2020年7月11日(土)五倍子染めワークショップ開催報告
7月の草木染め体験ワークショップ1回目、五倍子染めをする会を開催しました。場所は東京・新高円寺です。
五倍子(ごばいし)で染まる色は、派手ではない、いいあんばいの色なのですが、なかなか肉眼で見た色が写真にのりません。紫鼠色、灰色がかった紫です。なかなかうまく染まりました。
今回は、リピーター3名と初参加の方3名。初参加の方は、お友達に誘われて参加の方でした。煮出して染液を作るところから、一通りの手順をみんなで分担しながら、刺繍など手芸系の話をしつつ作業。楽しい会になったかなと思います。
目次
染料の五倍子
五倍子は伝統的な染料で、昔は歯を黒く染める、お歯黒にも使われたもの。ヌルデという木の虫こぶです。生の植物(しかも虫が寄生した部分)を見つけ出すのはハードルが高いですが、染料店で乾燥染料が売っているので手に入りやすいです。
ドライバーの柄をハンマー代わりにして砕いたところ。砕くと小さな粉みたいなものが入っていて、それが虫です。
草木染の染料の中で、五倍子の地味な色あいが好きです。染め方も、草木染のおもしろさを感じるポイントがいくつかあります。
以前、液体植物染料を使って五倍子染めのワークショップをしましたが、乾燥染料を煮出して染める会は今回が初めて。濃く染めることを目指して、手順を確認しながら染めました。
ワークショップの雰囲気
布や糸をお湯につけているところ。五倍子は木綿や麻などもそのままで染まり、下処理がいらないところもいい点です。
今回は、ステンレスの寸胴鍋2個を使って煮出しました。IHコンロの幅に、ぎりぎり2個置けます。
染め始めたところ。染液は薄いベージュ色です。
五倍子は無媒染やアルミ媒染で染めると薄い色なので、他の染料で木綿を染める時の下地染めに使われたりします。
※下地の話はこちら→ タンニン下地(五倍子使用)
色止めや発色のために媒染をします。ワークショップではミョウバンを使ってアルミ媒染をすることが多いですが、今回は鉄媒染。「硫酸第一鉄」を使って鉄媒染液を作りました。きっちり計量して媒染液作成。(写真なし)
※鉄媒染の詳細はこちら→ 媒染とは(鉄媒染、銅媒染の媒染剤)
媒染液に入れはじめたところ。ほんのり紫っぽく発色していきます。
どんどん濃い色になっていきます。
染液に戻すと、さらに色が入っていきます。
まあいいかと思う色で終了。
事前におうちで準備して板締め絞りをした方がいたので、板を外す時、みんなで見せてもらいました。
三角に畳んだ布を木型で両側から挟んで、2本の棒さらに挟んで固定している形です。
板を外すと、木型の部分だけ染まっていない形。
広げると、お花みたいな模様でした。
染め上がったら、お家の中に干しました。
五倍子染めの染め上がりの色
実物は紫がかった色なのですが、写真は灰色に見えるかもしれません。濡れた状態なので濃い色です。乾くと色は薄くなります。
コットン?のブラウス。袖口の糸は化繊で染まらず。
生成のネットバッグ。
乾きかけのリネンの布と、綿糸。
コットンのバッグ。
板締め絞りで模様を入れたサラシ。
木綿の糸。結構細いです。
セリアのトートバッグ。
すべて持込みの布や糸で、今回はシルクの方はいませんでした。生地や染め方によって、少しずつ違う色に染まります。
乾いたら色がまた違う感じになると思うので、参加した方は、ぜひ乾燥後のお写真をお送りください。このページに追記します。
新型コロナ感染対策
緊急事態宣言が解除されてから3回目のワークショップです。
ノブなどのふき取り消毒、窓を開けての換気、マスク着用、手洗いとアルコール手指消毒をしています。熱中症も怖いので、適宜持参の水分を取ってもらい、合間に休憩。広がりつつ気を付けながら、紙コップでペットボトルのお茶を飲みながら、個包装のお菓子でお茶タイムもとりました。
今回は窓から風が吹き抜けていて、冷房も時々つけて(IHコンロと併用するとブレーカーが落ちるんです)なんとか暑さは大丈夫でした。もっと暑くなった時に換気をどうするべきか、悩ましいです。
比較的近場の方の参加が多いですが、だんだん行き来する時の電車も人が増えてきたことと、東京の感染者数の今後のゆくえが気になります。
今後のワークショップ
五倍子染めは来週もう1回やります。
それとは別に、7月にもう1回、別の染料で臨時ワークショップをします。近日中に募集をかける予定です。8月はまだ何も決めていません。
同好会のような雰囲気を目指していますが、会員制ではありません。参加条件は「草木染めに興味がある方」です。募集が不定期なので、回によっては早めに満席になることもあるのですが、「ちょっとやってみたいな」と思った方は、気軽にご参加いただけたらと思います。
※つぎいろワークショップ全体についてはこちら→ 草木染めワークショップについて
※草木染めについて知りたい人はこちら→ 草木染めの目次
乾燥後の五倍子染めの色あい
乾燥後の写真を参加者に送ってもらいました。写真では色がよくわからないので、肉眼で見た時に紫っぽさが残っているかも確認しました。
刺繍用の綿糸とリネンの布。薄くなりましたがいい色、紫味が残っているとのことです。
コットンバッグ。写真ではグレーですが、実際はもっと紫っぽいとのことです。
さらしと刺し子糸。乾くと紫が消えて強めのグレーとのことです。
トートバッグ。写真の色よりは若干赤みがあるとのことです。
木綿の糸。実際は写真よりも暗め。紫に見えるけれどグレーと言われればグレーとのことです。
使っていくうちに色も変化していくので、その変化も楽しんでいただけたらと思います。