紅葉した葉で染める不思議

ブルーベリーの紅葉染め木綿シャツ

ブルーベリーは紅葉すると葉っぱが真っ赤になります。

2017年の紅葉で染めたシャツを、2018年と2019年の紅葉で染め直ししました。

2年前に染めた当初のシャツは、とても薄いピンクでしたが、着用するうちに色が濃くなって不思議!と思っていました。

今回は染める方法を変えて染め直し。オレンジピンクに染まりました。写真よりもう少し茶味が入ったベージュ系の色です。染め直してみて、アントシアニンではなかったんだと確信しました。紅葉で染める=アントシアニンと思い込んでいたんです。

桜染め、さくらんぼ染め、びわ染め、アボカド染め、柿染め、椿染め、ソヨゴ染め、松ぼっくり。草木染めでピンクを染めていたら、その意味が分かってきた気がします。色素名は不明。ご存じの方はぜひ教えてください。

染めた日:2020年2月3日

紅葉=アントシアニンだと思っていた

草木染めの本を見て、「紅葉した葉っぱで染めてみたい!」と思って染めたのが最初です。モミジの葉っぱが手に入らないので、ベランダにあるブルーベリーの紅葉した葉っぱで染めました。

ブルーベリーの枝葉

アントシアニンは、酸(お酢やクエン酸)を入れて色素を出します。ブルーベリーでは濃い赤い染液がとれます。

ブルーベリーの葉を鍋で煮る

ブルーベリー染液に漬ける

はじめ、アームカバーを染めてミトンにリメイクしたのですが、ピンクに染めたつもりが、洗面器で洗っていたらグリーンになり不思議でした。

ブルーベリー溶液に一晩放置した後

内側はシルクなので濃い緑色

アントシアニンは酸性で赤、アルカリ性で緑になります。洗面器についた石鹸などが反応して緑になったものかと思います。

だから、これはアントシアニンの染色です。ブルーベリーの紅葉した葉っぱ=アントシアニンだと思っていました。アントシアンで染めた色は色落ちしやすいです。

※この時の話はこちら→ ブルーベリーの紅葉した葉っぱで手袋を染める

時間とともに濃くなったシャツ色

シャツ用の生地を染めたのは、その後4回目の使い回し残液でした。抽出から8日後です。染液は透明感のある薄ピンク色でした。

ブルーベリー染液はピンク

媒染液も使い回して銅媒染で、先媒染で染めました。

真っ白ではない、ぐらいの薄いピンク色に染まりました。これもアントシアニンぽい感じがします。

ブルーベリー落ち葉染めシャツ

シャツの色変化

染色4か月後のシャツ

着用して4か月後。色が濃くなり、オレンジピンクになりました。我が家の洗剤は、弱アルカリ性のトップクリアリキッド。緑になるならともかく、なぜオレンジになるんだろうと不思議に思っていました。

4ヵ月後のシャツ

この変化後のオレンジピンクは、シャツにぴったりな自然ないい色です。

初めから色が染まるものより、当初色が出ずに時間経過とともに発色する色のほうがキレイなのではないかと思います。

※この時の話はこちら→ 綿シャツ用の生地をブルーベリー染め

染め直し前のシャツ

2年経過。衿の裏側、前ボタンの部分など日光が当たらない部分は色が濃く、見ごろは薄い色になりました。退色した色自体は薄ピンクでいいのですが、その色の差が気になってきました。

ブルーベリーシャツの色褪せ

染め直し前の洗濯(重要)

見えないシミがあると草木染めをすることで濃くなってしまい、最悪の場合、着れなくなってしまいます。シミには勝てません。だから、多少生地は傷んでも、よく洗ったほうがいいです。

漂白剤が手元になかったので、とりあえず石鹸水を加熱してみました。あと、草木染の色を落としたい場合は、クエン酸2g/水1リットルで加熱して落とすので、それもやりました。

  1. 固形石鹸を溶かした石鹸水を60度ぐらいに加熱して10分つける
  2. 水洗い
  3. クエン酸12g/水6リットルを60度ぐらいに加熱して5分つける
  4. 水洗い

たいして草木染めの色は落ちませんでした。普通に洗濯を繰り返しているので、落ちるものは既に落ちていたのだと思います。酸に入れたからか、黄色っぽくなった感じはしました。

シャツのシミ部分

袖に少しシミが残ってましたが、そこは染色してもさほど濃くならず大丈夫でした。

別の場所に染色後シミが浮き出た部分がありました。着用はできる程度ですが、この洗濯方法ではまだ不足していたようです。やっぱりオキシドール系で漂白したほうがいいかもしれません。

ピンクの染め方で染め直し

アントシアニンではないと気づく

インスタグラムの草木染め仲間の方が、ブルーベリーの葉っぱで黄色やピンクを染めているのを見て、紅葉で染める=アントシアニンではないことに気づきました。

普通に赤みのある色を染める時の方法でした。木綿だとアルミ媒染でもピンクに染まります。

紅葉した葉っぱの赤色はアントシアニン色素だとしても、その葉っぱを使って染めた色は、必ずしもアントシアニンではない、と気づきました。

紅葉する前は、普通の緑色の葉っぱだったわけで、いろんなものが入ってていいのかも。

重曹テスト

とりあえず、色テスト。酸抽出だとアントシアニンなので、水抽出と重曹を入れた抽出を試してみました。

重曹で煮出したものは茶色くなってしまい(右側)、それで残った葉っぱを水で洗った液はピンクでした。(左側)

ブルーベリーの重曹テスト

重曹を入れた場合の量や時間はむずかしくて、まだ全然習得できていません。重曹の量は「ほんの少し」でいいらしいです。

重曹を入れずに普通に煮たものは、その時は上手く赤色が出せなくて、ぼんやりした色でした。

ブルーベリーの水抽出テスト

結局、葉っぱの量を減らした1番液や、残った葉っぱを重曹を入れないで煮て取った2番液、3番液で赤い染液がとれました。空気を含ませて赤みを出しています。

染める

いろいろ条件を変えて染液テストをしていたら、赤い染液が溜まってきたので、シャツを染めることにしました。黒くなってしまった液は捨てました。

赤みは出ているけど、ちょっと茶色っぽさも入った色の液でした。

染液の色

木綿なので、赤の色素が染まっていって、残る液から赤みが減っていきます。

ブルーベリー染め染色

濡れた状態。みょうばん媒染後の染めで、少し茶色っぽい感じになった気がします。初めて染めた際に濃染剤を使ったので、その影響もあるかもしれません。

ブルーベリー染めシャツ濡れた状態

染液5分位→みょうばん媒染20分→染液15分位で、染液が熱い状態で浸染めしました。染液から赤みが無くなったかな、と思ったタイミングで染色を終了しています。

染浴、媒染浴の水量は9リットル位。染液の不足分はお湯を追加して薄めて染めました。

ブルーベリー染色後のシャツ色

色の差はなおりました。

染色後のブルーベリーシャツ

少しベージュ茶色が入った、オレンジピンク色に染まりました。

オレンジピンク

色むらもなく上手く染まりましたが、染め直し前よりは濃い色のオレンジピンクで、少し茶味が出てしまったのでベージュっぽい雰囲気もあります。

紅葉でシャツ染め直しの材料

  • 綿シャツ(日暮里繊維街の岩瀬商店で買ったオックスフォード生地を染めて縫製したもの) 257g
  • 紅葉した葉っぱ(常温で乾燥させていたもの) 15g
  • みょうばん(スーパーで買った漬物用)18g
  • 重曹 少量
  • クエン酸(洗濯用)12g
  • 普通の固形石鹸(洗濯用)

※葉の量が多いと黄色に染まりやすいです

紅葉でシャツ染め直しで思ったこと

  • アントシアニンじゃなかった、と気がついてスッキリした
  • 染めた時には薄くて、その後時間経過とともに色が濃くなる色の方がキレイ
  • こういうピンク色、赤茶系が染まる色素の名前が知りたい

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。