紫根染めと紫根の臭い問題(未解決)

シコンの染料

以前、紫根(シコン)で草木染めをしたら、においが臭くて使い物になりませんでした。染めているときは大丈夫と思ったのに、乾いたら、なんとなく変なにおいがして取れません。

紫根染めは伝統的な染物で、江戸紫とか京紫とか、こぞって染めようとしているけれど、においはどうしているんだろう?と疑問に思っています。

そんなに気にならない、という人もいるし、私も、時には「あれ、におわないかな?」と思ったりもする時もあるのですが、改めて別の日に嗅いでみると、やっぱり匂いがあったりするので、気になっています。

東北のほうの紫根染めでは、3~5年枯らすそうです。匂いのためではないと思いますが、そのぐらい放置しておけば、においがどこかに行ってくれる気もします。

紫根染めの鉄媒染の色が好きです。草木染めには青系の色が少ないし、他の原料ではなかなかその色にならないので、できたら紫根でたくさん染色したい。

その前に立ちはだかっているのが、日光堅牢度よりも、ニオイ問題です。

草木染めでの色の失敗は重ね染めで修正できるけれど、ニオイは取れないので、それが解決できず、紫根染めから遠ざかっています。

紫根のにおい

ケモノ臭とカビ臭をあわせたようなにおいがします。くさいです。

染料そのものも変なにおいがするけれど、紫根で染めると、染めたものが臭いです。

紫根の乾燥染料で、フレンチスリーブのシャツと、薄手ウールのマフラーを染めましたが、どちらも身に着けると不快でした。何度か洗ったマフラーを会社にしていって、同僚にかいでもらったら、「私だったら使うの無理!」と言われました。異臭を放つほどではないけれど、顔まわりに置きたくない臭いです。

紫根を染色したことがある人に聞くと、「気にならない」という人もいるし、「薬効もあるし、におうものだ」という人もいました。ニオイは感覚的なものなので、その人が気にならないだけなのか、本当ににおわないのか、話を聞いただけではわかりません。

使った染料がダメだったのかもしれない、と思って、別の場所で買いなおして染めてみたところ、やっぱりダメでした。他の染料店でも乾燥染料の匂いをかがせてもらったのですが、同じようなにおいがしました。

生の紫草から染めたシルクの匂いを嗅いだことがあります。その時はニオイは感じなかったんです。時間がたったものだったのかな?生の染料で染めた経験がないので、それなら大丈夫なのか気になります。

染め方の問題なのか

当初、紫根で染めてある実物を目にしたことがなく、自分ではじめて染めたので、自分のやり方が悪くてにおうのか、それとも元々そういうニオイなのか、悩んでいました。

とある人に染めた物のにおいを嗅いでもらい「シコンの匂いだね」と言われた後も、古くから使われている代表的な染料が、使い物にならないぐらい臭いのか?本当なのか?と納得いかないままでした。

紫根は昔は高貴な色として使われていて、お香をたいてニオイをごまかしていたと聞きました。香水でごまかせるたぐいのニオイではない気がするので、疑問です。

書籍には、「紫根には独特のニオイがあります」と書いてあります。

書籍「草木染 四季の自然を染める」(山崎和樹著)には、「紫根は温度によって色素が変化しやすく、暖かくなると嫌な臭いが染めた布に残ってしまう」と書かれていました。これが私を悩ませました。

これは、裏を返すと、「寒い時期に染めれば嫌なにおいはしない」と言っているようにも思います。その書籍での抽出方法は、熱湯に食酢を少し入れた液をたらして、色素をもみ出す、という方法です。アルコール抽出ではなく、もみ出しで色素をだせばいいのか?と悩みました。

そのもみ出す方法は、試そうとして自分では失敗しました。今度、習いに行こうかと思っています。→その後、行ってきました。そしてその時は臭わなかったです。紫根染め。もみ出す方法を習う

紫根染めの臭いと染める季節

このブログの、みたか紫根復活プロジェクトについて書いたページを読んだ方から、以下の情報をいただきました。

※このページです→ みたか紫草復活プロジェクトで紫根の種まき

「紫根染めは昔から寒の仕事と言われていたようで、冬の寒い時期に染めていたそうです。

それを踏まえて私も実際に夏と寒い時期で試してみたのですが、暑さの盛りの8月に染めたものは強烈な臭いになりました。

逆に、寒い時期(12月~3月上旬迄)に染めたものは全然気になりませんでした。

私も何故なのかは良く分かりませんが個人的意見としては、もしかしたら気温や湿度などのによって干している時や染液などの環境に何かがあるのかもしれません。はたまた、菌の繁殖なのかもしれません。」

なお、臭いが出てしまった時は夏場にアルコールで染めたもので、手で揉み出すのは冬にしか行っていないそうです。

この情報をいただいて、染めたその時というより、その後の処理の部分が関わっている気がしてきました。生乾きの洗濯物の臭いにも似ているので、なんとなくそう思いました。

私が染めたことがあるのは11~12月の東京、そこまで寒くない時期です。場所は室内でした。もっと寒い時期に寒い環境で染めたら、また違うのかもしれません。

紫根の薬効とニオイ

薬効があり、病気よけの意味として用いられたようです。

煎じ液は、解熱・解毒・皮膚病の薬やけどや湿疹、肌荒れの漢方薬として使われるそう。

独特の匂いがあるからこそ、邪気を払うという効果があるのかもしれないし、ニオイが消えた場合に薬効がどうなるのかはわかりません。

私は色が気に入っているので、薬効は消えてしまってもかまいません。

追記:紫根そのもののニオイと、布に付く嫌なニオイは違う感じもします。紫根の染料自体のニオイは独特ですが、さほど嫌なニオイではないです。

紫根の保存方法

染料の紫根は、冷蔵庫に保存したほうがよいそうです。私は、自宅の暗い棚にしまっていて、夏もそのままだったので、その影響もあるかもしれません。

その年にとれた紫根は、その年に使ってしまうのがよいそうです。染料自体の質も関係してそうです。

よく水洗いする

染色の最後、よく水洗いしたほうがよいそうです。

ニオイが出てしまった生地を触った時、ぺたっとする手触りのものがありました。ニオイの原因とはあまり思えませんが、よく水洗いするのに越したことはなさそうです。

色抜きで臭い取り

アルコール抽出で乾燥染料から染めたストール。染めた時は大丈夫と思ったのに、ビニール袋に保管したらニオイが出ました。

そのまま1年以上経過後、きれいな紫色ですが、ニオイがあって使えない状態。臭いが取れることを期待して、色抜きすることにしました。左が木綿、右がシルク。左の木綿のほうが、ペタッとした手触りです。

紫根染めストール

クエン酸では色抜きできず、洗濯洗剤でも色抜きできず。意外に洗濯に強いようです。

酸素系漂白剤の過炭酸ソーダでも色抜きできず。過炭酸ソーダは除菌による消臭ができます。乾燥時の菌がニオイの原因であるならば、取れるはずですが、取れず。菌は原因ではないのかも。

アルカリだからか、紫が紺色に変わりキレイでした。シルクは傷みますが、ニオイのほうが問題なので使用しました。

紫根染めの過炭酸ソーダ

左が木綿、右がシルク。濡れた状態。シルクは濡れた状態ではニオイがなかったのでここで終了。(でも乾いたらニオイが出てきました)

漂白後の紫根染めストール

木綿はニオイがある感じだったので、ハイドロを使って漂白。

写真の左側はハイドロしなかったシルク。乾いたらニオイが残っていました。写真の右側がハイドロ脱色した木綿で、くすんだ緑色でニオイがしません。紫色が取れないと、匂いも取れないようです。

漂白後のストール

似たような色の染料「貝紫」

ちなみに、同じような色の出る、貝紫も、臭いとききました。

貝紫自体を見たこともないし、入手できるアテもありませんが、色はステキなのでいつか試してみたいなと思っていた矢先、強烈なにおいがすると知りました。

紫色を染めたいのに、ニオイ問題が立ちはだかっています。

紫根染めで思うこと

  • このニオイ問題、いつか解決したい
  • 何年も置いておいて臭いを飛ばす、というのが今思い浮かぶ解決策
  • 寒い時期2月頃には染めたことがないので、その頃に再チャレンジしたい
  • いつか紫草を栽培して生の原料で染めてみたい

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。