派遣社員で再就職手当をもらった体験
失業保険の再就職手当をもらったことがあります。2015年の経験です。
派遣社員→失業→派遣社員(別の派遣会社)というパターンでもらいました。
再就職手当というのは、失業保険の給付金をもらいはじめてから早い段階で安定した仕事につくことができたら、その際に支払われるお金です。再就職祝い金というか、早期就職手当のような意味あいです。
ハローワークの雇用保険説明会でも再就職手当の説明がしっかりあるので、お国としても、「失業者にははやく就職してほしい」と思っていて、それをお金であらわしたものなんだと思います。
もらうまでは、なんとなく正社員で就職しないと「再就職」ではない気がして、派遣の自分には関係ない気がしていました。
でも実際は、派遣で仕事が決まった場合に、もらうことができました。別に契約期間が長いわけでもなく、初回1ヶ月半、次から3ヶ月更新の案件でした。(短期の案件ではありません)
目次
雇用保険の再就職手当をもらう条件
再就職手当をもらうための条件は下記のようなものです。
- 支給残日数が3分の1以上残っている
- 1年を超えて引き続き雇用される
- 受給資格決定日(離職票をハローワークに持っていった日)よりも後に内定した
- 就職日は待機期間(7日間)が終わった後
- 給付制限を受けた場合で、待機満了後の1ヶ月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみ(派遣社員はNG)
- 離職前の事業主または関連事業主に雇用されたものでないこと
- 過去3年以内の就職で再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 雇用保険に加入する労働条件で働いていること
- 申請後一定の期間が経過する前に離職した場合はNG(書類を出して1ヶ月後くらいです)
ハローワークインターネットサービスの就職促進給付のページに詳しい記載があります。
再就職手当を派遣でもらう場合に気をつけること
上記再就職手当の要件のうち、派遣社員→派遣社員の際に要チェックとなる点は、以下の4つかと思います。
- 支給残日数が3分の1以上残っている
- 1年を超えて引き続き雇用される
- 離職前の事業主または関連事業主に雇用されたものでないこと
- 申請後一定の期間が経過する前に離職した場合はNG
支給残日数が3分の1以上残っている
失業保険がもらえる日数が90日だったら、30日残っていないと貰えない、という意味です。
就職日=派遣契約の開始日なので、開始日がぎりぎりだと危険です。内定日、契約した日ではありませんのでご注意ください。派遣先の都合で「引継ぎの準備ができていないので来月からにして」という変更がないとも限らないので、余裕を持ったほうがいいと思います。
私が再雇用手当をもらった時は、所定給付日数90日に対し、69日残っていました。
支給残日数が3分の1以上残っていることが要件ですが、3分の2以上残っている場合は、支給の割合が高くなります。今なら、3分の1以上残っている場合が6割なのに対し、3分の2以上残っていれば7割になります。2015年当時は、3分の1以上で5割、3分の2以上で6割でした。
なので、3分の2である60日に余裕をもたせて、69日のタイミングにしました。
時系列で見た場合、こんな感じです。
10月末 前の派遣仕事が終了
11月中旬 離職票が届いたのでハローワークに手続きに行く(7日間は待機)
12月中旬の就職日前日 ハローワークに行って、就職日前日まで21日分の給付を認定
12月中旬の就職日 派遣の開始日=就職日
なお、私の場合、3ヶ月の給付制限はありませんでした。
1年を超えて引き続き雇用される
派遣社員の場合、確認が必要な部分です。
ハローワークで再就職手当の相談をした際、職員の方が気にしていたのが、派遣会社が発行してくれた就業条件が書かれた紙(リクルートスタッフィングではジョブカードと呼ばれる紙)の契約期間に記載された「雇用契約期間の定めあり」の文字です。
たとえば、私の場合、下記のように書かれていました。
2015年12月xx日~2016年1月31日(雇用契約期間の定めあり)
ただし、その紙の裏面の細かい説明書きの中に、原則として契約期間で雇用期間満了だけれど、双方が合意すれば再契約の可能性がある、という内容の記載もありました。
これを「1年を超えて引き続き雇用される」と判断してよいのか、難しいところです。ハローワークの窓口の人も大丈夫かどうか微妙な感じでした。
微妙な感じは残るものの、私は次の仕事を決めていたので、とりあえず申請手続きを進めました。
ハローワークの窓口でもらった再就職手当を申請する際の書類の1つに「派遣就業に関する証明書」があるのですが、派遣会社に記入してもらったら、一年以上雇用される可能性があるようには思えない内容でした。(書類が残ってないので明確な文言は覚えていません)
電話で派遣会社に問い合わせて確認し、書き直してもらいました。そして無事、再就職手当の支給は受けられました。長期案件なのに、短期案件の扱いで派遣会社のデーターベースに登録されていたことが原因でした。
更新を繰り返して一年以上になるような案件なら問題ないはずです。もちろん短期案件はだめです。
離職前の事業主または関連事業主に雇用されたものでないこと
ここがとても重要です。
同じ派遣会社での就業はNG。派遣先が違っても、同じ派遣会社で就業したら再就職手当はもらえません。
最近は派遣会社の資本提携が進んでいて、違う名前の派遣会社でも資本がつながっている関連会社だったりするので、不安な部分があります。不安なときは派遣会社に問い合わせてみてください。目安は、所有株式数又は出資の割合が 50%を超えるかどうかになります。
あと、派遣会社A→派遣会社B→派遣会社Aだったらどうか、というと、これはOKです。
「離職前の事業主」は直前に辞めた会社だけで、その前までは関係がありません。私の場合は、まさしくそれに該当していましたが、再就職手当をもらうことができました。
わたしの場合、複数の派遣会社に登録して、派遣会社はあまり気にせずに求人に応募しています。ただし、再就職手当をもらった時は、離職した時の派遣会社は除外して、他の派遣会社で次の仕事を探すようにしました。
派遣会社を1社しか登録していなくて、その派遣会社しか使いたくない、という人は再就職手当は使えません。再就職手当より条件がゆるい「就業手当」というものがあるのですが、その対象になるのかどうかは私にはわかりません。
補足「離職前の事業主」の定義
前の前の会社に戻ってOKである点について、公的な文書はないか?とのお問い合わせがありましたので補足します。
まず、失業保険の細かいことは、厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」に載っています。その中の「就職促進給付」から抜粋引用します。
57052(2)再就職手当の支給要件
(ハ) 離職前の事業主(関連事業主(資本金、資金、人事、取引等の状況からみて離職前の事業主と密接な関係にある他の事業主をいう。)を含む。以下「離職前事業主」という。)に再び雇用されたものでないこと。
離職前事業主とは、受給資格に係る離職をした事業所の事業主を意味する。
ここから、再就職手当でいうところの「離職前の事業主」が「受給資格に係る離職をした事業所の事業主」であることがわかります。
「離職前の事業主」に、「site:go.jp」をつけてGoogle検索すると、ハローワーク藤沢の「雇用保険失業給付金の受給に関する質問について7再就職手当の支給要件は?」のPDFがヒットします。そこから抜粋引用します。
(5) 離職前の事業主に引き続き雇用されたものでないこと(資本・資金・人事・取引等の状況からみて、離職前事業主と密接な関係にある事業主も含みます。)
離職前事業主とは、受給資格者証 22 欄に記載されている事業所となります。
また、派遣就業の場合、雇用主はあくまで派遣会社となりますので、離職前事業主と同様の派遣会社から就職されると、派遣先が異なる場合でもこの条件に該当しないこととなります。
ここから、「離職前事業主」が「受給資格者証 22 欄に記載されている事業所」であることがわかります。
「前々職は関係ない」という文書はなさそうですが、「受給資格者証の事業所の事業主である」ことは明記されている、という状況かと思います。
申請後一定の期間が経過する前に離職した場合はNG
再就職手当ては、就職日から1ヶ月以内に申請して、申請してからの調査期間が1ヶ月程度で支給決定、その後1週間で支給されます。支給決定までに辞めてなければ問題ないと思います。
再就職手当は1ヶ月以内に申請する
なお、再就職手当は就職して1ヶ月以内に必要書類をそろえて申請しないといけません。
私が提出した申請書類は、「再就職手当支給申請書」「離職前事業主との関連及び雇用期間についての証明書」「採用証明書」「派遣就業に関する証明書」「雇用保険受給資格者証」と返却用封筒でした。2015年の話です。
働きはじめて、新しい職場にまだ慣れていない時なので、いろいろやることがあって大変でした。郵送で申請できるので、私は郵送で提出しました。
派遣会社に書類を書いてもらうのも、郵送でのやりとりとなります。書類を書き直してもらったので、結構あせりました。はやめに準備して、不安なことがあればきちんと問い合わせることをオススメします。
再就職手当がいつ支給されるか
再就職手当てがいつもらえるのかというと、就職日から1ヶ月以内に申請して、申請してからの調査期間が1ヶ月程度で支給決定、その後1週間くらいで支給されます。
私の銀行口座に入金があったのは就職日から39日後でした。調査期間があるため、失業給付の基本手当と違って再就職手当の支給日は遅いです。
※追記:最後の認定日(就職日の前日)に認定を受けた分の支給は、採用証明書を郵送で提出してから数日後でした。再就職手当よりも先に振り込まれました。
基本手当をもらうのと、どちらがお得か
ハローワークの雇用保険説明会では、しつこいぐらい、早く再就職したほうが手にするお金が多い(給料も入るようになるから)という説明があります。
個人的には、どちらが得かといったら、再就職手当を早くもらうより、失業給付金の基本手当を最後までもらったほうが得だと思います。
当時は、早く次の仕事を決めたい事情があったので、早めに失業期間を切り上げて、再就職手当をもらえるようにがんばりました。
ネット検索しても体験談が少ないので、参考になるかと思い、実際どうだったか自分の経験を書いてみました。
自分自身が「派遣は対象外」と思い込んでいたので、派遣でも要件に該当したら申請できることをお伝えしたいと思いました。
2015年冬の話です。
自分の失業保険がどうなのか知りたい場合は、派遣会社や管轄ハローワークにお問い合わせください。ブログには実態に近い情報を載せたいと思っているので、「自分の場合は違っていた」ということがあれば、お問い合わせフォームからご連絡いただけると助かります。
※2024年1月追記:派遣社員を辞めてから5年経過。派遣社員の失業保険の内容は更新していません。参考になる箇所もあると思うので残していますが、古い情報もあると思いますのでご留意ください。「ここが違うよ!」などお気づきの点があれば、注釈を入れますのでお問い合わせフォームから、お気軽にお知らせください。