みかんの皮の利用法。みかん染めテスト

みかんの皮と染めた試験布

台所でミキサーやお酢を使ってみかんの皮から色をとり、草木染めにチャレンジしました。黄色い食べ物から黄色が染まると楽しいです。

挑戦した染色方法について書きます。重曹入れて染めると濃く染まりました。木綿は染まりにくいので、濃染は必要だと思います。

追記:夏みかんでママレード作る際の茹でこぼし汁で、とても明るい黄色に染まったという報告をいただきました。皮をスライスした後にしばらく冷凍保存したので、より一層色がよく出たのかもとのこと。マーマレードを作る時があったら、ぜひ染物もお試しください。

染めた日:2021年1月~2月

みかん染めで染まった色

酢ミキサー

左から、シルク、五倍子下地の木綿さらし、濃染剤の木綿さらし、濃染なしの木綿さらしです。

みかん染めの試験布

シルクや濃染剤をした木綿は、かわいい黄色。五倍子下地がシルクより濃い色で、少し緑がかった濃い黄色(いい色)でした。濃染していないサラシはほとんど染まりませんでした。

※濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

※五倍子下地の話はこちら→ タンニン下地(五倍子使用)

紅茶下地失敗

紅茶下地は失敗。下地自体が失敗で、ほんのり黄色がかった色。みかん染めが濃く染まるかどうかは、下地の出来に左右されると思います。

重曹煮出し

その後、ミキサー無しで重曹を入れて煮出す方法もしました。やや色は薄くなりましたが、同じような色でした。

上段:酢ミキサー 下段:重曹煮出し

みかん染め酢ミキサーと重曹煮出し

キッチン染めなら、これで十分だと思います。

追記:濃染剤したサラシ

紅茶下地失敗した後、緑茶下地をしてから重ね染め、まだ薄かったので濃染剤処理をして重ね染め2回。やさしい黄色。ひよこ色。

濃染剤下地のみかん染め

サラシなので、この色でいいと思うので終了。

みかんの皮の色素

ケルセチンとルチン

みかんの皮には、ケルセチン(クエルセチン、quercetin)が配糖体ルチン(rutin)として含まれている。どちらも水に溶けにくい。ルチンの色は、とても淡い黄色。(媒染で発色)

ルチンは皮の白い部分にも含まれるらしい。ミカン表面の濃いオレンジ色はカロテンでしょうか?(よくわからず)

ルチンの抽出にはアルコールが使われている様子。

ルチンやケルセチンを含む植物は、イチョウ、月桃、シナモン、どくだみ、フェンネル、ユーカリ、ルイボス、エンジュ、タマネギなど。

フラボノール色素

ケルセチンのようなフラボノール色素は常温でも抽出できるそうで、今回はその方法(酢ミキサー)を試しました。その後、単に重曹煮出しもやりました。

みかん染めテストの材料

  • みかんの皮 5個位(乾燥した状態で42g)
  • お酢 大さじ6(もっと使ったほうがいい)
  • 焼きみょうばん 4g
  • 染める布(サラシ100cmと5m角のハギレ布4枚)
  • 下地用のアッサム紅茶(出がらし。失敗)
  • 下地用の緑茶(多少は効果があったが濃くはならず)
  • 下地用の濃染剤カラーアップZB

みかん染めテストの写真と詳細

みかん染めのやり方について

「自然の色と染め―天然染料による新しい染色の手引き」(著者:木村光雄)という本に酢酸での抽出の方法が載っていました。

でも、その手順通りにやらなかった部分も多いです。

※草木染の書籍の話はこちら→ 草木染めのやり方がわかる本

使ったみかんの皮

みかんの皮、たぶん5個分。食べたミカンの皮をそのまま冷蔵庫に放り込んで、乾燥が進んでました。

乾燥したみかんの皮

ミカンの皮染液作り

硬かったので、ボールに水300cc、お酢大さじ5を入れて、しばらく浸しました。お酢をたくさん入れたかったのですが、家にあったお酢が足りず。クエン酸でいいのかは不明。

ヘタの硬い部分だけミキサーのじゃまにならないように外して、ミキサーがけ。ペースト状になります。

みかんの皮のミキサーがけ

こし布で絞りました。

皮ペーストを絞る

残りカスに、水200cc、お酢大さじ1を加えて再びミキサーして、絞りました。

左側が1回目。右側が2回目。どちらも同じような色でした。

みかんの皮の汁

絞って残ったカスは、まだ黄色でした。もっと長時間液につけておくべきなのか?と思いつつ、今回は上記で絞った液だけ使いました。

みかんの皮の絞りカス

絞り取った液をまとめ、水を足して2リットルにしました。鍋で少し温めました。加熱しすぎると何かが沈殿しそうな雰囲気です。

紅茶下地(失敗)

飲んだ紅茶の出がらしを煮て、バケツでサラシを紅茶液に20分つけました。(この下地は薄すぎて失敗でした)

紅茶液で下地

アルミ媒染

焼きみょうばん4gを溶かして、水2リットルで先媒染を20分しました。ハギレも一緒に入っています。

アルミ媒染

※媒染液の作り方はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方

ミカンの皮液で染色

温めた液をバケツに移して、布を入れました。動かしつつ20分。温かい液なので、柑橘系のよい匂いがします。

重曹の追加

中和したほうがいい感じがしたので、重曹を入れることにしました。

重曹を小さじ1と1/2、途中で入れました。泡立ちます。(吹きこぼれ注意。特に加熱時)最終的なペーハーはpH7と8の間くらいでした。重曹を入れた後の方が染まりやすくなったような気もしました。(もう少し多くてもいいのかも?)

染液に放置

染色液と媒染液を何度か行き来したものの、染まった色が薄かったので、最後は4時間半ぐらい染液に入れて放置しました。

最後水洗いした後。染まった色は薄いクリームイエローでした。乾いた後はさらに色が薄くなります。(下地の失敗が原因だと思います)

無下地のみかん染めサラシ濡れた状態

最後水洗いした後のハギレ。左から、シルク、五倍子下地、濃染剤下地、濃染なしの順。

みかん染めのハギレ

残液

翌日、残った液を温めたところ。かなり沈殿しそうでした。他のテストに使ったのですが失敗しました。

みかんの皮液翌日加熱後

下地のやり直し、染め直し

下地のやり直し。緑茶液で2回染めてから、もう少し濃いみかんの皮液を作って染めました。

写真に色がのらない感じですが、失敗した紅茶下地よりは黄色に染まりました。ひよこ色です。

緑茶下地みかん染めの晒

黄色の残液でさらに重ね染めしようとしましたが、うまく入りませんでした。みょうばん媒染する時も色が抜ける感じがします。

重ね染めみかんの皮染液

少しだけ染まりましたが、まだ下地の力が足りない感じがしました。

重曹を入れた場合

重曹を入れると濃く染まるかどうか、後日テストして確認しました。

みかんの皮を、酢酸を入れた水でミキサーした後、煮出しました。(酸性で煮出した状態)

左:そのままの染液(pH4~5) 右:重曹入り染液(pH8)
布の左:シルク 布の右:濃染剤した木綿

酸性とアルカリ性のみかん染液と試験布

乾燥後の布。上段シルク、下段木綿。右がそのまま、左が重曹入り。重曹を入れると黄色が濃くなりました。

※重曹を入れる時は、吹きこぼれ注意。特に加熱時はすごく泡立ちます。

どくだみ染めと同じ雰囲気を感じました。

※染液の色は違いますが、ドクダミの葉で染めた時に似ています→ どくだみ染めテスト

重曹煮出しの場合

ミキサーを使わずに、重曹を入れて煮出して染液を作る方法もやりました。

乾燥しかけたミカン5個分の皮(44g)をちぎり、水1リットルで、重曹小さじ半分を入れて、沸騰後20分煮出しました。2番液は、水と重曹を半分に減らして煮出し。

重曹入りミカンの皮抽出

黄色の色素が出ている感じがしました。

重曹抽出での染液

お酢がもったいないので、キッチン染めとしては、この染め方で十分だと思います。

みかん染めテストで思ったこと

  • 常温酸性でも色が取れるが、お酢は量を使う必要があり、もったいない感じがする。クエン酸でもいいのか?
  • 煮出すほうが、簡単。
  • 重曹を入れて色が濃くなる理由を知りたい
  • 木綿は濃染しないとかなり薄いので、いかに下処理するかが重要だと思う。
  • 今回は失敗してしまったが、身近な紅茶や緑茶でタンニン下地をしてみたい
  • みょうばん媒染で色が抜ける。五倍子下地が濃いのは、下地でアルミがきちんと付いているからかも。

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。