梅酢を使って桑の実で草木染め
山梨でクワの木になっている桑の実を採取して、お弁当風呂敷などコットンを染めました。その時のやり方を書きます。
桑の実の紫色は、アントシアニン色素。アントシアニンは、他の草木染めよりも色落ちしやすいといわれています。ブルーベリーの実やムラサキイモと同様です。
なので、染まりやすいシルクを染めるのがおすすめですが、私はコットンが好きなので、コットンを染めました。その時々の色を楽しみながら、染めた後の色の変化を使いながら観察しようと思います。
当初染まった色は薄い青紫。一度洗濯機で洗ったら、すてきなグリーンブルーに変わりました。
染めた日:2019年6月中旬
目次
桑の実染めの方法
実際は、2種類の方法をやりましたが、今回は、梅酢で揉みだしたやり方について書きます。
梅酢で色素を揉みだして染める、シンプルなやり方です。ミョウバンなどの媒染剤は使いません。
もう一つは、五倍子下地。タンニン酸が多く含まれるゴバイシを使って下地染めして、アルミ媒染をして、それから桑の実から煮出した染液で染める方法です。同じアントシアン色素であるブルーベリーの実を染めた時にも使ったやり方になります。
※ブルーベリー染めの濃染テストをした話はこちら→ ブルーベリー染め濃染テスト
※その方法でワークショップを開催した話はこちら→ ブルーベリー染めワークショップ開催報告
五倍子下地をして桑の実を染めたやり方については、後日書きたいと思います。
※アントシアニンの染め方のコツはこちら→ アントシアニン色素で染めたい
梅酢を使った桑の実染めの材料
- 桑の実 114g
- 木綿シーチング生地のお弁当風呂敷 38g(紫芋で布を染めるで色が抜けたもの)
- 木綿生地数枚 重さ不明
- 梅酢(去年の梅干の残り液) 400mlくらい
梅酢を使った桑の実染めの手順
- 事前準備:布を40℃くらいのお湯につけておく
- 桑の実に梅酢をいれて手で色素を揉みだす(ミキサーの代用)
- こし布で実をこす
- 布がつかる分量の水を追加して、染液にする(約4リットル。水が多かったかも)
- 薄めた染液に布をひたす(常温、20~30分)
- 水洗い
- 脱水して夜ベランダに干して乾燥、その後アイロンがけ
※通常の草木染め手順とは違います。基本の染め方はこちら→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
梅酢を使った桑の実染めの写真と説明
桑の実
とれたての桑の実を使いました。別名は英語でマルベリー。ベリー系です。
都会では見かけませんが、地方の人に聞くと「桑はその辺にある」といわれます。昔、養蚕が盛んだった地域では、カイコ用の桑の木が残っているようです。
桑の葉の部分は緑色を染めるのに使えるので、別にします。たくさん採れたので、完熟できれいな実はジャム用に選別しました。
熟してない白っぽい実も一緒に染色に使いました。
※桑の実を採取した話はこちら→ 自然の中で、屋外かまどで草木染め
梅酢
アントシアニン系の染物の場合、加熱せずに酸(食酢やクエン酸)で色素をもみだして、媒染せずに染めます。
梅酢で染めると色落ちしにくいらしい、と聞いたので、食酢ではなく梅酢を使うことにしました。
猫舟さんに提供してもらった梅酢です。去年漬けた梅干の液で、梅ジソも含まれます。あるだけ使いました。
梅酢で赤い色素を揉みだす
バケツに桑の実と梅酢を入れて、手袋をして実を潰しました。色水作りみたいです。ミキサーがあれば、ミキサーを使ってください。
こし布(目の細かいメッシュ)の実をこします。量が多かったので分けながらやりました。
クワの実の染液で染色
布がつかるぐらいの水(約4リットル)を追加して染液にしました。水を入れすぎてしまったかも。
置いてから取り出した布の色は濃いピンクっぽい紫色でした。20~30分ぐらいだったかと思います。
水で洗うと、赤みが落ち着きます。でもぬれている状態では赤紫です。洗う水が透明になるまで洗います。
乾燥
他の染物と一緒に、夜にベランダに干しました。真ん中の正方形の布が梅酢で染めた桑の実染めの布です。
ちなみに写真の左側は、五倍子下地をした桑の実染め。右側は、紫がウメノキゴケ染め、緑が葛の葉染めです。
桑の実染めの染め上がり
下の写真の左側が、梅酢を使った桑の実染めのお弁当風呂敷です。青みがかった薄紫、藤色になりました。ぬれた状態と比べて、乾くとだいぶ薄い色になりましたが、しっかり染まっている感じでした。
写真の右側が、五倍子下地をした桑の実染めのコットンストールです。ストールよりも青みが強く出ました。
洗濯機で洗った後の色
お弁当ふろしきとして1回使って、他の洗濯物と一緒に合成洗剤(弱アルカリ性のトップクリアリキッド)で洗ったら、薄い緑青色に変化しました。少しシミのような色むらが出たものの、色はとてもいい色です。
ムラサキイモ染めをした時は、洗濯したら真っ白になったので、今回はそれに比べるとしっかり染まっているのだと思います。
※ムラサキイモ染めの話はこちら→ 紫芋で布を染める
アントシアニン系の染色の場合、酸性で赤、アルカリ性で緑が出るので、想定どおりの変化です。
でも、緑ではなく青が入った緑色になった点が、他とは違う感じがしました。ブルーベリーの紅葉で手袋を染めた時はピンクが緑色に変化しました。梅やシソの影響もあるかもしれませんが、不思議です。
※ブルーベリーの紅葉染めの話はこちら→ ブルーベリーの紅葉した葉っぱで手袋を染める
梅酢を使った桑の実染めで思ったこと
- 自分好みの色、あいまいな紫色に染まって嬉しい。もっと紫色の草木染めをやりたい
- 桑の実を搾った残りカスを冷凍保存しているので、2番液を作って染めたい
- 青みが出たのが不思議。理由が知りたい。まだまだわからないことだらけ