自然の中で、屋外かまどで草木染め
八ヶ岳のふもとに住む猫舟さんを訪問して、屋外で草木染め三昧の一日を過ごしました。念願だった、桑の実、ウメノキゴケ、葛の葉を染めました。屋外にかまどをつくって豪快に煮込んだり、梅酢で色素をモミ出したり、楽しかったです。
暗くなった山道を運転できないという私の弱点のため、後片付けや残液を残して夕方に帰路についたのが少し心残りでしたが、すてきな一日でした。そんな一日ついて書きます。
こんな山麓に移住して、草木染めワークショップができたらステキだろうなあ、と妄想が膨らみました。
それぞれの染料の草木染め詳細については、また今度、改めて書きたいと思います。
染めた日:2019年6月中旬
目次
材料の調達
まずは材料の調達。車で桑の実狩りに出かけました。猫舟さんが下見してくださった採取場所です。
桑の実がなる木(桑の木)が、大きいことを知りました。子どもがつまみ食いして口の周りを赤くする、と聞いていたので、小さい木かと思ってました。かなり大きかったです。
ちょうど熟した桑の実が鈴なり。ベストタイミングでした。つまみ食いしながら、実を採取。甘かったり、すっぱかったり、味がなかったり。クセがない味でした。
ビニールシートを木の下にひいて、木をゆすると、熟した実だけが落ちます。
落ちた実で、地面も黒く染まっていました。
後日、道の駅で桑の実が売られているのを見ました。買うとそれなりの値段です。
たけのこをもらう
ひょんなことから、桑の実狩りの帰り道、道端でたけのこ(ハチクという品種の筍)をいただきました。都会ではありえないことかも。
猫舟さんはその後、この竹の子を煮て、シルクをピンク色に染めてました。一般的なのタケノコ(モウソウダケ)よりもエグミが少ないそうです。
※猫舟さんが染めた生地の色は、猫舟さんのブログをみてください→ 草木染三昧、猫は退屈? - 猫舟神社ーこの夢当る子ちゃん!
屋外カマドでの草木染め
梅雨シーズンでしたが、その日は運よく晴れたので、庭のカマドで炊いて染液を作りました。
葛の葉を煮込んでいるところ。前日に雨が降ったので、火起こしがひと苦労でした。BBQをする時みたいに、服が煙くさくなりますが、でも楽しいです。
とった染液は深い緑色になりました。
煮出しだけでなく、染めの作業も屋外でやりました。パラソルの下の木のテーブルで作業をしたり、猫達が時々通りかかったり。行楽気分でした。
念願の桑の実染め
念願が叶って、桑の実で草木染めができました。
昨年の秋、2018年10月に雑司が谷の手創り市で、souyousyaさんの桑の実で染まった藤紫色の毛糸を見てから、ずっと、「桑の実ってなんだろう?染めてみたい」と思っていました。
※手創り市でみた草木染めの話はこちら→ 雑司が谷の手創り市でみた草木染め
その後、インスタグラムをはじめて、桑の実がマルベリーというパワーフードでもあることも知りました。ベリー系のものだということに、それまで気がつかずにいました。
今年の春、2019年4月に猫舟さんを初めて訪問した時、桑の実に興味があることを話して、「梅雨の時期に実が熟すので、またその頃に一緒に染めましょう」という話になったんです。それで、今回おじゃますることになりました。
※前回、猫舟さんを訪問した時の話はこちら→ 北杜市に移住した人を訪ねる
正しい染め方は知りませんが、「梅酢がいい」という話をきいたので、去年の梅干の梅酢の液を猫舟さんにいただいて、手で実をもみ潰して、染液を作りました。液が真っ赤になってます。赤じそ入りの梅干しの、いい匂いでした。
写真の右側の桑の実は、完熟のきれいな実をジャム用に選別したものです。ヘタの部分をとるのがメンドクサイそうです。
桑の実を煮込んで染液を出す方法もやりました。ブルーベリー染めのワークショップの時のように、五倍子で下地染めをして木綿を染める方法を試みました。
予想とは少し違ったけれど、どちらも好きな色、淡い紫色に染まりました。コットンストールは秋に使いたいので、秋までに色が飛びませんように。
潰した実の残がいをもらってきたので、自宅でも染めてみたいです。
※桑の実染めの方法はこちら→ 梅酢を使って桑の実で草木染め
ウメノキゴケ染めのこと
2019年2月に手創り市で作家さんにもらったウメノキゴケと、2019年4月に猫舟さんのお庭からもらったウメノキゴケ。2種類のウメノキゴケを入手していました。
※猫舟さんの庭でウメノキゴケを発見した話はこちら→ 北杜市に移住した人を訪ねる
アンモニア水やオキシドールを使って自宅で仕込んだところ、手創り市のほうだけ、紫色の液になりました。猫舟さんのお庭のほうは、紫にならず、茶色のままで失敗でした。
失敗の原因は、たぶん、液量との比率でウメノキゴケの量が少なすぎたこと、付着した樹皮などの取り除きが甘かったことだと思います。(もしかしたら、ウメノキゴケではなかったのでは?という可能性もあります)
上手くできたほうは、数日で紫色にはなったものの、自宅マンションの室内で染めるには、アンモニア臭がきつすぎます。長期間置いておけば、アンモニアが徐々に抜けるとは思いますが、それはだいぶ先です。
仕込んでから2ヶ月。「うちの庭で染めたらいいよ」という猫舟さんの申し出をありがたく受けて、ガラス瓶を持参して、この機会にやっと染めることができました。
ウメノキゴケの染液です。水で少し薄めた状態。アンモニアくさいです。本で見た色より青みが強い染液でした。屋外で染めるぶんには、顔さえ近づけなければ、マスクをしなくてもニオイは大丈夫でした。でも、素手で触る気にはなりません。
染めたオックスフォード生地は、思ったより青みが少なく、乾いたら薄い赤紫でした。好きな色です。
カラになったガラス瓶を、猫舟さんに託してきました。原料が豊富にある山麓で、次の仕込みを期待します。
※ウメノキゴケの染液の仕込み方はこちら→ ウメノキゴケのアンモニア発酵で紫色を染める
木綿の染めあがり
染めた布は、お試し住宅に戻ってから、夜にベランダに干しました。
※お試し住宅の話はこちら→ 八ヶ岳で移住お試し住宅の旅
コットンを好きな色を染めることができました。左から、葛の葉2つ、ウメノキゴケ、桑の実2つです。葛の葉の画像の色は少し飛んでいますが、薄い緑色です。
時間にあわてて染まった色が淡くなってしまった気もしますが、その分、好きな色に近い色になりました。色が短命な可能性もありますが、好きだな、いいな、と思う色を染めて、使っていきたいです。