何を売るのか、自分の肩書きは何か

売る

働く、お金を稼ぐということは、何かを売るということです。

派遣社員だとしたら時給時間分の労働力を売るということです。

ものづくりが仕事だとしたら、作った作品を売って、その対価としてお金をもらいます。

でも、肩書きが作家だったとして、作品を売って生活費を稼げている人は、実際どのぐらいいるんでしょうか。疑問に思いました。

本当の肩書き

役者を目指して飲食店でバイトしている人の職業は、役者ではなくてアルバイトです。

職人仕事だけでは生きられない着物職人さんの職業も、その別の収入源が本当の肩書きです。

だんなさんの収入で生活しながら、物作りをして何か売っている人の職業は、作家ではなく主婦です。

そういう意味では、私は結婚しているので、私の今の肩書きは、失業者ではなくて主婦です。子どももいなくて、主婦業をほとんどしていないし、働かないと貯金が減るので気持ち的には失業者ですが、世間的には主婦なんだと思います。

今一番力を入れているものは、2つあります。

1つは草木染めワークショップ。でも、ワークショップ屋と言うには月1~2回では頻度が低すぎます。

もう1つはこのブログを書くことで、そういう意味ではブロガーです。でも、稼ぎが少なすぎてブロガーとは全く言えません。

見せる用の肩書き

1年前、都内でひらかれた移住イベントに、洋裁系のお仕事の方が話し手として参加されるということで行ってきました。

自分自身で洋裁を仕事にしている人に会ってみたいと思ったからです。

お話をきいてみて、どんな思いでその仕事をはじめて、どんなことをしているのか、よくわかりました。

物作りをする人は、どちらかというとウチにこもる、引っ込みじあんな人が多いというイメージだったのですが、そういう方では全然ありませんでした。

イベントの話し手として参加されていたので、あたりまえといえば当たり前なのですが、お話が上手な表現力のある方でした。

彼女が売っているのは、洋服ではなく、パフォーマンスであり、集客能力、伝達力であり、広告力かと思いました。

自分がしたいことを体現していて、うらやましく思いましたが、メインの仕事だけで食べていけるわけじゃないことも実感しました。

話してみて、彼女は人間として素敵な人だなと思いました。その人間的な魅力も、売り物の一部なのかと思いました。

あれから1年近く経って、先日、都内のクラフト市に彼女が出店していたので見に行きました。やっぱり素敵な人でしたが、「活動」がメインであって、商売は付随的なものなのかと思いました。

逆にそういう人だから、魅力を感じてしまうのかもしれません。

お仕事は何を?

「お仕事は何をしていますか?」と聞かれたら、なんて答えますか?

1年前のイベントで聞かれました。初対面で会った時に普通にかわされる挨拶みたいな内容ですが、口ごもってしまいました。

「派遣社員で事務」というのは、なんとつまらない肩書きなんだろう、と思いました。(同じように派遣で事務の方、すみません)

かといって、まったく他に肩書きがありません。長年労働者だったから、「主婦」という言葉が思いつきませんでした。

今だったら、「何もしていない」って答えるかと思います。何もせずに生きていていい身分なのかというと、よくないのですが、何もしていません。

何を売るのか?

何を作品として売ればいいのか、考えあぐねています。

お客様の需要の前に、本当に自分がいいと思っているものを作って売りたい。それは何だろう、と考えあぐねています。

自分が作れるものか?という問題は、とりあえず置いておきます。

日本製の生地を買おうと思ったら、すごく高い。日本で作られた手仕事の品物を買おうと思ったら、すごく高い。もし私のような人間がお客様だったら、見るだけで買わない。

価値のあるものを、高い値段で売る。そうすればペイするけれど、それを買うことが自分の価値観で見た時に正しいことなのか、「なんか違う」という思いが自分自身の中にあります。

何万円もする椅子を買う。その必要があるのか。そこまでの魅力があるのか。

(そこまで魅力的なものを自分で作れるのか?という大きい問題もありますが、そこは置いておきます)

天然酵母の高めでおいしいパンを買う。特別なごほうびとしては許されるけれど、私の日常にはないです。自分で酵母を作ってパンを焼く、というのが私の志向です。(でも下手なので、おいしくないです)

断捨離好きでミニマリスト志向なので、必要性が高いものを売りたい。

そういう意味では、お財布とバッグが気になります。あと、手芸が趣味の人に向けて、その資材となるもの(毛糸や刺し子糸など)を草木染めをして売る、というのが一番現実的な気がします。

でもなんかぴったりピンとくるものが思い浮かばず、制作も進みません。

労力の時給分が稼げるのかというと、稼げません。でも、作る楽しみがあるので、それを労働と思わなければ、精神的にはペイしそうです。

ワークショップで売るもの

草木染めワークショップを月1~2回程度、8ヶ月続けています。

ワークショップでは、草木染めをする「楽しさ」を売りたいと思っています。体験を売るということです。

自分がおもしろいなあと感じたことを、売りたい。まだ商売の形になっていないけれど、将来的には商売にしたいです。

お教室のように専門的で高度な知識や技術を売るというのは、性格的にあいません。

知識や技術には原価がないから、商売としては素晴らしい形だと思います。でも、自分が人に何かを教えることが向いているかというと、向いてません。

あと、草木染めというものが曖昧過ぎるという問題も感じています。「これ!」という確信が持てなくて、確信が持てないものを売ることはツライです。でも、その確信のなさが、草木染めを面白いと感じている点でもあります。

経験が浅いので、やるとしたら「~公認講師」みたいな資格をとってやるんだと思うのですが、違和感が大きいです。やりたいことと何かが違います。だったら勤め人のほうがいいかもしれない、と感じます。


2018年10月にブログを書き始めて、1年が経ちました。2019年6月に失業保険の給付が終わって、7月からは無収入。方向性を見失っていますが、Google検索で1ページ目に載るようにブログを整備しつつ、とりあえず入手した染料を使って染物をして、洋裁をして、それをブログに書いて、ワークショップの準備をしています。

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