2019年11月10日(日)液体植物染料染めワークショップ開催報告

茜染めと五倍子染め体験の集合写真

草木染め体験ワークショップ(液体染料で茜染めと五倍子染めの会)を開催しました。場所は東京都杉並区にある新高円寺の民家です。

今回の参加者はリピーター3名、初参加の方1名。初参加の方は、茜染めワークショップを探していて見つけたとのこと。直接見つけてもらえたのは初めてで、このブログも1年経って成長したのだと感じました。

今回は、五倍子を使ったタンニン下地と、初の煮染めにチャレンジしました。

自然なもの好きな方が集まった会で、おしゃべりが楽しかったのですが、段取りが複雑すぎたり、私が準備した生地に不備もあって、反省点が多い会でした。時間も押してしまい、最後はみんな疲れ気味。参加した方がほうじ茶をいれてくださって、それが体に染み入りました。みなさんお疲れさまでした。

※ワークショップ最新情報はこちら→ 草木染めワークショップについて

染めた日:2019年11月10日

茜染めと五倍子染めの色あい

茜染めはオレンジっぽい赤、五倍子は濃い青紫に染まりました。濡れた状態なので、乾くと色は薄まります。

茜染めと五倍子染めワークショップ

室内に干していた時の色はこんな感じ。茜染めアルミ媒染。それぞれ素材や染め方で色が違っています。ブラウスは以前、他の染料で鉄媒染をしてあったものなので、その鉄の影響もでています。

茜染めのブラウスやタオル

下地も媒染も無しで茜を染めたいという要望があり、それはピンク色に染まりました。洗濯物表示タグのほうが本体より濃く染まっていました。

下処理無し無媒染のシルク

五倍子は青紫色に染まりました。100均の木綿の手袋。指先はスマホ対応になっているそうです。

五倍子染めの木綿手袋

五倍子で染めたサラシや手紬ぎ糸、生成コースター。かなり濃い青紫でした。色がそれぞれ微妙に違います。

五倍子染めの手紬ぎ糸やコースター

液体染料の五倍子染めは、私が自宅で煮出して染める時より美しい色に染まっていて、この色を出せるようになりたいと思いました。

液体植物染料

ワークショップの開催場所がそろそろ変わる予定なので、民家にあった使われていない液体染料を使うべく、今月は液体植物染料をテーマにしました。

液体染料での染物の会は7月に初めてやったのですが、その時使わなかったインド茜と五倍子を選びました。五倍子なら、五倍子タンニン下地ができます。

田中直染料店のインド茜液22とゴバイシ液20。年代物です。

インド茜とゴバイシの液体染料

自然派な人もいたので、「液体染料って何でできているんだろうね?」という話になり、みんなでビンのニオイをかいでみました。お酒みたいな匂いがしました。抽出がアルコールだったりするのかな?

ワークショップの雰囲気

絞り染めをしたいという要望があったので、少しだけ一緒にやってみました。生地をきれいにつまむのが、なかなか難しいです。

絞り染めの準備

五倍子タンニン下地をしているところ。手前のバケツは、以前蘇芳染め(鉄媒染)をしたブラウスだったので、五倍子の液にいれただけで薄紫色に発色しました。

タンニン下地

タンニン下地用のアルミ媒染をしているところ。

タンニン下地用のアルミ媒染作業

この下地の手順が参加した方を混乱させてしまったのですが、今回は「アルミ媒染で五倍子染めをする」という一連の処理を、タンニン下地として行いました。

五倍子染めをアルミ媒染ですると、とてもうすいベージュに染まるだけで、ほとんど色はつきません。それを木綿や麻の布にすることで、染まりやすくなります。

鍋で茜の煮染めしているところ。後から考えたら、大きいほうの鍋にお湯を入れすぎでした。次回は減らします。

茜の煮染め

茜染めのアルミ媒染。今回は酢酸アルミを使いました。

アルミ媒染

媒染と染めを何度か繰り返して、茜原液を追加して、徐々に色が入っていきました。

茜染めの煮染め作業

奥はアルミ媒染ですが、手前のタライは下地も媒染もしていないタオルなど。アカネの染液だけでもピンクには染まるようです。

茜染めの作業

染め直しブラウスチュニック

以前、豆乳下地で蘇芳(すおう)染めをしたブラウスチュニックの持込みです。

染め直し用のブラウス

石鹸洗剤で5~6回洗濯して、退色が進んだもの。退色で豆乳下地によるムラが目立つようになり、染め直すことにしたそうです。できるだけ豆乳を落とした方がいいのかと思い、酵素系の洗剤で洗ってきてもらいました。

石鹸だからやさしいと思っていたそうなのですが、石鹸はアルカリ性なので、草木染めは色落ちします。蘇芳という染料自体も洗濯や光に弱い染料です。

絞りのためにブラウスにビー玉やビーズを入れて輪ゴムで留めた部分。このままでもかわいい。

ビー玉で絞り染め部分

濡れた状態ではうまく染まっているように見えましたが、乾燥してみないとムラがどうなったかはわかりません。

ワークショップの反省点

布小物の保管

私のほうで準備していた手ぬぐいに折ったような色むらが発生しました。申し訳ありません。

手ぬぐい屋さんで買った白い手ぬぐい(さらし)を、自分でビニール袋に個包装したものです。今年5月に準備したもので、部屋の片隅に白いビニール袋に入れて保管していました。

光が当たると布は山焼けするということで、その可能性が高いです。後から思うと、話として聞いたことがあったのですが、実際体験して身に沁みました。

染色後の布は気をつけていたのですが、染める前の布の保管方法がおろそかだったと反省しました。

また、布在庫を持つということにリスクを感じました。

複雑すぎた点

当初、浸し染めでやろうと思っていたのですが、茜染めのテストの際に温度が低いと染まりにくかったので、煮染めをすることにしました。

また、植物繊維の濃染は、五倍子を使ったタンニン下地をすることにしました。

煮染めという初の試みに加えて、タンニン下地もやり、鉄媒染もあって、流れが複雑化。時間もかかってしまいました。

次回からは、分担して作業するなど、並行して2種類の染料を染める形に変更して、説明の紙も改善しようと思います。

今後のワークショップ

12月は準備中です。詳細が決まり次第、このブログでお知らせして、メール送付の許可をいただいている方にはメールでお知らせします。

追記:乾燥後の色あい

追記:その後、参加した方に送ってもらった乾燥後の写真です。

<参考>ブラウスチュニックの変遷写真を送っていただきました。

以前参加した方が染めた当初の色:蘇芳染めアルミ媒染

蘇芳染めアルミ媒染ブラウス

その後さらに染め直した色:蘇芳染め鉄媒染

蘇芳染め鉄媒染ブラウス

今回染める前:7、8回洗濯後

染色前のブラウス

今回染めた乾燥後の色:五倍子下地・茜染めアルミ媒染3回

茜染めアルミ媒染ブラウス

オレンジ系の色、ビー玉の模様もきれいに出ています。元々のムラは黒っぽく残ったものの、ヴィンテージ感があるとのことです。麻なので来年着る頃まで寝かせておくとのことです。

※2021年4月:7~8回洗濯後の写真を送っていただきました。今年も着倒して薄くなったらまた染め重ねるとのことです。

洗濯後の茜染めチュニック

 

前の日にワークショップで行った柿の枝染めと、五倍子染めの二色染めサラシ。色の組み合わせがぴったりでした。

柿染めと五倍子染めの二色染めサラシ

茜染め。やわらかな色あいです。

茜染め


不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。

ワークショップに使える場所を探しています。染物に必要なのは、火力と水場です。ご存じな方はぜひ教えてください。

※ワークショップ全体についてはこちら→ 草木染め体験ワークショップについて
※草木染めについて知りたい人はこちら→ 草木染めの目次