派遣の終了日の2週間前の派遣会社からの確認事項
同じ派遣会社で次の仕事が決まっていない場合、契約終了まであと2週間くらいの時期に、派遣会社から、契約終了に伴う社会保険手続きについての案内があります。
派遣会社によってやり方は違うと思いますが、「離職票を発行するか」「更新の意思があるか」は手続きに必要なので、何かしら確認があるはずです。
これは、失業保険にも関係してくる大切な確認です。
引き続き同じ派遣会社で仕事が決まっている人、すぐに決まりそうな人は何もしなくて大丈夫です。
回答にあたって注意が必要なのは、「決まらなかったら失業保険をもらおう」と思っている人です。回答の内容が重要なので、慎重に選択することをおすすめします。
目次
派遣終了時に確認がある内容
契約終了に伴う保険手続き
派遣会社(リクルートスタッフィング)からきたメールのリンク先、マイページ(登録している派遣会社の個人用ページ)に、下記の3つの質問がありました。
- 「離職票」の交付を希望しますか?(はい・いいえ)
- 次の就職先に「雇用保険被保険者証」をすぐに提出する必要がありますか?(はい・いいえ)
- 現在の契約の更新または延長を希望していましたか?(はい・いいえ)
私の答えは以下でした。
- 「離職票」の交付を希望しますか?(はい)
- 次の就職先に「雇用保険被保険者証」をすぐに提出する必要がありますか?(いいえ)
- 現在の契約の更新または延長を希望していましたか?(はい)
これらの何が重要かというと、失業保険は離職票をハローワークに提出してから日数のカウントが始まるので、離職票の発行が遅れれば、失業給付を受け取るタイミングも遅くなる、ということが1つ。
あと、「契約の更新を希望するかしないか」ということが、失業給付金をもらえる日数や、失業後の国民健康保険の支払い金額に影響してくる場合があるので、それがとても重要です。
まず大前提、失業保険をもらえる条件
給与明細を見て雇用保険料を払っているなら、失業保険がもらえる可能性があります。
わかりやすいようにざっくりと書くと、下記のような人に資格があります。
- 離職前の2年間に12ヶ月以上雇用保険に入っていた
- 倒産とか、「期間の定めのある労働契約が更新されなかった」などの場合は、1年間に6ヶ月以上雇用保険に入っていた
なので、抵触日問題で契約満了となる、3年以上同じ職場で働いていたような派遣社員は、雇用保険を払っていたなら条件をクリアしているはずです。
離職票の交付を希望する
派遣のお仕事紹介を受けながらも、離職票を希望することができます。
希望しつつも、もし仕事が決まらない場合には失業保険を受けたいから、というテイです。
リクルートスタッフィングの場合は、希望者のみに離職票が発行されるので、失業保険をもらおうという人は、希望しないといけません。
離職票をいつもらえるかというと、普通は退職日から2週間~半月程度で離職票は届きます。もし派遣の離職票が届かない場合は、派遣会社に確認したほうがいいです。
雇用保険を払っていたなら、離職票がもらえないということはないかと思います。
※1ヶ月待機ルールは過去の話です。すぐに離職票を請求すると自己都合になるのでは?という不安はこちらを読んでください→ 派遣社員の失業保険の1ヶ月待機について
給付制限や優遇措置との関係
よく、辞めた理由が自己都合だと、給付制限(3ヶ月もらえない)があるといいますが、派遣社員の場合は、契約満了であれば給付制限はないことが多いです。
※追記:2020年10月1日以降の離職から、自己都合の給付制限は、3ヶ月から2ヶ月に短縮されています(5年間のうち2回まで)
派遣会社から確認があった質問(更新希望の有無)のどちらを選んだとしても、離職理由は、契約期間満了による離職になります。
派遣会社の説明ページには、以下2つのことが書かれていました。
1つは離職理由についての説明。自分の都合で契約期間中に途中終了した場合は「自己都合」、契約期間満了で契約の更新または延長を希望している場合は「契約期間満了による離職(契約更新または延長の希望あり)」、契約期間満了で契約の更新または延長を希望していなかった場合は「契約期間満了による離職(契約更新または延長の希望なし)」になるということが書かれています。
もう1つは給付制限についての説明。”「契約期間満了による離職」の場合は、給付制限はないとされていますが、詳細につきましては最寄りのハローワークへお問い合わせください。”と書かれています。
とても親切です。更新の希望の質問の選択肢にも明記されていて、わかりやすいです。
派遣の場合、「新たな派遣就業の指示を拒否した」と判断されれば自己都合となるため、「必ず給付制限が無い」と言い切れないのが歯がゆいところかと思います。
※離職理由の仕組みは結構複雑です。詳細はこちら→ 派遣契約満了なら失業保険はすぐもらえるのか
失業保険がもらえる日数が増える
失業保険がもらえる日数は、年齢と雇用保険に入っていた年数、離職理由で違います。90日分という人が多いです。
ここで、派遣会社に確認された「更新の希望ありかなしか」の答えが重要になってきます。
それによって、特定理由離職者になる、ならないが決まるからです。
ハローワークインターネットサービスから、該当する箇所を抜粋して引用します。
【特定理由離職者の範囲】
1.期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(以下省略)
特定理由離職者になると、もらえる日数が増える場合があります。離職日が平成21年3月31日から令和4年3月31日までの場合、所定給付日数が特定受給資格者と同じになるからです。
たとえば被保険者期間(雇用保険を払っていた期間)が1年以上5年未満の場合、失業保険がもらえる日数は、30歳以上35歳未満で120日分、35歳以上45歳未満で150日分、45歳以上60歳未満で180日分になります。
ふつうであれば90日分しかもらえないものが、120日分、150日分、180日分になるということです。
失業給付は、働いていたなりの金額がもらえます。給料の月額が20万円位なら7割の14万円位です。
それが1か月分でも失業保険が延長されるなら、失業期間が長引いてしまった場合、安心です。
だから、特定理由離職者であるのか=更新を希望したか、が重要なわけです。
あと、この特定理由離職者になった場合、国民健康保険料を計算する際、前年の所得を30/100として保険料を算定してもらうことができます。
※抵触日で3年満了の場合は、更新の希望の有無は関係なく特定受給資格者(優遇措置あり)になります→ 派遣会社からの離職票の離職区分は2Aでした
※今だと、新型コロナ影響離職者であれば、さらに延長給付に該当する場合があります。延長給付の話はこちらに書いています→ コロナ後の派遣の失業保険(体験談)
別の派遣会社の雇用保険喪失手続き
別の派遣会社からの確認事項の書類(雇用保険喪失手続き連絡票 兼 離職票発行依頼書)を人に見せてもらいました。その派遣会社の場合は、郵送で紙が届き、送り返すタイプです。
雇用保険喪失手続きについて、ABCDの4つから選ぶ形。それぞれ選択した場合の離職理由が明記されています。
Aは、その派遣会社で引き続き派遣就業を希望していて、でも次の派遣就業が決定していない。雇用保険喪失の手続きを1ヶ月間保留する、というもの。
Bは、その派遣会社で引き続き派遣就業を希望していて、でも次の派遣就業は決定していない。雇用保険喪失の手続きを希望する、というもの。
AとBはどちらも、離職理由が「本人が雇用契約の更新を希望したが紹介できなかった為」になると明記されています。
Cは、今後しばらくの間、その派遣会社での派遣就業を希望しない。雇用保険喪失の手続きを希望する、というもの。このCの場合は、離職理由は「本人が雇用契約の更新を希望しなかった為」になると明記されています。
Dは、派遣先に直接雇用となる為、雇用保険喪失の手続きを希望する、というもの。このDの場合は、離職理由は「直接雇用になったため」と書かれています。
あとは、離職票の交付について希望の有無を選ぶ形です。
大手の派遣会社なら、だいたいこんな感じに確認があるのではないかと思います。
この会社の場合、封筒で返送する形です。退職日を待ってから健康保険証の返却と一緒にこの書類を返信しよう、思ってしまうと、離職票の発行も遅れると思います。早く失業保険をもらいたい場合は、すぐ返信したほうがいいのではないかと思います。
契約の更新が指すもの
希望の有無という話になった際に、「契約の更新」というのが、「今まで働いていた職場(派遣先)で働くこと」を指すのか、それとも「派遣元(派遣会社)で働くこと」を指すのか、わかりにくいと思っていたのですが、こちらの派遣会社の場合、「契約更新の希望」が「その派遣会社で引き続き派遣就業を希望」を指していることが明確です。
※契約更新が何をさすのか?についても、こちらに書きました(結論は出てません)→ 派遣契約満了なら失業保険はすぐもらえるのか
会社によって確認する言い回しが微妙に違う点が不思議です。
あとがき
派遣社員の失業保険について、伝えたいことを書いておこうと思って、ブログ内の記事を再編成しています。記載におかしな点がありましたら、お問い合わせフォームからご連絡いただけると助かります。
※その他に派遣満了時に気になることはこちら→ 派遣の契約満了のこと
※追記:登録型派遣の契約期間満了の話になります。無期転換ルールで無期雇用に移った人など、契約期間が決まっていない無期雇用派遣(常用型派遣)は別物です。
※2024年1月追記:派遣社員を辞めてから5年経過。派遣社員の失業保険の内容は更新していません。参考になる箇所もあると思うので残していますが、古い情報もあると思いますのでご留意ください。「ここが違うよ!」などお気づきの点があれば、注釈を入れますのでお問い合わせフォームから、お気軽にお知らせください。