クサギの実の採取とクサギ染めテスト

クサギ染めテスト

クサギの実を採取して追熟した話と、クサギ染めの色テストの結果について書きます。

クサギは、秋に紺色の実で染めると少し緑がかった水色が染まります。青が染まるのは藍とクサギだけだと言われていて、貴重な染料です。

染まる量の実を集めるのが大変。

※2023年10月追記:10月に岡山でワークショップをします。詳細・ご予約はこちら→ 2023年10月草木染め体験ワークショップ参加者募集(岡山)

クサギ(臭木)の採取

クサギは臭木と書きます。葉っぱがカメムシみたいな?変わった匂い。わたしは苦手ではないです。ボタンクサギとは違う植物です。

染めるのは秋ですが、夏に白い花が咲いて目立つので、その頃に探して目星をつけておくとよいそう。結構大きく育つ木です。

9月下旬から10月に実を集めました。赤紫色のガクに、濃い紺色の実が付いています。

クサギの実
クサギの実

同じ時期でも、場所、日当たりでガクが開いてなかったり実が白かったり、まだ花の箇所もありました。

クサギの実
臭木の花

東京都内では探したものの、見つけられず。岡山ではスーパーの駐車場でも、近所の空き地でも見かけたので、身近な植物(勝手に繁殖する嫌われ者)のようです。

手が届かない場所にあることが多くて、高枝切りバサミがないと取れない場合も多いです。

クサギ白い実の追熟

熟した紺色の実はガクから外して、すぐに冷凍庫に保管しました。

クサギの実

手が届かない位置の場合は房ごと取るので、熟した実だけでなく、まだ白っぽい実も付いてきます。

白っぽいものや青みが薄いものは、茎付き、ガク付きのまま放置して、翌日に色を見て取る、を繰り返しました。そろそろ枯れそうと思ったら色が薄めでも外したりしました。

中央の薄緑の実がスタートだとしたら、左側方向の紺色に追熟したいのですが、右側方向に茶色く枯れていくものもありました。

時間もかかるし、この作業はあまりおすすめではないです。ベランダに置いたら日が当たって枯れそうだったので、室内に置いたら微妙ににおいがありました。

熟した状態の実だけ取って、染まりやすいシルクを少量染めるのがいいかも。

クサギ染色テスト結果

知りたかったこと

  • 濃染剤を使うかどうか(緑?くすむ?)
  • 青くなりかけた実を入れていいか
  • 茶色くなりかけた実を入れていいか(入るとくすむのか)

テストで染まった色

左からシルク、濃染剤の木綿さらし、下処理なしのさらし。
上段:熟した実 中段:青くなりかけた実 下段:茶色くなりかけた実

クサギの実で染まった色

紺色の実のシルクと濃染剤は青緑色。濃染すると緑っぽさが強いと聞いてたのですが、思ったよりも青みが強かったです。多少くすんだ雰囲気はありますが、いい感じ。(濃すぎた?)下処理なしの木綿はクリアな薄い水色。

青くなりかけの実は、紺色の実よりも緑っぽさが強め。薄めでかわいい色でした。入れてもいいと思いました。

茶色くなりかけの実は、うっすら黄色。入れても入れなくてもいいと思いました。

紺色の実に厳選したら水色で緑みは減るのかも。でも浅葱色(あさぎいろ)もいいかなと思いました。

テストでの染め方

  1. ハギレ(絹、濃染剤した木綿さらし、下処理なしの木綿さらし。計0.66g)をお湯にひたす。
  2. 実4g(16~20個)を水500mlで沸騰後20分やや強火で煮る。こして、1番液。
  3. こした実を潰して、新しい水500mlで沸騰後20分やや強火で煮る。こして、2番液。
  4. 1番液が冷めたので、1番液と2番液をあわせて温め直し。
  5. ハギレ3枚を20分浸す。

それぞれの実の色

熟して紺色のクサギの実4g

冷凍熟したクサギの実

青くなりかけた実4g(エメラルドグリーンな感じ)

青くなりかけたクサギの実

茶色くなりかけた実4g(青みは出かけてて、でも茶色い部分あり)

茶色くなりかけたクサギの実

濃染剤を使った時の色テスト

一番液はそのまま煮ました。

クサギの実1番液

潰してから煮た2番液。

1番液と2番液は一緒にして、温め直して、半分にわけて、木綿2枚は一緒に、絹は別にして20分染めました。量は適当。

色が入りました。下地なしの木綿もうっすら水色。残液にまだ青色がありました。

残液のに色が残っていたので、別のシルク布を浸すことにしました。

クサギ染め残液

一瞬で液の青みを布が吸収し、液は色がなくなり透明。布はうすーい水色に染まりました。一瞬だったので少しムラになりました。

染液の色

紺色の実。左が1番液、右が2番液。どちらも青緑色。火力が強すぎたのか、水量が少ないです。

クサギ染め染液の色

青くなりかけた実の染液は薄緑色でした。青みも少し入ってそうです。(火加減が強くて液が少ない)

茶色くなりかけた実の染液は黄色でした。(これは火加減が弱くて液が多かった)

追記:クサギの実染めは無媒染

媒染無しですか?と質問がありました。

媒染無しで染める植物が時々あります。クサギの実の青色色素トリコトミンも、無媒染のようです。なぜなのかは知りません。

無媒染の染料については、このページの下のほうに書きました→ 先媒染か後媒染か

クサギの実の採取とクサギ染めテストで思ったこと

  • 実が小さくて軽くて集めるのが大変。手伝ってくださった方に感謝
  • どの実まで入れるか悩ましかったので、少しスッキリした
  • 土地勘がつかめたら、実の採取もワークショップに組み込んでみたい

アオツヅラフジという青の実(アンモナイトみたいな種ができる)も染まるのでは?と言われて調べると、青く染めている人をインスタグラムで見かけました。有毒植物だそう。クサギはクマツヅラ科で、青い色素はトリコトミン。アオツヅラフジはツヅラフジ科。どんな色素なんですかね?

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。