どんぐり染めの方法

どんぐりの実とどんぐり染め巾着

秋めいてきました。公園や道端の大きい樹木の下にも、よく見るとどんぐりが落ちています。拾ったものの、使い道がないと思ったら、ドングリを染料にして布を染める草木染めがおすすめです。

どんぐり染めの方法をご紹介します。どんぐりの種類にもよりますが、煮出した液に赤みが出ればピンク色にも染まります。

上の写真は、拾ったスダジイの実で草木染した木綿の巾着です。かわいい色に染まりました。

椎の実だけでなく、コナラの実やクヌギの実など別の種類のドングリでも染まります。

※追記:その後、チャレンジしてくださった方から、「ピンクが出なくてベージュだった」という報告をいただきました。その時々で茶色やベージュにも染まります。種類や鮮度の違いかもしれません。私が染めたのはスダジイで、黒っぽい殻、落下してすぐでした。

染めた日:2019年10月24日、2019年10月26日

どんぐり染めの材料と道具

材料

  • 染める布小物(ちいさめ木綿の巾着 1枚)
  • どんぐりの実 15~30個
  • みょうばん(スーパーで購入できる漬物用の焼みょうばん)大さじ2

※焼みょうばんはスーパーの乾物コーナーのあたりに売っています。

道具

  • ナベ(2.5リットル以上)
  • バケツやタライ 3個
  • こし布(サラシの布、三角コーナー用の不織布、だしパックなど)
  • 計量カップ(ない場合は、空のペットボトルで水を計量)
  • ボール(みょうばんを溶かす容器)
  • 計量スプーン
  • ザル
  • ゴム手袋(染色中はゴム手袋をする)
  • 割りばし(かき混ぜる用)

染める布小物について

天然繊維(シルク、木綿、麻など)が染まります。ポリエステルなどの化学繊維の布は染まりません。

今回は、インド綿ガーゼ生地で手作りした巾着を染めています。キナリ色です。

コットンガーゼ巾着袋

ヒモが外れる場合は、本体と紐を分けてから染めます。外れなければそのままで大丈夫です。

どんぐり染めの流れ

どんぐりの実を煮て染液にして布をつける

色止め用にみょうばん液も作って布をつける

もう一度染液につける

洗って乾かす

どんぐり染めのやり方

どんぐりの準備

公園などでどんぐりを拾います。落ちていたのが土の上ではなかったので、綺麗な状態だったので、そのまま使いました。

どんぐり拾い

今回使っているのはスダジイです。

スダジイの実

下の写真の左2つがスダジイです。小さめで、三角っぽい形、殻斗(かくと)が実をおおう感じです。どんぐりの種類は、コナラでもクヌギでもマテバシイでも、なんでもよいので手に入ったものを使います。

スダジイの実、マテバシイの実、クヌギの実

ビニールや紙袋にどんぐりを入れ、木づちやスリコギなどでたたき、どんぐりのカラを砕きます。下にタオルをひくとやりやすいです。

どんぐりをつぶす

砕いたドングリの実

着火

鍋に砕いたドングリと、水2リットルを入れ、ふたをして着火。強火にする。

どんぐりを煮出す鍋

沸騰後20分中火

沸騰したら、吹きこぼれないように中火にする。(弱火ではない)沸騰してから20分煮る。

どんぐり煮出し沸騰

布をお湯につける

煮ている間に、バケツにお湯(お風呂ぐらいの温度。40℃)を入れて、布をつけておく。巾着は袋状なので広げる。新品の場合は、台所洗剤で軽く洗ってから行う。

巾着袋をお湯につける

どんぐりの実をザルでこす

沸騰後20分経ったら、火を止める。バケツの上にザルとこし布を置き、液をそそぐ。ドングリの実をこしてバケツでうける。(1番液になる)

どんぐりの実をこす

2番液を煮出す

こしたドングリを鍋に戻し、新しい水1リットルを入れて、フタをして強火。同じように沸騰後20分中火で煮る。(2番液になる)2番液は後で使うので、引き続き1番液で次の手順を進める。

どんぐり2番液の抽出

液に空気を含ませる

液(1番液)をカップで取り、バケツに注ぎ戻す、という作業を繰り返して空気を含ませる。20回ぐらい繰り返す。液が徐々に赤くなる。赤くならなくても大丈夫。

どんぐり染液の酸化

布を染液につける

巾着の水けをしぼって、広げてからドングリ染液に入れる。熱いので、ゴム手袋をしてワリバシを使う。ワリバシで時々布を動かしながら20分。できるだけハンカチが水面に浮かないように、中に空気が入らないようにする。

どんぐり染め染液

布を水洗い

20分経ったら、巾着を取り出して水けをしぼる。別のバケツに水をためて、巾着を軽く水洗い。水気をしぼる。※染液は再度使うので捨てないこと

水洗い

みょうばんを溶かす

みょうばん大さじ2を500mlの熱湯にまぜて溶かす。少し時間を置くと液が透明になる。透明にならない場合は熱湯を足して溶かす。

焼みょうばん

ミョウバンを熱湯で溶かす

みょうばんが溶けた透明の液

みょうばん液を作る

バケツに水2リットルを入れ、透明になったみょうばん液を入れ、まぜる。

みょうばん液を溶かす

布をみょうばん液につける

巾着を広げてから薄めたミョウバン液に入れる。時々、ゴム手袋をした手でまぜながら20分。できるだけ巾着が水面に浮かないように、中に空気が入らないようにする。※染まった色が薄くなる場合もあるが気にしない

ミョウバン液に巾着をつける

布を水洗い

20分経ったら、巾着を取り出して水けをしぼる。別のバケツに水をためて、巾着を軽く水洗い。水気をしぼる。

2番液をこす、空気を含ませる

2番液の煮出しが終わったら、2番液も1番液と同様に、どんぐりの実をこして、空気を含ませる。1番液のバケツに2番液を入れる。

再び染液に布をつける

再度、巾着を広げてから染液(1番液+2番液)に入れる。ゴム手袋をした手で時々まぜながら20分つける。染まりが薄すぎる場合は、つける時間をのばす。

どんぐり染液2回目の染色

水洗い

20分経ったら(染め終わったら)、巾着を取り出して水けをしぼる。別のバケツに水をためて、巾着を水洗い。最後の水洗いはしっかり行う。水気をしぼる。

乾かす

水気をよく絞って、干す。乾くまで金属に触れないようにする。(ステンレスは大丈夫)

巾着を干す

できあがり

今回のできあがりは、やさしいピンク色でした。その時々で染まる色は変わります。アイロンをかける場合は、中温で裏面からかけます。

どんぐり染めのコットン巾着

どんぐり染めのコツ

  • 殻をそのまま煮ると色が出にくいので、砕きます。
  • 染まった色が薄いと思ったら、同じ手順で重ね染めしてください。
  • 木綿や麻をもっと濃く染めたい時は、染める前に濃染剤や豆汁を使って濃染処理をすると濃く染まります。漂白された布より、生成の布のほうが染まりやすいです。
  • 記載した分量は目安です。布50gくらいまでなら染まります。お手持ちのどんぐりの実にあわせて増減させてください。

※濃染剤の話はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
※豆汁濃染の話はこちら→ 豆汁下地のやり方、色ムラと色あい

どんぐりの使い道

秋の紅葉散歩を楽しみながら、公園でどんぐりを拾ったら、どんぐり染めもお試しください。どんぐりの使い道として、草木染めオススメです。どんぐりで染めた布をハンドメイドの材料にしてもいいと思います。

子どもさんと一緒に自然の中でどんぐり拾いをして、どんぐりで手作り工作をして、そして余ったらドングリ染めをしてみるのがよいかと思います。

不明点がありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムからお知らせください。実際に染めた感想やご意見もぜひ教えてください。

※他の植物でもだいたいやり方は同じです。草木染めの基本手順はこちら→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹

追記:実際に染めた人の話

その後、実際にどんぐり染めにご自宅でチャレンジした方が、染まり具合の結果を教えてくれました。

色はベージュだったとのこと。液の調整をしても、うっすらピンクになる程度だったそうです。たしかに、他の赤色に染まる植物に比べると、赤みのパンチは弱い感じです。

もし他にも染めてみた方がいましたら、ぜひ結果を教えてください。