草木染めとペーハー。酢や重曹

草木染めのペーハー

草木染めでは、酸やアルカリを加えて、染液のペーハーを変えることがあります。

染料によってペーハーを変えると、染まる色が変わったり、煮出す時に色が出やすくなったりするからです。

アルカリにしたら染まる色が薄くなったので、そのことを中心にペーハーについて書きます。

ログウッド染めテスト日:2019年7月27日

ペーハーによる色あいの違い

染液のペーハーによって、染まる色が変わります。酸やアルカリを入れた後、時間を置いたり、中和したりすると、また違う結果になると思います。

ブルーベリー(実)染液pHテスト

左側が煮出した後に染液にクエン酸を入れて酸性(pH3)にした場合。右側が、そのままの染液。アントシアニンは酸性にすると赤味が出ます。

ブルーベリー染めテスト赤紫と青紫

※詳しくはこちら→ ブルーベリーの実で染まる色と色変化テスト

ペーハーによる染まりやすさの違い

染色する時のペーハーによって、布の染まりやすさが変わってきます。酸やアルカリを入れた後、時間を置いたり、中和したりすると、また違う結果になると思います。

染まりやすいペーハー

植物染料は、やや酸性寄り(pH6くらい)、動物染料(コチニールやラックダイなど)は酸性(pH4くらい)が染まりやすいと言われています。

もともと植物に酸が含まれている場合、何も入れなくても酸性にかたよっていたりします。

シルク(動物繊維)はプラスに帯電している部分とマイナス帯電している部分の両方がある→酸はプラスイオンなので、酸性にするとシルクのマイナス帯電が酸で中和されて、プラス帯電部分が残る→天然染料の多くはマイナスに帯電している→シルクのプラス帯電部分に染料のマイナスがつきやすくなる=染まりやすくなる。

逆に、アルカリ性にする=プラス帯電部分を中和→マイナスが残る→マイナスとマイナスが反発して染まりにくくなる

キハダなどベルベリン色素を持つ染料はプラス帯電しているので、逆にアルカリ性で染まりやすい。

ロッグウッド染液pHテスト

左がもともとの染液(pH6~7位)、右がソーダ灰を入れてアルカリにした染液(pH8~9位)で染めたコットンです。ヘマチン(ログウッドのエキス)を使いました。アルカリ性にした場合、明らかに薄くなりました。

草木染めのペーハー

※濃染してない木綿の場合はまた違うのか?は確認していないので、今後やってみたいと思います。絹はpH6、綿はpH8で染めるという記述も見たので、シルクとコットンでは違う傾向かもしれません。

黄色や緑に染める際、濃染している木綿でもアルカリ寄りのほうが染まりやすい気もして、色素によって違うのかもしれません。

アボカド染液pHテスト

pH2(クエン酸入り)、pH6(単に空気を含ませただけ)、pH9(重曹入り)でシルクを染めました。残液を使った簡易的なテストです。

酸性では黄色、そのままではコーラルピンク、アルカリ性では薄いベビーピンクになりました。

アボカド染めのシルク酸性アルカリ性の違い

アルカリ性にした際にベビーピンクになったのは、単に染まる色が薄まったからかもしれず、ペーハーの差による色の違いなのか、よくわかりませんでした。

液色も変わります。酸性は薄い黄色っぽくなり、アルカリだと黒っぽい赤さが増します。

アボカド染めの酸性アルカリ性の染液

桜の場合も、アボカドと似た感じになります。同じような感じの赤色系の植物が多い気がします。色素名を知りたいです。

酸やアルカリによく使われるもの

酸としては、酢酸、お酢、クエン酸などが使われます。

お酢(食酢)には、酢酸 CH3COOHが5%前後入っています。薄いのでたくさん使います。

食酢

クエン酸。スーパーや100円ショップに売っています。少し入れただけで、結構酸性になります。化学式はC(OH)(CH2COOH)2COOH。

クエン酸

クエン酸は金属イオンとキレート錯体を作るので、酸としての効果以外に、その影響も考えなくてはいけないのかも。

アルカリ

アルカリとしては、ソーダ灰、重曹などが使われます。

ソーダ灰(炭酸ナトリウムNa2CO3)。染料店に売っています。少し入れただけで、結構アルカリ性になります。炭酸ソーダとも呼ばれる。

ソーダ灰

重曹(炭酸水素ナトリウム NaHCO3)。スーパーや100円ショップで売っています。水溶液は弱アルカリ性でpH8くらいです。重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダとも呼ばれる。

重曹

加熱すると炭酸ナトリウムになって、アルカリが強くなります。(65℃以上で反応が進む)

低い温度なら弱いアルカリなので、弱いアルカリにする時に使う、という手もありそうです。

商品による差があるかは、わかりません。

※クエン酸、重曹の大さじ1の重さはこちら→ 大さじ1、小さじ1は何グラム

ちなみに、セスキ炭酸ソーダは、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)と炭酸水素ナトリウム(重曹)の結晶。重曹より溶けやすく、重曹よりアルカリ性が強いです。重曹と同じ売り場にあります。

ちなみに、過炭酸ナトリウムも、同じ売り場にあります。炭酸ナトリウムに過酸化水素を反応させた酸素系漂白剤です。

アルカリ媒染

重曹やソーダ灰、石灰、灰汁(草木灰)、炭酸カリウムなどのアルカリを使う場合、単に染液のpHを変えて色を変える以外に、アルカリ媒染として色止めにする、という使い方も存在します。

アルカリによって色素分子を水に溶けない状態にして、繊維に固着させる仕組みらしいのですが、詳しくはわかりません。(もっと具体的に知りたいです)

石灰媒染、灰汁媒染(あくばいせん)などと呼ばれます。

なお、ひとくくりに灰汁媒染=アルカリ媒染の効果とは言い切れない面もあります。例えば椿灰ならアルミ成分が多いのでアルミ媒染の効果がありますが、それも灰汁媒染と呼ばれています。

※媒染についてはこちらにも書いています→ 媒染とは(鉄媒染、銅媒染の媒染剤)

酸やアルカリの注意点、中和

酸やアルカリが強いと、繊維が傷みます。特にウールやシルクはアルカリに弱いです。繊維が溶ける感じです。木綿も酸性の液に入れて放置しておくと、ざらっと傷んだ感じになります。

なので、酸やアルカリを入れて色素を変えた後、中和してから染めたりします。酸を入れた場合はアルカリを、アルカリを入れた場合は酸を入れて中和します。中和した後に色あいが変わってしまうこともあり、なかなかむずかしいです。あまりテストが進んでいないのですが、中和してから時間を置くべきかもしれません。

酸やアルカリを入れてから時間を置くと変わる場合もあります。反応して沈殿してしまうこともあります。

洗剤などと同じで、酸やアルカリを使う際は、体につかないように気をつけます。特にアルカリは目に入らないように注意します。

ペーハーを確認する方法

どの程度のペーハーなのかは、ペーハー試験紙やペーハー計で確認します。

ペーハー試験紙(ロールタイプ)

よくあるタイプ。くるくるロールになっています。これは「ペーハー試験紙 ユニバーサル ph1-11」という製品。誠和で1700円で買いました。5.5mあるので、1回に5センチ使ったら110回分です。

少しちぎって取って、染液をつけて、紙の色でペーハーを判断します。写真の場合、pH3です。

時々、染液を吸い上げた際に、グラデーションみたいになる時もあって、どこを見たらいいのか判断に迷う時があります。

ペーハー試験紙(スティックタイプ)

試験紙を液につけて、その色と同じカラースケールを探します。複数の色で判断するので、識別しやすいです。これは「TRUSCO スティックpH試験紙 (pH0~14)」という製品です。ヨドバシカメラのネット通販で790円で買いました。

スティックタイプph試験紙

デジタルpH計、pHメーター

2021年7月、沈殿藍作りチャレンジを期に、デジタルのペーハー計を購入。染料店でも売っている「ラクアツイン」PH-11Bです。

pHメーター

デジタル温度計のように何もしなくても値がズレなければいいのですが、校正が必要です。当初、なかなか合わずに悩みました。だんだん安定してきたものの、おおよその値を手持ちのpH試験紙でも確認しないと表示が正しいのか確信が持てません。

価格が高いのでメルカリで中古品を買ったため、校正が合わない原因が、自分のやり方なのか、校正用の標準液なのか、センサー自体なのか判断がつかず。

液を入れてからしばらく待って安定してからボタンを押す、ということをしてなかった気がします。

温度がpHに影響するので、暑い屋外で使うなら屋外で校正もすべきだけれど暑すぎてできない、と感じました。日陰でなんとか使おうとして失敗しているところ。

畑のpHメーター

草木染めのペーハーで思ったこと

  • 重曹を使って赤みを出して染める方法を桜やアボカドでやってみようと思いつつ、できていない。→少しずつテスト中です。
  • 化学実験みたいになってきた(化学式で理解できたらもっとすっきりするのに、と思う)
  • 「アルカリ媒染」「酸媒染」という言葉が存在していて、その意味がわからない。液のpHだけじゃなくて媒染効果そのもの(繊維と色素をつなぐ役割)があるのか?その原理が疑問

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。