桜染めの色テスト
昨年4~5月にかけて桜の枝から染液を抽出したので、どんな色になるのか、6月はいろいろ条件を変えて木綿の生地を染めてみました。その染め色テストについて書きます。
桜はサトザクラの八重桜です。
結果からいうと、濃染剤(ディスポン)をしたブロード生地、ローン生地はキレイなピンクにはなりませんでした。濃染処理をせずに染めたシーチングとオックスフォード生地はピンクになりました。
薄く染めればピンク、濃くなるとババシャツ色になります。
※桜染め全体についてはこちら→ 桜染めの方法について
染めた日:2018年6月16日~2018年6月24日
目次
桜染め色テストの内容
テスト1:最初にとった染液【液1】と後からとった染液【液2】の違い、布(綿ブロードと綿ローン)の違い、媒染剤(アルミ、鉄、銅、錫、チタン)での違いをみる
テスト2:アルミ媒染で、重曹の有無、塩の有無、染液の濃さで比較する
テスト3:黒豆を重ねてみる
テスト4:濃染処理を無しにして、シーチングやオックスフォード生地で染める
桜染め色テストの材料
- 桜の染液(桜の枝から染め液作りで抽出したもの)
- 焼みょうばん、木酢酸鉄液、銅媒染液、錫媒染液、チタン媒染液(誠和で購入)
- ディスポン(木綿・麻を濃く染める濃染剤。成分:特殊カチオン性高分子)
- コットン生地
※濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
桜染め色テストの手順
- ディスポン処理:20分 熱湯80℃ 1リットルにディスポン3~4ml
- 水洗い
- 染液に漬ける(20分、46℃、pH7~8くらい)
- 水洗い
- 媒染液に漬ける(20分)
- 水洗い
- 再度、染液に漬ける 1分
- 水洗い
- 脱水して乾燥
さくら染めのテストの写真と説明
使った綿生地
はじめに使ったのは、Yahooショッピング「綿の白生地・染色用生地 いのや」で買った染色用の綿生地です。サンプルをいくつか取り寄せて、ブラウスに向きそうな以下の2種類を買いました。
- 綿(コーマー糸)40番手ブロード晒 (品番:SK14000 1m450円で購入)
目が詰まった、はりのあるしっかりした生地 - 60番手ローン「10095」・オフホワイト 精練済み(品番:TSP60-10095 1m520円で購入)
透け感のある薄手の生地
うまくいかなかったので、後から日暮里繊維街で購入したシーチングとオックスフォード生地を追加で使いました。
染色液に入れた色
下の写真は、桜の染色液(水500mlに対して原液100ml)に漬けて水洗いしたところです。赤味はあるものの、茶色がかった色でした。左が【液1】で右が【液2】ですが、液の差はほとんどありません。上が綿ブロード、下が綿ローンです。綿ローンのほうが布が薄いのでピンクっぽく見えます。
媒染剤での色の違い
小さいビンに媒染剤を入れて、色の違いを見ました。下の写真は、左から銅、錫、チタン、アルミの順です。
写真には鉄がありませんが、鉄媒染もやりました。
ペーハー試験紙でペーハーを調べたところ、どの媒染液も酸性にかたよっていました。アルミ:pH5、鉄5-6、銅4、錫4、チタン5くらいでした。
抽出した時、重曹を入れてアルカリにすると赤味が増して、酢を入れて酸性にすると茶色っぽくなった経験があります。「媒染が酸性でいいのか?」という疑問が出てきましたが、とりあえずそのまま媒染しました。
こちらが染まった色です。左から4番目の鉄はグレーっぽくなっていますが、他はどれも大差なく肌色です。ストッキングみたいな、ババシャツみたいな色。しいていえば、王道のアルミ媒染が一番黄色っぽさが少ない感じでした。
椿灰は入手できなかったので、試しませんでした。
重曹、塩、濃度での色の違い
アルミ媒染でさらにテストすることにしました。
- 媒染液に重曹を入れてアルカリ性にする
- 染液に塩を入る(なぜ塩をいれるのかはよくわかりません)
- 染液の濃度を薄める(薄いほうがピンクっぽく見えるため)
- 五倍子を重ねてみる
同じ染色液を使いまわししていたら、染まった布の色むらが出てしまいました。条件の違いよりも、何回目に染めたかの方が影響が大きく、テスト失敗。
「桜の染色液は1度しか使えない」とどこかで目にして、その時は意味がわからなかったのですが、やってみて、この色むらのことなのかな?と思いました。
厳密にはテスト失敗なのですが、どうやっても肌色っぽい色になることと、薄いほうがピンクに見えることはハッキリしました。右下の小さい生地4つは、試しに五倍子を重ねたもので、五倍子の色になりました。
オックスフォード生地の色
前に黒豆染め(鉄媒染)をしたオックスフォード生地のハギレ(色あせしたもの)をテストしました。黄色っぽさが減り、けっこうキレイなピンク色になりました。
黒豆で下地染めしてみる
黒豆がいいのか?と思ってローン生地を黒豆染めしてから桜染めすることに。でも失敗しました。
下の写真の左がもともとの桜染めの色、真ん中が染液を薄めた時の色、右が黒豆染めしてから染めた色です。鉄媒染に近い色になっただけで、オックスフォードと同じ色にはなりませんでした。
黒豆がいいのではなくて、使ったオックスフォード生地がいい、ということに気が付きました。この生地は、他の染料で染めても、いつもキレイに染まるんです。何か特殊な加工がしてあるのかもしれません。
※このオックスフォード生地をブルーベリー染めした話はこちら→ 綿シャツ用の生地をブルーベリー染め
濃染処理無しがよい
薄いほうがいい色になるので、ディスポン無しにすることにしました。
※濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
オックスフォード生地とシーチングを順番に染めてみました。(アルミ媒染・ディスポン無し)どちらもピンクと言える色になりました。
左下のオックスフォード生地は赤味のあるピンクです。次の薄い色がシーチングでコーラルピンク(クレヨンの肌色みたいな色)。右側が比較のために置いた、ババシャツ色のローン生地(アルミ媒染・ディスポンあり)です。
シーチングが一番桜っぽい色でした。パーソナルカラーでいうと、イエローベースのスプリングの色。オックスフォードは黄色っぽさが少なく、サマーの色に近い感じ。なぜ桜でこんな色が出たのか不思議です。
パーソナルカラーの色見本と比べると、下の写真の左がオックスフォード、右がシーチングです。
※パーソナルカラーについてはこちら→ パーソナルカラーのこと
桜染めのテストでわかったこと
- 桜で染めてきれいなピンクにする方法は、まだよくわからない
- ディスポン無しでコットンを薄く染める分には、ピンクになる
- 染液は使い回ししないほうがよい
- 次は椿灰を手に入れたい
サクラ染めその後
その後は、シンプルに煮出して桜色を染めています。サクランボの小枝での染色方法を書きました。桜と似ているので参考にしてください→ さくらんぼの剪定枝で草木染め
シーチング生地は、2019年3月に縫製して寸胴鍋専用バックになりました。ちょうどよいピンク色の薄さ加減です。詳細はこちら→ 寸胴鍋専用バッグの作り方
こんな感じに使っていました。
2020年2月、バッグを使って洗ううちに色が薄くなったので、桜の枝で染め直しました。
サクラに限らず、赤みが出る植物を染めているうちに、ピンクを染める加減は、なんとなくわかってきました。
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