ログウッドでマフラーを染める
ログウッド液体染料でウールマフラーを染めました。染めた方法を書きます。毛糸やニットを染める方法もだいたい同じです。
濃い青紫色に染まりました。よーく見ればわかる程度の色むらが少しあります。
草木染らしさは減るものの、液体染料を使うと少量で青紫色が染まります。簡単で便利な染物です。
※ウールの染め方の注意点はこちら→ 毛糸を染める方法(ウールの草木染)
染めた日:2020年2月1日
目次
染料のログウッドとは
ログウッドはマメ科の木で、原産国は中米。その芯材が青紫~紺、黒染めに使われます。
草木染めでは青が染まるのは藍染とクサギの実だけ。なので、青っぽく染めるのに、ありがたい染料です。
手軽なのは液体染料です。今回使ったのは、この藍熊染料のログウッド液。
2019年7月の草木染め体験ワークショップでは、田中直染料店のものを使いました。
※その時の色はこちらの青紫~紺色です↓
2019年7月7日(日)ワークショップ開催報告
2019年7月28日(日)ワークショップ開催報告
以前まで誠和で買ったエキス粒(ヘマチン)を使っていたのですが、売り切れていました。エキス粒の場合も、ほんの少しお湯に溶かすだけなので簡単です。保存に場所をとらないのがいいです。
本格的に煮出したい時は、木のチップも染料店に売っています。私はヘマチンで十分なので、使ったことがありません。
ログウッド染めのマフラー染まり具合
青紫色に染まりました。バイオレット、スミレ色っぽい感じです。光加減で、見え方が違う感じもします。
よく見ると、色むらがありました。マフラーとして使う分には問題ありませんが、なぜムラになったのかは不明です。吸水不足か、水量不足か、媒染剤の不足か、染液が濃すぎたせいか?
ウールマフラー染めの材料
材料
- ウールマフラー(普通の厚さ) 127g 30cm×150cm
- ログウッド液 小さじ2(10ml)・・・少し多かったかも
- 焼きみょうばん(スーパーで購入した食品用)大さじ2ちょっと(8g)
- 酒石英 小さじ1(4g)(みょうばんの半量)
使用量の計算方法
- 染めるマフラーの重さ=127g
- ログウッド液使用量(紫の場合) = マフラーの重さの5%~7% =127×0.05~0.07 = 6~9g
- 焼きみょうばん= マフラーの重さの6% = 127×0.06 = 8g
- 酒石英 = みょうばんの半分 = 8g×0.5 = 4g
- 染める際の水の量 = 染める重さの50倍 = 127×50 = 6350g = 6リットル
※大きさによって加減が必要。鍋に余裕があればもう少し多いほうがよさそう。
マフラー
染めたのは、藍熊染料で買った染色用ウールマフラーです。
製品名は「ウール100%シンプルマフラー房付NN」。サイズは30cm×150cm、重さ127g。(以前計量した時は120gかと思ったのですが、127gありました)
染色用の生地は薄手が多い中、この商品は普通のマフラーの厚さです。色はキナリ。未精錬でした。
※素材がウールでも、薄手タイプのストールはもっと染めやすいです。参考→ 紫草染めウールマフラー染め直し
ウールマフラー染めの手順
- 鍋にお湯(お風呂ぐらいの温度)6リットルを入れてマフラーをつけておく。水分を含んだらザルで水を切る。
- 別の容器で、酒石英を熱湯(500ml程度)に溶かす。焼きみょうばんを追加して溶かす。
- 鍋に残ったお湯にミョウバン液を入れて混ぜる。媒染液。
- 鍋を40℃に加熱。マフラーを入れて、弱火~中火(IH4~7)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げた後、30分放冷(計90分)。10分置きに混ぜる。
- ザルで水を切って、ぬるま湯でかるく洗う(湯をくぐらせる程度)ザルで水を切る。
- タオルに包んで洗濯機でかるく脱水
- 鍋の媒染液を捨てて、水(ぬるま湯)6リットルとログウッド液を小さじ2入れて混ぜる。
- 染液を40℃に加熱。マフラーを入れて、弱火~中火(IH4~7)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げた後、10分放冷(計60分)。10分置きに混ぜる。
- ぬるま湯でかるく洗う(湯をくぐらせる程度)。お湯を変えて3回。
- 別のタオルに包んで洗濯機でかるく脱水
- お風呂場に干して自然乾燥、室内で完全に乾燥
※加熱できる大きい鍋が無い場合は、大きい容器(衣装ケース、タライなど)を使い、高温(80~85℃)から浸します。
ウールマフラー染めの写真と説明
お湯につける(重要)
お湯(お風呂ぐらいの温度)にマフラーをつけておきます。
広げて入らないので、びょうぶ畳み(ジャバラ折り)にして、水面に載せます。むりやり押し込まず、手で軽く押し、沈むのを待ちます。
ウールは水をはじくので、水滴は玉になります。空気を多く含むので、浸水に時間がかかります。
そのうち沈みます。
白っぽい部分、色が違うところが、まだ水分を吸いきれてないところ。手で少しもんだら気泡が出て水を吸ったのですが、もしかしたらそのせいで色ムラができたかもしれません。
ふわふわのものは水を吸いにくいので時間がかかります。全然入っていかない場合は、モノゲン(ウール洗い用の中性洗剤)を少し入れたお湯に入れます。(その後軽く湯洗いします)
吸水が不足すると色むらになります。
水分を含んだら、静かにザルですくって、水を切ります。フェルト化を防ぐため、こすらない、押さない、振動させない。
酒石英と明礬を溶かす
ウールの場合は、媒染剤の沈殿防止に酒石英を入れます。
500mlくらいの熱湯に、酒石英を小さじ1を溶かします。みょうばんの半分の重さです。簡単に溶けます。
今回は誠和の酒石酸カリナトリウムを使いました。酒石英と似たようなものです。
そこに、焼きミョウバンを大さじ2ちょっと(8g)を追加して、かき混ぜます。はじめ白いですが、そのうち透明になります。
※みょうばんの詳細はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
溶けたら、マフラーを引き上げた後の、お湯の残った鍋に入れて薄めます。節約のため、お湯をそのまま使い回しました。合計6リットルにして、媒染液になります。
みょうばん媒染
ウールは先媒染で1回で染めます。
媒染液の入ったステンレス鍋を火にかけて、40℃くらいになったらマフラーを入れます。広げながら、びょうぶ畳み(ジャバラ折り)にしながら入れます。
マフラーを入れて、弱火~中火(IH4~7)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げます。10分置きに温度をチェックしつつ、上下を返す程度に静かに動かします。
温度が上がるにつれて、弱火では温度が上がらないので中火にしました。
80~85℃になったら消火。そのまま30分放冷しました。時間がある場合は、フタをしてそのまま一晩放置します。今回は放冷も含めて合計90分の媒染をしました。
温度の上げ方は、10分間に6~10℃くらいを目安にしました。火加減での調整に慣れが必要そうです。
鍋が無い場合は、80~85℃に加熱した媒染液を作り、別の入れ物に入れて加熱せずに媒染します。ウールは急冷はだめですが、熱湯に入れるぶんには結構大丈夫らしいです。
湯洗い
ザルですくって、少し水を切ります。鍋の媒染液は捨てます。
ザルで、バケツにためたお湯(お風呂の温度、40℃位)に移動。軽くすすぎます。
ザルですくって水を切り、洗濯機で軽く脱水しました。
ログウッド染色
鍋の媒染液を捨てて、軽く鍋を洗って、お湯(40℃位)6リットルを入れます。ログウッド液を小さじ2入れて、かき混ぜます。
後から考えると、小さじ2は少し多かったかもしれません。
液体染料の原液は液だれすると、汚れやすいです。ティッシュを準備します。必要であればラップで養生したり、台所を汚さないように注意します。
染液を40℃に加熱したら、マフラーを入れます。
弱火~中火(IH4~7)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げます。10分置きに温度をチェックしつつ、上下を返す程度に静かに動かします。
液が濃かったからか50℃くらいからマフラーが紫に染まってきました。
70℃を超えると、黒っぽく見えました。
80~85℃になったら消火。10分放冷して、計50分染めました。時間がある場合は、フタをしてそのまま一晩放置します。
湯洗い
ザルですくって水を切ります。
ぬるま湯をバケツにためて、ザルでマフラーを入れます。
かるく洗います(湯をくぐらせる程度)。お湯を変えて3回。3回目もお湯に紫色が残っていました。
この加減はむずかしいです。ウールなのでやりすぎて繊維を傷めてはいけないし、かといって染液が残るのもよくありませんが、とりあえず終了しました。
脱水、乾燥
洗濯機で脱水した後(濡れた状態)はこんな感じ。
お風呂場に干して自然乾燥しました。数日、室内に干して完全に乾燥させました。
ログウッド染液の残液
残液にはかなり色が残っていたので、ペットボトルに保管しました。
酸化しやすいそうなので、ペットボトルに入れる時は液を口ギリギリまで入れました。
同じくらいの量で、ウール靴下を染めた時、残液でもきれいな紫色が染まりました。左側が残液、右側が元の液で染めた靴下です。
ウールマフラー染めで思ったこと
- マフラーは普通の厚さなので、大きい器がないと染められない(薄手のものなら染めやすい)
- 色むらの原因がよくわからない
- 木綿と比べると本当にしっかり染まる感じがする
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。
※同じマフラーを巨峰の皮で染めた時の話はこちら→ ぶどうの皮でウールマフラーを染める