草木染めの重ね染め
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草木染めをした布に、さらに草木染めを重ね染めすると、染まっている色を変えることができます。塗りつぶしではなく、重なった色になります。
草木染めの重ね染めについて書きます。
目次
重ね染めをする理由
ひとつの植物だけでは求めている色にならず、目的の色にするために重ね染めすることがあります。
藍染に他の草木染めを重ね染めをして様々な色を作ることもあります。
それとは別に、草木染めをしたものを生活に使って、変色退色した後に染め直すこともあります。染料にする植物や染め方によって違うものの、草木染めは光に弱く、使ううちに色が変わったり、薄くなったりします。
一度染めて終わりではなく、使いながらその時々の色の変化を楽しんでから、染め替えて別の色も楽しむ。淡くてきれいな色をはじめに楽しんでから、濃い色に染めていく。そういう楽しみ方もあります。
重なった色
藍染にコチニールを掛けて紫っぽくしたいと思って、コチニール染めをしたもの。
藍染(写真左)、コチニールのアルミ媒染を重ね染め(写真中央)、コチニールの鉄媒染(写真右)です。
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重ね染めした布を単体で見た時は青っぽいと感じたのですが、並べてみると紫っぽいです。鉄媒染も紺色っぽさがなんだかいい感じがしました。
12月のコチニール染めワークショップ用に、前のワークショップで染めた布を持ち込んでもいいように、重ね染めの色見本も作りました。
コチニールを重ねたら、セイタカアワダチソウのアルミ媒染の黄色はオレンジに(写真左)鉄媒染もした黄緑は茶色に(写真中央)藍の生葉染めの水色は紫色になりました(写真右)
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色の調整に
ちょっと思っていた色と違った時に、コチニールで色をちょっと鮮やかに変えるのもおすすめです。例えば、ちょっとイメージが違った桜染めのストール。
重ね染めをする前。オレンジが強めに出た桜染めでした。
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コチニールを重ね染めした後。赤みピンク。
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※詳細はこちら→ 2つの染料で草木染め色調整(桜×コチニール)
鉄媒染を重ねる
アルミ媒染をして明るすぎると思った時に、ちょっと鉄媒染を重ねて落ち着いた色にするのも好きです。
以前染めたコチニール染めは鮮やかすぎたので、鉄媒染を重ねたいと思ってテストしたもの。
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染め直しを楽しむ
草木染めの弱点は、使ううちに色が変わったり、変化すること。あせた色になった時は、染め直しができます。
同じ植物で染めてもよいし、全然違う植物で染めることもできます。色変させて、違う雰囲気にリメイクできるのがいいところです。
薄い色よりも濃い色のほうが重ねやすいです。
これは、蘇芳染めをして、その後ラックダイも重ねたダブルガーゼのブラウス。あせたというより着すぎて生地も傷んでます。そろそろ雑巾にすべきかも、というレベルです。
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藍染を重ねた後。生地の傷みはそのままですが、目立たなくなったかも。よく見れば傷んでるのですが、一目瞭然ではなくなったというか。藍染のこういうところがありがたいです。
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※藍染のことはこちら→ 藍染とは何か、の続きの続き。藍建て2年目
重ね染めの注意点
重ね染めに限らず、日常使いしたものを草木染めをすると、目立たなかったシミが浮き上がることがあります。
よく洗ったつもりでも、落ちてない汚れがあって、その部分が濃く染まることがあります。特に服の前身頃。皮脂汚れ、油汚れ部分が濃く染まるのかと思います。
また、一箇所の汚れを落とそうとしてゴシゴシすると、そのゴシゴシした傷みが影響してムラになったりもするので、全体を均一に洗ったほうがいいです。
例えば、これは染め直しに失敗したエプロン。シミが浮き上がってます。
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このシミと戦った話はこちら→ 黒エプロンにリメイク(藍染ヤシャブシ)
浮き上がってしまう時は、模様を入れたり、あえてムラ染めをすると目立たなくなるかと思います。
汚れをどう落とすか?ごまかすか?というのも、なかなかむずかしいです。
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。