ブルーベリー染め濃染テスト
ブルーベリーの実で草木染めをすると、特にコットンで、時間の経過とともに色が抜けてくる感じがありました。
そこで、より濃く染めるべく、コットンの濃染テストをすることにしました。その結果や色あいについて書きます。約半年後の変化も追記しています。
※1回目のテストはこちら→ ブルーベリーの実で染まる色と色変化テスト
※2回目のテストはこちら→ ブルーベリーの実の草木染めテスト
※実際にワークショップで染まった色はこちら→ ブルーベリー染めワークショップ開催報告
染めた日:2019年6月5日~2019年6月6日
目次
ブルーベリー染め濃染テストの結果
濃染処理によるコットンの色の違い
上段:食酢無し染液 下段:食酢入り染液
左から、1番目:濃染処理なし 2番目:濃染剤 3番目:五倍子下地 4番目:ミロバラン下地
アルミ媒染(先媒染)のオックスフォード生地です。染液は前回テストの残液を使ったので薄いです。
濃染剤(2番目の布)では、色がくすみ、ねずみ色になりました。しかも、濃く染まっていません。
五倍子下地(3番目の布)は、処理をしなかった布の色を濃くしたような紫色。きれいに染まりました。
ミロバラン下地(4番目の布)は、ミロバラン自体で黄色に染まってしまったので、色が重なってしまい、あずき色になりました。(抽出する濃度を変えて、薄く染められれば、違った結果になるかもしれません)
濃染処理による違い:半年後
約半年後の色変化の状況です。クリアファイルにしまってありました。(撮影日:2019年11月20日)
まとめ方が違うので、わかりにくくてすみません。
上から、1番目:濃染処理なし 2番目:濃染剤 3番目:五倍子下地 4番目:ミロバラン下地
左側3列:食酢入り染液 右側3列:食酢無し染液
1列目:染色後そのまま 2列目:染色後に日光に当てた 3列目:染色後に手洗い後
全体的に、色は落ちていて、特に赤みが減っている感じがします。
1段目、濃染処理無しは、薄い色に退色。でも変な色ではなく、私は好きな色です。
2段目、濃染剤は、くすんでます。変な色です。
3段目、五倍子下地は、赤みが減って青色が残っています。これが一番いいです。
4段目、ミロバラン下地は、黄色ががかったグリーン(おもしろい色)に変化しました。当初渋いあずき色でした。赤みが飛んで、ミロバランの黄色とブルーベリーの青みが残った結果、緑になったのかと思います。この変化は、面白いかも。
五倍子を薄めた場合のコットンの色
五倍子の液を水で10倍に薄めた場合どうなのか確認しました。濃染効果がありました。
上段:五倍子下地+アルミ先媒染 中段:アルミ先媒染 下段:無媒染
左から、1番目:酸無し 2番目:酢小さじ1(pH3~4) 3番目:酢大さじ1(pH3~4) 4番目:クエン酸小さじ1/8程度(pH3)
五倍子を薄めた:半年後
約半年後の色変化の状況です。クリアファイルにしまってありました。(撮影日:2019年11月20日)
上段:五倍子下地+アルミ先媒染 中段:アルミ先媒染 下段:無媒染
左から、1番目:酸無し 2番目:酢小さじ1(pH3~4) 3番目:酢大さじ1(pH3~4) 4番目:クエン酸小さじ1/8程度(pH3)
左4つと右4つは同じものです。左4つだけ、セロテープを貼って少しでも空気を遮断してみようと試みましたが、上手くいってない気がします。
五倍子+アルミ媒染で、酸を入れずに青く染めたものが一番、色が残っています。
五倍子下地のシルクの色
残った液を使って、同じ条件で絹をテストしました。
上段:五倍子下地+アルミ先媒染 中段:アルミ先媒染 下段:無媒染
左から、1番目:酸無し 2番目:酢小さじ1(pH3~4) 3番目:酢大さじ1(pH3~4) 4番目:クエン酸小さじ1/8程度(pH3)
五倍子下地でアルミ媒染すると、ほとんど色が入らず、白になりました。(一番左上の布)酸を入れると、ピンクの色が入ります。
アルミ媒染(中段)は、青みが強くなります。
無媒染(下段)では、酸性度あいによって青紫から赤紫にグラデーションしていて、きれいでした。
五倍子下地のシルク:半年後
約半年後の色変化の状況です。クリアファイルにしまってありました。(撮影日:2019年11月20日)
少し色が落ちたかなという程度。しまっておく分には、まだ色は大丈夫そう。シルクは赤みも残ってますが、アルミ先媒染にして酸を入れずに染めた青色が一番よさそうです。
ただし、染液が薄かったシルク(別で染めていたもの)には、白く斑点の色抜けが出ていました。
ブルーベリー染め濃染テストで思ったこと
タンニン下地のこと
アントシアンでセルロースを赤色に染めるには、酸性にして、タンニン酸をつけるとよいらしい、と書かれたものを見かけたので、タンニン下地をしてみようと思いました。
染料店でタンニン酸を買って使っても、同じようになるのではないかと思います。(テストしていないので実際のところはわかりません)価格は高いです。
タンニン下地できる身近なものとしては、緑茶。出がらしをとっておいて使います。
タンニン酸には、加水分解型と縮合型があって、五倍子やミロバランは加水分解型。柿渋や緑茶は縮合型です。タイプによって、何か変わってくるのかな?
染める染料によって、下地にする染料を使い分けるのだ思いますが、使い分け方はよく知りません。
ゴバイシは、鉄媒染にしてグレーがかった紫色を染める染料です。なので、もし五倍子でタンニン下地をして、ブルーベリーを鉄媒染にする場合は、染まった色がブルーベリーの色なのか、五倍子の色なのか、判別できなくなりそうです。
他にも、カキの果実、没食子(もっしょくし。ブナなどの若芽の虫こぶ)、ミモザの樹皮にもタンニンがあるそうです。
テストしてみて色がきれいなものを使うのがよいと思います。
他のアントシアニンでも染めてみたい
黒豆やムラサキイモ、赤カブなどもアントシアニン系で、以前コットンを染めた時、うまく染まりませんでした。
※黒豆の話はこちら→ 黒豆で染める(ブラウス用コットン生地)
※紫イモの話はこちら→ 紫芋で布を染める
同じように五倍子などでタンニン下地をしたらどうなるのか、いつかチャレンジしたいと思いました。
濃染剤を使うとくすむ場合がある
濃染剤を使った色は、グレーがかって、くすんだ色でした。きれいとは言えない色です。
以前、黒豆でシャツ生地を染めた時も同じ色だったことを思い出しました。黒豆も、ブルーベリーと同様にアントシアニン系の色素です。
※黒豆でシャツ生地を染めた時の話はこちら→ 黒豆で染める(ブラウス用コットン生地)
その時は、濃染すると色自体も変わることを知らなかったので、「ネットでみかけるシルクの黒豆染めよりもグレーっぽい。黒豆の品種の違いかな?染液が薄いせいかな?」と思っていました。
濃染剤を使うと、色が濃くなるだけでなく色あいが変わる場合もあるということを、その後、知りました。桜染めでも、濃染すると茶色っぽくなります。
豆汁や豆乳での濃染はあまりやったことがありませんが、同じようにくすむ場合があると思います。
※濃染剤についてはこちらに書いています→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて
そのままでは染まらない染料でコットンを染める時は、わたしは濃染剤を使うことが多いです。簡単に濃く染まるので便利です。ワークショップでは、使いたくない人もいると思うので、できるだけ使わない方向で考えていますが、場合によっては使います。
※アントシアニンの染め方のコツはこちら→ アントシアニン色素で染めたい
ブルーベリー染め濃染テストの材料
- 冷凍ブルーベリー染液 1回染めた残液 ※抽出時はこちら→ ブルーベリーの実の草木染めテスト
- 木綿のハギレ(オックスフォード生地)
- シルクのハギレ
- みょうばん(スーパーで購入した食品用)4g
- 五倍子(誠和で購入した乾燥染料)5g
- ミロバラン(藍熊染料で購入した乾燥染料) 5g
- 濃染剤カラーアップZB 5ml
ブルーベリー染め濃染テストの手順
- 事前の準備:生地を中性洗剤で洗い、40度程度のお湯につけておく
- 五倍子を砕いたもの5g、ミロバラン5gをそれぞれ水500mlで煮出す 沸騰後20分強火
- それぞれこし布でこして、下地液とする
- 濃染剤カラーアップZB 5mlを50~60℃のお湯500mlに溶かす
- 五倍子液、ミロバラン液、濃染剤液それぞれに布をひたす
- 水洗い
- みょうばん先媒染 常温 20分 同じ容器内で布をひたす。濃染なしの布も入れる。
- 水洗い
- 染液に布をひたす 常温 20分 同じ容器内で布をひたす
- 水洗い
- 日陰干し、アイロンがけ
※木綿のテストを先に行い、その後、残った液で絹のテストを行った。
タンニン下地やアントシアニン色素の染め方について、コツやヒントをご存知でしたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムからぜひ教えてください。