牛乳パックのパルプを草木染めする方法

パルプを草木染めした紙

牛乳パックを溶かして作ったパルプを草木染めして、それから紙すきをすれば色紙が作れます。

紙すきした後に染めるより、パルプを染めてから紙すきしたほうが、ムラなく濃い目に染まります。

左上のクリアなピンクがセイヨウアカネ。セイヨウアカネを例にして、パルプを草木染めで染める方法を説明します。通常の草木染めを紙パルプに応用した自己流です。

染めた日:2019年3月9日~2019年3月10日

パルプを草木染めした紙の色

以下のサンプルはパルプを染めてから紙漉きしたもの。いろいろ材料からカラフルに染めると楽しいです。

左から、セイヨウアカネ、五倍子(ごばいし)、ブルーベリーの紅葉

パルプを草木染めした紙

上段(左から):セイヨウアカネ、ブータン茜、桜、アボカド
下段(左から):ヨモギ、五倍子(ごばいし)、ブルーベリーの実、ブルーベリーの紅葉した葉

草木染め紙

パルプを染めるのではなく、紙漉きして作った紙を後から染める方法もあります。そのやり方はこちら→ 紙染め。草木染めで紙を染める

パルプ染めに使える植物染料

ここでご紹介するものに限らず、草木染はいろいろな天然染料でできます→ 草木染めの材料となる植物や染料の量

それぞれの染料にあった染め方をすると濃く染まります。染め方の流れは木綿の布と同じです。

※巨峰の皮の染め方 → 巨峰の皮で食べ染め、ぶどう色
※桜の染め方は、さくらんぼ染めを見てください→ さくらんぼの剪定枝で草木染め
※アボカドの染め方→ 簡単アボカド食べ染めレシピ
※ヨモギの染め方→ よもぎ染めでシルクストールを染める方法
※ブルーベリーの染め方→ ブルーベリー染め濃染テスト フルーツ染めのストール(ベリー系)

ここではセイヨウアカネ(ピンク)で染め方を説明します。

牛乳パックのパルプ草木染めの材料

  • 牛乳パックから作ったパルプ 牛乳パック4枚分の6分の1(水分を含めて150gくらい)
    ※4本分で10枚程度のハガキが作れます。
    ※パルプの作り方はこちら→ 牛乳パックから紙すき用のパルプを作る
  • 好きな植物材料:セイヨウアカネの根(染料店の誠和で購入した乾燥染料)6g
  • 焼きミョウバン(染料店の誠和で購入。スーパーでも購入可能です。)3g

牛乳パックのパルプ草木染めの手順

  1. 事前の準備:牛乳パックからパルプを作る ※パルプの作り方はこちら→ 牛乳パックから紙すき用のパルプを作る
  2. セイヨウアカネの根6gを水400mlに入れて、ステンレス鍋で20分加熱
  3. 根をこす。水量が少ないのでお湯200ml追加して、染液にする
  4. 染液にパルプを入れて10分煮込む
  5. 水でパルプを洗う
  6. みょうばん媒染液にパルプを20分漬ける
  7. 水でパルプを洗う
  8. 再度染液にパルプを入れて10分煮込む
  9. 水でパルプを洗う
  10. 紙すきくんセットで紙すきする ※紙すきの基本手順はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法

※染め方の手順は布と同じです。布の草木染め方法はこちら→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹

牛乳パックのパルプ草木染めの写真と説明

牛乳パックで作ったパルプ

牛乳パック4枚分で作ったパルプの6分の1をアカネで染めました。パルプの量は、水分を含めて150gくらいです。

パルプをザルで洗う

濃染処理なし

植物繊維を染める場合、濃く染まるように濃染処理をすることがありますが、今回はしていません。

セイヨウアカネでは使わなくてもピンクに染まります。赤く濃く染めたい場合や、別の染料で色が付きにくい場合は、濃染処理をします。(豆乳やお茶でも濃染剤の代用になります)

※濃染処理の方法はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

セイヨウアカネの染料作り

使ったのは、誠和(高田馬場にある染料屋さん)で買った西洋茜の乾燥染料です。100g1200円くらいで買えます。

西洋茜の乾燥染料

アカネの根は、木の枝みたいな根っこです。赤っぽい粉が表面についています。

西洋茜の染料

アカネの根6gを水400mlに入れて、ステンレス鍋で20分加熱しました。液は濃い赤です。

アカネの染液の抽出

茜の染液の温度は、高すぎても低すぎても色がくすむらしいので、温度計を入れて85℃位を意識しました。最適温度はよくわかりませんが、紙はピンクに染まったので問題なかったと思います。

食酢を少し入れる、というやり方もありますが、今回は入れませんでした。

ちなみに、染液を高温で煮出して、牛乳パックで作った紙を濃染処理(ディスポン)した際は、こんな色に染まりました。ちょっとくすんだ赤紫色で、味のある色でした。

染色後のアカネ色

パルプを茜染液で煮る

抽出した染液の水量が少なかったので、200ccのお湯を加えました。パルプを入れて、85℃くらいに保ちつつ、10分煮ました。

茜染液でパルプの染色

煮終わったら、ボールの上に、ザルとこし布を置き、パルプをこします。染液はまだ使うので、ボールで受けて取っておきます。

パルプをこす

こし布を使って水分を絞ります。

テトロン紗でパルプをすくう

しぼったパルプは、紅イモの茶巾絞りみたいです。紫がかったピンク色に染まっています。

茜で染色したパルプ

ボール、ザルとこし布を使ってパルプを水洗いします。

みょうばん媒染

焼きミョウバン3gを少量の熱湯で溶かして、透明になったら水を追加して、合計400mlにします。

ボールに媒染液を入れて、パルプを漬けました。媒染は常温です。

パルプのアルミ媒染

終わったら、染液の時と同じように、ザルやこし布を使ってパルプを絞り、水洗いします。

再度染液で煮る

パルプの水気を絞って、残った染液で10分煮ました。1回目と同様、85℃程度を意識しました。染液はオレンジっぽさが増した感じです。

パルプを染液で煮る2回目

1回目と同様にパルプをこして、水洗いしました。水気を絞って染めは終了です。保管する場合は、パルプに水分を含めて、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管します。

アカネ染めのパルプ

残った染液の色はオレンジっぽい色でした。

残ったアカネ染液の色

紙すきをする

紙すきの基本手順はこちらをみてください→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法

ダイソーの8Lバケツに水2Lを入れ、アカネで染めたパルプを入れて、よくかき混ぜます。2Lが紙すきくん(ハガキサイズの紙すきセット)で紙すきできるぎりぎりの水量です。

紙すき用にパルプを水に溶かしたところ

できあがり

全体を染めたパルプにして、色紙にしたものも作りました。すこし波打ってますが、本にはさんでオモシをすると落ち着きます。

パルプを草木染めした紙

牛乳パックのパルプ草木染めで思ったこと

  • 真綿や原毛を染めるのはハードルが高いけど、牛乳パックで作ったパルプなら手軽にできる
  • 布を草木染めした際の残液で染めておいて、まとめて紙漉きしたい
  • 染めるのは簡単。パルプ作り(ミキサーにかける作業)が一番めんどくさい

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。