草木染めで染めた色を落とす

草木染め布の脱色

草木染めで布を染めた時、「染めた色を落としたい」と思うことがあります。思った色と違ったり、色むらになったり、模様入れが下手だったり。

染めた色を落とそうとして自分でチャレンジした方法と結果を書きます。完全に真っ白にはなりませんでしたが、染め直すならいいかな?と思いました。

おすすめの方法や気になる点があればお問い合わせフォームから教えてください。

脱色について

注意点:薬品や洗剤の取り扱いは説明書をよく読み、十分にご注意ください。混ぜるな危険。熱や薬品に触れて繊維は傷みます。絹や羊毛はアルカリ性に弱いです。

染料や媒染の種類、染めてからの経過時間によって、落ち具合が違います。木綿は落ちやすいかと思います。

色は時間とともに定着するので、脱色は早めにしたほうがいいと思います。

脱色方法の種類

クエン酸で落とす

クエン酸を溶かしたお湯に草木染めした生地を入れます。完全には落ちませんが、ある程度色が薄くなります。クエン酸でキレートしている媒染金属をとる、という原理です。

草木染めした布が、果汁で色落ちしてしまうのと同じです。

ハイドロで落とす

ハイドロは、藍染の化学建てでよく使用している還元剤です。染色の脱色剤としても染料店にも売っています。取扱注意です。

いただいた古いハイドロがたくさん手元にあるので、色落としにも使うことにしました。(ハイドロは空気で酸化しやすく変質しやすいもの。古いものがどの程度還元効果があるかはわかりません)

ニオイもするし苦手な薬品。マスクとゴム手袋と眼鏡をして、換気扇を最大にして作業しました。

市販の酸素系漂白剤で落とす

酸素系漂白剤(オキシクリーンなど)で草木染めの色も落ちると聞いたことがあります。お家に漂白剤がある方はお試しください。

ウールやシルクは傷むと思います。

過炭酸ソーダでやってみたところ、あまり色は落ちなくて、違う色になりました。

クエン酸での脱色

1年前に染めた、ヤシャブシ染め鉄媒染のサラシ(35g)灰色です。色ムラ(指の跡?)があります。

脱色前の灰色の晒し

材料

  • 水2リットル
  • クエン酸 小さじ1

脱色手順

水1リットルにクエン酸(小さじ1)を溶かします。

クエン酸小さじ1

沸騰直前(鍋底から泡がポコポコし始めたくらい)まで加熱。

沸騰直前の鍋

生地を入れると、シュワっと泡がでて一瞬で色が取れました。ごく弱火で5分程度漬けました。

その後、中性洗剤(台所洗剤)で洗いました。

洗った後、濡れた状態。全体的にはくすんだ薄灰色。黒い点々のシミがありました。これは消えなそう。

その後、ハイドロ&ソーダ灰での湯がきもしたのですが、ほとんど変わりませんでした。最後、洗濯洗剤(トップクリアリキッド)で手洗いしました。

乾いた後。真っ白ではなくくすみはありますが、染め直しするには十分な状態。ただし、なぜか点々シミは残りました。

脱色乾燥後の晒し

クエン酸と洗濯洗剤で十分、ハイドロする必要はなかったと思いました。

ハイドロ&ソーダ灰での脱色

ミロバラン下地をして、蘇芳(すおう)でアルミ媒染で染めた晒し。絞り染めに失敗したので色を落としたいと思いました。

脱色前の蘇芳染め晒し

材料(1回分)

  • 水1リットル
  • ハイドロ(かなり古いもの)小さじ1+2分の1
  • ソーダ灰 小さじ1

※もっとハイドロの量を増やすべきか悩みます。木綿の場合はソーダ灰も入れる(シルクは入れない)

ハイドロは、かなり古い物です。

脱色手順

換気扇を回し、マスクをして、眼鏡をかけた状態。

お湯1リットルにハイドロとソーダ灰を入れて混ぜて、加熱。液が赤紫色になりました。

かなり液に色が出ていたので、いったん終了。水洗いすると、薄オレンジピンクになっていました。

結構色が出たので、水量や薬品の量を倍に増やして、再度行いました。

布が黄色になっていきます。沸騰直前くらいまで加熱。(吹きこぼれ注意)

吸い込みたくないので、フタをして近寄らないようにしました。

薄い黄色(ミロバラン下地の色)になりました。スオウは取れたと思います。

乾燥後。薄黄色(ミロバラン下地の色)でした。ミロバランの色は落ちにくいのかな(それは良いこと)と思いました。

別の蘇芳染めハンカチをクエン酸で脱色したら、同じように薄黄色まで落ちました。ハイドロではなく、クエン酸で充分だったと思います。

蘇芳は弱い色なので、お湯で湯がくだけでも落ちるか試したところ、多少は色落ちするものの、布は赤い色のままでした。

茶色を取る場合

ビワ鉄媒染とコチニールの重ね染めと、ブルーベリーの実染め。両方シルク。薄手のストールにしては暗い色なので、色抜きしてみることにしました。

脱色前のストール

クエン酸での色抜きと、過炭酸ソーダでの色抜きをした後、どちらも茶色ベージュ。元よりも薄手ストール向きでない色になりました。

茶色ベージュ色のストール

その後にハイドロ脱色したら、黄色みは少しあるものの、白生地に近い色。茶色は取れました。

ハイドロ脱色後のストール

なのですが、桜で染め直しをしようとしたら、茶色っぽく染まりました。単に色が見えない状態になっただけで、次の染色に影響するのでは?という疑惑が出てきました。他の染料でも試してみようと思います。

藍の生葉染めの場合

藍の生葉で塩漬け染めをして、くすんで染まった失敗作のシルク布。(無媒染)

脱色前の藍染シルク布

クエン酸で湯がいてから、中性洗剤で洗った後。(クエン酸小さじ1/2、お湯1リットル)ほとんど色は抜けませんでした。よく考えたら、藍染は無媒染なので効果がなさそう。

クエン酸脱色後の藍染シルク布

ハイドロで湯がいてから、中性洗剤で洗った後。(ハイドロ小さじ1+1/2、お湯1リットル)緑っぽさが抜けて、灰色になりました。写真は乾燥後。

灰色のくすんだ色のまま。この色は強そうです。インディゴ色ではないと思います。取れて欲しい色ほど取れません。

草木染め布の脱色で思ったこと

  • とりあえずクエン酸での脱色でいいと思った。
  • あとは、シミをどう落とすか。精練みたいにアルカリ液で煮ればいいのか?
  • 酸素系漂白剤は、液体だとアルカリ性ではなく酸性のものもあるらしい。
  • 加熱はしたほうがよさそう(今まで加熱が足りなかった気がする)

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。