牛乳パックで紙すきハガキを作る方法
紙すきキットを使って自宅で紙を手作りした方法や、失敗して試行錯誤した点をご紹介します。
草木染めをした色紙をすきこんで、和紙風の牛乳パック年賀状はがきを10枚作るという計画の第2段階です。
やってみるまでは色紙を固定させる部分が不安でしたが、思ったより簡単でした。パルプの材料は牛乳パックですが、和紙のような雰囲気の紙になって大満足です。
夏休みの工作や自由研究ネタとしてもオススメです。(特に小学生の女の子なら、カラフルで楽しいかも)
※パルプの作り方はこちら→ 牛乳パックから紙すき用のパルプを作る
※色紙の染め方はこちら→ 紙すき年賀状用の色紙作り(草木染め)
紙すきをした日:2018年12月24日~2018年12月25日
目次
色紙入り紙漉きハガキ作りの材料と道具
- 牛乳パックから作ったパルプ 牛乳パック4個分 ※詳細はこちら→牛乳パックからパルプを作る
- 水6L
- 草木染めした色紙(市販の色紙でもOK)
- 紙すき枠(下枠:アミがついた平たい枠、上枠:アミなしで高さのある枠) ※
- 押し板(水分を絞る際に使う) ※
- ハガキ大のネット(色紙固定用のうすい紙をつくる際に必要) ※
- スポンジ(水分を吸い取る用。思ったより重要です!) ※
- パルプ水を入れる容器(洗濯カゴを使用。水とすき枠が入る大きさ。枠ぎりぎりですが、ダイソーの8リットルバケツでも可能)
- 洗面器(色紙固定用のうすい紙を作る用の薄めたパルプ水を入れる)
- バスタオル(水分を吸い取る用)
- アイロン(乾燥用)
- アイロンのあて布(コットンのシーチング生地を使用)
- ピンセット(色紙をのせる用)
※印は、紙すきくんキットに入っていたものを使いました
※ハガキ10枚作るには牛乳パック4本必要です(実際は3本でやって、調整が大変でした)
紙すきくん大活躍
紙の博物館でのワークショップ体験の際に購入した「紙すきくん」(2200円)。紙の博物館でのワークショップ体験についてはこちら→ 紙すき体験。牛乳パックではがきを作る
「紙すきくん」には下の写真のものが入っています。左上から、ピンクのスポンジ、大きいネットと小さいネット、すかし模様を描く用の粘着シート、押し板、すき枠(下枠と上枠)です。
すき枠は、上枠と下枠のかみあわせが合って、きちんとはまります。木のいいにおいがします。焼印もさりげなく、いい感じです。
キットを購入する前、紙すきの道具を自作できないか考えて悩みましたが、買ってよかったです。パルプ作りや紙漉きハガキ作りの詳しい説明書がついていたのも、とても役立ちました。
今回はやりませんでしたが、すかしを入れることもできます。
色紙入り紙すきハガキ作りの手順
- 事前の準備:牛乳パックからパルプを作る ※詳細はこちら→牛乳パックから紙すき用のパルプを作る
- 事前の準備:色紙を好きな形にカットする
- パルプの半分(牛乳パック2個分)と水を容器に入れてまぜる
- 別の容器に薄めのパルプ水も少し作っておく(あとで使う)
- すき枠でパルプをすくう(パルプは沈みやすいので、直前にかき混ぜる)
- 上枠をはずす
- 押し板をパルプのついた下枠にのせて、もちあげて、はさむことで水分を絞る
- スポンジでアミをおさえて水分を吸収させる ※セットの説明書には書かれてない重要ポイント
- 下枠を上にして、そっと下枠をはずす(押し板に紙が残る)
- 色紙をピンセットで配置する
- 薄めたパルプ水(4.で作ったもの)をネットですくう
- すくったネットを色紙の上に置く
- スポンジで軽くおさえて、ネットをはずす
- 押し板ごとバスタオルに押し付けて水分を吸収させる
- アイロンがけ
色紙入り紙すきハガキ作りの写真と説明
年賀状の図案を決める
まず、カッターボード上に、カットした画用紙をのせて、図案を考えました。文字は後から入れる予定なので、配置位置だけ決めました。
桜染めの色紙でサクラの花びらを入れたいとか、今年あった出来事の象徴マークを入れたいとか、自己満足で作ったために年賀状らしさがありません。
色紙をカットしておく
こたつの上にカッターボードを置いて、草木染で作った色紙をカット。予備を含めて13枚分。思ったより大変で半日作業になったので、もう少し単純な図案にすればよかったです。
※草木染め色紙の作り方はこちら→ 草木染めで紙を染める
※パルプを染めてから紙すきする方法はこちら→ パルプを草木染めする方法
パルプを水に溶かす
作業は台所で行いました。
洗濯カゴを容器として使いました。床に置いています。(フチに黒い汚れがあるのは、草木染の媒染に使っているためです)
水6リットルに、パルプを半分(牛乳パック2本分)とかします。残りは1枚すくごとに、少しずつ追加していきます。
ダイソーの8Lバケツでも、ぎりぎり紙すきくんが入ります。(写真はパルプを染めてから紙を作った時のものです)
紙をすく
木枠(下枠に上枠をはめた状態)で、水平にしずめて、紙をすくいます。
木枠をゆっくりもちあげて、水を切ります。
はじめは水平にして、ある程度水が切れたら、最後は斜めに傾けて水を切ります。
木枠をキッチン台に置きます。
そっと上の枠をはずします。
下の写真は、1gの色紙用を作った際のもので、このパルプ量では少ないです。
失敗した場合は、やり直せます。すき枠のパルプが付いた面を、パルプ浴の水面につけるようにして、パルプを水の中に戻します。手でこすり落とすと固まりになるので、こすらないほうがいいです。
押し板で水を切る
押し板を上にのせます。
両手でぎゅっと板をはさんで、水分をしぼります。(片手で撮影したので、写真は片手になっています)
下枠のアミ部分をスポンジで押さえて、水分を吸います。この作業が説明書に書いてなかったので、何度も失敗して気がつきました。
下枠部分が上になるようにキッチン台におきます。
静かに木枠をはずします。
上の写真の紙の中心部は、浮き上がってしまっています。
スポンジ作業をしない場合、紙の中心部分が浮き上がってしまい、シワになります。
できあがりのシワも味といえば味ですが、汚い感じになります。
色紙をのせる
押し板の上の、ぬれた紙に、色紙をのせていきます。図案どおりにピンセットで配置しました。
薄い紙をのせる
色紙を固定するために、うすい紙をつくります。
事前に、洗面器にうすいパルプ液(4倍の薄さ)を作っておきます。わたしの場合、水600mlにパルプ水を400mlでちょうどよかったです。
ハガキ大のネットで、薄いパルプ水をすくいます。
すき枠と原理は同じで、水平にすくいます。(写真は、片手で撮影したため、ネットが縦向きになっています)
これがうまくできるか心配だったのですが、意外と簡単で、均一に薄い紙の膜がネットに付きました。
ネットに付いた薄い紙の面が付着するように、ネットを色紙の上にかぶせます。
スポンジで軽く押さえてから、ネットをはがします。
ネットについていた薄い紙の膜が、ハガキに付着しておおいます。色紙がカバーされます。
小さいネットを使って、部分的にかぶせることもできます。
バスタオルで水分吸収
押し板をバスタオルに押し付けて、体重をかけて、水分を吸収させます。
乾いた部分に何度か押しつけて、水分をとります。
写真は真ん中に置いていますが、効率を考えるとバスタオルの面をムダにしないように、はしから順番に使うのがよいかと思います。
水分がとれたら、押し板から紙をはがします。この押し板の場合、右下のタブをひっぱるとはがしやすいです。
アイロンがけ
あて布をして中温でアイロンがけします。
写真では色紙がすけていますが、シーチングの上からアイロンをかけています。
前面を先に、体重をかけてアイロンがけをします。圧をかけないとデコボコしてしまいます。
あて布にしたシーチングに巨峰染めがうつり、版画のようになりました。
色が付くのであて布をしていますが、直接アイロンを当てたほうが乾きやすくつるつるになりやすいです。
表面にアイロンをかけて、ひっくり返して裏面をかけて、最後に表面をかけます。アイロンをかけた裏側の面がぼこぼこしやすいので、最後は表面で終わりにしたほうがよさそうです。
できあがり
できあがり。重量3g、サイズはだいたい15cm×10cmです。
裏面は色紙部分が透けたり、色紙部分がでっぱったものもありましたが、住所はかけそうです。
乾いたら重さをはかってハガキ規定の重さが不足したものは、追加で紙漉きした紙を重ねて厚みを増やしました。
※紙の厚みの補正方法はこちら→ 牛乳パック手作り紙の厚み補正方法
ハガキは本にはさんで、他の本をおもしにすることで、2日でだいたいまっすぐになりました。
最後のほうの紙漉き
何枚も紙漉きをすると、パルプ水が薄くなります。捨てるのがもったいなかったので、最後まで使い切りました。
水分を減らせば濃くなるので、上澄みをすくってネットでこして、パルプだけを戻します。紙漉き枠が入る水の高さギリギリまでは、この方法で可能です。
紙漉き枠が入らないほどの水量になったら、パルプ水をカップに入れて、紙漉き枠にそそぎます。
この方法の場合、パルプの量が均一になりにくく、デコボコしやすいです。注ぐ際は手早く、勢いをつけたほうが均一になりやすいと思いました。
紙すきハガキのサイズと重さ
郵便はがきの決まり
通常はがきの条件は、紙の重さが2~6gで、サイズが14cm~15.4cm × 9cm~10.7cmです。
条件にあわないとハガキ料金で送れません。ハガキ料金のお年玉付き切手を買ってしまったので、なんとしてでも規定サイズと重量で作ろうと思いました。
※他にも条件があります。それについてはこちら→ 手作りはがきで年賀状を出す方法
はがきの重さとパルプと水の量
パルプ水の濃度でハガキの厚み(重さ)が変わります。
1枚すいたら、次の1枚をすく前に、パルプをすくった分ぐらい補充します。そうしないと、だんだん薄い紙になってしまいます。
わたしの場合、牛乳パックの量をケチったため、重さとの戦いでした。はがきの重さはキッチンばかり(デジタル)ではかりましたが、メモリが1g単位で、誤差が不安要素でした。
2gでは、厚みもぺらっとしていて色紙が透けます。メモリが3gを超えるようにがんばりました。
水6Lは余裕がある量なので、木枠が入る範囲で水を減らして濃度の調整をしました。パルプ水のうわずみ水をすくってアミでこして、こされたパルプだけを容器に戻すと濃くなります。
その後、メモリの細かいデジタルはかりを買いました。3グラム弱がいい感じです。
パルプが多いと、水分を絞る時に紙が広がって、規定サイズ(最大15.4cm×10.7cm)を超えそうになります。サイズを超えそうな部分は、手でちぎりました。
色紙入り紙すきハガキ作りで思ったこと
- 牛乳パックをケチったので、紙の厚み、重さを調整するのが大変だった
- 和紙風で手づくり感が出た。牛乳パックでの紙作りが気に入った
- 次に紙すきをする時は、すかしに挑戦して名刺を作りたい
このままでは年賀状らしさゼロなので、次の段階では、草木染めの染液で文言を書きました→ スパッタリングで草木染め文字を書く挑戦
※できあがった年賀状の話はこちら→草木染めでオリジナル年賀状2019