蘇芳染め。草木染めで紫色。

蘇芳染めの紫色

草木染めの中で、蘇芳染め(すおう染め)の色が好きです。

酸性で赤っぽく、アルカリ性で青っぽく、さらに媒染を変えれば、いろいろな紫色が染まります。

とても美しい色で濃く染まるのですが、草木染めの中でも色落ちしやすい染料です。退色の仕方も、全体的に色が薄まるのではなく、一部色が抜けるようになりやすいです。

蘇芳染めについて書きます。

染めた日:2019年9月8日~2019年9月9日

蘇芳染めの色

蘇芳染めペーハーでの違い

お酢を入れて酸性で煮出したもの。キナリ色のガーゼ生地を濃染後にアルミ媒染。左がそのまま酸性、真ん中が中和、右がアルカリ寄りにして染色。

蘇芳染めアルミ媒染ペーハーでの色の差

蘇芳染め鉄媒染で色調整

左側は、上の写真の一番右と同じアルミ媒染(アルカリ寄り)。それにさらに鉄媒染を重ねたものが真ん中。右側は、鉄媒染だけのタオル地。タオル地の鉄媒染は青みが強かったです。

蘇芳染め鉄媒染で調整

お酢無しで抽出

お酢無しで染液抽出。木綿シーチングで染色テスト。上がアルミ媒染、下が鉄媒染。左が濃染あり、右が濃染なし。

蘇芳染めの色見本

シーチングの鉄媒染は地味な感じでしたが、他はどれも好きな色あいです。濃染しなくても、結構染まります。

実際には、アルカリ寄りのアルミ媒染でガーゼ生地を、鉄媒染でタオル地を染めました。ガーゼ生地はブラウスに、タオル地は部屋着ズボンになる予定です。

※ワークショップは、また微妙に違う色が染まりました。みんなで染めた色はこちら→ 9/15開催報告 9/22開催報告

蘇芳(すおう)とは

蘇芳の染料

インドやマレーシアなど熱帯原産のマメ科の木の芯材。染料店に乾燥染料が売っています。

蘇芳の乾燥染料(藍熊染料)

蘇芳は、ハナズオウとは別の植物です。ハナズオウの花の色と、蘇芳染めの色が似ていることから名前がついたらしいです。「蘇芳色」は黒味の入った赤色。

昔から使われている伝統的な染料の1つで、ハゼの木とともに、黄櫨染(こうろぜん。 即位の礼で有名になった、 天皇しか着てはいけない金茶色)にも使われる染料です。

高価な紫根(シコン)の代わりに似せた紫色、「にせ紫」を染めるのにも使われていたとか。その気持ち、わかります。でも、紫に染めると色落ちしやすいため、きれいな色を短期間楽しむ感じになるかもしれません。

蘇芳の色素

蘇芳の色素はブラジレイン(brazilein)です。ブラジレインはブラジリン(Brazilin)が酸化したもの。ブラジレインは、ログウッドの色素ヘマテイン(haematein)と構造が似ていて、どちらもクロマン類。

ログウッドの色も好きです。黒豆にもクロマン類の色素が一部含まれるかもしれない?というのを本で読んで、黒豆の色も好きなので、その辺りの色素が好きなのかも、と思いました。

蘇芳染めの色落ち

蘇芳染めは、日光でも水洗いでも、色が抜けやすい染料です。

実際の色落ち状況

草木染めの中でも、蘇芳は退色、変色しやすい染料と言われています。

以前、銅媒染で染めたストールは、だんだん色が薄くなりました。 薄い色自体はいい感じです。1年後、黄色っぽく色抜けした部分がだんだん広がり、カスリっぽい感じに。染め直したい感じです。

蘇芳染めストール使用後1年の色

ブラウスを着用して、脇汗がついてしまった部分が黄色っぽくなりました。

蘇芳染めブラウス変色

すぐ中性洗剤(「海へ・・・」という洗剤)で洗って、色は戻りました。

洗濯後リカバリー

衿の内側、汗が付着した部分。少し黄色く変色しました。

蘇芳染め色変化洗濯前

洗濯後は少し色が戻りましたが、放置時間が長かったせいか、端の部分は変色したままでした。(内側なので着用には問題なし)

蘇芳染め色変化洗濯後

色落ち対策

洋服を染めること自体向いてない染料ですが、特に汗をかく時期、夏服は避けたほうがよさそうです。

紫色に染めると色持ちがよくないと本で読んだので(その紫がアルカリなのか鉄媒染なのかはわかりませんが)、赤えんじ色っぽく染めたほうがいいのかもしれません。

草木染めでは、別の染料で重ね染めしたり、一度乾かしてからもう一度染めたりして、色落ちしにくくします。五倍子やヤマモモなどタンニン系の染料で下地染めすると色が抜けにくくなるそう。

実際に何と重ねればいいかは、やってみないとわかりません。紅花みたいにキハダと重ねるのもいいかも?その辺りは、もう経験していくしかないですよね。

※五倍子下地の方法はこちら→ タンニン下地(五倍子使用)

以下、染めた時のやり方の詳細です。ブラウス用にガーゼ生地と、部屋着ズボン用にタオル地を染めました。

蘇芳染めの材料

アルミ媒染ガーゼ生地

  • 蘇芳(乾燥染料)100g
  • ダブルガーゼ生地 1.5m 242g
  • 焼みょうばん 20g
  • お酢 10㏄
  • ソーダ灰(中和用)小さじ半分
  • 濃染剤

鉄媒染タオル地

  • 蘇芳染液の残り
  • タオル地 415g
  • 木酢酸鉄 大さじ1
  • お酢 10㏄(2番液用)
  • ソーダ灰(2番液中和用)小さじ半分
  • 濃染剤

蘇芳染めの流れ

アルミ媒染ガーゼ生地

  1. 下準備:濃染剤で濃染処理
  2. 蘇芳の乾燥染料100g、水2リットル、お酢10㏄(小さじ2)をステンレス鍋に入れて、強火。沸騰後20分煮る。
  3. 染液をこす
  4. ソーダ灰小さじ半分を水100㏄に溶かして、少しずつ様子を見ながら入れて中和~アルカリ性にする
  5. 染液を湯6リットルに薄めて、20分浸し染め
  6. 水洗い
  7. みょうばん媒染20分
  8. 水洗い
  9. 染液に戻して、20分浸し染め
  10. よく水洗い
  11. 洗濯機で脱水してお風呂場に干す

鉄媒染タオル地

  1. 下準備:濃染剤で濃染処理
  2. 染料を鍋に戻して、水とお酢を差し変えて同じように2番液をとる。こしてアルカリ性にする。
  3. 翌日残液を温め2番液を追加。同じように染液20分→鉄媒染20分→染液20分で染める
  4. 洗濯機ですすぎ2回、脱水してから干す

※草木染めの基本手順はこちらを見てください→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
※濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

蘇芳染めの詳細と写真

染液を煮出す

蘇芳の乾燥染料100g、水2リットル、お酢20㏄(大さじ1強)をステンレス鍋に入れて、蓋をして強火。沸騰後20分煮ました。 お酢を入れることで、色素がよく出ます。

スオウの染液抽出

こし布でこしているところ。酸性だからか、黄色っぽい染液です。

蘇芳の染液をこす

ちなみに、以前お酢を入れずに抽出した時は、赤紫色でした。

蘇芳染めの染液お酢無し抽出

中和する

酢を入れて煮出した場合、そのままだと黄色みがあるので、中和することにしました。

ソーダ灰を水に溶かして水溶液を作ります。それを煮出した染液に少しずつ入れて、ペーハーを調整。中和するつもりが、入れすぎてアルカリ性になりました。

でも、染める時は、さらにお湯6リットルに薄めて染めたので、中性pH7でした。

pHを変えると染まりにくくなる場合もあります。ペーハーについてはこちら→ 草木染めとペーハー

もしかしたら、染めた後でアルカリ性にするという方法もあるかもしれません。

染液で浸し染め

原液をお湯6リットルで薄めて、加熱せずに染めました。

1回目の浸し染めの後、台所のシンクに水をためて水洗いしているところ。(染液に入れた写真を撮り忘れ)赤紫色です。

蘇芳染め1回目

蘇芳染めのアルミ媒染

みょうばんで媒染。常温。ゴム手袋をして動かしながら染めます。

みょうばん媒染

媒染液に入れると、色が抜けていく感じがします。 残った媒染液に赤みが出てしまっています。

ミョウバン媒染の残液の色

媒染後、水洗いしているところ。生地を見ても色が抜けた感じがあります。

媒染後の水洗い

この、みょうばん媒染液に入れると色が抜けることは、他の染料でもたまにあります。先媒染にしたり、椿灰(アルカリ性)を媒染剤として使うやり方もあるのかもしれません。

その点については、こちらにも書いています→ 先媒染か後媒染か

再度染液で染める

水洗い後に再度染液に戻して、20分浸し染め。動かしつつ染めます。色が戻りました。

蘇芳染め2回目染色

最後はシンクに水をためて、しっかり水洗い。水が透明になりませんでした。

蘇芳染め染色後の水洗い

手では絞り切れないため、洗濯機で脱水して、お風呂場に干しました。

草木染め生地をお風呂場で乾燥

蘇芳染めの鉄媒染

翌日、残液+2番液を使って、タオル地を染めました。

単に染液で浸し染めした後の色。アルカリにしすぎたのか、生地の違いか、青みが強いです。

蘇芳染めタオル地

鉄媒染をすると、青っぽい紫色に発色しました。こんな色になるとは思わず。

すおう染めの鉄媒染

鉄媒染なので、よく洗いたいと思い、最後は洗濯機ですすぎ2回+脱水をしてからお風呂場に干しました。

洗濯機から取り出した際、表面の一部がかすれたピンク色になっていました。洗濯機内で何かが付着して、pHが変わり、変色したのかもしれません。

蘇芳染めについて思うこと

  • 好きな色なので、もっと染めたい
  • pHや媒染で色が変わるので、おもしろい
  • 現在、ブラウス縫製中。作ろうと思ってからできるまで、時間がかかりすぎ。

※完成したブラウスの話はこちら→ ダブルガーゼで手作り大人ブラウス

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。