秋の草木染め。雑草のセイタカアワダチソウで染める
10月になって、明るい黄色い雑草の花が一斉に咲き始めました。背高泡立草(セイタカアワダチソウ)です。
道端や空き地に生えている雑草ですが、草木染めをすることができます。
みょうばんを使ったアルミ媒染で、鮮やかなキレイな色に染まりました。鮮やかすぎると思ったので、半分は鉄媒染を少し重ねて、緑っぽい落ち着いた色に変えました。
今回染めたのはシルクです。
採取日・染めた日:2021年10月21日
※2024年10月6日追記:岡山で背高泡立草染めのワークショップをします。詳細・予約はこちら→ 2024年10月草木染め体験ワークショップ参加者募集(岡山)
目次
背高泡立草染めの材料
- シルクのハギレ 28cm×80cm位 30g
- セイタカアワダチソウ 黄色い花に近い部分8本(太い茎付きで208g、太い茎を外して143gを使用)
- 焼みょうばん(スーパーで購入した食品用)4g ・・・大さじ1強
- (鉄媒染を重ねる場合)木酢酸鉄液 3滴(染料店「誠和」で買ったもの)
背高泡立草染めの手順
- 事前の準備:道端、川沿いなどでセイタカアワダチソウの花に近い部分を茎ごと採取
- 事前の準備:中性洗剤で布を洗う
- 事前の準備:布をぬるま湯(お風呂ぐらいの温度)につけておく
- セイタカアワダチソウの虫を振り払って、水洗い
- 大きい茎から花に近い部分を切り取る
- ステンレス鍋に花に近い部分143gと水2L入れて沸騰後20分煮る ※水1リットルで2番液も抽出
- 花をこして、バケツに染液を入れる。
- 布を染液に入れて20分。時々、生地を動かす。※1番液を使う
- 水洗い
- 焼みょうばん4gを少量の熱湯で溶かす。水2Lで薄める
- みょうばん液に布を20分漬ける。時々、生地を動かす。
- 水洗い
- 再度染め液に漬けて20分。時々、生地を動かす。※2番液を追加
- しっかり水洗い
- バスタオルで水分を脱水して陰干し
※草木染めの基本手順や注意点はこちらを見てください→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
背高泡立草染めの写真と説明
染める素材:シルクのハギレ
シルクのハギレ。絹は濃染しなくても染まるので便利です。
木綿や麻を染める時は、濃染したほうがいいです。
※濃染処理についてはこちら参照→ 草木染めを濃く染める方法
濃染について
左からシルク、濃染剤下地をした木綿サラシ、下地無しの木綿サラシ。濃染処理をしないサラシは、うすーい黄色が少しだけ染まっていました。
木綿を染める時は、濃染したほうがストレス無く染まると思いますが、ごく薄い色でよければ、下地染め無しでじっくり染めることもできそうな気がしました。
材料のセイタカアワダチソウを採取
都心でも空き地や公園で見かけていた黄色い花、背高泡立草。田舎では、本当にそこら中にあります。
咲いている!と思った時に染めないと時期を逃してしまいます。今回やっと染められました。
ハサミで黄色い花に近い部分を丸ごと、8個分切り取りって持ち帰りました。
布をぬるま湯につけておく(重要)
染める前に、生地に水分を含ませるため、ぬるま湯(お風呂ぐらいの温度)につけておきます。
セイタカアワダチソウを煮る
クモなど小さな虫が付いているので、屋外で虫を払って、水洗いしました。
お花で染めるのですが、どこまで使うか悩んで、太い茎以外の花に近い部分を煮ることにしました。
残った太い茎。太い茎は外して、使いませんでした。
ステンレス鍋に花に近い部分143gと水2Lを入れて、ひたひたな感じ。フタをして着火。沸騰後、ふきこぼれない程度の強火で20分煮ました。
みょうばん媒染の場合は、アルミ鍋でもかまいません。大きい鍋が無い場合は、入る大きさで水の量を調整してください。
アワダチソウの名前の通り、泡立つので、沸騰時に吹きこぼれないように気をつけたほうがいいです。
染液をこす
煮終わったら、花をザルやこし布でこして染液をバケツにとります。(これは2番液の画像なので染液が透明感がある色です)
煮残ったお花はまだ黄色っぽい感じでした。
2番液は、残った花を鍋に戻して、半量1リットルの水を追加して、再度沸騰後20分煮だしました。
セイタカアワダチソウの染液(一番液)はこんな色でした。黄土色で白濁。
水を1リットルに減らして煮た2番液はこんな色。だいぶ薄く、透明感のある黄色でした。
2番液が薄くなったので、これ以上の色は取れない感じがしました。重曹を入れて煮たり、酢を入れて煮るとまた違った感じに抽出できるのかもしれません(今回はしませんでした)
布を染液に漬ける
セイタカアワダチソウの染液(1回目)ができたら、お湯につけていた布の水分を絞って、広げて、染液に入れます。熱いうちに入れたほうが染まりやすいです。
布を漬けるのに水量が足りなそうな場合は、2番液を抽出した後に、1番液と2番液をあわせて使います。もしくは、お湯を少し追加して水の量を増やします。あまりお湯を入れすぎると、染液が薄くなり、染まりにくくなります。
バケツで行いました。使える鍋がある場合は、鍋で火をつけながら煮染めしてもかまいません。あまり高温だとシルクが傷むので中火程度がよいと思います。
空気が入った部分や、布と布が重なった部分が色むらになるので、ハシやゴム手袋をした手で時々混ぜます。特に水面から布が出てしまうと、そこが染まりません。やけど注意です。
20分くらい漬けます。
20分経過後。そんなに染まってない感じがしました。
取り出して、水分を絞ったところ。
水洗いする(やや重要)
漬け終わったら、布をとりだして、水分を絞って水洗いします。次に媒染するのですが、その前に水洗いして布に入らなかった染液を落とします。
みょうばん媒染液を作る
媒染には、焼きみょうばん(スーパーで売っている漬物用)を使います。
焼みょうばん4g(大さじ1強)を少量の熱湯(今回は200ml)に溶かします。白かった液が透明になったら、バケツに常温の水1.8リットルとその液を入れて、合計2リットルの媒染液にしました。
諸説ありますが、布重量比6%の焼みょうばんが入っていればいいので、30gの布ならミョウバン2g必要です。4gなら十分です。
※媒染液の作り方はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
みょうばん媒染液に漬ける
水洗いして絞った布を広げて、作った媒染液に入れます。染液と同様、時々かき混ぜて、20分漬けます。
だんだん布は鮮やかな黄色に発色してきて、媒染液にもレモンイエローな色が流れ出ていました。
20分経過して、絞ったところ。黄色になりました。媒染することで発色します。アルミ媒染なので明るい色になります。
水洗いする(やや重要)
漬け終わったら、布をとりだして、水分を絞って水洗いします。
泡立草だからか、洗う水まで泡立ちます。
再度染液へつける
2番液ができたので染液に追加して、再度染液へ布を入れました。同じように20分つけます。
やっぱり泡立ちます。黄色が濃くなっていきます。
水洗い(重要)
20分経ったら、布の水気を絞って、よく水洗いします。染液の色が出なくなるまで、3回ぐらい水を替えて水洗います。
ここで染液が残っていると、変色の原因になるので、しっかり水洗いします。
もっと濃い色にしたい場合は、さらに媒染→水洗い→染液を繰り返します。最後は必ず染液→水洗いで終わります。(媒染で終わらせない)
濡れている状態よりも乾くと色が薄くなるので、そこも考慮しつつ、好きな色になるまで染めます。
乾かす
室内の物干しに陰干ししました。濡れている時に金属に触れると媒染されて変色するので、金属ハンガーに注意です。ステンレスは大丈夫です。
乾燥後の色は、ぱっと明るい黄色でした。(写真に明るさが出てませんが)
鉄媒染で色調整
アルミ媒染で黄色を染めると、なんだか明るすぎる、と思うことが多いです。そんな時は鉄媒染を重ねるのがおすすめです。
乾かす前の水洗いまで済んだ段階で、ハギレを半分に切って、半分は鉄媒染で重ね染めすることにしました。
鉄媒染液作り
染料店で買った木酢酸鉄液を使いました。いつも少なめに入れて、染めながら様子を見て追加しています。
汚れてもいいと思う容器に、水を入れて、そこに木酢酸鉄液を3滴入れて混ぜました。
※鉄媒染の詳細はこちら参照→ 媒染とは(鉄媒染、銅媒染の媒染剤)
鉄媒染液に漬ける
濡れた状態の布を媒染液に入れて、よく動かします。目を離さずに、色の変化を見ます。
だんだん暗い色になっていくので、ちょっと緑がかって暗くなったかな、と思う段階で取り出して水気を切りました。
水洗い
染液に戻す
染液の残液が冷めていたので、ステンレス鍋で温め直してから、布を入れました。
20分漬けました。
染め終わったら、よく水洗いして、絞って、陰干しします。
鉄媒染を重ねた後の色
できあがり。何色?と聞かれたら緑と答える色になりました。もう少し暗い色まで鉄媒染したほうが好みかも。
アルミ媒染した布と並べるとこんな感じです。
背高泡立草染めで思ったこと
- 身近な雑草が染料になる、というところが好き。
- 都心のビル建設予定地の空き地で黄色い花の群生を見て染めたいと思ってから3年。やっと染められた。
- アルミ媒染はかなり明るい色になった。エンジュ染めの色に似ている。
- もっとおとなしい色が好き。
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。