草木染めで染める布の選び方、提案

草木染めで染める布小物

草木染めをする時に「何を染めようかな?」と思っている方に向けて、染める布選びの際の注意点と、染めるもの案について書きます。

「草木染めといえばシルクのスカーフ」という構図が、私自身スカーフをしない人間なので、つまらないと感じています。

別にスカーフじゃなくても、いろんなものを染めることができます。そのほうが草木染めが楽しいです。自分で作ることが好きな人、ハンドメイドをする人であれば、その手芸材料を染めるという手もあります。

草木染めできる素材

草木染めには天然繊維を選びます。化学繊維は染まりません。

天然繊維には、動物繊維と植物繊維があります。素材によって同じ染料でも染まる色も変わります。

動物繊維はタンパク質でできていて染まりやすく、植物繊維はセルロースでできていて、下処理しないと染まりにくい場合が多いです。

おすすめの素材

値段が高いですが、染めやすいのはシルク。濃染処理も必要ないので、一番簡単です。

濃染処理する手間はありますが、木綿や麻を選べば、染めるものの幅がぐっと広がります。

ウール、フェルトはとても染まりやすいのですが、徐々に加熱しながら染めるなど特別な染め方が必要です。

動物繊維

ウール、シルクなど。

染まりやすく色落ちしにくいです。アルカリや熱に弱いので染める際に注意します。

ウールは、染料をぐんぐん吸収してよく染まりますが、加熱しながら染めるなどウール独特の染め方が必要になります。

植物繊維

木綿、麻、レーヨン(原料は木材パルプ)、テンセル(原料はユーカリ樹木パルプ)、バンブー、紙、木、葛布、芭蕉布など。

動物繊維に比べ染まりにくく色落ちしやすいです。濃染処理をして、動物繊維に近い状態にするとよく染まります。染料によっては濃染処理をしなくても染まります。

濃染しない場合、生成と晒しでは、生成のほうが染まりやすいです。サラシ(漂白されているもの)は少量含まれているタンパク質が落とされてしまい、染まりにくくなるそうです。

アルカリや熱に強いです。

※濃染処理についてはこちら↓
濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
豆汁下地のやり方、色ムラと色あい
草木染めを濃く染める方法

化学繊維

ポリエステル、アクリルなど化学繊維は染まりません。

ナイロンは化学繊維ですが、染料によっては染まるらしいです。わたしは染めたことはないため詳しくは知りません。

綿ポリなど混じっている布も結構染まります。染まりの状態はよくないかもしれません。

間違えやすい物

・不織布は、見た目は紙に見えますが、化学繊維のものも多く、その場合は染まりません。

・巾着などに使うヒモは、見た目は綿のように見えますが、アクリル紐など化学繊維が多いです。綿のヒモは値段が高めです。

草木染めで染めるものを選ぶポイント

  • 薄い色を染める時は、地の色が白い布と黄色っぽい生成の布では、染まる色が変わります。桜色を染めたい時は、真っ白な生地がおすすめです。
  • 市販品の縫製糸はポリエステルのため、糸部分は染まりません。
  • 草木染めでは、金属が発色に影響します。でも、ファスナーやボタンなどの金属が影響したことは今までなかったので、さほど気にしなくてもいいかもしれません。
  • シミを隠すために染色したい場合、シミの中身によっては、さらにシミが目立つ場合もあります。
  • 目の詰まった生地は染まりにくい場合があります。
  • 染色用ではない市販の生地を染めた時、無地だった生地にシマ模様が現れたことがあります。
  • 新品の市販品など、ノリがついている場合は染まりにくいため、洗濯してから染めたほうがよいです。

草木染めで染める布小物の案

薄い一枚布

薄くて平面的なので、色ムラになりにくいです。模様入れやグラデーションもしやすく失敗が少ないので、初めて草木染めをするのに向いています。

  • スカーフ
  • ストール
  • ハンカチ、バンダナ
  • お弁当風呂敷、布ナプキン
  • 風呂敷
  • 手ぬぐい(白い手ぬぐいはあまり売っていません。晒し生地を一反買って切ります。木綿のさらしの生地、1反10m前後が1000~2000円くらいで売っています。それを90~100センチくらいでカットすると手ぬぐいになります。端は切りっぱなしがイキです)

バッグ類、袋物、ケース類

立体的なので、袋部分を広げながら染めます。洗う頻度が少なく、日光に当たらないものが草木染めに向いています。

  • 巾着袋(市販品のヒモはアクリル紐が多く、染まりません)
  • ポーチ
  • エコバッグ
  • トートバッグ
  • 帆布バッグ
  • ペンシルケース、布ふでばこ
  • コインケース
  • 箱ティッシュケース
  • ポケットティッシュケース
  • ウォールポケット
  • 移動ポケット

室内ファブリック、キッチン布小物

平面的なものは染めやすいです。大きいものは、染める際に大きい容器(洗濯カゴや衣装ケースで代用可能)が必要になります。

  • テーブルセンター
  • ランチョンマット
  • コースター
  • テーブルクロス、布カバー
  • クッションカバー
  • のれん
  • カフェカーテン
  • 鍋つかみ
  • 鍋敷き

服・身に着けるもの

草木染めは日光や水洗いに弱いので、普段着を染めるのには向いていません。特に夏服は向きません。とはいえ、私は服を染めたいので染めています。

  • ブラウス、シャツ
  • Tシャツ(染色用のものも染料店で手に入ります)
  • スカート
  • エプロン、カフェエプロン
  • 靴下
  • アームカバー
  • コットンの手袋、軍手
  • ウールのマフラー、セーター、毛糸の手袋(ウールは特別な染め方が必要)

手芸の材料や副資材

手作りをしていると、色も自分で染めてみたくなります。草木染めの場合、経年変化で退色や色変わりするので、それを考慮した上で使います。(色変わりが嫌な場合は、化学染料で染めたほうがいいです)

  • ソーイング用の生地
  • 木のボタン、くるみボタン用の布、糸巻きボタン用の糸
  • 刺し子や刺繍用の刺し子糸、刺繍糸、晒し、麻生地
  • レース編み用のレース糸
  • 編物用の毛糸、フェルト細工の羊毛
  • つまみ細工用ちりめん
  • 革細工用の皮革
  • 織物用の絹糸、木綿糸
  • 一閑張り用の布
  • カルトナージュや茶箱に貼る布
  • 和紙

草木染め用の布の入手先

専門店で染色用の布小物を買う

染料店や白生地のお店で、草木染め用の生地や布小物、雑貨が売っています。スカーフや風呂敷など平面的なものだけでなく、Tシャツや巾着、薄手のトートバッグ、ポケットティッシュケースなども売っています。

精練済なので、糊を落とすために洗う処理が不要です。縫製糸もシルクならシルクでできているので、同じ色に染まります。失敗なく染めたい時は、染色用のシルクの製品を選ぶのが確実です。

染める前の生地の状態がしっかり染まるかに影響するので、確実に染めたい時は、精練済の染色用のものを買うのがおすすめです。

染料店といえば、京都の「田中直染料店」が有名です。東京の場合は、浅草に「藍熊染料」、高田馬場に「誠和」があります。いずれもネット通販もあります。

染料店に限らず、白生地屋さんで染め物用の生地を販売しているお店もあります。「染色用 生地」などで検索すれば、ネット通販で買えるお店もたくさん出てきます。

日暮里繊維街だと「南和」というお店が染色にも向いている麻や木綿の白生地が多いです。「安田商店3丁目店」の麻生地も人気です。

ユニクロや100円ショップで市販品を買う

ユニクロ、無印良品、100円ショップ、300円ショップ、yuica(ユイカ)のような雑貨屋さんで布小物を買うという手もあります。

保証はできませんが、防水加工など特殊なことがされてなければ、市販品でも染まります。糊がついている場合は染まりにくいため、洗濯してから染めます。

ユニクロのシャツは染まりやすいとよく聞きます。木綿に多少ポリエステルが入っていても、けっこう染まります。

無印良品は天然繊維の白無地が多いので、選びやすいかもしれません。

市販品の縫製糸はポリエステルであることが多く、染まりません。白ではなく、既に色がついているものは、染まらないこともあります。

家にあるものを染める

家にあるものを染めてリメイクすることもおすすめです。

シミや汚れを隠そう染めた場合、シミがよけいに目立つようになったことがあります。

※使い古したお弁当風呂敷を染めたことがあります→ 山桜の落ち葉染め・お弁当ふろしきと綿コースター

※着なくなった着物をほどいて、白い裏地(絹)を染めることもできます→ 着物リメイクに。裏地を梅染め

ノベルティ無地

ノベルティ商品はお店のロゴなどが印刷されてノベルティになりますが、印刷の前の無地の状態の布小物も販売されています。商品は市販品と同じ感じです。ナチュラル(生成)を選びます。無漂白のエコマーク入りが多いです。

ノベルティ商品の無地

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