クサギの実の採取とクサギ染めテスト
クサギの実を採取して追熟した話と、クサギ染めの色テストの結果について書きます。
クサギは、秋に紺色の実で染めると少し緑がかった水色が染まります。青が染まるのは藍とクサギだけだと言われていて、貴重な染料です。
染まる量の実を集めるのが大変。
目次
クサギ(臭木)の採取
クサギは臭木と書きます。葉っぱがカメムシみたいな?変わった匂い。わたしは苦手ではないです。ボタンクサギとは違う植物です。
染めるのは秋ですが、夏に白い花が咲いて目立つので、その頃に探して目星をつけておくとよいそう。結構大きく育つ木です。
9月下旬から10月に実を集めました。赤紫色のガクに、濃い紺色の実が付いています。
同じ時期でも、場所、日当たりでガクが開いてなかったり実が白かったり、まだ花の箇所もありました。
東京都内では探したものの、見つけられず。岡山ではスーパーの駐車場でも、近所の空き地でも見かけたので、身近な植物(勝手に繁殖する嫌われ者)のようです。
手が届かない場所にあることが多くて、高枝切りバサミがないと取れない場合も多いです。
クサギ白い実の追熟
熟した紺色の実はガクから外して、すぐに冷凍庫に保管しました。
手が届かない位置の場合は房ごと取るので、熟した実だけでなく、まだ白っぽい実も付いてきます。
白っぽいものや青みが薄いものは、茎付き、ガク付きのまま放置して、翌日に色を見て取る、を繰り返しました。そろそろ枯れそうと思ったら色が薄めでも外したりしました。
中央の薄緑の実がスタートだとしたら、左側方向の紺色に追熟したいのですが、右側方向に茶色く枯れていくものもありました。
時間もかかるし、この作業はあまりおすすめではないです。ベランダに置いたら日が当たって枯れそうだったので、室内に置いたら微妙ににおいがありました。
熟した状態の実だけ取って、染まりやすいシルクを少量染めるのがいいかも。
クサギ染色テスト結果
知りたかったこと
- 濃染剤を使うかどうか(緑?くすむ?)
- 青くなりかけた実を入れていいか
- 茶色くなりかけた実を入れていいか(入るとくすむのか)
テストで染まった色
左からシルク、濃染剤の木綿さらし、下処理なしのさらし。
上段:熟した実 中段:青くなりかけた実 下段:茶色くなりかけた実
紺色の実のシルクと濃染剤は青緑色。濃染すると緑っぽさが強いと聞いてたのですが、思ったよりも青みが強かったです。多少くすんだ雰囲気はありますが、いい感じ。(濃すぎた?)下処理なしの木綿はクリアな薄い水色。
青くなりかけの実は、紺色の実よりも緑っぽさが強め。薄めでかわいい色でした。入れてもいいと思いました。
茶色くなりかけの実は、うっすら黄色。入れても入れなくてもいいと思いました。
紺色の実に厳選したら水色で緑みは減るのかも。でも浅葱色(あさぎいろ)もいいかなと思いました。
テストでの染め方
- ハギレ(絹、濃染剤した木綿さらし、下処理なしの木綿さらし。計0.66g)をお湯にひたす。
- 実4g(16~20個)を水500mlで沸騰後20分やや強火で煮る。こして、1番液。
- こした実を潰して、新しい水500mlで沸騰後20分やや強火で煮る。こして、2番液。
- 1番液が冷めたので、1番液と2番液をあわせて温め直し。
- ハギレ3枚を20分浸す。
それぞれの実の色
熟して紺色のクサギの実4g
青くなりかけた実4g(エメラルドグリーンな感じ)
茶色くなりかけた実4g(青みは出かけてて、でも茶色い部分あり)
濃染剤を使った時の色テスト
一番液はそのまま煮ました。
潰してから煮た2番液。
1番液と2番液は一緒にして、温め直して、半分にわけて、木綿2枚は一緒に、絹は別にして20分染めました。量は適当。
色が入りました。下地なしの木綿もうっすら水色。残液にまだ青色がありました。
残液のに色が残っていたので、別のシルク布を浸すことにしました。
一瞬で液の青みを布が吸収し、液は色がなくなり透明。布はうすーい水色に染まりました。一瞬だったので少しムラになりました。
染液の色
紺色の実。左が1番液、右が2番液。どちらも青緑色。火力が強すぎたのか、水量が少ないです。
青くなりかけた実の染液は薄緑色でした。青みも少し入ってそうです。(火加減が強くて液が少ない)
茶色くなりかけた実の染液は黄色でした。(これは火加減が弱くて液が多かった)
追記:クサギの実染めは無媒染
媒染無しですか?と質問がありました。
媒染無しで染める植物が時々あります。クサギの実の青色色素トリコトミンも、無媒染のようです。なぜなのかは知りません。
無媒染の染料については、このページの下のほうに書きました→ 先媒染か後媒染か
クサギの実の採取とクサギ染めテストで思ったこと
- 実が小さくて軽くて集めるのが大変。手伝ってくださった方に感謝
- どの実まで入れるか悩ましかったので、少しスッキリした
- 土地勘がつかめたら、実の採取もワークショップに組み込んでみたい
アオツヅラフジという青の実(アンモナイトみたいな種ができる)も染まるのでは?と言われて調べると、青く染めている人をインスタグラムで見かけました。有毒植物だそう。クサギはクマツヅラ科で、青い色素はトリコトミン。アオツヅラフジはツヅラフジ科。どんな色素なんですかね?
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