フルーツ染めのストール(ベリー系)

マルベリー染めストール

冷凍のラズベリーとブルーベリー、マルベリー(桑の実)でストールや手ぬぐいなどを染めました。染色中、ジャム作りのように甘酸っぱいにおいがします。

ベリー系の果物で染めた方法と、染まった色について書きます。

マルベリーは、6月にフレッシュな実で染めた時の残りカスを使ったのですが、シルクストールは赤紫色に、コットンストールは落ち着いた藤色の薄紫に染まりました。

ブルーベリーはシルクもコットンも青色が染まりやすく、ブルーベリー色になって満足です。

ラズベリーは、コットンを染めようとして失敗。ほとんど色が付きませんでした。

染めた日:2019年11月12日、13日、26日

ベリー系フルーツで染まった布の色

フルーツで染めると、あいまいな、奥行きのある色になります。赤と青の間の紫色。その時々で、赤みが強く出たり、青みが強く出たり、薄かったり濃かったりします。退色は早いので、旬な色をその時に楽しむ使い方です。

マルベリー色

シルクストール(写真左)が赤紫に染まりました。コットンストール(写真右)は薄い藤紫色で、蘇芳で染めて退色した色にそっくりで、私はとても好きな色です。

マルベリー染めストール

ブルーベリー色

コットンもシルクも、ブルーベリー色、青みの強い紫色に染まりました。残液でも結構染まりました。巾着は、手ぬぐいを染色後に縫製したもの。お弁当風呂敷、真綿紬のシルクストール、インドシルクストールです。

ブルーベリー染めの小物

ラズベリー色(失敗)

コットン(アルミ媒染)を染めようとして、ほとんど色が入りませんでした。染液の中に一晩放置しましたがダメでした。失敗です。

ラズベリー染めコットンストール

紫芋で染めた時に似ています。ラズベリーはピンクのような赤色で、この色は染めるのが難しい感じがします。(私がやり方を理解していないだけかもしれませんが)

パルプ

牛乳パックで作ったパルプを残液で染めました。ブルーベリーが紫色に、マルベリーが灰色がかった薄い紫色に染まりました。

ブルーベリー染めのパルプ。

ブルーベリー染めのパルプ

マルベリー染めのパルプ。(薄い色になってしまい失敗)

マルベリー染めのパルプ

※紙漉きの方法はこちら→ 牛乳パックで紙すきハガキを作る方法

フルーツ染めの方法

ベリー系はアントシアニン色素なので、布を染めても退色がはやいです。アントシアニンについてはこちらに書いています→ アントシアニン色素で染めたい

正しい方法はわかりませんが、今のところ、よさそうだと思っている方法は2つあります。

  • 五倍子タンニン下地をしてからアルミ先媒染でコットンを染める
  • そのまま実をもみだして、無媒染でシルクを染める(クエン酸、お酢、梅酢など酸を加えてもよい)

実はミキサーなどで細かくします。材料は多いほうがよいです。

ブルーベリーミキサー

細かい手順はページの下の方を見てください。

木綿の下処理をどうするか

木綿の下処理は、五倍子タンニン下地でしています。通常の意味合いとはフルーツ染めの場合は多少違って、布にタンニンが付着した上にアルミイオンをつけて、そこに色素をつける、という方法だと考えています。あっているかはわかりません。

五倍子を煮出しているところ。

五倍子の染液抽出

ディスポンなどの濃染剤(カチオン化剤)はうまくいかないと考えています。

豆乳下地は試していません。タンパク質でできているシルクが染まるので、木綿でも豆乳下地をしてタンパク質を付着させてから染めたら染まるような気もするので、今後やってみたいです。

酸を加えるかどうか

同じアントシアニン系の花びら染めの場合、酸でもみだすやり方が多いですが、果物を使う場合、既に果実に酸味があって、クエン酸が含まれているので、そのままもみだしてもかなり酸性になります。ラズベリーでペーハー3もありました。

なので、酸性にするためにクエン酸やお酢を入れる必要はないと思いました。

ただし、梅酢については、「梅酢を使うといいらしい」という話を聞いたので試しています。酸性にする以外の効果もあるかもしれません。梅酢に含まれる別の色(梅とかシソとか?)の発色も入るかはわかりません。

加熱するかどうか

加熱するとアントシアニン色素は分解してしまうと言われています。でも、煮出したほうが他の色素は出てきそうな気もしていて、どちらがよいかはわかりません。

ブルーベリーは20分煮出して染液を作りました。こすとかなり濃い染液が取れたので、お湯で薄めて使いました。

ブルーベリーの染液作り

実を濾す

ブルーベリーの染液

ラズベリーとマルベリーは、染液を40℃程度に温めて染色に使いました。

冷凍した実を使うと、ミキサーにかけるとシャーベット状になり、とても冷たい状態です。そのままでは染色の効率が悪そうなので温める程度に加熱して使いました。

マルベリー染液は加熱

2番液をとるのか

ブルーベリーとマルベリーは絞りカスに色が残っていたので、2番液まで取りました。ラズベリーは1回でほぼ色が残りませんでした。

ブルーベリーの残りかす。

ブルーベリーの残りカス

残る色

アルミ媒染では、赤色よりも青色が木綿に定着しやすい気がします。

ブルーベリーの汁を拭いた台所のフキン。

染まった布巾

洗剤で洗っても青色は少し残りました。この色が残る感じがします。アントシアニンなのかはわかりません。

布巾に残る汚れ

マルベリーでシルクを染める際、色がぐいぐい入っていき、洗っても赤みが残りました。赤色はシルクにはつくのだと改めて思いました。

マルベリーでシルクストールの染色

ラズベリー失敗の原因(推察)

ラズベリーは赤色です。紫っぽさもなく、青みがない感じです。

冷凍ラズベリー

ラズベリーが失敗したポイントとしては、赤色をコットンのアルミ媒染で染めようとしたこと。シルクを無媒染で染めればよかったです。

あと、染液を薄めすぎた気もします。下の写真の左側がラズベリー染液、右側がマルベリー染液(残液)です。ラズベリーは明るいピンクで、少し白濁。色素の量自体がマルベリーに比較すると少ない感じがしました。

ラズベリーとマルベリーの染液の色

あと、通常の草木染めでは、染液が先、媒染が後という手順でやっているので、間違えてアルミ媒染の前に、染液にストールを少しつけてしまいました。すぐ取り出したものの、その影響もあるかもしれません。

あと、五倍子下地染めをした際、なぜか染液が緑っぽく濁りました。バケツの内側に残っていた他の染液汚れの影響があって、下地自体がうまくいかなかった可能性もあり得ます。

五倍子残り液

フルーツ染めの材料

  • ベリー類
    • 冷凍ラズベリー 384g
    • 冷凍ブルーベリー 700g
    • 冷凍マルベリー残りカス(梅酢や水分を含む)367g
  • 五倍子(乾燥) ストール1枚に対して5g程度
  • みょうばん1袋(スーパーで購入した食品用) 布100g当たり6~10g程度
  • ストールなど布
    • ラズベリー用・・・コットンストール65g
    • ブルーベリー用・・・手ぬぐい(晒し)36g、真綿紬シルクストール101g、お弁当風呂敷(重ね染め)38g、インドシルクストール(重ね染め)29g、シルクムーンストール45g、牛乳パックから作ったパルプ333g
    • マルベリー用・・・コットンストール(重ね染め)65g、シルクストール36g、牛乳パックから作ったパルプ300g

※重ね染めの前の染色についてはこちら→お弁当風呂敷 コットンストール

フルーツ染めの手順

  1. 布を40℃くらいのお湯につけておく
  2. 【コットンのみ】五倍子を砕いて、水から煮出す(沸騰後20分)
  3. 【コットンのみ】こし布でこす
  4. 【コットンのみ】五倍子の液をお湯で薄める。布をひたす(20分)
  5. (ブルーベリー)冷凍の実700gに水600mlを加えてミキサーにかける、ステンレス鍋で20分煮る(2番液までとる)。こし布でこして、お湯2リットルを追加
  6. (ラズベリー)冷凍の実384gにお湯800mlを入れて、手でもむ。こし布でこして、お湯1.5リットル追加(薄めすぎた)
  7. (マルベリー)冷凍の実(残りカス)367gにお湯800mlを入れて、手でもむ(2番液までとる)。こし布でこして、お湯1リットル追加
  8. 【コットンのみ】五倍子下地後の水洗い
  9. 【コットンのみ】みょうばんアルミ媒染液(常温)に布を20分ひたす
  10. 【コットンのみ】みょうばんアルミ媒染後の水洗い
  11. 染液に布をひたす
  12. 水洗い
  13. 脱水して室内に干して乾燥

※草木染めの基本手順はこちら→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
※五倍子の抽出方法はこちら→ タンニン下地(五倍子使用)
※みょうばんアルミ媒染液の作り方はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
※染め直しの布は、五倍子下地は省略した。

フルーツ染めで思ったこと

  • 染料で一杯できちんと閉まらなかった冷凍庫が、閉まるようになった
  • マルベリーが残りカスにも関わらず、すごく色が出た
  • ヤマモモの実が冷凍庫にあるので、豆乳下地で染めてみたい
  • 今回染めたストールの一部をメルカリで販売したい

追記:ブルーベリー染めその後

染めた当初はこの色でした。濃い青紫色。2019年11月撮影。

ブルーベリー染め真綿紬のシルクストール

手元にあるブルーベリー染めシルクストール。染めて3年後、2022年10月現在。青みがある薄グレー、色あせた感のある雰囲気になっています。

ブルーベリー染めその後

ブルーベリー染めその後と色見本

そんなに使っていなくても、しまっておくだけでこのぐらいになるので、ガンガン使って落ちたら染め直して使うのがよさそうと思います。

2023年11月。作業用として使ったあとに湯洗い、屋外に干す、を繰り返した後。青みグレーな色は薄く残っていて、でも黄色っぽさが出てきて色褪せ感があります。

ブルーベリー染めその後

黄色っぽさが出なければ、淡い色のストールとしていいと思うのですが、色褪せ感が強いので染め直すことにしました。

ぶどうの皮の染液が余ったので、重ね染め。あずき色のような、紫と茶が混ざったような、地味ながら好きな色になりました。

葡萄染ストール

葡萄染ストール

追記:マルベリー染めその後

染めた当初はこの色でした。赤紫色。2019年12月撮影。

マルベリー染めシルクストール当初の色

2023年8月現在。色が薄まって、淡藤色になりました。普段はしまっていて、たまに展示したことはあります。

マルベリー染めシルクストールその後

一緒に染めたコットンの色に似ていて、好きな色です。

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。

※巨峰の皮も似ています→ 巨峰の皮で食べ染め、ぶどう色

※ブルーベリーは年賀状にも使いました→ 草木染めでオリジナル年賀状