紙染め。草木染めで紙を染める
牛乳パックから手すきで作った紙(ハガキ大)を草木染めで染めて、色紙にしました。自己流ですが、紙染めの方法を説明します。
写真の上段は、左から、河内晩柑の皮、ワイルドストロベリーの葉っぱ、りんごの皮(鉄媒染)、巨峰の皮。写真の下段は、左3枚が桜、右2枚が茜です。
この色紙は、紙漉きの手作り年賀状を作る際、好きなデザインにカットして、すきこみ用の色紙として使いました。
※紙すきハガキの作り方はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法
※パルプを染めてから紙漉きする方法はこちら→ 牛乳パックのパルプを草木染めする方法
染めた日:2018年12月22日~2018年12月24日
目次
紙漉きした紙の染め方
巨峰の皮など、身近な食べ物や植物を煮出して色水(染液)を作り、そこに紙を浸します。
染まりにくい場合は、染料店で売っている濃染剤で濃染処理をします。(豆乳や緑茶も濃染剤の代わりになります。)
※濃染剤についての詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
草木染めをする際、通常は媒染(ばいせん)といって、みょうばん液や木酢酸鉄液に浸してアルミニウムや鉄の金属イオンを利用して色を固定します。媒染することで、金属の違いによる発色の違いも楽しめます。
今回は、色がつかなかったリンゴのみ鉄媒染を行い、他のものは行いませんでした。
草木染めは日光や洗濯に弱いので、耐久性を求める場合は、媒染もした方がよいかと思いますが、今回は年賀状に使用するための色紙なので省略しました。
染めた紙を乾燥させればできあがりなので、簡単です。
特に巨峰の皮は、一番濃く染まって、濃染も媒染も無しでも染まりますのでおすすめです。今回はやりませんでしたが、玉ねぎの皮やアボカドの皮、紅茶染めもおすすめです。
草木染め色紙作りの材料
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- 牛乳パックから作った紙 ハガキ大(約15cm×10cm)1枚1g
※紙の作り方はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法
※市販の和紙でも代用可能です
- 牛乳パックから作った紙 ハガキ大(約15cm×10cm)1枚1g
- 好きな植物、染料
- 河内晩柑(食べた残りを冷蔵保管)16g
- ワイルドストロベリー(ランナー部分の茎と葉っぱ)11g
- りんごの皮(食べた残りを冷凍保管)15g
- 巨峰の皮(食べた残りを冷凍保管)15g
- セイヨウアカネの根(誠和で購入した乾燥染料)5g
- 桜の染液(春に枝から抽出して常温保管)40ml
- 桜の枝(春に抽出した残り枝)5g
- 木酢酸鉄液(誠和で購入したもの)1滴 ※リンゴのみ、色がつかなかったため使用。
- ディスポン 2mL(誠和で購入。木綿・麻を濃く染める濃染剤。成分:特殊カチオン性高分子)
草木染め色紙作りの手順
- 事前の準備:牛乳パックから紙を作る(薄めに作る)
※紙すきの方法はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法 - 濃染処理:熱湯500mlにディスポン2ccを溶かして、紙を20分浸す
- 水で洗う
- それぞれの原料から染液をつくる(水200ml、材料をステンレス鍋で20分煮る)
- 染液に紙を漬ける(ステンレスバット、発泡スチロールトレイを使用)
- (リンゴのみ)鉄媒染 200mlに木酢酸鉄液1滴を入れて、常温で紙を20分浸す
- (リンゴのみ)水洗い
- (リンゴのみ)再度染液に漬ける
- 染液をとりのぞいて、そのまま自然乾燥、もしくはアイロンで乾かす
草木染め色紙作りの写真と説明
紙すきで作った紙
染めるものは、牛乳パックをとかして自分で作った紙です。サイズはハガキの大きさですが、1枚1gの薄い紙です。ハガキ用の紙は厚めに紙漉きしますが、すき込み用の紙は、薄めに紙漉きします。
パルプの状態で染めて、それを紙すきする方法もあります。今回はパルプの量がぎりぎりだったので、紙にしてから染めました。
※紙すきの方法はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法
濃染剤の処理
はじめに濃染処理をせずにリンゴと河内晩柑を染色したところ、色がつかなかったため、濃染することにしました。
濃染には濃染剤のディスポンを使いました。ディスポンは木綿・麻を濃く染める濃染剤です。紙にも使うものなのかは不明ですが、紙も植物原料なので効くかと思い使いました。
洗面器に熱湯を500mlを入れて、ディスポンを2ml入れてかきまぜ、ハガキをひたして20分。紙が傷つかないように時々ゆすります。
染めた紙9枚のうち、2枚はディスポン無し(桜1枚とアカネ1枚)で染めましたが、薄い色でした。
家にある原料から染液作り
染める紙が1gと少ないので、それぞれ水200mlに漬かるぐらいの原料を20分煮出しました。色あいよりも、草木染めに使おうと貯めていた果物の皮や、家にある材料を使うことを優先しました。
巨峰は今年食べたものです。皮を冷凍庫に保管していたのでそれを煮出しました。
ワイルドストロベリーは、ベランダの植木鉢からランナー(伸びる茎)が伸び放題になっていたので、それをナベに入る程度切り取りました。葉っぱも茎も一緒にナベに入れて抽出しました。
河内晩柑も今年食べた時の皮です。冷蔵庫に保管すると乾燥状態になるので、それを野菜庫にためています。手でちぎって煮ました。
リンゴは最近よく食べているサンフジの皮を使いました。紅玉など皮が赤い品種なら、もっと色が出たかもしれません。
アカネは、誠和(高田馬場にある染料店)で買った乾燥染料(セイヨウアカネ)を使いました。勉強不足で、温度は80度までにするべきところを、強火で加熱。赤くならずにくすんだ紫色になりました。
煮出した後のナベは汚れがつきました。スチールウールや激落ちメラミンスポンジでこすって落とします。
桜は、春に抽出した染液が残っていたので、それをお湯で薄めて使用しましたが、オリがでてしまって染まり方が汚かったので、残っていた枝から再度染液を抽出することにしました。
ワイルドストロベリーや桜、アカネは、細かいクズが入るため、染液を移す際にお茶パックでこしました。
春に枝から抽出した濃い染液もあったので、それも水で薄めて染液にしました。
染色には発泡スチロールトレイを活用
染液をバットや発泡スチロールトレイに入れて、紙を20分ぐらい浸します。
温度は20~40℃くらいでした。熱い液のほうが染まりやすいので、冷えてしまったら温め直してから使うとよいです。
バットは、ステンレス製なので草木染めにぴったりですが、サイズがハガキより大きく、染液の水位が低くなることや、2つしか持っていないことが難点。
そこで、リサイクルに出そうと思っていた発砲スチロールトレイを使ったら、ジャストサイズでした。発砲スチロールトレイの耐熱温度は70~90度らしいので、極端な熱湯でない限りは使えるかと思います。
※写真は左上から、ワイルドストロベリー、桜(残った染液を薄めたもの)、巨峰、河内晩柑、リンゴの染液
リンゴは鉄媒染
リンゴはほとんど色がつかなかったため、鉄媒染にしました。染色が終わったら、さっと水にくぐらせてから、媒染液に入れます。
媒染液は、200mlの水に木酢酸鉄液を1滴入れたもの。常温で20分。灰色になりました。
紙を乾燥させる
染めた後も、液をシンクに流して、紙をトレイに残したままで自然乾燥しました。
トレイのまま一晩放置して、乾燥させました。トレイに紙がはりついたままになります。窓ガラスなどに貼り付けて乾燥するより、手軽です。乾燥すればパリッと気持ちよくトレイから紙がはがれます。
※写真は左上から、桜(オリが出たもの)、ワイルドストロベリー、リンゴ(鉄媒染)、巨峰、河内晩柑で染めた紙。
アイロンをかける場合は注意する
アカネ染めは、染色直後は赤紫色でした。
追加作業だったので、乾燥を急いでアイロン(中温)で乾かしたところ、変色しました。赤みがさらに抜けて、茶色っぽい紫色になりました。そしてところどころ黄色に。
キレイな色あいのものは、自然乾燥したほうが安全です。
草木染めの色紙完成
紆余曲折3日間かけて、ようやく9枚の色紙が完成しました。
草木染め紙の色サンプル
その後、他の染料でも色紙を作りました。このサンプルはパルプを染めてから紙漉きしたもの。いろいろ材料からカラフルに染めると楽しいです。
上段(左から):セイヨウアカネ、ブータン茜、桜、アボカド
下段(左から):ヨモギ、五倍子(ごばいし)、ブルーベリーの実、ブルーベリーの紅葉した葉
それぞれの染料にあった染め方をすると濃く染まります。染め方の流れは木綿の布と同じです。
※巨峰の皮の染め方 → 巨峰の皮で食べ染め、ぶどう色
※桜の染め方は、さくらんぼ染めを見てください→ さくらんぼの剪定枝で草木染め
※アボカドの染め方→ 簡単アボカド食べ染めレシピ
※ヨモギの染め方→ よもぎ染めでシルクストールを染める方法
※ブルーベリーの染め方→ ブルーベリー染め濃染テスト フルーツ染めのストール(ベリー系)
草木染め色紙作りで思ったこと
- 少量でできるので色のプレテストとしてよいと思う
- アカネが退色してしまったので、赤の色紙ができなかったことが残念
- 巨峰がとてもはっきりした紫に染まったので、巨峰でマフラーを染めたい
- 次やる時があれば、もっとカラフルにしたい
次はこの紙を切り刻んで模様にして、紙すきでハガキを作って、それを漉きこみます。その話はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法
紙を染めるのではなく、パルプを染めて色紙を作ることもできます。そのやり方はこちら→ 牛乳パックの草木染めメッセージカードを作る方法
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。