アントシアニン色素で染めたい

アントシアニンといえばブルーベリーの実

身近な果物、食べ物で草木染めしたいのですが、アントシアニン色素の場合が多く、きちんと染めるのはむずかしいです。

アントシアニンで草木染めする方法について、いままで調べたことや、自分自身で染めて思ったことを書きます。

わたしが草木染めで染めたい色は紫系で、アントシアニンの色が一番近いです。

アントシアニン色素を含む食べ物やお花

果物や食べ物、花びら、紅葉した葉っぱの赤や青色の色素は、アントシアニンのことが多いです。

  • ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、クランベリー、ラズベリー、桑の実(マルベリー)、いちご
  • サクランボ
  • ブドウ
  • ムラサキイモ
  • 赤カブ、ラディッシュ
  • 赤紫蘇
  • 紫キャベツ(赤キャベツ)
  • 赤茎ルバーブ
  • ナスの皮
  • 黒豆、黒米
  • 椿やバラなどの花びら
  • モミジなど紅葉した葉っぱ
  • ポインセチアの葉
  • アセロラ
  • バタフライピー
  • ローズヒップ
  • ハイビスカスティー(ローゼル)
  • マロウブルー

※ビーツ(ロシア料理のボルシチの色)、ドラゴンフルーツの皮、ヨウシュヤマゴボウ(秋に見かけるブドウのような黒紫の実。有毒なので食べれないがインクベリーとも呼ばれ染料になる)はベタレイン色素でアントシアニンではない。
※スイカ、トマト、ニンジンはカロチンで、水に溶けないから染まらない?(ニンジンの皮で染めている人を見かけたので真偽不明ですが、簡単には染まらないと思う)
※小豆の色素はアントシアニンではないらしい。
※ローゼルは茜とにおいが似ているらしい。

アントシアニン色素の特長

  • 「アントシアニジン」が色素の本体で、「アントシアニン」はそのアントシアニジンに糖や有機酸が結合したもの。ポリフェノールの一種。カタカナの「ニ」の文字が抜けた、「アントシアン」は、アントシアニンやアントシアニジンの昔の総称。
  • アントシアニンはたくさんの種類があるが、6種類に大別される。ぺラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジン、マルビジン。
  • 赤カブみたいな赤紫は、ペラルゴニジン系。(この色は上手くつかない気がする)
  • 黒豆みたいな紫は、シアニジン系。紫色。酸性で赤色、アルカリ性で青色、青緑色。
  • ナス紺は、デルフィニジン系。青紫色。酸性で赤色、アルカリ性で青色。デルフィニジンを青っぽくさせるには鉄イオン。
  • ブルーベリーは27種類のアントシアニンが入っている。中でもデルフィニジン系とシアニジン系が多い
  • アントシアニンの中でも、ブルーベリー、ビルベリー、ブドウはアントシアニンの種類が多く含まれているので、色調が安定しやすい
  • 植物の外に出ると色素が分解してしまう

アントシアニン色素の染め方のコツ

  • 熱に弱いので、煮出すと色素が分解してしまう
  • 酸で色をもみだし、低温で、染まりやすいシルクを無媒染で染める、というやり方が一般的
  • pHで色が変わる。酸を入れると赤味が増し、アルカリを入れると緑になる
    ※巨峰の皮の染液でテストした液色はこちらのページの中ほど→ ぶどうの皮でウールマフラーを染める
  • 色素は酸性の赤色のほうが安定している(でも緑の方がきれいに染まる気がする)
  • 染液は濃くする
  • 染液の酸性が強いと、媒染剤が染液に流れ出る?ので、1回で染める
  • アントシアニンでセルロース(植物繊維)を赤色に染める方法として、「染液をpH3の酸性にして、布にタンニン酸(濃度2%。アントシアニンがキレート結合しないもの)をあらかじめつけておく」というものを見かけた
  • 花びらは、濃い色のものを使う。茶色くなった部分は取り除いて、一度冷凍
  • ナスの皮、赤カブ、ラディッシュは紫色の部分だけ皮むき器でむいて使う
  • 黒豆、黒米の色素は水に溶けにくい
  • 濃染剤として、ディスポンのようなカチオン化剤は向かない。グレーがかったくすんだ色になった。(アントシアニン自体がプラスに帯電しているので、処理の意味がない)
  • 染色後に媒染したら、媒染剤に染めた色が流れ出た
    ※その話はこちら→ ブルーベリーの実で染まる色と色変化テスト
  • 染液が濃い時は赤紫、薄いと青紫になった(薄めると酸度が下がるから??)
  • 京都の田中直染料店には花びら染め助剤キットや下染剤がある。(私の場合、薬品を使うのに抵抗があって使えない)
  • 緑とピンクが混じった色は汚い色なので注意
    ※その話はこちら→ 後媒染での失敗(ブルーベリーの紅葉残液)
  • 光だけでなく空気中の物質にも弱い。保管は、和紙などに包んで、暗い場所でビニール袋に保管。
  • 酸性にして赤みを出した色を木綿に染めると、すぐに退色して汚い感じ(どうしたらいいのやら)
  • 酸性の赤ピンク色を木綿を染める場合、短時間では色が入らないので一晩置くことにした。
  • 折りたたんで保管すると、折り目の色があせて、線が入りやすい。折りたたまないほうがいい。

追記:最近、「発酵染」の存在を知りました。花びらを発酵させて染めることができるらしいです。

アントシアニン色素の草木染めの本

キッチンで染める系の本や、ハーブ染め、こども向けの実験の本には、アントシアニン系の色素の染色がよく出てきます。退色しやすいので、染物としての草木染の本には、ほとんど出てきません。

  • ハーブ染めレッスン―安心な材料だけで楽しむ、自然の色(著者:梅原 亜也子)
  • キッチン染めを楽しむ12ケ月(石井せつ子 著)
  • ハーブ染めの贈り物-キッチンでカンタン染色 基本と応用-(石井せつ子 著)
  • キッチンでできる草木染めレッスン帖(佐藤麻陽 著)
  • 草木染め大全―染料植物から染色技法まですべてがわかる(箕輪直子 著)
  • はじめての草木染め―キッチンでできる天然素材の染色(母袋信恵 著)
  • veritecoの草木染め 春・夏・秋・冬手づくりのあるくらし(veriteco 著)
  • 月刊染織α(染織と生活社)2004年9月号(282号)12~18ページ  アントシアン色素を染める 花びら・実・野菜などの染色

※月刊染織αは、染織情報αの前の雑誌です。染織情報αは田中直染料店で購入できるかと思います。

あとは、ネット検索して出てきた論文を読んだりしました。難しくて理解できてない部分があります。

アントシアニン色素で染めた方法

今までにわたしが草木染めしたアントシアニン系の植物は下記になります。

<巨峰の皮>
ぶどうの皮でウールマフラーを染める
紙すき年賀状用の色紙作り(草木染め)
巨峰の皮で食べ染め、ぶどう色
ぶどうの皮の発酵染めテスト

<桑の実>
梅酢を使って桑の実で草木染め
五倍子下地でマルベリー染め
フルーツ染めのストール(ベリー系)

<ブルーベリーの実>
ブルーベリー染め濃染テスト
ブルーベリーの実の草木染めテスト
ブルーベリーの実で染まる色と色変化テスト
ブルーベリー染めワークショップ開催報告

<ブルーベリーの紅葉>
綿シャツ用の生地をブルーベリー染め
ブルーベリーの紅葉した葉っぱで手袋を染める
後媒染での失敗(ブルーベリーの紅葉残液)
ブルーベリー葉染め・綿のコースターで色検証

<黒豆>
黒豆で染める(ブラウス用コットン生地)

<ムラサキイモのイモ>
紫芋でナプキンを染める

<ベニカナメモチ>
ベニカナメモチの赤葉で染める(失敗)

<セージ>
セージで染物。ハーブ染め・お花染め

<赤キャベツ>
紫キャベツの餃子染め


アントシアニン系の染物について、何かオススメ情報があれば、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、ぜひ教えてください。