服の染め直し(草木染め)

草木染めで染め直した服

色落ちした服を染め直しました。もともと自分で草木染めしたもので、別の植物染料で染め直しました。そのやり方を書きます。染まっていない白い服を染める方法とほぼ同じです。

木綿の半袖シャツ。この程度の大きさなら、自宅のキッチンで結構簡単に染められます。

染めた日:2019年7月3日

染め直し前と染め直し後の色

もともと別の染料で草木染めしたピンクの服に、青紫色を重ね染めをしてスミレ色になりました。

コットンガーゼの手作り服です。コチニールというカイガラ虫の染料で以前染めたものです。ピンクに飽きたので染め直すことにしました。

染め直し前:以前、コチニールの銅媒染で紫がかったピンク色

染め直し前のコチニール染めの色

染め直し後:ログウッドのアルミ媒染を重ねて青紫色

重ね初め後のログウッド染めの色

生地の重なりや縫い目部分に、少しピンク色が残っています。いい感じです。

ログウッド染めシャツの色むら

同じ色で均一に染まるのではなく、多少色むらっぽく、雰囲気がある感じに染まります。

※コチニールで染めた話はこちら→ ガーゼ綿生地をコチニール染め 綿生地コチニール銅媒染に染め直し
※この服の色の変遷はこちらの中ほど→ 草木染めの色落ちや色変わり

草木染めで洋服を染め直す時の注意点

草木染では天然繊維(木綿、絹、麻、レーヨン)が染まります。化学繊維は染まりません。市販の服は、天然繊維であっても、特殊加工してあるものなど、生地によっては色が入らないことがあります。

染物用ではない市販品は、綿100%の製品でも、縫製糸はポリエステルのことが多く、その場合は糸だけ染まりません。

服についたシミは、染めることで隠れることもありますが、さらに濃くなる時もあります。

染めるのは簡単ですが、日常の洗濯や保管方法に注意が必要です。注意点はこちら→ 草木染めのお手入れ、保管方法

服の染め直しの材料・道具

  • 半袖シャツ(コットンガーゼ100%。手作り品) 104g
  • ヘマチン(ロッグウッドのエキス粒。誠和で購入したもの)小さじ1
  • みょうばん(スーパーで購入した食品用)12g
  • バケツ(ダイソーの8リットルバケツを使用)
  • ステンレスの器(染料を溶かす用)
  • お掃除用のゴム手袋

服の染め直しの手順

  1. 事前に、洗濯機で普通に服を洗濯しておく(ノリや柔軟剤はつけない)
  2. お湯(40℃、お風呂ぐらいの温度)に服をつける
  3. 媒染液作り:みょうばん12gを少量の熱湯で溶かす
  4. 服がつかるくらいの水をバケツに入れて、3のみょうばん液を入れて溶かす
  5. みょうばん液に服をつける。常温で20分。ときどき動かす
  6. 染液作り:ステンレスの器にヘマチンを少し(1g)入れて、少量の熱湯(200mlくらい)で溶かす
  7. 染液作り:服がつかるくらいの水またはお湯をバケツに入れ、6で作った原液を少し入れる。液色を見て量を調整。
  8. 媒染後の服を水洗い
  9. 服を染液につける。20分。ときどき動かす
  10. 色がついたら、台所シンクでしっかり水洗い
  11. タオルに包んで洗濯機で脱水、お風呂場で陰干しして乾燥、乾燥後に中温でアイロン

※草木染めの基本手順はこちらを見てください→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹

※基本手順では、後媒染(染液→媒染→染液)ですが、先媒染(媒染→染液)で染めます。ログウッドは先媒染がおすすめです。

※2回目以降の染め直しでは濃染処理は必要ありません。初めて染める場合で、木綿を濃く染めたい時は、手順2の段階で濃染処理をします。濃染方法はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

服の染め直しの写真と説明

ぬるま湯につけておく(重要)

染める前に、生地に水分を含ませるため、ぬるま湯(お風呂ぐらいの温度)につけておきます。色むらを防ぐためです。ボタンははずします。(写真ではボタンは留まった状態)

湯通し

100gくらいの半袖シャツであれば、ダイソーの8リットルバケツで染められます。大物は、もっと大きい容器(タライや衣装ケースなど)を使います。

みょうばん媒染液を作る

媒染には、焼きみょうばん(スーパーで売っている漬物用)を使います。

COOPの焼きみょうばん

焼みょうばん12g(大さじ4強)を少量の熱湯(今回は1リットル位)に溶かします。白かった液が透明になったら、バケツに常温の水で薄めます。服が泳ぐ程度の水量6リットルぐらいにしました。

諸説ありますが、布重量比6%の焼みょうばんが必要です。100gの半そでシャツなら、100×0.06=6で、ミョウバン6g以上必要です。

媒染液の濃度は0.2%くらいがよさそうなので、水量6リットルなら、6000ml×0.002=12で、ミョウバンは12g。

みょうばん媒染液に漬ける

水気を切った服を広げて、薄めた媒染液に入れます。ムラを防ぐために動かしながら、20分漬けます。

空気が入った部分や、布と布が重なった部分が色むらになるので、ゴム手袋をした手で時々混ぜます。特に水面から出てしまうと、そこが染まりません。縫い目や縫い代の部分をよくもみながら染めます。

以前にコチニール(カイガラ虫)で染めていた服だったため、透明の媒染液に入れてしばらくすると、コチニールの色が流れ出ています。(通常は媒染液は透明のままです)

アルミ媒染

水洗いする(やや重要)

20分経ったら、洋服をとりだして、水分を絞って水洗いします。水気を切るときは、ぎゅっと手で布をはさんで、水気を切ります。繊維がねじれるので、雑巾絞りはしません。あいだあいだの水洗いは必ずします。

水洗い

染料を熱湯で溶かす

今回使った染料は、ヘマチン。ログウッドというマメ科の木から抽出されたエキス粒です。高田馬場から徒歩5分の「誠和」という染料屋さんに売っています。ネット通販でも買えます。

ログウッドは、黒染めに使われる染料として有名ですが、アルミ媒染で染めると青紫色に染まります。

乾燥植物染料ヘマチン

草木染めでは通常、植物を煮出しますが、これは固体のエキスなので、熱湯で溶かすだけで簡単に染液が作れます。濃いので、溶かすのはほんの少し。アイスクリームスプーンに1杯程度で十分です。

ヘマチン1g

ヘマチンを熱湯で溶かしたところ。かなり濃い色です。粒が底に残りやすいので溶かします。残った場合は、それが染液に入らないようにします。

ヘマチンを熱湯で溶かす

バケツに服が漬かるくらいの水(6リットル)を入れて、そこに原液を少しずつ溶かします。液の色を見ながら、透明感が残る程度の色にします。

ガラスの器に取った染液の色です。今回は、グレープジュース色ぐらいの濃度にしました。

染液を薄めた色

染液が濃すぎると、色むらになりやすいので注意します。また、ログウッドの場合、濃く染めると紺色っぽくなります。

濃いまま木綿(オックスフォード生地)を染めるとこんな色です。

紺色のログウッド染めコットン

逆に染液が薄すぎると、染まりません。その場合は、一度服を取り出してから、原液を追加して濃度を調整してください。

服を染液に漬ける

水洗いした服を広げて、染液に入れます。

ヘマチン染色

バケツで行いましたが、使える染色用のステンレス鍋がある場合は、鍋で火をつけながら煮染めしてもかまいません。温度が高いほうが染まりやすいですが、低温で時間をかけて染めるほうがキレイに染まります。

空気が入った部分や、布と布が重なった部分が色むらになるので、ゴム手袋をした手で時々混ぜます。特に水面から出てしまうと、そこが染まりません。縫い目や縫い代の部分をよくもみながら染めます。

20分くらいを目安にちょうどよい色になったら、ストップします。濡れている状態よりも乾くと色が薄くなるので、そこも考慮しつつ、好きな色になるまで染めます。生地に色が入って、染液の色が透明になってきています。

透明になったヘマチン染液

縫い目、縫い代部分は、少しピンク色のままでしたが、服の裏側だったので終わりにしました。色の組み合わせがおかしいと、変な感じになりますが、ピンクと紫はさほど変ではありません。

縫い代部分の染まり具合

水洗いする(やや重要)

終わったら、服をとりだして、水分を絞って水洗いします。ここで染液が残っていると、変色の原因になるので、洗う水の色が透明になるまで、しっかり水洗いします。

乾かす

服をバスタオルではさみ、水気を切ります。くるくるスマキにするとよいです。タオルにつつんだ状態で、洗濯機で脱水します。

タオルで水気をとる

お風呂場の物干しに日陰干しします。

お風呂場に干す

濡れている時に金属に触れると媒染されて変色するので、金属ハンガーに注意です。ステンレスは大丈夫です。

乾いたら、中温でアイロンをかけます。

服を染めるコツ

元の色より濃く染まる染料を選ぶ

重ねる色が薄い場合、あまり染まらない感じになります。濃く染まる染料を選びます。染料店で売っているような乾燥植物染料を使うのがオススメです。

重ねる色の組み合わせに注意する

染め変えるというより、染め重ねる感じになります。

例えば、黄色×紫、ピンク×緑などは、汚い色になります。汚い色にならないよう、組み合わせに注意して染料を選んでください。青×赤は紫、青×黄色は緑、黄色×赤はオレンジです。

染液を濃くしすぎない

濃くしようとして、あまり染液を濃くしてしまうと、色むらの原因になります。透明感が残る程度の液色に濃度を調整してください。なお、ヘマチン(ログウッド)は濃く染めると紺色っぽくなります。

重なった部分をもむ

縫い目や端っこの生地が重なった部分は染まりにくいので、媒染液や染液につける際は、浸透するように、揉みこむようにします。

真夏の服は避ける

汗がつくと汗じみのように変色するため、運動用のTシャツや、夏場に素肌に着たいシャツなど、汗がつきやすい服はやめておくのが無難です。

また、洗濯すると色落ちしやすいので、洗濯頻度が高い服も向いていません。

草木染めは日光にも弱いため、真夏に着る服は退色が早いです。秋服~冬服~春服の方がオススメです。

せっかくなので、パーソナルカラーを意識する

人それぞれ、似あう色は違います。その考え方がパーソナルカラーです。この薄い青紫色は、サマーの色です。わたしのパーソナルカラーはブルーベースのサマーなので、この色は似あう色です。

コチニールとログウッド染めのパーソナルカラー

※パーソナルカラーについてはこちら→ パーソナルカラーのこと

淡い色は退色しやすいので、草木染めではオススメの色ではありません。でも、似合わない色(例えば柿渋色の茶色とか)を染めても仕方がないので、淡い色を染めています。

草木染めで色のコントロールは難しいのですが、せっかくなので、自分の好きな色、似合いそうな色を意識して染めるとよいと思います。

服の染め直しで思ったこと

  • 服作りが進まないので、以前作った服を染め直した。本当は新作を作って染めたい。
  • 天然繊維のコットンが好き。きれいな色の市販の服は、化繊が多い。コットンの色は限定されるので、自分で好きな色を染められるのが楽しい。
  • 草木染めをはじめた頃、「草木染めに失敗はない」と聞いた。重ねて染め直せばいいから。確かにそうだと思う。(色むらは修正しにくいけど)

※衣類の染め直しだけでなく、天然繊維であれば、バッグや手芸用品の染色にも応用可能です。バッグのリメイク話はこちら→ ハンプのバックを草木染めリメイク

※ブルーベリー染めのワークショップで、市販の服を持込みで染め直した方がいました。その話はこちら(下のほうに染色前後の画像があります)→ ブルーベリー染めワークショップ開催報告

※不明点がありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、なんなりと聞いてください。