草木染めのやり方がわかる本

草木染めのやり方がわかる本

草木染めのハウツー本。今まで読んだ本や、これから読みたい書籍、おすすめの本について書きます。

図書館で借りて読んでいます。

草木染めの本の種類

草木染めを扱った本には、複数のタイプがあると思います。

  • 子供向けの本(教育的な要素を含みつつ、身近なもので簡単に染める)
  • 手芸向け、キッチン染めの本(女性向けで、写真が多くておしゃれな感じ。ハーブが多用される)
  • 日本の伝統色を染める、工房系の本(染料店で売ってるような染料中心。伝統的なやり方で丁寧に染める)
  • 染料、染色化学の本(染料の特徴や染色の原理が書かれている。文章が多い)

どれを読むかは目的次第です。カラフルでかわいい感じのキッチン染めの本が手芸コーナーに置いてあるので、私はそこから入りました。

でも、やってみるうちに疑問が増えてきて、手芸本では情報不足なので、草木染め専門の工芸本を読むようになりました。

そして、伝統的な染め方の書籍の場合、原理がはっきりしない感じがモヤモヤしてきたので、これからは染料化学系の書籍を読みたいと思っているところです。

とりあえず読むとよい本

草木染め大全

草木染めに興味を持って、やってみたいけれどやり方がわからないという時に読むべき本は、「草木染め大全」です。

  • 草木染め大全―染料植物から染色技法まですべてがわかる(著者:箕輪直子)

きちんとした内容の本なので、頼りになります。写真も豊富で、草木染めの基本的な方法が詳しく書かれています。

植物・染料の種類が多いので、「この植物は草木染めできるのか?」「どんな色に染まるのか?」と思った時に見ると、たいがい載っています。素材別×媒染別で染まる色見本もあるので、どんな感じの色になるのかもすぐわかります。

内容の範囲も広いです。豆乳濃染の方法や藍の生葉染め、和紙の染め方、花びら染め、カセ糸の作り方やカセ糸の分け方まで載っています。分厚い本です。

誰でもできる草木染めレッスン

同じ著者の、内容を軽くした小さめの本もあります。草木染め大全が重すぎると思ったら、こちらがよいかと思います。

  • 誰でもできる草木染めレッスン(著者:箕輪直子)

染料色見本がグラデーションみたいに一覧で載っていて、染めたい色から使う染料を検討しやすいです。

草木染めしたくなる本

上記の本以外にも、はじめて草木染めをするのに手軽な本はたくさんあります。女性が好きそうな感じ、おしゃれでかわいい雑貨の写真がきれいで、「染めてみたい!」という気分になれる本です。

  • 楽しんで、ナチュラル染色 子どもも一緒に楽しめる染色の本(著者:松本道子)
  • 草木染めレッスン帖 材料から染め上がりまで写真でわかる(著者:佐藤麻陽)
  • ハーブ染めレッスン―安心な材料だけで楽しむ、自然の色(著者:梅原 亜也子)
  • キッチン染めを楽しむ12か月(著者:石井せつ子)

「楽しんで、ナチュラル染色」は、絞り染めや板締めなど模様をつける方法や、ぶた皮やウッドビーズなどの染め方も出ていて、おもしろいです。

「ハーブ染めレッスン」は、マテ茶やハイビスカスとローズヒップを使った染物がやってみたくなりました。木のスプーンの染め方、苺染めも載っています。

幼稚園や小学校向けの草木染め本

かんたん染めもの:児童書

野菜、花、葉っぱ、木の実など身近なもので布を染める方法が書かれた児童書です。

  • 花・木の実・藍・野菜・葉っぱのかんたん染めもの(著者:春田香歩)

小さい子供と一緒に草木染めしたい時、この本の手順でやるとよさそう。写真入りの手順でわかりやすいです。豆乳下地の方法、媒染の方法、絞り染めの模様をつける方法も載っています。

2018年11月に発売されたこの本、とても素敵です。泥染めまで載っていて、ワクワクします。

子どもと楽しむ染め時間!―つくって四季を感じよう

幼稚園で染物をする時に先生が読むのによさそうな本。段取りやタイムスケジュールの組み方まで書いてあります。草木染めだけでなく、マーブリング染めのやり方なども載っています。

  • 子どもと楽しむ染め時間!―つくって四季を感じよう(著者:村田浩子)

伝統的な染め方の本

昔ながらのきちんと染める方法が知りたくなったら、工房系の本を読むといいと思います。

自然の色を染める 家庭でできる植物染

京都の老舗、染司よしおか工房系の本。家庭というより、工房で行う作業が書かれていそうな?本格的な本です。

  • 自然の色を染める 家庭でできる植物染(監修:吉岡幸雄、福田伝士)

染料ごとに染色手順が細かく書いてあります。とても丁寧に染めるやり方です。4回繰り返し染めるし、布の大きさに対する染料の使用量も多めです。染めるものも和小物で、伝統的な感じがします。

本格的に染めてみたいと思ったら、大きい寸胴鍋を準備してから、この本の通りに(自己流にアレンジせずに)やってみるのがいいのかもしれません。

大きくて重くて高い本で、読むのに根気がいります。わら灰や椿灰、木灰の灰汁の作り方や、糸や布の精練方法、型染の糊の作り方、インド更紗の染め方、筒描きの方法も詳しく載っています。

よしおか工房に学ぶ はじめての植物染め

こちらも、染司よしおか工房系の本。

基本的な染め方は上記と同じ感じで、若い人向けでかわいい感じになった本。薄くて読みやすく、文字は小さいです。

  • よしおか工房に学ぶ はじめての植物染め(監修:吉岡幸雄、染司よしおか工房)

染料の数は上記の本ほど多くはないけれど、一つずつ、写真入りの手順があってわかりやすいです。かわいい感じの本ではあるものの、ウバイやワラ灰を使って紅花を染めていたり、藍を発酵建てする方法まで載っています。

型染でアルギン酸ソーダを使う方法や、生の渋柿での引き染めの方法、媒染を変えて重ね染めする方法も書かれています。

草木染 日本の縞(新版)

草木染研究の第一人者の山崎青樹さんの本。シマ模様の織り方と染め方の本なのですが、それぞれの色を糸染めするための分量と手順が書いてあります。染料別の特徴もざっくり書いてあるので、参考にしています。

  • 草木染 日本の縞 日本に伝わる多彩な縞模様の魅力を知る(著者:山崎青樹)

他の本と違って、写真入りの染色手順がレシピみたいには載っていません。文字を読む部分が多いです。

草木染 四季の自然を染める(新版)

植物別の染め方や色見本が図鑑のように出ていて、採取の時期や量、染め方のメモが参考になります。手に取りやすいサイズの本です。

  • 新版 草木染 四季の自然を染める(著者:山崎和樹)

かわいい手芸本と少し違うのは、色見本が落ち着いた色である点です。豆汁下地のやり方が写真入りで詳しく載っています。伝統色を作るのに何と何を重ねるか一覧になっています。

日本の草木染

古来の染め方の読み解きや草木染のコツが載っています。大型本で縦書きで漢字が難しい。色見本がきれいで、特に石灰媒染のピンクがかわいいです。細かいレシピなどは出てませんが、コツが具体的。

  • 日本の草木染(著者:上村六郎)

タンニン下地のやり方がわかる本

草木染の絵本:児童書

タンニン下地のハウツー本が見当たらない中、この子供向けの絵本に、五倍子を使ったタンニン下地のやり方が書いてありました。

  • 草木染の絵本 (つくってあそぼう)(編集:山崎和樹、イラスト:川上和生)

大人向けの本より解説がしっかりしていて、草木絵の具(顔料)の作り方、天日干しと陰干しのこと、変色した場合の染め直す前の処理方法なども書かれています。

文字も多いし、絵本というより教科書みたいな感じです。

更紗: 美しいテキスタイルデザインとその染色技法

更紗について書かれた本ですが、インド更紗の下地染めのやり方が載っています。ミロバランと牛乳が使われています。普通の草木染めとは少し違いますが、参考になると思います。

  • 更紗: 美しいテキスタイルデザインとその染色技法(著者:田中 敦子)

緑染めの方法がわかる本

草木染 染料植物図鑑 3

こちらも山崎青樹さんの本。緑染めの方法が書かれている本が見当たらなかったのですが、この本に書いてありました。

  • 草木染 染料植物図鑑 3 草木の色を生かした「緑染」(著者:山崎青樹)

草木染めにつかう植物図鑑シリーズの3冊目。アマゾンのなか身!検索でも、若葉による緑色の染色方法がわかります。

草木染 型染の色(新版)

こちらも山崎青樹さんの本。型染についての本ですが、こちらにも緑染めの手順が書いてあります。104ページです。

  • 草木染 型染の色 草花をモチーフにした美しい型染図案と伝統色(著者:山崎青樹)

全部読み切れてませんが、読む部分が結構多くて、勉強になります。他の本と違って、写真入りの染色手順がレシピみたいには載っていません。文字を読む部分が多いです。

藍のブドウ糖還元建ての方法がわかる本

生活工芸双書 藍

藍という植物のことと藍染めのことが書かれている本。

  • 藍(あい) 地域資源を活かす生活工芸双書」(農山漁村文化協会)

藍の化学建ての場合、ハイドロという薬品で還元するのが普通なのですが、ブドウ糖を使っても還元ができるそうで、そのやり方が載っています。

※下の「天然染料と出会いましょう」にもブドウ糖建てのやり方が載っています。

花染め発酵染めの方法がわかる本

百花 薬草染

花染めは退色しやすいと言われていますが、発酵染めがいいと目にしたので、方法が載っている本を探しました。ツバキ、チューリップ、バラなどの花びらの染め方が載っています。全体的には、植物の解説と染め方が書かれた本です。

  • 百花 薬草染(著者:所鳳弘)

ウールの染め方がわかる本

ウールは特別な染め方になるので、ウールの染める時はウール染色の本を読むとよいです。

  • 草木染ハンドブック—ウール染めの植物図鑑(著者:山崎和樹)
  • ウールの植物染色(著者:寺村祐子)
  • 植物染料による絞り染め(著者:寺村祐子)

寺村祐子さんの本は、ウメノキゴケみたいな地衣類の染め方も出ています。

小さめアクセサリー本

Veritecoの草木染め

草木染めをした布や材料でお花のアクセサリーを作っている、人気作家のヴェリテコさんの本。色あいが自然の美しい色で、アクセサリーも素敵なので、気分が上がります。

  • Veritecoの草木染め 春・夏・秋・冬 手づくりのあるくらし(著者:Veriteco)

アクセサリーなどの小さい手芸用に布を染める場合は、この本を参考にするのがよいと思います。草木染めをして、お花のアクセサリーを作る方法がわかります。2018年3月発売の本です。

染色の原理、仕組みが書いてある本

化学寄りの本は、まだ読み始めたばかりです。おすすめがあればぜひ教えてください。

天然染料の科学

染色の仕組みについて、かみ砕いて書いてある解説本。読み物になっているので、読みやすいです。

  • 天然染料の科学 (おもしろサイエンス)(著者:天然色工房tezomeya 青木正明)

染料の色素名や化学式がきちんと出ています。藍染の仕組みもわかりやすいです。2019年3月発売の新しい本。原理が書かれた本が見当たらなかったので、この本を読んでありがたいと思いました。

天然染料と出会いましょう

天然繊維、色素の種類による染め方の違いや、結合について書いてある本です。

  • 天然染料と出会いましょう~自然の美しい色彩とそのお話(著者:池谷昭三)

木綿生地の、キナリとサラシでの色づきの違い見本が載っていて、生成なら濃染しなくても染まることが書いてありました。

藍染の発酵建て(ブドウ糖建て)、化学建てのやり方、インド藍の赤紫染めの方法が書いてあります。アカニシでの貝紫染めについても、ざっくり書いてあります。

本の大半が、染料ごとの簡単な説明と色見本。アルカリで煮出す方法が多いので、一般的な色あいとは違う感じがします。

月刊染織α、染織情報α

田中直染料店や出版社(染織と生活社)で買える染織の雑誌です。休刊。

特に、目からウロコの草木染技法という特集連載が興味深いです。例えば、「木綿・麻は糊抜き精練しない方が良く染まる」など、バックナンバーを読んでみたいテーマがたくさんあります。

自然の色と染め

天然染料の色素のことや、染色の方法が化学っぽく解説されている本。ミカンの皮や紫キャベツで染めるやり方が気になります。

  • 自然の色と染め―天然染料による新しい染色の手引き(著者:木村光雄)

草木染めが出てくる小説やエッセイ

からくりからくさ

染織をしている人が主人公の小説。色あいの美しさが表現されていると、名前が出てきた植物で染めてみたくります。

  • からくりからくさ(著者:梨木香歩)

小説の内容についていけずに途中で挫折したので、また今度、続き読もうと思っています。

一色一生

人間国宝の染織家さんのエッセイ。色を表現する言葉が情緒的で美しく、心に響きました。藍染の難しさについても書かれていて、到底私にはできなそうと感じました。

  • 一色一生(著者:志村ふくみ)

途中までしか読んでないので、また今度続きを読もうと思っています。「やはり私は美しい色を求めつづけております」という言葉がありました。色を追い求めてはいけないのかと思っていたので、少し安心しました。

これから読みたい本

  • 増補改訂 合成染料の技法 (染色の基礎知識)(著者:高橋誠一郎)
  • 自然を染める―植物染色の基礎と応用(著者:木村光雄、道明美保子)
  • 木綿染の基本―草木染技法全書〈3〉(著者:山崎青樹)

くまなく読んだ本もあれば、必要な情報だけ見て後はパラパラ目を通しただけの本もあります。これから読む本や、書ききれなかった本についても、今後このページに追加していけたらと思います。

※おすすめの本がありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。