桜染めテスト。古い枝と新しい枝
ワークショップ開催に向けて、桜染めの実験を始めました。今回は、拾ってきたソメイヨシノの古い枝と新しい枝の違いをテストしました。ポキッと気持ちよく折れるのは古い枝、しなっとして折れにくく、枝の芯が薄緑色なのが新しい枝です。
結論からいうと、古い枝では布はベージュ色に染まり、新しい枝でピンク系の色に染まりました。なので、新しい枝だけを拾うようにしたいと思います。
枝が折れてから何日経つと古くなってしまうのかがわかりません。ワークショップは3月下旬の予定なので、今拾っても古くなってしまうかも?という点が悩ましいです。追記:冷凍することにしました。
染まらない布もあったので、濃度の問題はあるかもしれませんが、「何日も煮出さなくてもピンクっぽくなる」というのが発見でした。
染めた日:2019年2月11日
目次
桜染め枝テストの結果
テスト全体
左から、古い枝2番液、新しい枝2番液、新しい枝3番液の順です。上が無媒染、下がみょうばん媒染です。
どれも黄味がかっていますが、古い枝はピンクとは言えない色で、新しい枝はピンクといえばピンク(黄色がつよいピンク。まったりして、ローズピンクっぽい。一歩間違えるとステテコっぽい色)です。
古い枝と新しい枝
みょうばん媒染した綿ブロード生地(ディスポン済)です。染色→媒染→染色→乾燥アイロン後の色です。左が古い枝、右が新しい枝です。
水洗いした状態でも色を比較してみました。左が古い枝、右が新しい枝です。
色を見るため、パーソナルカラーのスプリングの色見本と重ねてみました。古い枝はピンクというよりベージュっぽく、ストッキングに最適な色です。新しい枝は、黄色を含んだピンクです。
※パーソナルカラーについてはこちらをご覧ください→ パーソナルカラーのこと
無媒染とみょうばん媒染
みょうばんの影響で黄色っぽくなる?と聞いたので、比較しました。大きくは違いませんが、若干、無媒染のほうがピンクっぽい感じがします。
新しい枝の2番液と3番液
2番液と3番液では、ほぼ同じ色になりました。ディスポン済の綿ローン生地を比較しています。
冷ましてから再度煮出す、を繰り返して濃い液を作るのかもしれませんが、冷ます時間はないので、2番と3番をあわせて使おうと思います。
染まらなかった生地
ストールになりそうな薄地コットン生地(ディスポン無し)はほとんど染まりませんでした。次の日別の染料でも染まらなかったので、生地自体が染まりにくい生地なのかもしれません。
桜の枝を拾い集める
さくら染めは、花からは染まらず、枝や葉から染めます。
時期的に一番いいのは、花が咲く前の枝といいますが、その桜の枝を入手するのは大変です。お花屋さんで販売しているものは花が咲いてそうだし、高そう。
桜の木が庭にある知り合いがいれば、剪定時にお願いしてゆずってもらうとか、台風などで折れた枝をもらうらしいです。でも、そういった知り合いは私にはいません。
山や道で落ちている小枝を拾う、という入手方法をみかけたので、私も試すことにしました。枝が落ちていないか桜の並木道を歩いたところ、結構落ちていました。東京は桜の木自体は多いと思います。車通りが多い道の場合は、トラックがぶつかって枝が折れたりもします。根気強く探せば拾えそうです。
「新しい枝がオススメ」ということは知っていたものの、どれだけの本数を拾えるのかわからなかったので、古いものも新しいものも、目についた枝を拾いました。
花泥棒は泥棒ではないという言葉はきいたことがありますが、道に落ちている枝を拾うのって違法でしょうか?念のため、整備する人が意識的に地面に撒いているような感じがした枝は拾わないようにしました。
結構拾えたのですが、選別してみると古い枝が多かったです。
枝を折ったとき、繊維がうまく折れずに、折った部分の中身が薄緑色になっているものを新しい枝と判断しました。2月上旬、だいぶつぼみが膨らんできています。
さくら染めテストの手順
- 枝を水からいれて、沸騰後20分煮る。とれた1番液は廃棄。
- 新しい水に重曹小さじ1を入れて、沸騰後20分煮る【2番液】
- 新しい水に重曹小さじ1を入れて、沸騰後20分煮る【3番液】
- 生地の湯通し
- 染液に漬ける(20分、57~60℃、pH10~11くらい)※以下、2番液と3番液は別々に行う
- 水洗い
- みょうばん媒染液に漬ける(20分)
- 水洗い
- 再度、染液に漬ける 20分
- 水洗い
- タオルドライしてアイロンで乾燥
サクラの枝染めテストの写真と説明
使った綿生地
スカーフになりそうな薄地コットン生地(ディスポン無し)と、昨年の桜染めの色テストでも使ったディスポン済みのローン生地・ブロード生地、オックスフォード生地(ディスポン後に黒豆染めして退色したもの)のハギレをテストしました。
※昨年のテストについてはこちら→ 桜染めの色テスト
ソメイヨシノの枝
左が古い枝で、右が新しい枝です。古い枝は、ポキッと簡単に折れて、皮の色が黒いです。新しい枝は、しなりがあって折りにくく、皮の色に赤味があります。折れた部分は薄緑で生っぽいです。
それぞれ4gずつ使いました。
重曹
2番液から重曹をいれました。水200mlに対して7g(小さじ1杯)を入れました。
染液のpHは10~11くらい。アルカリ性でした。
テストの流れ
水200mlで小枝を煮ます。古い枝と新しい枝、4gずつを別のステンレス鍋で煮ました。(写真は新しい枝です)
沸騰してから20分、1番液は捨てました。(写真は新しい枝です)
新しい水と重曹を追加。2番液を抽出します。重曹を入れたので泡が出ます。(写真は新しい枝です)
沸騰後20分煮たら、どちらもけっこう色が出ました。
新しい枝の2番液です。
古い枝の2番液です。
ガラス瓶に入れて比較しました。下の写真が左が古い枝、右が新しい枝の2番液です。ぱっと見は似たような感じですが、新しい枝のほうが赤味があり、古い枝はどす黒い、茶色い感じです。
布を入れてみると、新しい枝のほうがピンクがかっているのがわかります。
新しい枝の液に入れた布がピンク色になっています。
みょうばん媒染(濃度0.2%・常温)を20分しました。
水洗い後、再度使った染液に20分浸しました。水洗いしてタオルドライ、アイロンをかけました。
新しい枝については、3番液でも布を染めて比較を行いました。下の写真は、上が2番液、下が3番液です。液色はあまり変わりません。
これからの計画
- 新しい枝だけを拾う
- 2番液と3番液をあわせて使う
- ストールになりそうな生地は染まらなかったので、別の素材を準備する
- 椿灰を手に入れたい
- 染液の日数を置くと違うのかも比較したい
※追記:その後は、重曹は使わずにシンプルに煮出して桜色を染めています。サクランボの小枝での染色方法を書きました。桜と似ているので参考にしてください→ さくらんぼの剪定枝で草木染め
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