布に植物を写しとるエコプリント自由研究
エコプリントというものを最近知りました。葉の形を植物の色素で布に写しとります。
失敗は成功のもと。自分でやってみた方法と反省点について書きます。
この実験、面白くてはまりそうです。小学生、中学生の自由研究によさそう。何かを作るというより、上手く写してみたい、という気持ちにさせられます。もっとクッキリハッキリさせたいです。
染めた日:2020年3月27日~2020年3月31日
目次
エコプリントとは
エコプリントは、植物の形そのままに、布に色を写しとる方法。
布に植物を置き、ぐるぐる巻いて固定して、煮たり蒸したりします。原理は草木染めと似ています。
出来上がりは、藍の生葉のたたき染めに似ている感じ、葉っぱなど植物の形がクッキリ布に付いた状態。
アロハシャツみたいに、草花がオシャレに配置された布作品が、「ecoprint」「eco printing」等で検索すると、たくさん紹介されています。
言葉の響きから、省エネプリンターか何か?と思ったら、まさしく植物の色素で染める天然の染物でした。
エコプリントのチャレンジ結果
自分でやるとぼやけた感じになりました。むずかしいです。基本失敗で、その中で比較的上手くいった部分から紹介します。
比較的形になった所
シルク。ワイルドストロベリーの葉。葉の形が写真みたいに写った。
木綿サラシの布。ブルーベリーの紅葉。
木綿サラシの布。濃染剤で濃染して鉄媒染。ハナミズキの紅葉とワイルドストロベリーの葉。
木綿サラシ。濃染剤で濃染。乾いた状態で鉄媒染。ドクダミとナガミヒナゲシ。
※濃染の話はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
※媒染の話はこちら→ 媒染とは(鉄媒染、銅媒染の媒染剤)
エコプリントの方法
情報収集
日本語情報があまりないので、「ecoprint」「eco printing」などで検索。まず、英語のホームページをみて、文面を読んでなんとなく流れと単語をつかんで、YouTubeの動画も見ました。
私の英語力では細かいところがヒアリングできないのですが、草木染めの知識とつながる部分もあるので、動画を見て想像しました。
やってみた方法
基本的なやり方はこんな感じです。もっと改良が必要だと思います。
- 布を重曹水につける(水500㏄に重曹大さじ1)
- 植物を酢水につける(水50㏄:酢50㏄)
- 布を絞って、広げてる
- 植物をアルミ媒染液や鉄媒染液にくぐらせてから、布に配置
- その上に布をかぶせる(サラシを二つ折りにした)
- 棒に強めに巻き付ける
- タコ糸やサランラップできつく縛りとめる
- 大きい鍋で1時間半、蒸す
- そのまま放冷
- ひろげて、乾かす(後で洗う)
やってみた方法の写真
葉っぱを酢水に浸して、その後媒染剤にもひたす。通常の草木染より濃い目の媒染液にした。
布を重曹水につけて軽く絞ってから、葉っぱを並べる。
上に布を重ねる(サラシを半分に折りたたんだ)
棒(代わりのラップを巻いた水筒)に布を巻く。
タコ糸でぐるぐるきつく巻きます。
寸胴鍋に蒸し器用のアミをひいて、水を入れて、水筒を入れて蒸しました。
裏写りしたのと、蒸気や水滴で布が水っぽくなるのを防げるかと思い、ヒモで巻く代わりにラップを巻く方法もやりました。
エコプリントのコツ
調べたコツ
- タンニンを含む植物がいい
- 新鮮な植物がいい
- 媒染剤(アルミ媒染、鉄媒染、銅媒染)で発色させる
- 布と植物をきつく密着させる
- 鉄媒染の方が色が付きやすい
- 葉っぱの表面か裏面で付き方が違う
- 時間をかけて煮たり蒸したりする
- 酢や洗濯ソーダ(重曹みたいなもの?)をつける
- アロマウォーターをつける
- 上面を布やビニールで覆う?
自分でやってみた反省点
- 植物同士を重ねない方がくっきりする
- 葉の裏面を布に付けるのがよい感じ
- 単に布をぐるぐる巻いて蒸したら、裏写りして不鮮明になった
- それを防ごうと全体をラップで覆ったら、水っぽくにじんでしまった(布が濡れすぎている?)
- 紐でしばるだけだと、蒸気や水滴が付いて水っぽくなる感じ(何か上から覆うべき?)
- 木綿よりもシルクの方がくっきりしやすく、にじみにくかった
- 鉄媒染はくっきりはしやすい(確かに英語の説明は鉄媒染が中心だった)
- 濃染剤処理は、ある程度は模様になるが、はっきりではない
- お茶でタンニン下地をしてみたら、お茶染めの色が重なって黄色がわかりにくい
- しばったタコ糸を使い回したら、その色が付いてしまった
- 植物ごとにやり方調整が必要な感じがする
- アロマウォーターを省略したのがよくなかったのかも?他の植物の力を借りるのかも?
エコプリントチャレンジ結果詳細
アルミだけ
1回目のチャレンジ。木綿サラシをアルミ媒染して、家にある植物をとりあえず並べた。重曹、お酢は未使用。タコ糸で縛る。
何がなんだか、という布になりました。
ブルーベリーの紅葉とハナミズキの紅葉の部分。かろうじて形がわかる。
ワイルドストロベリーの生の葉の部分。よく見ると葉っぱの形。薄すぎる。
使った植物でダメだったもの:イタリアンパセリの葉、ビワの乾燥葉、藍の乾燥葉、ローズマリー
重曹・酢・アルミ
重曹水あり。酢水を使用。アルミ媒染。1時間半。タコ糸で縛る。
ブルーベリーの紅葉から緑、赤、黄色の3色が出てきました。布を上下半分に折って挟んでいます。何も挟まずに巻いたので、裏写りまでして他の部分まで染まっています。
ブルーベリーの紅葉。葉っぱの裏面から緑、表面から黄色。重曹のアルカリと反応したのか、赤茶色も出た。表裏で色が違うのが不思議。
玉ねぎの皮は黄色に染まる。形は出ない。イチゴのヘタ(下の写真の右下)はいまいち。
ワイルドストロベリーの生の葉の部分。なんとなくわかるけれど、薄くてぼやける。
酢水・アルミ(重曹なし)
重曹水なし。酢水を使用。アルミ媒染。1時間半。タコ糸で縛る。
ブルーベリーの紅葉の色は茶色。ハナミズキは形が出る。他はぼんやり。
ハナミズキは形がクッキリ。そこにブルーベリーの葉っぱ(こげ茶色)が裏写りしている。
酢水・鉄媒染(重曹なし)
重曹水なし。酢水を使用。鉄媒染。1時間半。
薄くて何が何かわからない。
よーく見ると、うっすら緑色のワイルドストロベリーの三つ葉。薄すぎる。
布の下処理の比較
重曹・お酢あり。ラップで巻く。
左から、ブルーベリー表裏2枚、ハナミズキ1枚、ワイルドストロベリー1枚を2セット並べた。
シルク、木綿晒し(処理無し)、木綿晒し(濃染剤)、木綿晒し(お茶下地)を比べたもの。鉄媒染とアルミ媒染。
シルクの鉄媒染。細かい描写になるけど、美しくはない。
木綿の下地なしでも、鉄媒染なら少し形はわかる。でも薄い。
濃染剤をして鉄媒染だと、結構クッキリした。
お茶下地の鉄媒染。地の色が付いてしまい、線はでるけれど色が見えない。
時間比較
ブルーベリーがにじむので、煮る時間で確認。上から乾いたサラシとラップをした。時間を減らしてもにじんだ。時間ではなくて、水分が原因な気がしました。
シルク再挑戦
ワイルドストロベリーをシルクで挟み、2時間蒸す。上から乾いたサラシとラップをした。まあまあ形が出た状態。でも何かが足りない。
牛乳パック紙
牛乳パックから作った紙は、水分を吸ってしまい、ぼんやり。
板締めエコプリント
圧をかければいいのかと思い、板締めをしてみました。2つの木の間にシルクと葉っぱをはさみ、きつく縛りました。
ほどいたところ。
挟んだ木から黄色の三角形が染まりました。そこに葉っぱの模様が緑っぽく出ました。鉄媒染です。
その結果から、蒸気が通らなくても、圧と熱がかかればよいのかも、と思いました。
色素抽出として
ブルーベリーの紅葉を帆布(キャンパス生地)で挟んで1時間。赤い色素がしたたり落ちました。エコプリント的には、にじんで失敗でしたが、色素の抽出に使えそう!と思いました。
蒸して残った水が色水になっていました。葉っぱなどを蒸して草木染め用の液を取るという方法もいいかもと感じました。
鉄濃いめ、乾いた布
にじみが気になるので、濡らさない方法にも挑戦。
濃染処理の乾いたサラシに、濃いめの鉄媒染液をくぐらせた植物を配置。布を上下半分に折って挟み、さらにクッキングシートでカバーして、タコ糸でぐるぐる巻き。2時間蒸す。
道端の雑草3つ。タンポポ、ドクダミ、ナガミヒナゲシ。
今までよりクッキリ。特にドクダミがはっきり。でも、鉄媒染液のにじんだ色までつきました。
ナガミヒナゲシの、メシベオシベの部分が紺色になっていました。青に染まる草木染めは少ないので、とても気になります。
今後やってみたいこと
やっているうちに、「こうしたらどうか?」と思うことが沢山でてきました。
- ウール(羊毛)を使う
- ヨモギやカラスノエンドウなどの雑草(ベランダの植物より強そうだから)
- 圧力鍋を使う
- アロマウォーター代わりになるものをつける(他の植物の力を借りる)
- ラップの代わりにクッキングシートで色移りを防ぐ
- アルミホイルで巻く
- 緑染めを応用して、酢ではなく重曹だけにして、銅媒染
- 板締めで圧力をかける
- 蒸すことで色水が溜まったので、草木染めに応用したい。
ちょっと普段と違うことをしてみたら、ますます草木染について、植物の色素について、考えさせられました。
ハーブやアロマ蒸留などの知識があれば、また違った見方ができそう。実験をしただけで、何も作り出せてないのですが、エコプリント、おもしろいなあと思いました。
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