刺し子糸を自分で染めてみる(草木染め)
木綿の刺し子糸を植物で染める方法を書きます。自宅のキッチンで簡単に染める方法です。
刺し子糸の素材は木綿なので、毛糸よりも染め方は簡単。刺繍糸も似たような手順で染まります。
私自身はあまり糸染めはしないので糸の扱いは下手です。プロのように大量に染めるのはむずかしいですが、個人が手芸に使う分量を台所で染めるなら、家庭でも、初めての方でも、手軽にできると思います。
染めた日:2020年8月14日~2020年8月15日
目次
刺し子糸染めの材料
材料
- 刺し子糸100m分
- オリムパス刺し子糸大かせ100(色101番、長さ100m、約18g)
- ダルマ刺し子糸合太(色2番きなり、長さ100m、約18g)
- 染料となる植物(今回はタマネギの皮10g、ビワの乾燥葉を使用)
- 焼きみょうばん(スーパーで購入した食品用)大さじ2×2個分
- カセを留める用の糸 少々
- 中性洗剤(台所洗剤) 少々
おすすめの染料
木綿を下処理しなくても染まる植物がおすすめです。
- アボカドの皮→ 簡単アボカド食べ染めレシピ
- サクランボの軸(実が付いてる棒のところ)→ サクランボを食べたら、布を染めてみよう
下処理(濃染処理)をすれば、いろいろな染料で木綿でも染まるようになります。詳細はこちら→ 草木染めを濃く染める方法
染料になる植物はこちら→ 草木染めの材料となる植物や染料の量
道具
- 煮出す用のナベ(できればステンレス)
- バケツやタライ 3個
- ボール(みょうばんを溶かす容器)
- 計量スプーン
- ザル
- こし布(サラシやフキンでもOK)
- ゴム手袋(染色中はゴム手袋をする)
- 割りばし(かき混ぜる用)
刺し子糸染めの流れ
糸の下準備 → 植物を煮出す → 染液につける → みょうばん媒染 → 染液につける → 日陰に干す
※草木染めの基本手順はこちらを見てください(刺し子や刺繍に使うサラシや麻生地を染めたい場合もこちらの手順参照)→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
染める前の糸の下準備
糸を「かせ」の状態に整えます。ばらばらの状態で染めると糸同士がグチャグチャにからまり、ほどくのが大変です。糸玉や板巻きの状態で染めると、表面しか染まりません。
細糸はからまりやすいので、太目の糸の方が染めやすいです。ミシン糸にチャレンジした時は、細くてヨリが強いので失敗しました。その話はこちら→ 綿ミシン糸のコチニール染め
今回は、オリンパスの大かせ(100m)の白い刺し子糸を使うことにしました。
開封すると、カセの状態、輪の状態になっています。
売られている状態の「かせ」を留めている糸(アミソ)がきつい場合は、緩めます。そのまま染めてしまうと、留まった内側にある糸が染まらず、色ムラになります。
このカセの場合、1か所だけ、糸の端と端を使って1つの輪っかで留まっていました。いったん、この留め部分の糸を外します。指では外しにくかったので、糸きりバサミで切りました。
外すとこんな感じ。糸の端っこ同士です。
できるだけ全体の輪の大きさと同じくらいになるように、糸の端同士を結び直します。この刺し子糸の場合は、ギリギリの長さでした。
別の糸を用意して、カセの4か所を八の字で留めていきます。
だいたい半分の量、カセを動かした時に自然に糸が分かれる位置があればそこで、八の字に別糸を通します。
染めた時に、糸が動く程度のゆるさにして、別糸を結んで留めます。ゆるすぎても、糸がこんがらがります。
カセに1か所、ビニール紐(PPひも)を輪にしてつけておくと、引き上げる時に便利です。
ダルマ刺し子糸(合太)100mの場合は、もとの留め部分の留めがゆるかったので、その部分はそのままにして、3か所を別糸で留めました。
※身近で買える糸を染めてみましたが、染色用の刺し子糸を販売しているお店もあります。未精練の糸は精練(アルカリや石けんで煮洗い)が必要です。
糸を染める注意点
はじめて糸を染めた時、液の中で適当に混ぜていたら、糸同士がこんがらがって大変なことになりました。
全く動かさないと色むらになりますが、適当に動かすのではなくて、カセを崩さない程度に、糸をゆらゆら泳がせるように動かします。
糸を1本だけ引っ張ったりすると、カセが崩れるので、カセをひとまとまりの物と考えて動かす感じです。
液の中で糸が乱れたと思ったら、カセの束を崩さないように手で持ち、上下に振り振りすると、糸が整います。
絞る時は、このぐらいの少量であれば、ギュッとまとめて絞れます。ねじったほうがいいかも。
次の作業に入る時は、広げてカセを整えてから、次の作業に入ります。カセの輪の中に両手を入れて、あやとりみたいな形で横に糸をさばくと整います(両手作業の写真が自撮りできず)
染液を煮出す
好きな植物を準備して、染液を煮出します。今回は、タマネギの皮で黄色系、ビワの葉でピンク系を染めました。
タマネギの皮
ためていたタマネギの皮10g。小さめのビニール袋に半分くらいの量です。
ステンレス鍋に水2リットルと玉ねぎの皮を入れて、フタをして強火。沸騰後20分煮出しました。
液をこして、バケツで受けます。フキンでこしたら、フキンまで黄色に染まりました。染液が濃いです。
玉ねぎの皮の染液の色は、赤茶色でした。
液が濃く、1番液だけで量は十分でした。
ビワの葉
今回はビワの乾燥葉を使いました。これで15gくらいです。うまくできると木綿はかわいいピンク色に染まります。
ステンレス鍋に水と枇杷の葉を入れて、フタをして強火。沸騰後20~30分煮出しました。
液をこして、空気を含めて染液にしました。思ったより薄くて出来はイマイチでした。染料にした葉っぱの状態の問題かと思います。
水を新しく変えて、2番液、3番液も煮出しました。
※ビワの葉染めについては、別途改めて書きたいと思います。
洗ってお湯につける
バケツに熱めのお湯を入れて、中性洗剤(台所洗剤など)を少し入れて、糸を軽く洗います。
何度か水を変えてゆすいだら、お風呂ぐらいの温度のお湯につけて置きます。
糸を染める
お湯につけていた糸をギュッと絞って一度広げてから、染液のバケツに入れます。液量が少なかったのでバケツを斜めにしています。ゴム手袋を入れた手でゆらゆら動かします。
一通り動かしたと思ったら、カセの形を崩さない程度に、液の中で糸を広げます。放置しつつ、時々動かします。ぐちゃぐちゃかき混ぜたりはしません。20分ほど染めました。(染液は後でまた使うので捨てません)
20分くらいしたら、ギュッと絞ってから水洗い。バケツに水を溜めて、上下にカセを動かしたり、水中で泳がせたりして、軽く洗います。
媒染する(色止め)
色止めとして、媒染をします。媒染することで繊維と色素が結びつきます。
今回は、ミョウバンを使ってアルミ媒染をしました。刺し子糸1カセにつき、焼きみょうばん大さじ2を熱湯500mlに溶かして、2リットルになるように水で薄めました。
媒染液の作り方はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
みょうばん液の中に糸を入れて、ゆらゆら動かします。
一通り動かしたと思ったら、カセの形を崩さない程度に、液の中で糸を広げます。放置しつつ、時々動かします。ぐちゃぐちゃかき混ぜたりはしません。20分ほど媒染しました。ビワ染めの場合、染まっていた色が抜けたようになります。
玉ねぎ染めの場合は、黄色に発色します。
20分経ったら、同様に水洗いします。
再度染める
再度、染液に糸を入れて同じように染める作業をします。媒染後のほうが色がぐっと入っていきます。
玉ねぎ染めは20分染めました。
ビワ染めについては、今回は染液の状態がいまいちで、茶色っぽくなってきたので5分で終了しました。
乾くと色が薄まるので、もっと濃く染めたほうがいいです。色が入らないと思ったら、一晩くらい放置しておくと、翌朝には色がついていることもあります。
最後は何度か水を変えてよく水洗いします。
陰干し乾燥
ギュッと絞って広げたら、竿に通して、形を整えて乾かします。
乾くとかわいいピンク色になりました。
ビワ染めはもっと濃くしっかり染めたかったので、一度完全に乾いてから、再度同じ作業で染め重ねました。染め重ねると落ち着いた色あいのピンクになりました。いい色です。玉ねぎは黄金色です。
何度か染色と媒染を繰り返して染め重ねたほうが、しっかり染まります。薄い色よりも濃い色の方が色落ちしにくいです。
草木染め刺し子糸の注意点
刺しにくい場合は、最後の水洗いのあとに柔軟剤をします。
草木染めは日光や洗濯に弱いので、よく水洗いするものや、日光に当たるものに使うのは向いていません。
色落ちのしやすさは、染料や染め方によっても違います。個人的な感覚としては、かわいい淡い色は弱く、濃くて茶色くて暗い色は比較的強いと思います。
木綿はシルクやウールよりも色落ちしやすいことが多いため、しっかり染めたほうがいいです。
※色落ちについてはこちら→ 草木染めの色落ちや色変わり
糸巻き
このページでご紹介した糸は、カセのまま販売しました。
カセのままでも問題ないと思いますが、別で染めたカセ糸は、糸巻きカードの形にしました。糸巻き台紙は段ボールで自作。ロゴはステンシルしました。
糸巻きするときは「かせくり機」にカセをかけて巻きます。「糸巻き機」があれば、きれいな糸玉に巻けてよいかと思います。
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。