草木染め販売と堅牢度のこと

草木染めの販売と堅牢度について、自分が考えていることを書きます。

堅牢度の存在

草木染めをはじめた頃、草木染めをしている人に、「何度も重ね染めしても堅牢度3級の壁を越えられない」という話を聞きました。

堅牢度というのは、色落ち色変わりのしにくさのことです。5級が良くて、1級が悪いです。販売するなら堅牢度3級は最低でもあってほしい感じ?だとか。

草木染めで特に着目されるのは日光堅牢度。草木染めの場合、1級や2級が多いと聞きました。日に当たるだけで退色していきます。洗濯するものなら、洗濯堅牢度も必要です。

暗くて渋い色ならともかく、明るくてかわいい色ではむずかしい。シルクならともかく木綿ではむずかしい。

木綿をどう染めるべきか。とても難しい問題です。そう、シルクと木綿の間には、長くて深い川があります。染着すればそれで終わりではなく、その後の色落ちのしやすさも違います。

結構濃くピンクに染まったと思うシルク生地も、窓辺に長くディスプレイしていると色が薄くなっていきました。木綿ならなおさら。木綿をかわいいピンクに染めると、日に当たれば退色していく気がします。

桜やアボカドなど、結構ピンクに染まるものは多く、その色はおもしろいと思っています。弱いとは思いますが、アントシアニンのように、すぐに消えてしまう色ではありません。赤茶に染めてしまえばより強いかとは思いますが、茶色は苦手です。

淡い色のバッグ

シャリンバイも赤っぽい色にも染まるけれど、伝統的に使われるのは黒染めで、それは堅牢度問題なのかと勝手に思っています。(違っていたらすみません)

堅牢度を高めること

タンニン下地をすると、茜染め(インドアカネ)が真っ赤に染まりました。真っ赤にしたかったのだろうか?と疑問に思いました。これが濃染せずに薄く染めたかわいいピンクと比べて堅牢だったとして、私はその色を染めたいのか?と思いました。

紅花染めをした時と同じ感覚です。染まった色が鮮やかすぎて、昔の人には貴重だっただろうその鮮やかさが、現代人の自分が見るとその辺によくある色になるというか。個人的な好みの問題です。

タンニン下地をした茜染めは、濃染剤をするよりも豆汁下地よりもずっとよく染まりました。茜の場合は他の色素とは少し違い、タンニン酸によって木綿にもアルミイオンが付きやすくなり、アルミイオンが付くからアカネの色素もつく、みたいな原理なのだと思います。

インドアカネと言えばインド更紗。インド更紗の染め方を調べると、ミロバラン下地の際に牛乳を入れたり、染色の最後にもう一度ミロバランを掛けたり、アリザリンを煮る時に銅の鍋を使っていたり。木綿は、そんな風に染めて堅牢度を高めていくものなのかもしれません。

身近なものに、五倍子やミロバランのように、タンニン下地ができるものがあったらいいのに。お茶にもタンニンはあると思うのですが、緑茶下地には先日失敗。紅茶にすればいいのか。

豆汁下地や牛乳下地を、何度もやって乾かして日数を置いて、というようにやったら、どのくらい堅牢になるのだろうか。

堅牢度について考えるはじめると、「自分が何をしたいのか」を考えることになります。

最後に色止め剤を使えば色落ちしなくなるのか?(使ったこともないし、詳細も知らないけれど)とか、好きじゃないけど濃い色に染めるべきか?とか、木綿や麻を染めたいけどシルクや毛糸を染めるべきなのか?とか。

だんだん、自分が何がしたかったんだっけ?と考えさせられます。

例えば草木染めをして、それを何かでコーティングして堅牢にするのはどうだろうか。(例えばラミネート加工だとかレジンで包んでアクセサリーにするとか、そういうイメージ)いや、そもそもアクセサリーを自分はしないから、アクセサリーを作る気はなかったんだった。

堅牢度とは違うけれど、草木染めには絞り模様など柄が入ったものが多く、そういう風にすれば多少色落ちしても目立ちません。無地から色が抜けたら目立つけれど、濃淡の模様があると目立たない。そういうものはどうか。でも、自分が好きなのは無地です。

東北の紫根染めや茜染めは販売するまでに何年も枯らすと聞きました。草木染めの商品を販売するというのは、そういうことなのかもしれません。

見える色の元

ボタニカルダイと呼ばれるものは、化学染料も入っているらしいけれど、見えている色は、植物の色なのかその化学染料の色も含まれた色なのか。そこが気になります。

私は全部自然か?にはこだわってないです。

それよりも、見える色について、植物の色が元であってほしいです。そこに媒染による発色などの化学的な要素があってもいいです。

見える色がどこから来たものなのかが、とても重要だと思います。ボタニカルダイについては、その部分がよくわかりませんでした。

木綿を染める時に濃染剤を使うことがあります。濃染剤自体は透明です。でも、使ううちに、シルクにも付かない色が濃染剤を使った木綿には付くことがあると気が付きました。その色素の元は植物だけれど、その発色は化学の力を借りているかもしれない色。それはありなのか。自分的にはありだけれど、人によっては「それは違う」と思うかもしれません。

「植物から色がとれて、それで布が染まるということがおもしろい」というのが私のテーマなので、絶対自然じゃないとだめ、とは思っていません。

自然染色の存在

金属媒染をしない、自然染色もあることも知りました。何十回も染め重ねる方法。お酢や灰汁も使われるようです。

アク媒染だけをする人も、結構いるのだと思いました。あと、海外ではタンニンも媒染と呼ぶ気がします。

あと、「発酵染め」というものもあることを最近知りました。詳細はよくわからないけれど、興味があります。

泥には鉄分が入っていて、海水や温泉水には微量の金属イオンが含まれています。そこにある金属イオンと、作られた媒染液の金属イオンでは、何が違うのか、違わないのか。

それは自然なものか?を考えていくと、やっぱり「自分は何がしたかったんだっけ?」という気持ちになってきます。

自然にこだわるなら、繊維もワタから育てないといけない気がしてきます。(住宅CMの、自給自足の話みたいに)

金属媒染をしない染物については、やってみたい気もする一方、何十回も自分が染めることができるのか、やや自信がないです。

何十回も染めて生地は傷まないのか、とか、それはそれでとてもむずかしい技が必要な気もします。

草木染めを販売すること

草木染めを趣味で染めて、在庫を売るのはありだと思います。私もメルカリで販売中です。(ハッシュタグをつけて「#つぎいろ」を検索してみてください)※追記:2021年7月に草木染め関連のメルカリ販売は終了しました。販売記録は残してあるので、検索すれば見ることはできます。

今手元にある生地を形にして、活用してもらいたい、そして現金にかえたい、という気持ちです。生地が箱の中に眠ったままなのは、もったいないです。

そういうものではなく、利益をあげるための商売として草木染めを販売することは、とても難しいと思っています。

それをできている人は、すごいと思います。いや、草木染めに限らず、商売ができる人はすごいです。

染めたものよりも、染める前のもの(白い布や糸)のほうが売れるんじゃないかと時々思います。


木綿をどのようにして染めて堅牢度を高めていますか?おすすめがあったらぜひ教えてください。

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。