草木染めでウールを浸し染め

浸し染めで草木染めしたウールマフラー

自分用のマフラーを染め直しました。加熱しない浸し染めでウールがうまく染まるのか、ワークショップに向けた練習です。

ウールは加熱しながら染めることが多いですが、熱湯からの浸し染めでも全然いいと思いました。

染めた日:2020年10月16日

煮染めと浸し染め

草木染めで布や糸を染める時、鍋で加熱しながら染めていく方法(煮染め)と、加熱はせずに熱い液を容器に入れて染める方法(浸し染め)があります。

煮染めの方が高温になるので、色は入りやすいです。でも、染まりやすい分、色むらにもなりやすく、鍋肌の熱さや、火に近い部分が熱くてそこだけ濃く染まったり、という難しさもあります。

ウールの煮染め

ハンカチを小鍋で煮るならいいのですが、台所のコンロの高さに寸胴鍋を置いて煮染めするのは結構大変です。草木染めを始めた当初は煮込める大きさの鍋を持ってなかったので、もっぱら浸し染め。今でも浸し染めで染めています。冷めてしまったら、液だけ温め直して再度染める、ということをしています。

染める繊維がウールの場合、構造の問題で、加熱が必要といいます。媒染も高温で行います。確かにウールを冷めた液で染めようとすると、薄い色にしか染まらないなとは思います。でも、ぬるい温度でも少しは色が入り、薄い色には染まるとも思います。

ウールを低温で染めているという話や、「容器に熱いお湯を入れて染めてもいい」という話を聞いたことがあって、浸し染めでもいいのかなと思います。

繊維を傷めないという意味では、温度変化を避けるために徐々に加熱する方がよりよいのかもしれません。

染める時間は短いとだめなのか

残っていたアボカド染液でウール靴下を赤茶色に染めた時、ぐっと液の色を吸ってしまい、時間にすると20分しか染めることができませんでした。液温は80度以上での浸し染めです。みょうばん先媒染は1時間かけました。

みょうばん媒染アボカド染めウールの色

その靴下を洗濯機で何度か洗ってますが、色は落ちていません。(赤茶色は落ちにくい気がします)

時間をかけてゆっくり染めたほうが定着がいいというイメージはあったのですが、実際どうなんでしょうか。そんなこともない気もしてきて、そういう時、染色原理を知りたくなります。

濃いほうが薄いより落ちにくく、時間をかけたほうが濃く染まる、というのはわかりますが、同じ濃さに染める場合に、かけた時間で違うのかが知りたいです。

特にウールの場合、先媒染で1回だけ媒染するのが普通。染色と媒染を繰り返して染め重ねていくということはしないので、急激に入ろうが、ゆっくり入ろうが、入れば一緒のような気がします。

ウールマフラーの浸し染め

材料

  • ウール100%マフラー 1枚120g
  • 焼きみょうばん 5g(12gの予定が間違えた)
  • ヘマチン(ログウッドのエキス粒)小さじ1

※ウール染めの場合、媒染液に酒石英を入れたりしますが、今回は入れませんでした(問題なく染まりました)ミョウバンの量も間違えましたが染まりました。

※ウールの染め方の詳細はこちら→ 毛糸を染める方法(ウールの草木染)

染め直し前のマフラー

ウールマフラーが120g。1年半前に、巨峰の皮で染めたものです。染めた時の話はこちら→ ぶどうの皮でウールマフラーを染める

ブドウ染めマフラー1年半後

マフラーをお湯に入れて、よくお湯を吸わせておきます。

ウール先媒染

8リットルバケツを使用。焼きみょうばんを熱湯で溶かして、熱湯6リットルの媒染液を作りました。(50倍浴)

マフラーが充分水けを吸って濡れた状態になったら、ザルで水けを切って、みょうばん媒染液にマフラーを投入。80℃以上はありました。初めはよくかき混ぜました。(ウールが傷むという意味ではよくないですが、ムラは嫌なので)

浸し染めでアルミ媒染

フタをしてできるだけ冷めないように、時々かき混ぜて、1時間後は62℃でした。ステンレスよりは、ポリバケツの方が冷めにくいです。布でバケツを覆ったりして保温してもよいのかも。

ザルですくって、お湯でやさしくすすぎました。みょうばんは透明なので、うまく媒染できているのか、ムラは無いのか、全然判断できません。

ログウッド染色

ヘマチン粒小さじ1を熱湯で溶かして、同じようにバケツに熱湯6リットル分の染色浴を作成。マフラー投入時点で71℃に冷めてしまいましたが、そこから1時間染色。

ログウッドの染色浴

ログウッドの場合、染液の色がこげ茶色で、アルミニウムイオンで発色して青紫になるので、染めている時は染まっている色がわかりにくいです。マフラーは黒っぽく見えます。

染色中のマフラーの色

1時間後、56℃まで下がってしまいました。お湯で何度かすすいでから、バスタオルに包んで洗濯機で脱水。

濡れた状態のマフラーの色。

染め直し後のマフラー

乾燥後のマフラーの色。青紫色です。色むらもなく、うまく染まったと思います。もう少し紺色にしたい気もします。

ウールの浸し染めで思ったこと

このマフラーは染料店で買った染色用なので、市販のウールやカシミアのマフラーも染めてみたいなと思いました。(アクリルは染まりません)

市販の白い大判ショールも、衣装ケースを器にすれば家で染められるのではないかと思っています。市販の製品の場合、防縮加工など違った加工がされていて、その影響はあるかもしれませんが、染まると思います。

白いマフラーって、薄汚れると汚い感じになるので、染め直せたら素敵だと思います。

原毛を染めて紡いだり、毛糸を染めて編んだり織ったり、というのがウール草木染の基本かと思います。そうなると手芸好きな人しか染められないので、もっと身近な、秋冬にも使えるマフラーなどがそのまま染められるといいんじゃないかと思います。

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。