ぶどうの皮でウールマフラーを染める
巨峰の皮で、ウールのマフラーを染めました。アルミ媒染です。
自分好みの紫色に染まって、うれしいです。どんな色かというと「食べる前のブルーベリーガムの色」に似ています。ブドウで染めた感じがする、グレーがかった紫色です。
巨峰は皮をむいて食べるので、その皮を少しずつ冷凍庫にためこんでいました。身近で入手した植物や食べ物を材料にして染めると感動ひとしお。
昨冬は紫根で薄手マフラーの染物に挑戦したものの失敗。なんとかMAITO体験で染めたコットンスカーフで寒さをしのいでましたが、ウールのマフラーが必要だと思っていたのです。アントシアニン系の色素は本当に色が抜けやすいのか、ひと冬マフラーを使い倒して検証したいと思います。
※追記:その後、冬が終わっても色落ちしませんでした。1年後の冬、少し薄い色になってブドウっぽさは減りました。変な色ではなく、普通に使える色です。その退色の詳細はこちら→ 草木染めの色落ちや色変わり
作業は自由度の高い染色教室で行いました。ぶどうの皮でウールを染める方法について、手順や発見したことなどを書きます。
染めた日:2019年1月28日
目次
ぶどうの皮染め材料
- ウールのマフラー 120g(藍熊染料で1500円くらいで購入。普通の厚さです)
- 巨峰の皮(2018年晩夏~秋に食べて冷凍庫保管したもの)380g
- 焼きみょうばん(誠和で購入)12g
- 酒石酸カリナトリウム 6g(誠和で購入。ウールの先媒染に使う)
ぶどうの皮染め手順
- 染料の抽出:水3Lに巨峰の皮を入れて20分煮込む。水を換えて再度煮込む(計6L)
- ウールマフラーをぬるま湯にひたしておく(水を吸わせる)
- 先媒染:鍋に水10Lを入れて、熱湯で溶かしたミョウバンを入れる。酒石酸カリナトリウムも入れる
- 先媒染:45度くらいに加熱して、軽く水を切ったマフラーを投入。徐々に温度を上げて、80度以上で15分煮染め
- ぬるま湯で軽く洗って、軽く水を切る
- 1でとった染料液を45度くらいに加熱してマフラーを投入。徐々に温度を上げて、80度以上で20分煮染め
- ぬるま湯で軽く洗う
- タオルに包んで洗濯機で脱水
- お風呂場で日陰干し
ぶどうの皮染め写真と説明
染めた素材
染めたのは、藍熊染料で買った染色用ウールマフラーです。
製品名は「ウール100%シンプルマフラー房付NN」。サイズは30cm×150cm、重さ120g。染色用の生地は薄手が多い中、この商品は普通のマフラーの厚さです。色はキナリ。1500円くらいで買いました。未精錬でした。
湯を吸わせる(地入れ)
まず、タライにぬるま湯をはって、マフラーを入れて水分を吸収させました。ウールなので、やさしく手で押して水に沈めます。はじめはなかなか沈みませんが、だんだん水を吸って沈みます。
マフラーを入れるときは、びょうぶだたみ(じゃばら折り)にして入れています。染液や媒染液に漬ける時も同様です。
特に精錬の処理はしませんでした。
先媒染の前に、持ち上げて軽く水分を切りました。ウールなのでやさしく作業します。
染料
近所のスーパーの安売りで買う種ありの巨峰。昨夏~秋にかけて食べまくり、皮を冷凍庫に貯めました。
食べる時に剥いた皮そのままです。水洗いもしていません。
ちなみに、巨峰の皮は天然酵母作りにも活用できます。種ありがオススメ。発酵後に草木染めしたらどうなるか、いつか検証してみたいです。
染料の抽出
ステンレス鍋に水3Lとブドウの皮を入れて、沸騰後20分煮込みます。
抽出だけでなく、そのまま染めに使えるように大きい鍋を使いました。小さい鍋でも大丈夫です。
20分たったら、水を取り替えて再度2番液を抽出します。同じように20分煮だします。ふたをしました。今度は皮をネットに入れました。ネットや不織布などに入れると作業しやすいです。
途中お昼休憩をとったため、2番液は加熱をとめて放置しました。抽出後、ネットを取り出して皮を捨てます。
下の写真の左が1番液、右が2番液の色です。2番液はだいぶ色が薄いです。
染料の酸性・アルカリ性テスト
教室の先生のアドバイスで、酸性とアルカリ性で染液の色が変わるかテストしました。
60%酢酸を加えて酸性にすると赤色が増しました。
ソーダ灰を加えてアルカリ性にすると緑色になりました。絵の具のビリジアンみたいな色です。しかしながら、時間がたつと茶色に変色しました。(茶色の写真は撮り忘れました)
赤味を強くしたい場合は、酸を入れるとよさそうです。今回は、巨峰そのままのグレープ色の染液が気に入ったので、何もせずに染めることにしました。
先媒染のみょうばん媒染
媒染剤は、誠和(高田馬場にある染料店)で購入した焼きミョウバンを使いました。スーパーで買う漬物用のミョウバンでも同じような感じだと思います。
ウールなので、加熱しながら徐々に温度をあげて先媒染します。自宅に大きい鍋がなくて加熱が難しい場合は、80度以上のお湯にひたして媒染します。ウールの急冷はだめですが、熱湯に入れる分にはまあ大丈夫です。
直火にあたらないように、媒染用の鍋の底には陶器のお皿をひきました。鍋に水10リットルを入れます。
みょうばん12gを500mlの熱湯に溶かして、透明になったら鍋に入れました。
酒石酸カリナトリウムの粉末を6g(みょうばんの半分の量)も、お湯に溶かして鍋に入れました。アナンダの体験では入れなくても染まったし、入れなくても大丈夫かと思います。金属が酸化して沈殿するのを防ぐと書いてあります。急激にウールに金属が吸着するのを防ぐという意味も聞いたことがあります。
鍋を45度ぐらいに加熱したら、水気を切ったマフラーを入れます。マフラーが水面より下になるように、棒などで静かに沈めます。ウールなので、あまり触らず、ときどき上下を変える程度にしました。
温度が80度を超えてから15分加熱しました。マフラーを取り出して、ぬるま湯でゆすぎ、軽く水を切ります。
ブドウの染液で染める
抽出した2番液の鍋に、1番液の液も戻して、80度に加熱。直火にならないように鍋底にお皿を置きます。
加熱してから水気を切ったマフラーを入れました。浮き上がる部分は、棒で静かに水面下に沈めます。20分加熱します。
だんだん色がついていきます。
20分加熱が終わったら、軽くぬるま湯ですすぎました。水分を含んで毛の表面が白っぽい感じです。
残った染液に色が残っていたので、ペットボトルに詰めて家に持ち帰りました。3リットル強。重かったです。
脱水と乾燥
タオルでつつんで洗濯機で軽く脱水後、家に持ち帰りました。バスタオルで水気を切ると、葡萄色でした。
家の洗濯機がドラム式なので、タオルで包んで脱水する時、もう1つタオルを入れて、かたよらないようにしました。
脱水後は、お風呂場に干して乾かしました。金属がつかないように干します。ステンレスは大丈夫です。
乾燥後のできあがり
乾燥後は、光の加減でブドウの紫色にも見えるし、グレーっぽくも見える色になりました。お気に入りになりそうです。
でも、元のウールが黄色の強いキナリ色だったので、色が薄くなった場合は汚い感じに見えるかもしれません。毛玉もできてないし、傷みは少なそうです。
牛乳パックで作った紙を巨峰で染めたときは、かなり青っぽい紫に染まりました。予定では、こんな紫にする予定でした。なぜ違う色なのか疑問です。素材の違いか、紙には濃染剤ディスポンを使ったからか、よくわかりません。
※紙を染めた時のことはこちらに書いています→ 紙すき年賀状用の色紙作り(草木染め)
その後、染め直し失敗
1年半後(2020年10月)、マフラーの色にブドウっぽさがなくなってきたので、染め直すことにしました。
細かくしたほうが色が出るかと思い、皮(冷凍410g)を種ごとミキサーしてから煮出しました。
煮出して作った染液は、白濁していて、小豆色っぽさの強いグレープ色でした。
煮染めではなく、熱々の染液から浸し染め。染液には色がある感じがするのに、ぜんぜん色が入っていきませんでした。
お湯ですすいだ後は、染める前とあまり変わらない色でした。
白濁していたので、種ごとミキサーしてしまったのがよくなかった気もします。巨峰自体の違い、強火すぎて色が飛んだ、など原因も考えましたが、よくわかりません。
ブドウ染めで思ったこと
- マフラーとして使いやすい、いい色になったので満足
- 果物や野菜の皮で染色する、そのこと自体がおもしろいと思う
- 巨峰の染液を持ち帰ったので、コットンも染めたい
- ウールの染物について、どこまで手を広げるか悩ましい
※ウールの染め方は、アナンダでも習いました→ 吉祥寺アナンダで毛糸を染める体験
※アントシアニンの染め方をまとめたページはこちら→ アントシアニン色素で染めたい
※ウールの染め方の注意点はこちら→ 毛糸を染める方法(ウールの草木染)
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。