天然染料ラックでウール靴下を染めてみる

ラック染めウール靴下

ウール染めの練習に、ラックダイ(パウダー)で使い古した靴下を染めました。染めた方法を書きます。

毛玉がある部分や、既にフェルト化していた部分は色むらっぽい感じ。ワインレッド色になりました。

ラックは動物性の天然染料です。草木染らしさは減るものの、パウダーを使うと少量で簡単に赤紫色が染まります。比較的色落ちしにくいし、ピンクや赤紫に染めたい時に簡単で便利な染物です。

※ウールの染め方の注意点はこちら→ 毛糸を染める方法(ウールの草木染)

染めた日:2020年1月31日

染料のラックとは

ビルマネムなどの木につくカイガラ虫が、樹から吸い上げた養分で分泌物を作って、そこから取れる色素です。

別名シコウとも呼ばれます。日本ではとれない海外のものですが、日本に入ってきたのは奈良時代。伝統的な染料の1つです。色素はアントラキノン類のラッカイン酸。

酢を入れて酸性にするとオレンジ赤っぽい色、中性に近いと赤紫色が染まります。

同じ動物染料のコチニールは虫の粒が染料として売っていますが、ラックは液体やパウダーが染料店で売っています。

今回使ったのは、藍熊染料(浅草の染料店)の「ラックダイ・パウダー」10g入り。少し(染めるものの0.5~2%程度)しか使わないので、私が買うのはこのサイズで十分です。

ラックダイパウダー

ビンに入った液体染料もあります。水に溶かすだけなのでさらに簡単です。

こちらは田中直染料店(京都の染料店)の「ラックダイ液EX10」。500mlビンですが、ワークショップで使ってもなかなか減らないです。

ラックダイ液EX10

少量で染まるので、染料の入れ過ぎに注意。残液でも染まるので、その使い道も考えておいた方がいいかもしれません。

熱々のお湯に多く入れた時、なぜか沈殿してしまったことがあって、その時は温度を下げて作り直したら大丈夫でした。(古いからかも?)

ラック染液の沈殿

なお、本格的な感じに煮出したい場合は、ラック樹脂がアナンダ(吉祥寺などにある羊毛屋さん)に売っています。

ウール靴下染めの材料

材料

  • ウールの五本指靴下1セット 39g
  • ラックパウダー アイスクリームスプーンに半分ちょっと(0.27g)・・・少なすぎたかも?
  • お酢 小さじ1(5ml)
  • 焼きみょうばん(スーパーで購入した食品用)大さじ1ちょっと(4g)
  • 酒石英 小さじ半分(2g)(みょうばんの半量)

※液体染料を使う場合は、たぶん、小さじ1(5㏄)程度だと思います。

使用量の計算方法

  • 染める靴下の重さ=39g
  • ラックダイパウダー使用量 = 染める靴下の重さの0.5%~2% =39×0.005~0.02 = 0.2~0.8g
  • お酢=適当な量
  • 焼きみょうばん= 染める靴下の重さの6% = 39×0.06 = 2.3g
    ※濃度が薄くならないように、多めに4g入れた
  • 酒石英 = みょうばんの半分 = 4g×0.5 = 2g
  • 染める際の水の量 = 染める重さの50倍 = 39×50 = 1950g
    ※大きさによって加減が必要

ウール靴下染めの手順

  1. お湯(お風呂ぐらいの温度)に靴下をつけておく
  2. 酒石英を熱湯(500ml程度)に溶かす
  3. 焼きみょうばんを追加して溶かした後、水を追加して合計2リットルにする
  4. 媒染液を40℃に加熱。靴下を入れて、弱火~中火(IH2~4)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げた後、10分放冷(計50分)。10分置きに混ぜる。
  5. ザルで水を切って、ぬるま湯でかるく洗う(湯をくぐらせる程度)ザルで水を切る。
  6. タオルに包んで洗濯機でかるく脱水
  7. 熱湯100mlにお酢小さじ半分を入れる。そこにラックパウダーを入れて溶かす。(レンジでチンした)お茶パックでこして鍋に入れる。
  8. 残った器に、熱湯100ml+お酢小さじ半分を入れる。お茶パックでこして鍋に入れる。水を追加して合計2リットルにする。
  9. 染液を40℃に加熱。靴下を入れて、弱火~中火(IH2~4)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げた後、20分放冷(計50分)。10分置きに混ぜる。
  10. ぬるま湯でかるく洗う(湯をくぐらせる程度)。お湯を変えて3回。
  11. タオルに包んで洗濯機でかるく脱水
  12. ベランダに干して乾燥

ウール靴下染めの写真と説明

お湯につける(重要)

お湯(お風呂ぐらいの温度)に靴下をつけておきます。素材によって浸水に時間がかかります。

ウール靴下をお湯に浸す1

むりやり押し込まず、水面に載せて、手で軽く押し、沈むのを待ちます。

ウール靴下をお湯に浸す2

そのうち沈みます。

ウール靴下をお湯に浸す3

使い古した靴下なのですぐにお湯につかりましたが、ふわふわのものは水を吸いにくいので時間がかかります。全然入っていかない場合は、モノゲン(ウール洗い用の中性洗剤)を少し入れたお湯に入れます。(その後軽く湯洗いします)

吸水が不足すると色むらになります。

酒石英と明礬を溶かす

ウールの場合は、媒染剤の沈殿防止に酒石英を入れます。

500mlくらいの熱湯に、酒石英を小さじ半分溶かします。みょうばんの半分の重さです。簡単に溶けます。

今回は誠和の酒石酸カリナトリウムを使いました。酒石英と似たようなものです。

酒石酸カリナトリウム

そこに、焼きミョウバンを大さじ1ちょっと(4g)を追加して、かき混ぜます。はじめ白いですが、そのうち透明になります。溶けたら、水を入れて薄めます。合計2リットルにして、媒染液になります。

※みょうばんの詳細はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方

みょうばん媒染

ウールは先媒染で1回で染めます。

媒染液の入ったステンレス鍋を火にかけて、40℃くらいになったら靴下を入れます。計量カップを鍋代わりに使っています。

みょうばん媒染開始

靴下を入れたら、火加減は弱火。ゆっくり加熱して徐々に温度を上げます。10分置きに温度をチェックしつつ、上下を返す程度に静かに動かします。

80~85℃になったら消火。そのまま少し放冷しました。時間がある場合は、フタをしてそのまま一晩放置します。

鍋が無い場合は、80~85℃に加熱した媒染液を作り、別の入れ物に入れて加熱せずに媒染します。ウールは急冷はだめですが、熱湯に入れるぶんには結構大丈夫らしいです。

お湯洗い

ザルですくって、少し水を切ります。

ざるですくう

バケツにためたお湯(お風呂の温度、40℃位)で軽くすすぎます。

お湯でゆすぐ

ザルですくって水を切り、タオルで包んで、洗濯機で軽く脱水しました。

まず養生

まず、キッチン台をサランラップをしいて養生しました。原液が垂れると落とすのが大変だからです。ティッシュペーパーも使える位置に用意します。フキンや雑巾につくと落ちないです。

サランラップで養生

ラック染液作り

ラックパウダーは、アイスクリームスプーンの半分強で、0.27gありました。散乱したくないので、取れた量を使用。後から考えると、もう少し増やしてもよかったかも。

ラックダイパウダー計量

お酢小さじ半分を入れた熱湯100mlにパウダーを入れて溶かします。濃い状態だと液はオレンジ赤色です。

酢入りの熱湯で溶かす

面倒だったので、ラップをして電子レンジでチンしました。

粉ツブが残るので、お茶パックでこしながら、鍋へ入れます。

ラックパウダーをこす

空になった器を、お酢小さじ半分を入れた熱湯100mlで洗って、こしながら鍋に入れます。

鍋に水を追加して、合計2リットルの染液にします。

ラック染色

染液を40℃に加熱してから、靴下を入れます。酢で溶かしているので、はじめのうちは、染液はオレンジっぽいです。

ウール靴下をラック染色開始

弱火~中火(IH2~4)で加熱しつつ徐々に温度を80~85℃まで上げます。10分置きに温度をチェックしつつ、上下を返す程度に静かに動かします。

予定より温度が上昇。10分後に60℃になりました。靴下が赤紫色になってきました。

ラックダイで染色途中

80~85℃になったら消火。20分放冷して、計50分染めました。時間がある場合は、フタをしてそのまま一晩放置します。

湯洗い

ザルですくって水を切り、ぬるま湯でかるく洗います(湯をくぐらせる程度)。お湯を変えて3回。

お湯洗い

この加減はよくわかりません。ウールなのでやりすぎて繊維を傷めてはいけないし、かといって染液が残るのもよくありません。

タオルで包んで洗濯機で脱水した後(濡れた状態)はこんな感じ。毛玉が付いた部分、ギュッとフェルト化した部分が色むらになっていました。あと、中に入っているゴムは染まりません。

脱水後の靴下

どうせ使い古した靴下だったので、傷むことなど気にせずに目が詰まった部分はモミモミしたほうがよかったのか、悩むところです。

普通の洗濯もののようにベランダに干して乾燥しました。

残液がまだ色が残っていて染まりそうなので、ペットボトルに保管しました。(でも、後日改めてみると、けっこう薄いので、染まるかはわからない濃度です)

とりあえず靴下を履いて洗濯してみて、色移りの心配は大丈夫そうです。

ウール靴下染めでの色ムラの原因

ログウッドで同じ靴下を染めた時はほとんど色むらはありませんでした。フェルト化していたこと以外にも原因がありそうです。私が思いついた原因は以下です。あっているかはわかりません。

  • 事前にお湯につけた時、水分が充分に吸収できてなかった
  • お酢を入れて酸性寄りにしたので、染まりやすく、その分、色ムラになりやすかった
  • 染液が薄かった(薄すぎるとムラになることは他の染料で体験済)
  • 加熱状態なのに動かさな過ぎた

その後、他で使ったラック残液の余り(薄め)で重ね染めしたところ、ムラがやや改善されました。濃度が薄すぎたのかなという気もします。

ウールマフラーを染めた場合

その後、染料店で購入したウールマフラー(新品、123g)を同じように染めたのですが、色むらはほとんどありませんでした。(ラックダイパウダー2.46g、水量6リットル、お酢7.5ml)靴下を染めた時に比べて3倍位、濃いです。

ラックダイウールマフラー

※2020年10月現在、こちらのマフラーをメルカリで販売中です。(メルカリでハッシュタグをつけて「#つぎいろ」を検索!)※追記:2021年7月に草木染め関連のメルカリ販売は終了しました。販売記録は残してあるので、検索すれば見ることはできます。

ウール靴下染めで思ったこと

  • ウールは染まりやすい。色落ちもしにくい。その点がラク
  • 冷えとり用のウール5本指靴下は白なので染物練習にぴったり
  • 新品のソックスを染めたら、色ムラなく染まるのか、いつか試したい

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。