2019年9月15日(日)蘇芳染めワークショップ開催報告

蘇芳染め草木染め体験ワークショップ

草木染め体験ワークショップ(みんなで一緒にスオウ染めをする会)を開催しました。その開催報告を書きます。

場所は最近ずっと同じ、東京都杉並区にある新高円寺の民家です。今回の参加者はリピーター6名でした。(次回22日は初参加の方も多くなるので、また違った雰囲気になりそうです)

染料店で買った乾燥染料の蘇芳(スオウ)で赤~紫色に染めました。初めてワークショップで鉄媒染を使い、酸やアルカリでの色調整にもチャレンジしました。

お茶タイムには糸紡ぎやハーブ蒸留に興味がある人のマニアックな話を聞きつつ、意外にお酒好きが多いことが発覚して、面白かったです。

※ワークショップ最新情報はこちら→ 草木染めワークショップについて

染めた日:2019年9月15日

蘇芳染めで染まった色

今回の蘇芳染めで染まったのはこんな色でした。濡れた状態なので、乾くともっと薄くなります。

今回は全員、染めるものは持ち込みでした。シルクは靴下1個だけで、あとはコットン素材でした。

ストール、サラシ、刺し子糸、手織りコースター、素材は木綿です。もっとエンジ赤色だった気がしていたのですが、こうやって見ると赤紫ピンクっぽいですね。たぶんアルミ媒染です。

蘇芳染めアルミ媒染の色

蘇芳染アルミ媒染の色

すおう染めアルミ媒染の色

ユニクロTシャツは、コットンに少しだけ化繊も入っているもの。

蘇芳染めユニクロTシャツ

鉄媒染もしたサラシと刺し子糸。紫色でした。

スオウ染め鉄媒染

鉄媒染もしたシルクの靴下。シルクは濃く染まります。

スオウ染め鉄媒染シルク靴下

乾くとまた色が変わると思うので、参加した方は、乾いた状態の写真をお送りいただけると助かります。

草木染めワークショップの雰囲気

初めに全体の流れや作業の注意点をお伝えして、準備開始。

藍熊染料で買った濃染剤カラーアップZBで濃染作業をしました。50~60℃のお湯に溶かしてつけるだけなので簡単です。

濃染剤

※濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

蘇芳の乾燥染料を計量しているところ。藍熊染料で買ったものを使いました。

染料計量

染液をステンレス製の軽量カップ(水マス)で煮出しているところ。途中で酢を入れ忘れたことに気がついて、あわてて追加。酢を入れると色がよく出るらしいです。すおうチップの色はオレンジです。

蘇芳染液の抽出

ソーダ灰(炭酸ナトリウム)の水溶液でpHを調整後、液を分けているところ。中和したらオレンジっぽい液が赤っぽくなりました。

蘇芳染液の分割

ソーダ灰をワークショップで使うのも今回初めてです。アルカリなので皮膚や目につかないように気をつけました。

アルカリ性にすると紫になりますが、蘇芳の紫は堅牢度が低いらしく、どの程度のペーハーにするか悩ましいです。

※ペーハーの話はこちら→ 草木染めとペーハー。酢や重曹

染液は濃く煮出して、薄めて使います。お湯で薄めた染液に布や糸を投入。ゴム手袋でも熱くて、割りばしで動かしているところ。

染色

染色しはじめの色。上が豆乳濃染を自宅でしてきた刺し子糸で、下が濃染剤を使ったもの。色づきが違います。

豆乳濃染と濃染剤の違い

こちらも染色しはじめ。手織りのコースター。糸の種類で染まる色が違っているね、と見ているところです。

糸で色が違う手織りコースター

アルミ媒染には、生みょうばんを使いました。これは田中直染料店のもの。いつも使う焼みょうばんの倍の量を使います。

生みょうばん

※アルミ媒染の話はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方

媒染液に入れると、薄いピンク色になりました。これはこれでかわいい色で、ここで終わりにしてもいいかも、という人もいました。薄い液で染めたらこんな色になりそうな気もしますが、スオウは色落ちしやすいので、薄い色はさらに退色しやすいかもしれません。

アルミ媒染

今回は最後鉄媒染をしたので残液は持ち帰りませんでしたが、スオウは残液でも結構染まるので、残液で薄い色を染めるという手もありそうです。

媒染液に入れると、染めた色が媒染液に流れ出てきます。蘇芳染を先媒染(媒染→染液)にするか後媒染(媒染→染液→媒染)にするか悩んだのですが、今回は後媒染にすることにしました。

再度、染液へ。残していた染液原液を追加して濃い液でした。

染色2回目

鉄媒染

今回、初めてワークショップで鉄媒染を使いました。以前、色がつかなくて補正に使ったことがありましたが、大々的に使うのは今回が初めてです。

時間に余裕があったので、汚染を防ぐためアルミ媒染が終わってから鉄媒染の作業に入りました。

木酢酸鉄を水に少し入れて、鉄媒染しはじめたところ。写真上側の紫の糸が、染液→鉄媒染のもの、下側の赤い糸が、染液→アルミ媒染→染液→鉄媒染のもの。

鉄媒染

鉄媒染液に入れると、アルミ媒染で赤色だったものが、だんだん紫色になりました。

鉄媒染

鉄媒染した刺し子糸を染液に戻しているところ。

染液に戻す

鉄媒染の量として、もっと多い量を使っているという話も出て、もしかしたら私の使用量は少ないかもしれません。色合いは紫に変わったので、効いてはいると思います。

使う量や排液をどうしているか情報共有しました。残液に鉄イオンが残るのも嫌だし、かといって効かなかったら意味がないし、入れすぎてシルクを真っ黒にした苦い経験もあって、鉄媒染はどのくらい使うのか悩ましいです。

最後、鉄媒染した紫色の生地の一部がピンク色っぽくなってしまい、染液に戻してリカバリーしたものがありました。作業のどこかで何かが付着してしまったようです。

複数の媒染を使ったり、ペーハーを変えて違う色を染めようとすると、そういう色移りが起こりやすくなります。さらなる色変わりが怖かったので、今回は集合写真を撮るのはやめにしました。

お茶タイムなど

少し片づけてから、お茶タイム。タタミのお茶の間で、まったりお菓子を食べました。

お菓子タイム

チョコのお菓子を食べたらブランデー味で、アルコールっぽさ満載だったのですが、「え、お酒入ってた?」くらいの人が続出。そこからお酒の話となって、お酒好きな人が多いことが判明しました。(お酒といえば、インスタグラムで居酒屋で飲みながら草木染めをしている投稿を見たことがあって、そういうのをいつの日かやってみたいです)

あと、ハーブ好きな参加者が、ランチタイムにバタフライピーという面白い飲み物を入れてくれました。レモンを入れると色が青から紫に変わります。手前の器の液が紫色になっているのですが、わかりますでしょうか?まるで染液みたいでした。

バラフライピー

あと、この場所は糸紡ぎの活動にも使われていまして、今回はその会の人も参加していたので、綿繰り機を少し体験させてもらいました。

和綿から種取りをする機械。綿繰り機。くるくる回してワタを送ると種が手前に落ちる仕組み。

綿繰り機

ワタをブラッシングして整える作業。整ったワタの写真を撮り忘れましたが、ペットの毛を整える道具みたいでした。

ワタのブラシ

今回は、刺し子や手まり、トールペイント、ハーブ蒸留や石鹸作り、糸紡ぎ、織物などが趣味の方が集まりました。趣味が重なる方がいると、マニアックな話になっていきます。いろいろな手芸や手作りに草木染めを組み合わせできたら素敵です。

被染物の持ち込みで、自分で紡いだ糸や、自分で織ったコースターもありました。

手紡ぎの糸

手織りのコースター

今後のワークショップ

9月にもう一度蘇芳のワークショップをします。(満席です)

10月のワークショップは何を染めようか悩んでいて、未定です。秋らしいものを採取して染めてみたいけれど、採取できるのかが課題です。詳細が決まり次第、このブログでお知らせして、メール送付の許可をいただいている方にはメールでお知らせします。

追記:乾燥後の色あい

追記:その後、参加した方に送ってもらった乾燥後の写真です。

木綿糸。ムラなし。左が鉄媒染、中央と右がアルミ媒染。

蘇芳染め刺し子糸

段染めの糸は、濃いところだけ濃染剤につけたもの。(吸いがよく液が上まで湿ってきたものの濃染剤は来なかったそうです)染めるときも 濃染剤が効いてるところから入れて、付ける時間に差をつけたそうです。きれいにグラデーションしてますね。

スオウ段染めの刺し子糸

木綿の刺し子糸とさらし。左がアルミ媒染&鉄媒染、中央と右がアルミ媒染。右の糸だけ豆乳下地をしたもので、あとはの濃染剤での濃染。

蘇芳染の刺し子糸と晒し

時間経過とともに、色の変化や退色がありましたら、またお知らせいただけるとありがたいです。


不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。

※つぎいろワークショップ全体についてはこちら→ 草木染めワークショップについて
※草木染めについて知りたい人はこちら→ 草木染めの目次