緑染め(緑葉染め)

緑染め

葉っぱは緑ですが、葉を染料にしても緑色は染まりません。普通に草木染めすると、黄緑色や、茶色っぽい黄土色になります。葉の色みたいな、絵の具のビリジアンみたいな、ミドリミドリした色には通常は染まりません。

草木染めで緑に染めることと、緑葉エキスパウダーでの染色テストについて書きます。

植物で緑を染める方法

藍染に黄色の染料を重ねる

藍染をして、それにキハダやカリヤスなど黄色の染料を重ね染めして緑色を染めるのが、昔ながらのやり方です。

色落ちしにくく正統派な感じ。でも藍染しない人には染められないのでハードルが高い。

緑染めの方法

山崎青樹さんが考案した「緑染」という方法があります。

「草木染 染料植物図鑑」という本がシリーズで何冊かあるのですが、その3が緑染です。2や3に緑染のやり方が書かれています。

  • 草木染 染料植物図鑑 1 基本の染料植物 120
  • 草木染 染料植物図鑑 2 日本の身近な染料植物 120
  • 草木染 染料植物図鑑 3 草木の色を生かした「緑染」 113

アマゾンのなか見検索で前書きが読めるのですが、そこにも方法が詳しく書いてあります。2だったら5ページ目、3だったら7ページ目あたりです。

簡単に言うと、クズなどの緑の葉っぱを普通に水から煮出した1~2番液は黄色を除くために別にして、3~5番液以降をアルカリにして煮出して、酸で中和してから染める、というやり方。緑の色素は少ないため、葉っぱの量は多いほうがいいそうです。

緑染めしてみたい方は、詳しくは本をお読みください。古い情報もあるけれど、草木染について様々なことが載っていてオススメです。

緑染めの方法チャレンジ

桜の葉グリーン

シルクの靴下を桜の葉(4番液)で銅媒染で染めて、まあまあ緑色でした。染めたての布から草の匂いがします。(染めた日:2020年8月)

緑染め

しだれ桜の葉86g(以前1回煮た葉を冷凍保存していた)の4~5番の煮出し。ソーダ灰を小さじ1入れた水1リットルで20分煮ました。お酢大さじ6を入れて中和。pH5くらいにして染めました。

緑染めの作業

桜の葉を煮出す時、1番液は杏仁系の苦手なニオイ(多分クマリン成分)なのですが、煮出すにつれて、お茶みたいな香ばしいいい匂いになっていきます。

葛の葉染め若草色

葛(クズ)の葉をアルカリで煮出して、アルミ媒染と銅媒染で木綿(オックスフォード生地)を染めたことがあります。(染めた日:2019年6月)

緑染めの染液

葛の葉(生)290gをソーダ灰6gを入れた水6リットルで煮ました。pH8くらいだったので、pH6~7くらいに中和してから染めました。濃染をしたかどうかは、忘れました(したとしたら五倍子タンニン下地です)

急いで染めたので薄い色でしたが、クリアでかわいい若草色になりました。うまく撮影できていませんが、染めた布です。

緑染めコットン

雑草ヒナタイノコズチ

雑草を染色テスト。調べてイノコズチという植物だと判明。(染めた日:2020年9月)

イノコズチ

葉と穂21g、茎17gを水1リットル、ソーダ灰1gを入れて30分煮出す。同様に2番液も抽出。取れた染液はきれいな緑色でした。お酢大さじ3で中和するとpH6、黄緑にくすみました。中和後に銅媒染で染色。

イノコズチ1番液

季節も遅く、量も少なかったので染まった色は薄め。でも、透明感のある緑色が染まりそう。

上段1番液、下段2番液
左から、シルク、木綿・濃染剤あり、木綿・濃染なし

イノコズチで染めたハギレ

1番液の木綿・濃染剤ありは、色がくすむ。

よもぎ染めグリーン

5月上旬のヨモギ(岡山)。どちらも銅媒染だけれど、緑染めの手法を使わないと黄色が強い。左がシルク、右が濃染剤をした木綿サラシ。

蓬の緑染め

下茹で汁と、緑染めの染液の色。ぜんぜん違う。

緑染めの液色

濃染剤で生葉染めグリーン

藍の生葉染めの残液で、濃染剤で処理した木綿生地を染めたら、緑色になりました。これも染めたては草の匂い。

藍の緑染めのパーソナルカラー

藍の生葉染めだったので無媒染にしていたため、退色はしやすそうでした。うまく染めればもっと濃くなりそう。

普通の藍の生葉染めは、染液は緑色です。シルクを染液に入れると緑色になるものの、空気で酸化して青や水色に染まります。

染液は時間が経つと染まらなくなると言われていますが、残液でミドリが染まったので驚きました。どういう原理で緑色になったのかはわかりません。ミキサーに時間をかけたり、葉を手でよくもむと緑になりやすい気がします。

※その生葉染めの話はこちら→ 藍の生葉染め残液で緑色

桜の葉も、藍の生葉も、染まった布が草の匂いになったので、同じ緑染め(クロロフィル)なのかも。

生葉染めで残ったカスを使って、緑染めの手法で銅媒染で染めると緑色に染まりました。布がシルク。刺し子糸は濃い色は濃染剤、薄い色は濃染なし(豆汁下地と書いていたのは誤り。下地無しでした)

藍の生葉染め残りカスで緑染め

緑葉エキスパウダーで緑葉染め

もらった染料の中に、田中直染料店の「緑葉エキスパウダー」があり、緑染めに使えそうなのでテストしました。(染めた日:2020年2月)

緑葉エキスパウダー染料

「緑茶エキスパウダー」だと思ったら、「緑茶」ではなくて「緑葉」でした。1パック20g入りで使いかけの容器です。

田中直染料店の緑葉エキスパウダー

見た目は、お抹茶を濃い色にした粉末です。

緑葉パウダー粉末

パウダーの使用量

パウダーを水に溶かすだけで使えます。もらいものなので説明書が無く、分量は適当。

容器の大きさが小さいので、濃そうな予感がしたので、水1リットルに対して、パウダー小さじ2分の1を使いました。

ダマにならないように、少量のお湯で溶かしました。

少量のお湯に溶かす

1リットルになるように水で薄めて、念のため、こし布でこしました。

緑の染液をこす

80℃くらいに温めて、普通に草木染めしました。染液20分→水洗い→媒染20分→水洗い→染液20分。

緑葉エキスの染液

※草木染めの基本手順はこちら→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹

染まった緑色

シルクと木綿のハギレで、染色テストをしました。かっこいい緑茶グリーンに染まりました。

左から、アルミ媒染、銅媒染、鉄媒染
上から、木綿・濃染剤あり、木綿・濃染なし、シルク

緑染め

濃染しないほうが緑っぽく染まりました。シルクはしっかり濃く染まりました。

媒染による差があまり出ませんでした。鉄や銅の媒染液が薄かった可能性はあります。しいて言えば、シルクでは、銅媒染が一番緑色で、アルミでも結構緑色で、鉄はカーキっぽくくすみます。

木綿は媒染で差が出ず、どれも、キレイな薄緑色に染まりました。

残液でウール緑染め

残液をペットボトルで常温保管。5か月後にウールの靴下をミョウバン媒染で染めました。ニオイはなく腐ってなかったと思います。きれいな薄緑色に染まりました。(染めた日:2020年7月)

緑葉染めウール靴下

緑染めについて思うこと

  • 緑色にはあまり興味はないけれど、色のバリエーションとしてグリーンもあるとカラフルでかわいい
  • 藍染もクサギも身近ではないので、青×黄色で染めるのはハードルが高い。そうなると緑染めがよさそう
  • 雑草で染めるワークショップをする際、材料が入手できなかった際の代わりとして緑葉パウダーが使えそう

※渋い感じのグリーン、カーキ色でよければ、普通の草木染めでも鉄媒染すれば染まります。詳細はこちら→ 玉ねぎの皮でカーキ色に染める

※藍熊染料の講習会でも緑染めを習いました→ 草木染めで緑を染める方法を習う

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