藍の生葉染めで染まる色と、どう染めるか

藍の生葉で染めた色

藍の生葉を使って草木染めをすると、水色に染まります。他の色にも染まります。

水色と一言で言っても、エメラルドグリーン、ターコイズブルー、青磁色、薄緑色、クリアな空色、さまざまです。藍染のしっかりした青とは違います。

水色以外にも、濃染剤で緑になったり、ピンクに重ねたらくすんだ青緑になったり。赤紫染めの手法もあります。藍ってすごい!

生葉染めで染まった色と、生葉染めをどう染めるのか考えたことを書きます。

生葉染めの空色

一番まっとうに染まったもの。シルクの空色。1番刈りの葉を布の2倍量くらい。葉100g/水3リットル、他の布と一緒に染めた。

藍の生葉染め水色

染めてる時、濡れた状態では青すぎると思ったけれど、乾くとちょうど良かったです。

生葉染めの最中

2019年に染めたシルク。2019年8月に染めたものを2020年7月に撮影。木綿を染めた残液に染めてターコイズブルー。日数が経つとともに緑みが抜けるものの、空色と比べると青磁色で、こっちの方が好みの色です。

1年前に染めた藍の生場染めシルク

2021年、もっと濃く染められるようになりました。3倍量。

藍の生葉染めシルク

木綿を染めた場合

薬品使用した場合と使わない場合

左は、薬品を使った生葉染め(濃染無し)で、水色が強い。右2個は、豆汁濃染した生葉染め。薄い水色と薄緑色。薬品を使わない方が味がある感じで、でも退色しそうな雰囲気。

大きいコットン生地・濃染無し

2019年に染めたコットン生地。濃染なし。緑がかった淡い水色。生地のミミは濃い水色。生地:236g。一番刈りの葉:225g 水:6~7リットル。ミキサーの染液作りに20分もかかってしまった。(2019年8月に染めて、その時撮影)

市販の布のミミの染まり具合

Tシャツに縫製して、2~3回着用と洗濯をしたら白っぽくなりました。しまってあるハギレは1年経った今も色が残っています。

※その時の話と、生葉染めの手順はこちら→ 藍染。ニット生地を生葉染め

薬品を使って染め直し

その後、いろいろした後、薬品を使った生葉染めで染め直してしっかり染まる。くすんだ水色。藍の葉一番刈り97g、布の半量くらい。

藍染のTシャツ

※薬品を使った時の話はこちら→ 藍の生葉染め(ソーダ灰とハイドロ)

さらに翌年に薬品を使って染め直して、少し濃い色になりました。染めたての少し暗い雰囲気は、時間が経つと抜けます。

藍の生葉染めTシャツ

なすりつける

たたき染めをすると木綿でも染まることを参考に、濃度の濃さと圧力で染めるイメージ。

フードプロセッサーに葉っぱとあら塩を入れて葉をすりつぶし、そのまま布にこすりつける。ムラがある。緑青暗めの色あい。染まった色は薄め。布を事前に濡らしたから薄かったのかも。

薄いと思ってさらに重ねると暗い色になってしまう。

翌年、乾いたまま厚手トートを染めた。暗い青緑色。アンティーク風で悪くない感じ。

藍の生葉染め木綿トート

シルクと並べると暗い色。

藍の生葉染め木綿とシルク

板を染めた場合

ダイソーの200円板

これも薬品を使った化学建て(ハイドロ建て)。板も水色に染まった。桐板。

藍の看板

安物のカゴバッグ

板の残液でバッグを染めた。淡いミントブルー。素材はわからないけど植物繊維(セルロース)だとは思う。裏地は化繊なので染まらない。

濃染剤残液グリーン

残液を使って、濃染剤をした麻と木綿を染めたら緑色に染まった。黄みが少ない若草色。2019年8月に染めたものを2020年7月に撮影。くるくる巻いてしまっていたからか、1年経過後もさほど緑色が落ちていない。

そのさらに1年後、日に当たって薄い色になり、抜け具合がムラになっているけれど、とてもいい雰囲気の薄い若草色。(2021年10月撮影)

藍の緑色2年後

※麻生地を染めた時の話はこちら→ 藍の生葉染め残液で緑色 

残りカスで緑染め

残液で緑が染まるなら、残った葉を使えば緑染めできるのでは?と思って緑染め。銅媒染。シルクも緑に染まった。(2020年8月)

藍の生葉染め残りカスで緑染め

※緑染めについてはこちら→ 緑染め(緑葉染め)

重ね染めがくすむ

既に他の草木染めで染まったものに重ねたら、その色はどこかに消えて、くすんだ青緑色になりました。重ねるなら、他の草木染めが後なのかも。

ピンクの毛糸が青緑

ピンクの毛糸(草木染めではない)を染めたら、紫にはならずに、くすんだ青緑に染まりました。でも、毛糸だったらかわいい色かも。

サクランボ染めしたピンクのシルクを染めたら、くすんだ青緑色になりました。夏らしさゼロ。これは残念。

サクランボ染めに重ねた色

※参考:元のサクランボ染めの色

さくらんぼ染めシルク

大きいシルク生地

古い着物の裏地1枚分87g。結構濃いターコイズブルーです。一番刈りの葉50g+使用済の絞りカス200g分を煮た液(冷ましてから混合)で染めました。残った葉の力がどの程度あったかはわからないけれど、結構濃く染まりました。

藍の赤紫染め

2021年、やっと赤紫に染まるようになってきました。薬品は使いません。

藍の赤紫染め

2019年にした赤紫染めの練習。シルクがくすんだ紫、淡いピンク、薄いグレーに染まった。むずかしい。

紫染めにもいくつか方法があるらしい。

※赤紫染めの話はこちら→ 藍の赤紫染めのこと

※種を取った後の葉付き茎を使って染めた時も、紫っぽくなりました→ 藍の種取りの後、残った葉と茎で染める

※2022年9月4日に赤紫染めワークショップを岡山でします→ 2022年9月特別企画「藍の赤紫染め」ワークショップ参加者募集 

エメラルドグリーン

2019年染めたシルクでエメラルドグリーン。1年経った2020年でもかなり緑色です。青か緑かと聞かれたら、緑色です。残液でアルミ媒染したものだと思うのですが、記憶があいまい。

藍の生葉染めエメラルドグリーン

カエルみたいなグリーン

写真の一番左側の緑色。ウソっぽい色なのに、写真にのらない。生葉を煮込んで、さまして、少し生葉ジュースを入れたものを染液として、アルミ媒染で染めたもの。

藍染シルク

生地での違い

この生地は、薄くしか染まらない。薄いターコイズブルー。シルクだと思っていたけれど、違うのかな?染めたての時よりも、日数が経った方が濃くなる感じがする。

薄い色の生葉染め生地

ナイロンはとてもうすい水色になった。緑っぽさは皆無。

たたき染め青緑色

なぜか、たたき染めでは木綿も染まります。そして染まる色は澄んだ色ではなくて、少し暗い、青緑色。

藍のたたき染めの色

生葉染めをどう染めるか

生葉染め5年目。やってみて思ったこと、感じたことです。

  • 生葉染めの際の、「手早さ」は最重要ポイントだと思った。本にもそう書いてあるけど、正しい。
  • 「空気が入らないように」とか「量を使う」とかよりも、「手早くやる」ことの方が重要な感じがした。
  • ミキサーだと泡立って空気が入るかも?と思っていたけれど、水中の方が空気中よりいいと気がついた。ミキサーを使わずに揉みだすのは手早くできないのと、緑色が出てきてしまう感じがする。
  • 生地を出し入れして酸化しながら染めたほうが、青が濃く染まる。初めて空色に染められた。
  • でも、青磁色、薄いターコイズブルーの方が自分の好きな色だと思う。
  • 後から別の染料(紅花など)を重ねる予定なら、澄んだ青にしたい。
  • 手早く染めると空色で、もたつくと緑っぽくなるのかな?という気もする。
  • 薄い緑色になるのは、青色が足りない時のような気がした。
  • 藍にはインディゴ青以外の色もあって、その色が付くと色に深みが増したり、くすんだりする感じ。
  • 既に他の草木染めで染めた布を染めるとくすむ。生葉をさらに重ねる時もくすむ。
  • 布に入る緑色は何の色なのかが疑問。クロロフィルは色が飛ぶというけれど、飛んでない緑色は別の色素なのか、緑染めの手法みたいに染まる要因があったのか。
  • それとも、普通の藍以外の葉っぱと同様、黄色も染まって、水色+黄色=薄緑なのかな?
  • 水の温度、豆乳下地、生地の柔軟剤なども色の要因になるのかもしれないと思う。
  • 濃染剤を使うと緑っぽい色も付いて、水色にならない。下地をするなら豆乳下地かも?
  • 同じシルクでも、生地の違いで染まり方がだいぶ違った。酸化の速度も違う気がする(日数をかけて青みを増す布がある感じ)
  • 低温でも毛糸も染まるのだと思った。
  • 染めはじめてから、藍の葉の汁を追加で入れるのもよさそう。
  • 藍の葉の力も必要。晴れてなくても、8月に入るよりは7月中に染めたほうがいいと思う。(でも2021年は8月中旬に大雨があって色がよかったので、環境によるのかも)
  • 生葉染めの堅牢度を知りたい。もし藍染より弱いなら、その理由を知りたい。
  • 乾燥して再度染めると色が悪くなるらしい(未検証)
  • 葉を塩もみして水を加えずに染める方法もある。葉がたくさん必要。木綿を染めるならこれかも。(やってみたら、そこまで量は必要ない気もした)
  • 電子レンジ乾燥葉+自然乾燥葉でも生葉染めができるらしい。そこまでは私には必要なさそう。
  • 葉っぱのたたき染めでは木綿が染まるなら、叩けば木綿も染まるんじゃないか?という気がしてきた→叩くというか、水なしで塩入りでなすりつけたら暗い青緑に染まった。
  • 水分を減らせば木綿も染まる、でも色は暗くなる(いかにムラにしないかは要調整かも)

2020年は、いただいた藍の葉で、ワークショップ用のテストもかねて、結構染めることができました。本やネットでみた水色にも染められて満足。あとはきちんと染めたものを形にしたいです。

2021年は、岡山に移住して藍をたくさん育てたので、たくさん生葉染めができました。

2022年は、木綿を濡らさずに生葉で染めることをテスト。ムラはありますが木綿も染まることを確認しました→ 藍の生葉で木綿を染める(薬品なし)

2023年は、木綿の塩もみテスト。くすんだ水色に染まりました。→ 藍の葉、塩もみで木綿を染める 

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