植物染めでステンシルする方法
植物染めでステンシルをするやり方について書きます。いわゆる型染めです。
一度型紙を作れば増産可能。このワザで作ったステンシル年賀状は、なかなかうまくできました。草木染め年賀状の話はこちら→ 草木染めでオリジナル年賀状
本を読んだり、型染を少し習ったものの、かなり適当にアレンジした自己流のやり方です。特に顔料作りについては適当かも。(本当のやり方を知りたい方は教室に習いに行ってください)
牛乳パックから作った紙を染めています。官製はがきでも染まりました。
目次
植物染めステンシルのポイント
「にじまない」ようにするのが最大のポイントです。
筆や刷毛に水分が多いとにじみやすいので注意します。
図柄は多少にじんでも味になりますが、文字はにじんでしまうと縁起がよくない感じになってしまうので、要注意です。
植物染めステンシルをする流れ
- 【顔料を作る場合】事前に染液・媒染液から顔料を作っておく
- 【煮出す場合】染液を煮出して、煮詰めて濃くする
- 図柄を考えて紙に書く
- 型紙を作る(洋型紙を彫る)
- 紙に色を刷り込む
- 乾かす
※顔料を作る方法と、染液を使う方法があります。顔料のほうが濃い色になりますが、作るのに時間がかかるため事前に作っておく必要があります。
※通常の草木染めではミョウバンなどで媒染をしますが、ここではしていません。顔料には媒染剤が入っています。
植物染めステンシルの材料、道具
- 染める紙
- 洋型紙(染料店に売っています。浅草にある藍熊染料の洋型紙を使用)
- デザインカッター(普通のカッターでもなんとかなる)
- カッターボード(メモリ付で便利。無ければ下敷きになるもの)
- 型染用の刷り込みハケ(絵の具用の筆でもなんとかなる)
- 【煮出す場合】ミロバラン
- 【常温抽出の場合】ミカンの皮、お酢、みょうばん、重曹
- 【顔料を作る場合】
- 草木染めした残液と媒染液1対1の量:スオウ、ブルーベリーの実、インド茜など
- 消石灰(海苔に入っていた乾燥剤を使用)
- こし袋(コーヒーフィルター、お茶パックなど)
- 【青色がほしい場合】藍棒(染料店に売っています)
- 【にじむ場合】アルギン酸ソーダ
※道具の詳細はこちら→ 型染め、ステンシルの道具
草木染め染液の作り方
煮出す
好きな植物を濃い目に煮出して染液を作ります。
染料店で売っている植物染料のほうが濃い色になりやすいですが、身近な植物(例えば玉ねぎの皮とか)でも構いません。
これはミロバラン。黄色が染まる植物乾燥染料。染料屋さんに売っています。
使う量は少ないので、染料が浸かる程度の少なめの水で煮て色をとってから、さらに液を煮詰めます。
水500mlにミロバラン5g(2回ほど煮出した残り)を入れて、沸騰後20分煮ました。20分経ったら、こし布でこして、さらに煮詰めました。黄色になる予定がなぜか緑色。濃すぎたからか、沈殿していました。
水分を飛ばす
煮詰めるのは、耐熱容器でラップをせずに電子レンジでもできます。電子レンジ30秒(ラップなし)を何度か繰り返し、様子を見ながら染液の水分を飛ばしました。吹きこぼれるので容器の大きさに注意。
変質の可能性はあるかもしれません。やりすぎると、固まります。
藍棒から青
藍棒をすると青が取れます。黄色と混ぜると緑色っぽくなります。本当は豆汁も混ぜたほうがいいのかも。
みかんの皮&アルギン酸ソーダ
みかんの皮から常温抽出
みかんの皮(2個分)の黄色い外皮をちぎって、酢水(大半がお酢)を入れて、ミキサーでペーストにしました。ミキサーが回転する最小限の量を入れました。
※みかんの皮の裏側の白い部分をスプーンで取って使ったのですが、そこにルチンがあるらしいので、間違いでした。
ペーストをこし布でしぼると、白濁した黄色液でした。
ミョウバン2%溶液を大さじ1を混ぜて、耐熱容器に入れて、電子レンジで様子を見ながら加熱。
重曹を小さじ2分の1入れると、かなり泡立ちました。
ネバネバさせる
にじみ止めに使われる昆布のネバネバ成分、アルギン酸ソーダ。
小さじ1(2g弱程度)を熱湯100ccに溶かしてみました。
少し熱湯を入れたところ。
熱湯100ccは入れ過ぎで、ゆるすぎる感じ。電子レンジでチンして水分を飛ばしたら、ダマは消えました。(吹きこぼれて量は減りました)
染液に入れるとネバネバして、にじまなくなります。ぺったりノリっぽい雰囲気にはなりやすいので、にじまないなら使わなくていいかも。
ダマになりやすいので、レンジで温め直してから、染液とよく混ぜました。
草木染め残液から顔料の作り方
私が作った顔料が、上手く作れているのかは疑問なのですが、色素の塊みたいにはなったし、紙を染めることはできました。その程度のものと思って読んでください。草木染をした際の残り液を活用できるというのが素敵です。
残った染液を使う
2か月前に染めた染液の残りをペットボトルに入れて保存していました。蘇芳(スオウ)です。液を捨てるべきか悩んで、もったいないので顔料づくりにチャレンジすることにしました。
蘇芳は染料店に売っている、赤紫色に染まる植物染料です。
媒染液を混ぜる
染液にみょうばん媒染液(草木染めした残り)を同量入れて混ぜます。
※みょうばん液の作り方はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
石灰水を作る
水100mlに消石灰(水酸化カルシウム)を小さじ1をまぜて溶かし、石灰水を作ります。アルカリなので素手でさわらないように注意します。
石灰には、海苔の袋に入っていた乾燥剤を使いました。乾燥剤は生石灰(酸化カルシウム)が原料で、使ううちに水分を吸って消石灰になります。袋が膨らんでいるやつです。新しい生石灰だと水分で発熱します。
白濁して溶け切らなかったので、上澄みを使いました。
石灰水を少し入れる
まぜた液に石灰水を沈殿が生じるまで少しずつ入れます。
蘇芳でやった際は上手く沈殿しなかったので、目安は中性ペーハー7ということだったので、とりあえずpH7になるまで入れました。
そのままペットボトルに入れて一晩放置しました。
顔料をこす
目が細かいものでこします。お茶パックを使用しました。
上澄みはすぐにこせるのですが、沈殿部分は目が詰まって水が切れませんでした。お茶パックごとガラス瓶に入れて保管しました。
ブルーベリーの場合
ブルーベリーの実の染液(染めた残り)は、ミョウバン液と石灰水までいれて、なかなか中和できなかったので、pH5で1ヶ月以上放置。使う日に沈殿物をこしました。これが顔料なのかは、疑問が残ります。
ビワの場合
ビワの染液でやった時は沈殿しました。
沈殿すると、クッキリ上澄みと沈殿物に分かれます。ペットボトルに一晩保管して、底にたまったところです。
インド茜の場合
インドアカネは酢を少し入れて濃く煮出し、2%みょうばん液を混ぜて、レンジでチンすると沈殿しました。石灰は使いませんでした。
失敗例
一度失敗しました。色素が沈殿しなくて、石灰が沈殿して失敗。石灰水は上澄みを使うほうがよさそう。
植物顔料絵の具作りの参考書籍
「草木染の絵本」という児童書に、染液の残りと媒染液の残りから草木染絵具(顔料)を作る方法が載っていました。
- 草木染の絵本 (つくってあそぼう)(編集:山崎和樹、イラスト:川上和生)
なお、下記の本にもコチニールなどのレーキ顔料の作り方が載っています。
- 自然の色を染める 家庭でできる植物染(監修:吉岡幸雄、福田伝士)
顔料作りについては、もう少し勉強してから改めて書きたいと思います。
型紙の作り方
下絵を描く
コピー用紙などに下絵を描きます。紙は何でもよいですが、カットする際に切りやすいので、薄めの紙のほうがいいです。
私は画用紙に下絵を描いたので、やや切りにくかったです。
洋型紙に下絵をとめる
洋型紙を適当なサイズに切ります。そこに、下絵の必要な部分をはさみで切って、セロハンテープ(メンディングテープ)で型紙にとめます。(洋型紙は紙ではなくてプラスチックみたいな感じなので、セロテープで留めてもはがせます)
染める紙に型紙をどう置くか考えながら、型紙のサイズや配置を考えます。例えば、上の画像の「HAPPY NEW YEAR 2020」の場合は、型紙をハガキと同じサイズにして、ハガキの上にそのまま置けばいい形にしました。
絵を切る(彫る)
カッターで色をつける部分を切り取ります。
例えばゼロを描きたい時、輪の全てを切ってしまうと、内側の丸は型紙から離れてしまい、単なる丸になります。だから、部分的につなぎを入れるようにします。
つなぎをいれずに型紙を作る方法もありますが、今回はそこまでやりません。AやPという文字も、完全に丸抜きしないように注意します。(抜けてしまったら、それはそれでかわいいです)
四隅の絵は、ハガキの側面と合わせる目印線を鉛筆(水性ペン以外のもの)で書きます。南天の葉と実は色を分けるので、型紙も2つに分けます。実の部分を彫っているところです。
実の部分の型紙。型紙を節約して、右下は松に使いました。
色の塗り方
型紙を配置する
染める紙(ハガキ)に型紙を配置します。ハガキのフチと目印線をあわせます。特に固定はしません。1枚やったらもう1枚、と流れ作業をするので、左手で押さえるだけです。葉の部分の型紙です。
刷毛でクルクルする
刷毛に顔料をつけます。
水分が多いかもと思ったら少しティッシュオフをします。
クルクルします。時間をかけるとにじむので、すばやくやります。
1色ずつ乾かしながら
先に葉を塗ります。
乾かしてから、次は赤い実を塗ります。
色を変えたり、重ねたり
同じ絵柄で違う染料にすれば、変化も楽しめます。
別の色を上から重ねることもできます。その場合は、一度乾かしてから、刷り込みます。
後始末
染めた紙がたわんでしまったら、本などで重しをして一晩おきます。
洋型紙は洗えます。洗剤で洗っても型紙の色が落ちない場合は、クエン酸を少し溶かした水につけておくと落ちます。
植物染めステンシルで思ったこと
- 「型染め」年賀状のハードルが高いと思っていたけど「ステンシル」と思えば気が楽
- 型染には、糊置きをする方法もあるので、それも紙でやりたい
- 植物からの顔料作り(絵の具作り)も勉強したい
- 官製はがきでもやってみたい →2021年版で実現。
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。
※できあがった年賀状はこちら→ 草木染めでオリジナル年賀状