北杜市に移住した人を訪ねる

ウッドデッキと小川

北杜市に東京から移住して30年の、猫舟さんのおうちを訪ねました。

猫舟さんは、桜染め関連でこのブログを見てくださって、「よかったら剪定枝をおすそわけしますよ」と声をかけてくださった方です。

せっかくなので、一緒に草木染めをしたいと思って、お家を訪ねることにしました。

訪ねた日:2019年4月上旬

あこがれの田舎暮らし

あこがれの別荘地ぐらしを一泊体験させてもらって、やっぱりいいなあ、と田舎移住ライフへのあこがれ心が強くなりました。

ウメノキゴケのついた桜の木

朝起きたら、川のせせらぎ。ベランダのウッドデッキに出たら、目の前が林で、人目がなく、ヨガがしたくなる。

朝の澄んだ空気を吸い込んで、デッキでヨガというかストレッチしてみたら、目の前の桜の木にウメノキゴケという、草木染めすれば紫色に染めることのできる苔を発見。

見つけた!とひとり心のなかで盛り上がり、マグカップ片手に外に出て、ウメノキゴケを探してみる。ウメノキゴケがついていた桜の木の周りに、はがれた樹皮や枝が落ちていて、そこにウメノキゴケ。あとでいただけないか聞いてみようと思う。(相談して、たくさんもらって帰りました)

ウメノキゴケ

そんな風にお庭の地面を見ていたら、フキノトウのようなものが顔をだしている。桜はまだつぼみ。新芽が芽吹いている時期。

地面のフキノトウ

なんていうか、自然の中にいるなあ、という気持ち。かなり昔、20代の頃にBBQキャンプをした時のよう。

やってみたいなあと漠然とイメージしていた暮らしが、そこにある感じ。

とめどなく流れる小川がそばにあって、時期によって湿気がすごいらしいのだけれど、あこがれる。

小川

飼い猫の一匹が近寄ってくる。人なつっこくて、のんびり自然の中を歩いている。すかさず写真を撮ろうと思って、なんだか岩合光昭の世界ネコ歩きの気分になる。(世界ネコ歩きというのは、写真家・岩合光昭さんが猫を世界中で撮影するNHKのテレビ番組)

屋外の猫

ウチの猫2匹の場合、室内飼いなので、土の上を歩いたことがない。一度だけ、昔住んでいたアパートから脱走して、大家さんの車の下でパニックになって泣き叫んでいたことはある。大違い。他人にも動じない、自然の中で暮らす猫の貫禄を感じる。

顔を洗おうと出した水の水温は、きんきんに冷たかった。うちのマンションで水が冷たい、といったときの冷たさとはぜんぜん違う。

田舎に生きるパワー

まきストーブを使うから、普通に薪が入り口に置いてありました。薪割り機という機械があるのだそう。ゴミ捨ては車で出しに行くとのこと。お風呂も車で近くの温泉へ行くのだそう。(これもかなりあこがれ!)年上だけれど、わたしより全然パワフル。

わたしはどちらかというと、だらだらしてしまう人間なので、それが田舎暮らしのネックな気がする。自分の力でいろいろできるだろうか。

先月、別の地域の移住者宅を訪ねるチャンスがあったのだけれど、その人は「できるかできないかじゃない、やるかやらないかだ」と言っていた。そういう気力、体力、パワーが、自然の中で暮らすには必要な気がする。

草木染めだけでなく、趣味というより作家レベルの一閑張りバッグやレジンアクセサリー、茶箱を拝見。

以前の派遣先で、短期で八ヶ岳から冬の間だけ出稼ぎに来ていた人から「モノづくりするにはいいところだよ」と聞いたことがあった。まさしくそれを現実に体現していて、素敵だなと思う。手仕事系、クラフト系の人に向いている場所。

あと、気になるのは車の運転のこと。車さえあれば生活できる感じがした。車、それも4WD(四輪駆動)の車が必須。免許はあるし、車の運転もしていたけれど、かなり運転が下手な私に運転できるのか。車が買えるのか。

今、東京・都会に住んでいて、自転車での移動生活を気に入っている。自然の中に住んだとしても、ちょっとした移動は自転車でしたいけれど、舗装されていない砂利道では自転車はあぶなそう。マウンテンバイクでなんとかならないかな、とも思うけど、運動神経が悪い私には危険かもしれない。

剪定枝の出張草木染め

アボカド染めとさくらんぼ染めに2人でチャレンジしました。

猫舟さんはアボカド好きということで、食べまきしたアボカドの木がおうちの中に巨大に育っていました。冷凍してためてもらったアボカドの皮・種と、木からとった葉で染めました。色の違いを見たり、何がどれだか混乱したり。

アボカドの木の葉っぱ

さくらんぼの農家さんにわけてもらった剪定枝。キレイな黄色には染まったそうなので、桜染めのようにピンクにならないか挑戦したり。

さくらんぼの枝

初日も翌日も染物をして、あっという間に時間が過ぎました。楽しかったです。

ウメノキゴケに限らず、桑の実や葛の葉など、私が気になっていた染物用の植物が、容易に手に入りそうな環境。またその季節に訪れたいです。

アボカドやさくらんぼの草木染めの詳細については、改めて書きたいと思います。

東京へのアクセス

八ヶ岳のふもとの別荘地。新宿バスタから高速バスで片道2時間ちょっと、2300円くらい。バス停からは車で15分ほど。JRの中央線特急あずさを使って小渕沢から行くという交通手段もあります。バスの方が安いです。

平日の朝に行って、平日の夕方に帰りました。行きは時間通りだったけれど、帰りは渋滞で遅れました。特に「新宿という街」に入ったところから「バスタ新宿の中」に入るまでが異様に時間がかかりました。バスタの入口の導線が、間違っている気がします。

それでも、東京には近いと思いました。

草木染め用に、サクランボの枝や使わない生地や糸をわけてもらい、運ぶ荷物が増えましたが、バスの場合はトランクに入るのでラクです。

北杜市への移住で気になること

行きの高速バスから太陽光発電のソーラーパネルが並ぶを姿を見かけて、これがうわさの太陽光発電パネル問題なのかな、と思いました。

移住人気ナンバーワンの北杜市なのに、最近、山の木々だった土地が突然ソーラーパネルになって景観や住環境がおびやかされる問題が起きているとか。

田舎移住を考えたら、今見えているものだけでなく、先々の想定まで考えなくてはならないです。不動産を買った後に後悔はしたくないです。そうと思うと、賃貸がよいのでしょうか。

移住体験のこと

私が訪問する少し前に雪が降ったものの、訪問した日は暖かくて雪は残っていませんでした。

田舎に移住するなら、冬の寒さや雪の厳しさを体験しに移住候補地に行きたいと思っていたのに、気がつけば春。草木染めに注力していることもあって、移住地体験計画はなかなか進みません。

「晴れ、ときどきファーム!」というNHKのテレビ番組を撮りためています。週末田舎暮らしがテーマの番組です。原料からの調味料作りや発酵食品作りなど、素材に近い調理が出てくる点が魅力です。

週末移住をする人もいるけれど、インドア派で移動は好きではないし、お金もないし、私にはできそうもありません。でも、移住を決めるためには、その土地土地を見に行く必要があって、それがハードルが高いです。

数見て検討するのではなく、直感で決める、という話も聞くけれど、自分の直感が信用ならないです。どこでもドアが欲しいです。