アボカド染め。染液の色
アボカドの草木染めでアルミ媒染(みょうばんで色止め)すると、布はコーラルピンクっぽい、かわいいピンクに染まります。
染液のできぐあいで、染まる色あいが変化しました。いくつかテストしたので、その結果を書きます。染液の色あいについて、アボカド染めする際の参考になればと思います。
染めた日:2019年7月17日~2019年8月16日
※アボカド染めの草木染の手順はこちら→ 簡単アボカド食べ染めレシピ
※色素のことや染め方のコツはこちら→ アボカドの色素と、染め方で思うこと
※重曹を使ったり、じっくりコトコト煮て染液を寝かせる、という方法とは違うやり方です。
目次
アボカド染液の色と染まる色
染める際の染液の色で染まる色が変わると感じています。
染液と布の色を一覧にしてみました。なお、ナベやバケツの中に見えている液の色と、実際の色(ガラスのカップで見た色)は違うことが多いです。
テストで染めた布
下記のテストで染めた生地をまとめて撮影したものです。「何色?」と聞かれたら、コットン(a)(b)(c)(d)(e)(j)(k)とシルク(f)(m)は「ピンク」、コットン(i)(g)(h)は「赤茶色」と答えるかと思います。
ピンク色に染まる色
イチゴ着色料のような色になると、クリアなピンク色に染まるのではないかと思っています。赤味はあるけれど、透明感があって、輝く感じです。そんな色が出るときは、なぜか泡立ちます。不思議。
落ち着いたピンク色に染まる色
上記の染液よりも、赤味が強い、落ち着いた色あいの染液になることが多いです。黄色茶色を少し含む、落ち着いたやさしいピンク色、ローズピンク系、ベージュピンク系に染まります。
濃く染まると、赤茶色、レンガっぽい色になります。
ベージュに染まる場合
染液に上記のような赤味が少ないと、赤味の少ないベージュに染まります。
アボカド染め色テストの条件
アボカド自体による違い(個体差)はあるかもしれません。コープで買ったメキシコ産のアボカド、普通の大きさ(150g~190gくらい)のものを使いました。
アボカドの種や皮は、生のまま、もしくは冷凍庫で数日~1ヶ月程度保存したものを使用しました。
アボカド1個だと、皮が15~25g程度、種が20~35g程度でした。種の大きさには幅があり、アボカド自体が大きくても種は小さかったり、逆に小さいアボカドに大きい種ということもありました。
種は半分に切って5mm程度にスライス。皮は手でちぎりました。
水による色の違いもあるかもしれません。東京23区内の水道水(利根川・荒川水系)です。
媒染は、スーパーで売っている焼ミョウバンを使いました。
弱火(IH3.0kwの火力3)で加熱しても、1.5リットルや3リットルの水量だと、けっこうグツグツします。強火のグラグラではありません。とろ火でもありません。
染液はナベで煮出しますが、染色はすべてバケツでの浸染め(火にかけない染め方)にしました。
クエン酸や重曹は使っていません。(重曹を入れるともっと暗い色の染液になります)
生地の種類や地の色を統一していません。その差もあります。
じっくりコトコト煮て染液を寝かせる、という方法とは違うやり方です。
アボカド染液(種)テスト
種の染液(a) 1番液
アボカドの種スライス25g、水1500ml、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて10分後に染める。1番液のみ使用。染液20分→媒染20分→染液15分→媒染5分→染液15分
染まった布の色:木綿のハンカチ。かわいい薄ピンク
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませた後の染液の色
<1番液>空気を含ませてから10分後の染液の色(このあたりで染色)
種の染液(d) 2番液+3番液
以前1番液を取って残った種を使用。アボカドの種(1番液の残り)15g、水3リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて5分後に染液1リットルを水1リットルで薄めて染める。2番液で染めはじめて、後から3番液を追加。染液20分→媒染20分→染液20分
染まった布の色:竹素材のストール。桜色みたいな薄ピンク。
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色
<2番液>空気を含ませた後5分後の染液の色(イチゴ着色料のような色)(これを薄めて染色)
<3番液>空気を含ませる前の染液の色(写真ではわからないが、やや紫がかった色)
<3番液>空気を含ませた後の染液の色(これを薄めて染色)
<2番液+3番液>倍量に薄めて染めた後の残液の色(色は消えているが茶色さはない)
種の染液(e) 2番液+3番液
以前1番液を取って残った種を使用。アボカドの種(1番液の残り)29g、水3リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて45分後の2番液と、直後の3番液を混ぜて染める。染液20分→媒染20分→染液20分
2番液1L+3番液1Lに、水1L追加の有無での差を比較。
左側:水追加なし。右側:水で薄めたもの。あまり色に差が無い。ともにオックスフォード生地。黄みのあるやさしいピンク。
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色
<2番液>空気を含ませて40分後の染液の色(ここで染めた)
<3番液>空気を含ませる前の染液の色(紫がかったとても薄いピンク)
<3番液>空気を含ませた後の染液の色(紫がかった薄いピンク)(ここで染めた)
種の染液(f) 3番液
以前1番液と2番液を取って残った種を使用。アボカドの種(2番液の残り)27g、水2リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて10分後に染める。染液30分→媒染30分→染液20分
染まった布の色:シルクのハギレ。写真の上段。赤味が強いピンク。下段は色比較用、皮の染液(b)の残液で染めたシルクのハギレ。黄色が強いベージュピンク。
<3番液>空気を含ませる前の染液の色(うっすらピンク)
<3番液>空気を含ませた後の染液の色
<3番液>空気を含ませて10分後の染液の色(ここで染めた)
種の染液(g) 1番液+2番液
アボカドの種27g、水3リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて45分後の1番液と、直後の2番液を混ぜて染める。染液20分→媒染20分→染液20分
染めた布の色:赤茶色。濃く染まったため、赤味は出ているがピンクというよりはレンガ色。皮(e)よりはやや薄い。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませた後の染液の色
<1番液>空気を含ませてから15分後の染液の色(この30分後に染色)
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色(ここで染めた)
種の染液(m) 1番液
アボカドの種40g、水9リットル、沸騰後20分強火で加熱(水量が多いので強火IH8)、空気を含ませて、染液3リットルを水3リットルで薄めて染める。染液20分→媒染20分→染液20分
染まった布の色:シルク糸。薄いクリアなピンク。薄い色ですがキレイです。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませた後の染液の色
<1番液>空気を含ませて5分後の染液の色(これを薄めて染色)
アボカド染液(皮)
皮の染液(b) 1番液+2番液
アボカドの皮20g、水1500ml、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませてすぐに染める。1番液で染めはじめて、後から2番液を追加。染液20分→媒染20分→染液10分→媒染5分→染液15分
染まった布の色:木綿のハンカチ。手前が色比較用の(a)種のハンカチ、奥が(b)皮のハンカチ。種よりもやや濃く、くすんだピンク。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませた後の染液の色(ここで染めた)
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色(ここで染めた)
皮の染液(c) 1番液
(c) アボカドの皮20g、水1500ml、沸騰後10分弱火で加熱、空気を含ませて5分後に染める。1番液のみ使用。染液15分→媒染20分→染液20分
染まった布の色:木綿のハンカチ。くすんだピンク。(b)とほぼ同じ色。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませて5分後の染液の色(ここで染めた)
皮の染液(h) 1番液+2番液
アボカドの皮40g、水3リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて45分後の1番液と、直後の2番液で染める。染液20分→媒染20分→染液20分
染めた布の色:赤茶色。濃く染まったため、赤味は出ているがピンクというよりはレンガ色。種(g)よりはやや濃い。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませた後の染液の色
<1番液>空気を含ませてから15分後の染液の色(この30分後に染色)
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色(ここで染色)
皮の染液(i) 2番液
以前1番液を取って残った皮を使用。アボカドの皮(1番液の残り)44g、水2リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて染める。染液30分→媒染20分→染液20分
染めた布の色:木綿オックスフォード生地。赤茶色。茶色っぽいレンガ色。
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色(きれいなブロンズ色)(ここで染色)
皮の染液(j) 2番液
以前1番液を取って残った皮を使用。アボカドの皮(1番液の残り)10g、水2リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて5分後に染める。染液20分→媒染20分→染液20分
染めた布の色:ダイソーの100円ハンカチ。薄ピンク。
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色
<2番液>空気を含ませて5分後の染液の色(このあたりで染めた)
皮の染液(k) 1番液
アボカドの皮10g、水3リットル、沸騰後20分弱火で加熱、空気を含ませて、染液1リットルを水1リットルで薄めて染める。染液20分→媒染20分→染液20分
染まった布の色:ローンハンカチ。かわいい薄ピンク。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色(紫がかった薄いピンク)
<1番液>空気を含ませた後の染液の色(イチゴ着色料のようなピンク)(これを薄めて染色)
アボカド染液の時間経過による変化 (e)
上記(e)について、時間経過による染液の色の変化を見ました。時間とともに色が濃くなりました。
<2番液>空気を含ませる前の染液の色
<2番液>空気を含ませた後の染液の色
<2番液>空気を含ませて10分後の染液の色
<2番液>空気を含ませて20分後の染液の色
<2番液>空気を含ませて30分後の染液の色
<2番液>空気を含ませて40分後の染液の色(このあたりで染色に使用)
<2番液>空気を含ませて1時間後の染液の色(染色には使用していない)
<2番液>空気を含ませて2時間後の染液の色(染色には使用していない)
<2番液>空気を含ませて3時間後の染液の色(染色には使用していない)
<2番液>空気を含ませて4時間後の染液の色(染色には使用していない)
<2番液>空気を含ませて7時間30分後の染液の色(染色には使用していない)
<2番液>空気を含ませて9時間30分後の染液の色(染色には使用していない)
<2番液>空気を含ませて1日後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませる前の染液の色(紫がかったとても薄いピンク)
<3番液>空気を含ませた後の染液の色(紫がかった薄いピンク)(このあたりで染色に使用)
<3番液>空気を含ませて20分後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませて1時間20分後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませて2時間20分後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませて3時間20分後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませて6時間50分後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませて8時間50分後の染液の色(染色には使用していない)
<3番液>空気を含ませて1日後の染液の色(染色には使用していない)
アボカド染液での失敗
種の煮出しに失敗(l)
アボカドの種40g、水9リットル、沸騰後20分弱火(弱すぎた)で加熱。水の量を増やしたため、火力が弱すぎた。うまく煮出せてなくて、空気を含ませても赤味が出なかった。
<1番液>空気を含ませる前の染液の色
<1番液>空気を含ませた後の染液の色
<1番液>空気を含ませて1時間30分後の染液の色
草木染めワークショップに向けて、条件を変えてテストした内容をまとめてみました。不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。
※アボカド染めの草木染の手順はこちらをお読みください→ 簡単アボカド食べ染めレシピ
※はじめてアボカド染めした時の話はこちら→ アボカドの皮・種・葉でシルクを染める