色の違いを確認することにしました。同じ結果だったので、ワークショップで使いました。

濃染剤の使い方

ディスポンの使い方

80~90度のお湯にディスポンを入れて、まぜて、布を20~30分くらいひたします。鍋で加熱しながらでも大丈夫です。時々、布を動かします。終わったら、しっかり水洗いします。

使う量は、水1リットルにディスポン3~4mlです。価格は、250gが税別750円くらいです。

濃染剤カラーアップZBの使い方

50~60度以上のお湯に濃染剤カラーアップZBを入れて、まぜて、布を20~30分くらいひたします。時々、布を動かします。終わったら、しっかり水洗いします。

使う量は、水1リットルに濃洗剤カラーアップZBを5~10mlです。値段は、500gが税別1500円くらいです。

テスト1の手順

テストした布:10×10cmのオーガニックコットンガーゼ

濃染処理方法:

  • 80℃以上のお湯500mlにディスポン2mlを入れて20分、終了後水洗い
  • 50~60℃のお湯500mlに「濃染剤カラーアップZB」5mlを入れて20分、終了後水洗い
  • 50~60℃のお湯500mlに「濃染剤カラーアップZB」2mlを入れて20分、その後水洗い

※「濃染剤カラーアップZB」は、基準量が1リットルに5~10mlなので、少なめと多めをテストしました。

染色方法:

  1. 濃染処理の後、残っていたヨモギ染液を高温にして20分ひたす
  2. 水洗い
  3. みょうばん媒染(常温・焼ミョウバン6g/水2.5リットル)に1時間15分ひたす
    ※用事があって放置したため
  4. 水洗い
  5. 再度、ヨモギ染液に20分ひたす
  6. 水洗いして乾かす

テスト2の手順

テストした布:50cm×50cm 約35gのオーガニックコットンガーゼ

濃染処理方法:

  • ディスポン処理:80℃以上のお湯2Lに小さじ1(5ml)のディスポンを入れて20分、終了後水洗い
  • 豆汁処理:水に浸透させた大豆24gを、水160ccでミキサーにかける。液をこす。布を湯通しする。しぼった豆汁に布を5分つけてしみこませる。洗わずにしぼる。そのまま染液へ。

おおよその染色方法(ものにより、時間や使った染液の状態が違います):

    1. 高温にした蓬染液に20分ひたす
    2. 水洗い
    3. 媒染20分
    4. 水洗い
    5. 再度、蓬染液に20分ひたす
    6. 水洗いして乾かす

コットンやリネンを濃く染めたい場合

濃染剤を使わない方法としては、タンニンを含む染料で下地染めする方法や、豆汁や豆乳に浸して乾かす方法があります。

普通濃染処理をするものでも、時間をかけて染めれば、処理しなくても、木綿や麻が染まる植物もあります。前回のワークショップは桜で、桜の場合はコットンを濃染しないで染めるとキレイな色に染まりました。シルクよりも染まるまでに時間がかかる感じはします。

桜染めワークショップの話はこちら→ 桜染めワークショップ開催報告

ミロバラン、ヤマモモ(渋木)、ザクロ、五倍子などはタンニン酸を含んでいるため、下地染めになるし、濃染しなくてもコットンが染まります。下地染めをやったことはありません。多少なりとも色はつくので、組み合わせとか濃度とか、練習が必要そうです。

豆汁下地も、本格的にやったことはありません。まず豆を水にいれて一晩置くところからはじまり、乾かしたり、寝かせたり、という手順があり、においの問題もありそうなので、ハードルが高いです。こちらも練習が必要です。

豆汁下地やタンニン下地のどちらにしても、通常手順では一度乾燥するので、短時間のワークショップでは使えないと考えています。

濃染剤で色が変わった経験

桜は濃染剤を使わないほうがキレイです。この話はこちら→桜染めの色テスト

桜染めの色の違い

ヘマチン(ロッグウッドのエキス)で染めたものです。左がディスポンで濃染したものですが、右の処理無しに比べて青っぽい感じがしました。この時、濃染すると色が違うかも、ということを実感しました。

ヘマチン染め濃染剤の有無での色の違い

※ヘマチンを使って型染めした時の話はこちら→ 草木染で布に絵を染める(型染め)

濃染剤について思うこと

  • コットンや麻を染めるのには手軽でよいと思う。使わないことで染める植物の幅がせまくなるくらいなら、使いたい
  • 草木染めの重視点はひとそれぞれ。私は色優先なので、色あいが変わる点に気をつけたい
  • 薬品について考え始めると、染める前の生地自体に生産過程で処理された薬品(キャリーオーバー)も気になってくる
  • 剤自体は繊維に残るものなのか?がわからないので知りたい
  • ワークショップの場合、今回のよもぎ染めでは使ったけれど、できれば使いたくない