2019年11月24日(日)液体植物染料染めワークショップ開催報告
11月3回目の草木染め体験ワークショップを開催しました。11月のテーマは液体の植物染料。民家にあった、使われていない染料の在庫を使っています。今回は、五倍子(ごばいし)とラックダイを使って染物をしました。
参加者の1人が、試作中の型をたくさん持ってきてくれたので、みんなで手伝いながら、数人が板締め絞りにチャレンジしました。板でカバーした部分が模様になる、あれです。
残量の関係で、今回だけ染料をアカネからラックダイに変更したのですが、板締め絞りをする会みたいになったので、複雑な手順を考えていたアカネではなくて、結果としてよかったかも。
今回は、リピーターが3人、初めての方が3人の計6名。初参加の方は、過去の参加者のお友達と、過去の参加者のインスタグラムを見た方と、このブログを以前から読んでいた方でした。初めて顔を合わせた方同士が多かったのですが、型の置き方や留め方のアイデアを出し合ったりして、なごんだ会になりました。
参加する人によって自分の想像してなかったワークショップに変化して、面白いなあと思いました。
※ワークショップ最新情報はこちら→ 草木染めワークショップについて
染めた日:2019年11月24日
目次
体験ワークショップの雰囲気
以前ワークショップに一度参加した方が、型作りの試作品を沢山持ってきてくれました。
今回は液体植物染料を使った草木染めなので、濃度の調整をすれば濃く染めやすく、板締め絞りに向いています。
せっかくなので、希望者を募って、板締め絞りにチャレンジしてもらうことになりました。初参加の方に注意事項を説明をしながら、板締め絞りの準備も進めました。
割りばしで、板を押さえ、割りばしの両端を輪ゴムで留めます。こちらは飛行機。二人飛行機を染めたのですが、形は787と747の2種類あって、これはどっちかな?
星形を準備しているところ。ひとりでやると難しいのですが、人に押さえてもらいながらやると、留めやすいです。
説明や準備が終わったら、湯通し(地入れ)と濃染剤での濃染処理をしました。五倍子染めはタンニンを含むので濃染不要で、ラックダイを濃く染めたいものだけ濃染。シルクは濃染無しです。
1人、何点かずつ染めるため、何をどちらの染料で染めるのか、濃染処理をするのか、少し混乱。そして、刺し子用のサラシ生地を染める人が多かったため、人のものと判別できるように注意しているところです。
今回使ったのは、藍熊染料の濃染剤カラーアップZBです。濃染剤の詳細はこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポン
下処理が終わったら、五倍子染めと、ラック染めの二つに3人ずつ分かれて、別々に作業しました。液体染料なので、お湯に原液を溶かせば染液ができます。お手軽です。
五倍子の染液に布をつけているところ。薄い黄色なのに紫が染まるの?と驚いているところです。板締めの型が水面に浮きやすいので、水中に入るようにしています。
鉄媒染液に入れると、徐々に色が出てきます。今回使ったのは、田中直染料店の木酢酸鉄です。かなり古いものを使っています。
鉄媒染液の量はどのくらい入れるのか難しいので、様子を見ながら追加調整。参加者に、自作の鉄液を使っているという人もいました。
草木染めにはいろいろな染め方があるのですが、今回は、染液と媒染液を少しずつ往復して染めていくやり方にしました。何度か繰り返し、液の濃度を調整しつつ、布や糸が濃くなっていきます。
ラックも、原液をお湯に溶かして染めます。薄めの液と濃い目の液を作ってみました。
一度目の染色後の布の色。繊維の違いや、濃染処理の有無、染液の濃度や時間などで、ひとつひとつ違う色になっています。
ラックの染液は熱々にして染め始めたのですが、なぜか濃くした染液の方だけ、沈殿してきました。急きょ、ぬるま湯に交換して作り直したら大丈夫でした。
ラックダイの場合、他の液体染料に比べても、本当に少しの量で濃い染液になります。沈殿を防ぐためには、酸性に傾けて染めることのようです。おすすめの温度は50~60℃位らしいです。
私が個人的に赤紫色にしたかったので、今回はペーパー調整はせず、ほぼ中性(pH6と7の間くらい)で染めました。お酢を入れたりしてペーハーを変えると、染まりやすくなったり、また違う色あいになったりします。
※7月のワークショップで、ラックダイを酸性にして染めた話はこちら→ 2019年7月7日(日)液体植物染料染めワークショップ開催報告
ラックダイは酢酸アルミを使ってアルミ媒染しました。アルミ媒染についての詳細はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
飛行機の型を外したところ。ちょっとにじんでしまった原因をみんなで考えたりして、なんだか実験のようでした。
ランチ中、まだ染めていない布を板締めしたくなってきた人が、急きょやることになりました。くっきりさせるには圧を均等にかけたほうがいいね、と反省して、挟む板を丸みのある割りばしから、平たい割りばしに変更しました。
私が持ってきた正三角形の木片でも、板締めをやってみたいという希望があったので、チャレンジ。なんだか板締め絞りの会になってきました。細い縫い糸で留めています。
板が分厚いのは、東急ハンズで買った端材だからです。板締め絞りのセットは、5000円ぐらいで染料店で売っているのですが、高すぎて買えません。
お昼を食べて、板締めの準備ができたら、五倍子組とラック組を交代。
五倍子染めしているところ。左のタライには、図柄をたくさん留めたサラシが入っています。割りばしがたくさんです。右側のバケツには、刺し子糸。糸の質や元の色の違いで、染まる色も違います。
ラック染めのアルミ媒染。シルクや濃染した木綿に、濃く色が入っています。
板締め絞りを外すところ。外す時が結構楽しいです。こちらの三角は最後に鉄媒染をしたのでやや紫色です。
五倍子とラックダイで染まった色
いろいろ染まりました。青紫が五倍子、ピンクがラックです。濡れた状態なので濃いですが、乾くと色が落ち着きます。
タオルドライして、ビニールひもに干しました。鉄媒染したものとアルミ媒染したものはくっつかないように注意です。
最後に鉄媒染も重ねたラックダイは紫がかっていたり、さまざまに染まりました。後ろの絞り染めは、参加者がご自宅で準備してきたものです。
五倍子染めの晒し。平たい割りばしで挟んだので、クッキリ模様ができました。ワンポイントで入れてもかわいいかも。
テンセルのブラウス。五倍子染め。とても濃く染まりました。シャーリングのゴムは染まりませんが、裏側なので大丈夫。縫い糸も結構染まっていました。
飛行機とお星さま。たぶん、麻のラミー生地です。
ラックで染めた刺し子用の晒し。かわいいピンクに染まっています。
ラック染めの正三角形の板締めサラシと、刺し子糸。
乾いたら色が落ち着いて、また変わるので、ぜひ参加した方は乾燥後の画像をお送りください。(お時間がある時で大丈夫です)
ワークショップの反省点など
いつの間にか染色中に終了予定の15時30分を超えてしまい、いつもより終了が遅くなりました。順調に進んでいたつもりだったのですが、板じめの準備をしつつ、染料2種類で染めたので時間を使いました。
この民家の場合、お部屋の使用時間が厳密ではないのですが、そろそろ使えなくなるので、レンタルスペースの使用などを見越して、時間配分をきちんとしなくてはと思いました。
この民家を借りることができて、いろいろチャレンジできたなと改めて思いました。ありがたいです。
プロだったら、最低限の品質(例えば、この色ぐらいには染まる、という確約)が必要で、そうでなければクレームになるのかなと思います。
でも、「こうしたらどうなるんだろう?」という実験的なものは楽しくて、そういうものは失敗もあり得ます。今のワークショップは、そういった実験的な部分があって、楽しい反面、リスクもあります。そこまで伝わるように募集をかけるのが、結構むずかしいです。
今後のワークショップ
12月は、いただいたヤシャブシを煮出して草木染めをします。21日が若干あいてます。忘年会シーズンですが、ご予定があう方は、ぜひいらしてください。
追記:乾燥後のラックダイ、五倍子染めの色
乾燥後の写真を送ってもらいました。
五倍子染めです。板締めしたサラシがとってもいい色とのことです。靴下はシルク、糸は手縫い用の綿100%です。
ラック染めです。サラシと、靴下はシルク、糸は手縫い用の綿100%です。糸の先だけ鉄媒染を重ねて紫になっています。
綿ローンのバンダナ、シルクと綿のハンカチ、テンセルの薄手のブラウス。フリルが甘すぎて着れなかったブラウスが落ち着いた紫色になったそうです。
ラック染めの麻。下側が鉄媒染を染め重ねて紫色っぽくなっています。
五倍子染めの麻。航空機は、これが787でした。翼にエンジンが2個ついているのが747(ジャンボ)、エンジンが1個が最新型の787だそうです。
不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。
ワークショップに使える場所を探しています。染物に必要なのは、火力と水場です。ご存じな方はぜひ教えてください。
※ワークショップ全体についてはこちら→ 草木染め体験ワークショップについて
※草木染めについて知りたい人はこちら→ 草木染めの目次