2019年7月7日(日)液体植物染料染めワークショップ開催報告

液体植物染料染め草木染め体験ワークショップ

液体染料(クチナシブルー、ラックダイ、ログウッド)とエンジュの草木染め体験ワークショップを開催しました。その開催報告を書きます。

今回の参加者は、前回までのリピーターが3人、初めての参加者が4人の計7名。前回の参加者が投稿したインスタグラムを見てこのワークショップを知り、来てくださった方が多かったです。ご参加ありがとうございます。

内容は、ちょっと盛りだくさん過ぎたかも。お待たせしたり、説明が追いつかないことが多々あり、反省点も多かったのですが、重ね染めや二色染めなどもできて、4種類の染料を使ったぜいたくな会ができました。

場所は前回に引き続き、過去の参加者(知り合い)が紹介してくれた新高円寺の民家。そこにあった、使っていない古い染料を有効活用することになって、今回のテーマになりました。

私は家にこもるタイプなので、外に出て動き出すことで、人の影響を受けたり、つながりができて、思いがけない方向にワークショップの内容が膨らんだことが、おもしろいなあと思いました。

※ワークショップ全体についてはこちら→ 草木染めワークショップについて

染めた日:2019年7月7日

田中直染料店の液体植物染料

今回は、いままでのワークショップとは趣旨をがらっと変えて、液体染料を使った草木染です。ワークショップで借りている民家に、使っていない古い染料があり、有効活用させていただくことになりました。

今回選んだ原料は、液体染料3種類(クチナシブルー液、ラックダイ液EX10、ログウッド液67)と、媒染剤の酢酸アルミ、乾燥染料のエンジュ。外観は化学薬品のようです。

田中直染料の染料

特にクチナシブルーは普段耳にしない植物染料で、興味をひかれました。草木染めで青色が染められる染料は数少ないので、染めてみたくなります。

すべて、京都の染料屋さん「田中直染料店」のものです。「田中直染料店」は以前渋谷にあったのですが、東京から撤退してしまい、縁遠い感じがしていたのですが、これで少し身近になりました。

ちなみに、東京の染料屋さんといえば、浅草に「藍熊染料」、高田馬場に「誠和」があります。

草木染めワークショップの雰囲気

はじめに資料を見ながら流れを説明。その後、希望者のみ、模様入れ準備や濃染処理。ここで作業が人それぞれになったため、ダンドリがぐちゃぐちとなり、私の力量を超えました。

なんとか足並みをそろえて、先媒染へ。

みんなで酢酸アルミで先媒染しているところ。通常は、アルミ媒染は焼みょうばんを使うのですが、今回は酢酸アルミをはじめて使いました。常温で溶かします。少し酢酸っぽいニオイがしました。

酢酸アルミ媒染

液体染料をぬるま湯に溶かして、布や糸を染めているところ。左の赤がラックダイで、右の青がクチナシブルーです。少しの液体を水に溶かすだけで染料ができるので、お手軽です。

ラックダイ染液とログウッド染液

ラックダイ液の色とペーハーのチェック。動物染料は酸性が強いほうが染まりやすいです。色も変化します。(木綿は酸に弱いので、入れすぎ注意です)

ラックダイ液の色

ログウッドで染色しているところ。ストールの一部分だけ染め重ねたり、糸の一部だけ染めたり。

ログウッド液の染色

エンジュの染液で染めているところ。クチナシブルーと重ねて糸を緑色にしたり、一部分だけ黄色にしたり。

えんじゅの染液

エンジュは乾燥染料を鍋で煮出したので、ちょっと手順が煩雑すぎたかもしれません。

ちょっと片付けてから、お茶タイム。今回は刺し子好きな方が多かったので、素材について聞いたり、質問ばかりして情報収集してしまい、すみません。

お茶タイム

草木染が初めての方からすると、染料も手順も盛りだくさんだったので、何がなんだか?という感じになったかもしれません。でも、はじめての草木染めというものを楽しんでもらえたようで、よかったです。

説明不足な点があったかもしれません。通常手順と違う部分も多かったので、普段の草木染のやり方についてはこちらをお読みください→草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹

古い染料の色にあわてる

ログウッド液で染液を作ったら、紫のはずなのに赤茶色でした。

想定外だったので、とりあえず手元にあったシルクハギレを投入してみたらアズキ色に。(後から考えると、先媒染していなかったから紫に発色しなかっただけかも)

開封して10年近い古い染料だったので変質かと思ってあきらめかけたところ、染物歴の長い参加者から「とりあえず重曹入れてみれば?」とアドバイスがをもらい、重曹を投入。

ログウッド液

重曹でペーハー8にすると、染液が紫になりました。アルミ媒染してある糸を入れたら、すぐ紫色に染まってホッとしました。

ログウッドで紫

他の場所にいた方は気がつかなかったかもしれませんが、こっそり、そんなことがありました。

木綿の濃染処理のこと

希望者には木綿の濃染処理をすることにしました。藍熊染料の「濃染剤カラーアップZB」を使いました。

濃染剤での濃染処理

※濃染剤についてはこちら→ 濃染剤カラーアップZBとディスポンについて

ラックダイとログウッドは、木綿でもそれなりに染まると思ったのですが、クチナシブルーはよくわからず、希望者のみ、濃染剤を使うことにしました。

でも、持ち帰った雑巾のクチナシブルー色は、洗剤で洗っても落ちなかったので、濃ければ濃染しなくても染まると思います。ここまで雑巾が汚れたのは初めて。液体染料のすごさを感じました。

染まったぞうきん

染め上がりの色

7人分の作品を並べてみました。とてもカラフルになりました。濡れた状態です。乾くと色が薄まります。

クチナシブルー、ラックダイ、ログウッドの染色

模様入りや染め分けしたもの。液体植物染料は濃いので、絞り染めで模様がくっきり出ます。スカーフの重ね染めや、バックの二色染めもできました。

液体植物染料の絞り染め

洗濯ばさみでの花柄もキレイに出てました。

クチナシブルー花柄模様

刺し子用の木綿糸やサラシ。刺し子糸は濃く染めたい、という話も聞きました。液体染料は濃く染めやすいのでちょうどよかったかもしれません。

刺し子用の糸染めと晒し染め

糸染め

刺し子用の糸の草木染め

アルミ媒染だけでこれだけ色とりどりになったので、媒染剤を複数用意すれば、もっと色の幅が広がるかと思います。

染液持ち帰って、媒染剤をお持ちの方は、ぜひ鉄媒染などもチャレンジしてください。

反省点

今回は液体だからラクかなと思っていたら、数が多かったので、ドタバタしました。もう少しダンドリを検討したいと思います。

ワークショップ中、必要な道具をさっと取り出せない自分にハタと気がつきました。

ワークショップをはじめた当初は、自転車でバケツや鍋を運んでいたので、「いかにコンパクトに運ぶか」がテーマでした。そのため、サイズや形状を優先して荷物を詰め込んでいたんです。

よく考えると、今はキャリーカートに載せて電車で運んでいるので、箱に入れて運べば、道具を整理して入れられる気がします。今度からそうします。

今後のワークショップ

今月は同じテーマでもう1回、28日に行います。(満席です)煮出す手順の削減のため、黄色にはウコン液を使うことにします。

来月のワークショップは、8月後半に行うつもりです。まだ何も決めていません。決まりましたら、このブログで参加者を募集します。

今後ワークショップをどういう方向性にするかはまだ模索中なので、その時々で違うものになりそうです。

なにかご意見、ご要望、ご質問などがあれば、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムからお気軽にお知らせください。

※ワークショップ最新情報はこちら→ 草木染めワークショップについて

追記:乾いた後の色あい

参加した方に、乾燥した後の写真を送っていただきました。草木染めは時とともに色が変化します。色落ちもします。その時々の色をお楽しみください。

持ち込みのドビー生地とガーゼ生地です。赤がラック、青がクチナシブルー。濃染していない生地です。

ラック染めクチナシブルー染めコットン

ピンクはラック染めのシルクストール(持込み)とコットンストール。青がクチナシブルーで、ログウッド残液を持ち帰って先を重ね染めしたコットンストール。

ラック染めシルクストールとクチナシブルー染めコットンストール

ラックにエンジュを染め重ねたコットンガーゼストール。

ラックとエンジュの重ね染めコットンストール

持込みのコットンバッグは黄色部分がエンジュ染め、青部分がログウッド。水色がクチナシブルー染めのシルクハンカチ。

エンジュとログウッドの二色染めバッグとクチナシブルー染めシルクハンカチ

刺し子糸と晒し。左からエンジュ×クチナシブルー、クチナシブルー、ラックダイ、ログウッド染めです。緑色は、残液を持ち帰って、黄色に染めていたものに青を重ねて緑にしたそうです。

刺し子糸と晒し

クチナシブルーにログウッドを重ねた、持込みの大きめコットンストール。(実物は画像よりもうちょっと暗めとのこと)

クチナシブルーとログウッド染め

クチナシブルーの刺し子糸。

クチナシブルー染め刺し子糸

ラックダイの刺し子糸。

ラックダイ染め刺し子糸

ログウッド×エンジュとログウッドの刺し子糸。

ロッグウッド染め刺し子糸

<残液活用>持ち帰った残液で、前回のブルーベリー染めのシルクストールにクチナシブルーを重ねたもの。落ち着いたグレーとのこと。(ブルーベリー染めを洗ったら、かなり色落ちしたそうです)

ブルーベリーとクチナシブルーの重ね染め

<残液活用>残液やエンジュの煮出した残りを持ち帰って、おうちで太糸(8本撚り)3カセを染めたもの。上から、未晒し(買った状態)、エンジュ×クチナシブルー×エンジュ、クチナシブルー×エンジュ×クチナシブルー、ラックダイ×エンジュ×ラックダイ、ログウッド×エンジュとのことです。

木綿糸