草木染めの失敗記録

チンゲン菜のゆであがり

草木染めで染液が上手くできなかったり、染まらなかった時のことを書きます。

失敗したからといって、その植物で染まらないという訳ではないかと思います。

季節、使う量、やり方など、どこかが間違っているのだと思います。

色が出ない

スイカの種染め

スイカの種をミキサーで砕き、20分煮出しましたが、色があまり出ませんでした。(2020年8月)

スイカを食べて残った種を果肉を取り除くため、水で洗いました。

西瓜の種

スリコギで叩いても殻が砕けなかったので、ミキサーで砕きました。

種の中身まで混ざって、白濁しています。

沸騰後20分加熱したところ。白濁していて、色があまり出ていませんでした。

ガラス瓶で色を見ると薄い黄土色。布を入れてみたものの、染まる気がしなかったので、途中で終了しました。

残りカスはこんな感じでした。

西瓜の種の残りカス

さくらんぼの種染め

さくらんぼを食べた後に残った種。冷凍庫に保存して貯めていました。

サクランボの種

ただ単に種を水で煮た場合、ほとんど染液に色が出ませんでした。

サクランボの種を煮る
サクランボの種の染液

砕いたら色が出るかと考えて、ミキサーで砕きました。できるだけ果肉を取り除くべく洗ってから、ミキサーにかけました。

サクランボの種をミキサー

鍋にあけると、かなり白濁していました。

白濁したサクランボの種液

濁った液は捨てて、新しい水から煮ることにしました。

サクランボの種水を交換して煮出し

沸騰して20分煮出したのですが、色はほとんど出ませんでした。

サクランボの多年の煮出し

モミジの枝

モミジの枝。皮は赤っぽくて、中は緑色っぽい枝です。(2019年12月)

煮てみました。枝の量が少なかったかもしれません。

染液は黄色。少し白濁しています。

桜の枝ように時間を置けば赤みが出るかと思い放置しましたが、何日経っても赤みは出ませんでした。黄色の染液では染まる気がしなかったので、そのまま終了しました。

カリンの実染め

カリンの実はジャムが赤くなると聞いたので、煮てみました。(2019年11月)

カリンの実

適当な大きさにカットして、煮ました。

カリンの実をカット
カリンの実を濾す

とれた染液はとても薄い色で、染まりそうになかったので終了しました。

カリンの実の染液

カリンジャムには糖分を入れるので、その代わりになる物を入れるべきなのかもしれません。

栃の実染め

拾ったトチノミでは染まりませんでした。大きい殻の中に栗みたいな実が入っています。(2019年11月)

トチノミ

中の栗部分を包丁でカットして煮ることにしました。白濁するので切らない方がいいのかも?

栃の実をカット

少し緑っぽさのある黄色い、白濁した染液が取れました。

栃の実の染液

濃染無しの木綿には、色が入りませんでした。

トチノミ染め作業

外側の殻も煮てみましたが、とても薄い色でした。

トチノミ外側の殻の染液

トチノミについては、どのような状態が染まりやすいか習いました。なので、染料の状態の問題だと思います。

松飾り

松葉は赤茶系に染まるはず。松飾りの廃棄時に染められたら素敵と思ったのですが、失敗。松飾りの松葉なので、日数が経った染料だったのと、使った量が少なかったのが原因だと思います。もしかしたら季節もあるのかな?

松飾りの松葉を1本(10g)を切って、重曹を少し入れた水2リットルで煮ました。

すごく薄い黄色で、パンチがない染液でした。

松葉の染液1番液

2番液は、水量を500mlに減らして、重曹を小さじ半分入れて抽出。赤みは少しだけ出たものの、茶色っぽく、やっぱり力がない感じ。

松葉の染液2番液

透明黄色の液でも、時間が経てば酸化されて赤みが出てくるものもあります。失敗した時の液は、もっと力のない液の感じ。写真だと伝わりにくいかもしれません。

色が薄い

赤かぶの皮染め

紫大根のような色あいの赤カブ。皮をむかずに食べますが、ヘタの周りやひげが生えた部分は取り除くので、そこを集めて使いました。赤カブの皮42g。

赤カブの皮部分

赤くない部分も含めて42gあります。水200mlを加えて、ステンレス鍋で煮ます。

赤カブを煮て染料抽出

染液の色は赤紫で、結構色が出ています。

赤カブの染液は赤紫

下の写真は、そのままの濃度で牛乳パックの紙(ディスポン濃染処理なし)を染めて自然乾燥したものです。

赤カブ染めの牛乳パック紙

色紙としてなら使えたのですが、ステンシル文字を書くには薄すぎたため、ボツにしました。

※アントシアニン色素で植物繊維を染めるのはむずかしいと思います。詳細はこちら→ アントシアニン色素で染めたい

菜花ゆで汁染め

ホウレン草やチンゲン菜を煮ても、葉物の草木染めと同じように染まるはずです。ただ、食べるために菜っ葉を湯がく時は、「さっとゆでる」ので、染液が薄すぎて染まりませんでした。

チンゲン菜をゆでる
チンゲン菜のゆであがり

食べられる部分の煮汁で染めるのはむずかしいかと思いました。

リンゴの皮染め

食べる時にむいたリンゴの皮を煮ました。(2019年1月)

リンゴの皮を煮る

煮ると、ジャムみたいな雰囲気になります。

リンゴの皮を煮る

皮を取り除いた液は、赤みがありますが白濁していました。

リンゴの煮汁

コットンタオルを染液に1回付けた後。若干ピンク色に染まりました。(模様を入れるためにフタで生地を挟んでいます)

その後、媒染した後。赤い色が落ちてしまいました。

染液に戻してもあまり色が戻らず、失敗。乾くと本当に薄い色になり、ほとんど染まっていません。薄くてもいい色ならよいのですが、薄汚れたような色です。

2年半後。模様がはっきりしてきました。少しだけ色が濃くなった気がします。きれいな色ではないですが。(2021年10月)

※リンゴの皮や芯を緑茶染めに活用した話はこちら→ 緑茶とリンゴでピンクに草木染め実験

ヤマモモの実の発酵染め

いただいたヤマモモの実(260g)を冷凍庫に保管して1年経過。(染めた日:2020年9月~10月)

ヤマモモの実

実を潰そうとすると、中の種が大きく、種から実をはずすのが大変でした。酢水に漬けながらこすりとりました。

ヤマモモの実の種

ガラス瓶に果肉と種、酢水ごと入れてフタを閉めて常温で9日間。時々フタを開けて空気を入れました。色は鮮やかではなくて、褐色、赤茶色。酸性、ペーハーはpH3。

数日で発酵して、ビンの底に水分(思ったより薄い色)が溜まり、上側に固形分に分かれました。

発酵したヤマモモの実液

実も種も入ったまま、ステンレス鍋で10分加熱。甘酸っぱいジャムみたいな匂いがしました。

こしたものを染液にしました。染液は、透明感の無い、にごった色。みょうばん先媒染を20分したハギレを入れて20分染色。

ヤマモモの実の染液で染色

染色後、水洗いする前の生地。染液よりも鮮やかで、ショッキングピンクくらい鮮やかな色でした。

ヤマモモの実染め水洗い前

水洗いするとピンク色は取れてしまいました。
上段:水洗い前 下段:水洗い後
左から、シルク、濃染剤した木綿、濃染無し木綿

乾いた後は、とても薄い色で失敗。木綿だけでなくシルクも薄い色でした。写真に色が載らないくらい薄い色です。

ヤマモモの実染め乾燥後

一見色が染まったように見えても、水洗いで抜けることはアントシアニン系の特に赤みが強い色でよくある気がします。

染まらない素材

樹脂加工された和紙

たたみ屋さんの店頭の「ご自由にどうぞ」で、和紙の畳のハギレを手に入れました。「和紙なら染まるはず」と思ってコチニールで染めましたが、ほとんど色はつきませんでした。

畳和紙

調べたところ、和紙のタタミは樹脂で防水加工されているようです。水をはじくなら、染まらなくて当然でした。

草木染めの失敗で思うこと

  • 私ができていないだけで、染料によっては工夫すれば染まるのかも
  • 染まらないと作業が無駄な感じがして、むなしくなる
  • そら豆の皮やサクランボの軸など、意外なものでも染まるので、「食べ物の捨てる部分」は実験したくなる

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。