藍染とは何か、の続き。はじめての藍建て

2023年6月、はじめて藍建て(発酵建て)をしました。しました、と言っても、藍がめは毎日維持管理していくものなので、まだ始まったところです。

種から藍を育ててスクモにして、それを発酵建てするという、サイズは小さいながらもスペシャルな藍染めを教えてもらって、そのコースの最終段階、自分で藍を建ててみるという段階です。

初めて藍建てにチャレンジした、その感想を書きます。

出会い

草木染めの1つとして、藍染めもしてみたい、やるならきちんとしたやつがいい、と思っていたのですが、種類というか流派というか地域性というか、幅が広すぎて、どこで習うべきかも判断つかないし、むずかしそうだし、合宿とかあって泊まるのも苦手だし。その程度の意気込みでは大切な技術を教えてもらうのは失礼なのかもしれないし。

なんか、そういう雰囲気というか伝統文化があって、私みたいな中途半端な人間が立ち入ってはいけないような気配もありそうというか。

だから、ハイドロ建てとかブドウ糖建てなど、発酵建て以外の還元方法で、キッチン染めらしい藍染めを自分なりにがんばる方がいいかも、と考えを改めたところでした。

※それについて前に書いたのはこちら→ 藍染とは何か

そう思っていたところ、2021年春に岡山に移住して、生葉染め用に藍を育てたら育てすぎて使いきれなくなり、本格的に藍染をしている人に助けてもらいました。次の年、2022年春にその人がワークショップをする、ということを知り、参加することにしました。車で片道2時間、1年強の間に数回、日帰りで往復すればいいもの。こんなチャンス、なかなかありません。

藍を地植えで育てる場所、スクモを作る場所、藍がめを置いて染める場所、そして教えてくれる人。それに費やせる自分の時間。それらがそろってはじめてできること。めぐりあわせを感じます。

なんて贅沢なんだろう。そして、岡山に来なかったらできなかったこと。地方移住先は数あれど、たぶん、岡山に来ていなかったら、こんな機会は持てなかったと思います。

ちなみに私が習ったのは、美咲町の藍工房ainisomatteのainisomaruコースです。

※2024年3月追記:ainisomaruコースの2024年度の募集が始まっています。→ https://www.instagram.com/ainisomatte/

はじめての藍建て

はじめての藍建てに使ったスクモは、ワークショップに参加した生徒みんなで作った葉っぱを持ち寄って、先生の工房で作ったものを使いました。それとは別に自分でもスクモを作ったのですが、その藍建てはまだしていません。

スクモを持ち帰り、言われた手順通りにやってみて、藍が建ち、はじめて染めた、という段階です。発酵建て自体、失敗することも結構あるものだと思うので、とりあえず染めるところまで来れてよかったです。

天然灰汁醗酵建て

初めての藍染めで染まった色は、濃い青でした。こんなに濃い、と思いました。「本建ては色素が少ないから何度も染めて濃色にしていくもの」と思っていたのですが、そうでもない感じです。手法によって様々なのかも。

天然灰汁醗酵建ての色

発酵

スクモにしても藍建てにしても、発酵するということ、自然で不思議なもの。

発酵といえば、パン作り。私はパン作りが好きなのですが、かなり下手で、ローズマリーの枝から天然酵母を作って、パン作りを時々していますが、思ったようにならないことがあります。

がんばったらそれだけうまくいくかというと、そうでもないというか、要所要所と時間、環境、みたいな感じが、似ている気もしました。

畑でしている家庭菜園でも、発酵を意識することがあります。土づくりや有機肥料にも発酵が深く関わっているからです。自然には、発酵というものが普通に存在するというか。そんなこと、ベランダの植木鉢で植物を育てていた時は、考えもしませんでした。

藍染め以外にも、草木染めには発酵染めというものが存在しています。amazonのキンドル版が売っていたので、本を読みました。まだ何もしていませんが、今やることが落ち着いたら、落ち着かなくても並行して、それもやりたくて、やりたいことがいっぱいで困ります。

染めて作って販売、というループがきちんとできて、それで染めるならいいのですが、染めたい!だけで進んでいくと、困ることがいっぱいです。

違い

生葉から染める時に感じるのは、生の植物パワーが強すぎて、気を使うこと。生葉染めは短時間なので問題ないのですが、建染めに使おうとすると強い感じがします。

ハイドロ建てをする時に感じるのは、ハイドロという薬品が苦手で気を使うこと。

発酵建てで感じるのは、手や爪が青くなって取れないこと。日々青いです。

植物の力強さについては、生の植物のほうが感じます。それに比べると、すくもも、すくもを発酵した藍がめも、おだやかな感じがします。(灰汁は使うので、アルカリにはもちろん注意は必要です)

やってみて、「化学建てをする時に、ハイドロ入れ過ぎかも。還元量ギリギリを入れたい」ということを改めて思いました。ハイドロすると、2回目につけた時、還元力が強すぎて染めた色まで再度黄色くなることもあったから、入れすぎなんだと思います。「生葉染めでも薬品を使えば木綿も染められる」ということでハイドロ建てを使ったので、手芸本に書かれた、大さじ1入れる、みたいな簡単な表記を参考にしたことに問題があったのだと思います。

藍染自体は研究や実用がされているので、正しいハイドロ量は調べればわかるはず。

発酵建ては、自然が発酵してインディゴを還元してくれるから、ハイドロを使わなくてもよくて、ありがたいです。

初めて染めたもの

想像よりすんなりと藍建てができたので、染めるものの準備が遅れました。せっかく染めるなら使うものをと思って、作業着に愛用している長袖シャツを染めることにしました。

以前にアボカド染めをしてから、月日が経った既製品のシャツです。エリとヨークの内側が破れてたので、補修して染めることにしました。

古着シャツ

破れた箇所を型紙にして、もう着ていない麻シャツを裁断して補修に使いました。

破れた箇所を型紙に裁断

ミシンで補修しました。

シャツの補修

染めた後。お花模様みたいなムラ染めになりましたが、とりあえず着ちゃおうと思います。

初めて藍建てシャツ

アボカド染めに重なった部分は少し暗い色になりました。緑がかったような感じです。本来の色に近いのは、麻ヨーク部分。薄地だからかムラになってませんでした。

麻ヨークの藍染め青

服を中心に、いろいろ染めていこうと思います。

※アボカド染めシャツの経年変化はこちらの下の方にあります→ アボカド染めの紫っぽさ

わかったこと

現段階でわかったのは、発酵建てすることと、ハイドロ建てすることは、別物であって、用途にあわせて使い分けたらいいのかも、ということ。

発酵建てが本物で、ハイドロ建てが偽物ということもなくて、別物なのだということ。

藍を育てる毎日の労働まで換算したら、発酵建ては、プライスレスすぎること。

自然がそこにあって、藍建てがあること。

藍染に関連する知識も勉強になって、これからの藍染以外の草木染めに活用できそうです。

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。

※この藍がめから染めた巾着を販売中です。こちら参照→ 草木染め作品ギャラリー