酸化マグネシウム(便秘薬)で赤みを出すテスト

アボカドの種2番液の色酸化後

草木染めで赤みを出すような染物の時、水質の違いで赤みがでないと聞いたので、塩や重曹、酸化マグネシウム(ゆるやかな便秘薬)を入れるテストをしています。

酸化マグネシウムを入れた場合の草木染めテスト結果について書きます。

ニガリ(塩化マグネシウムMgCl2)を使いたかったのですがスーパーに見当たらず、家に残っていた便秘薬(酸化マグネシウムMgO)を代わりに使いました。

酸化マグネシウムテストの条件

便秘薬は、酸化マグネシウム錠500mg「ヨシダ」を使用。爪で割って使いました。

酸化マグネシウム錠

元々の水は、東京の水道水です。

染料(そら豆の皮、ビワの枝、アボカドの種や皮)は、冷凍庫で保管していたものです。

染液が濃くなる

冷凍保存のそら豆の皮36g、水500ml、沸騰後20分やや強火。

水に酸化マグネシウム500を5分の1(0.13gくらい)の添加の有無を比較。

左が水、右がMgO入りの染液。MgOを入れると、水よりも濃く、まろっとした黒紫色でにごりが強いです。そら豆の皮の場合、いつも白濁はしています。

そら豆染液MgO入り

30分後。赤みが徐々に増す。

染色テストには失敗。2~3時間してからシルク靴下を染めようと試みましたが、ほとんど色が入りませんでした。

そら豆染めはまだ始めたばかりで、濃度不足や染めるタイミングの問題だったのかもしれません。

※そら豆染めの話はこちら→ 野菜で布を染める自由研究:そら豆染め

とりあえず、酸化マグネシウムを入れると、染液の色が濃くなることは分かりました。

紫っぽさが出る気がする

ビワの枝(2番液)53g、水1リットル、酸化マグネシウム500を0.12g入れた。沸騰後40分やや強火。

2~3時間放置後の染液の色。ビワの枝でも、水で煮出すよりも黒紫色にくすんだ染液になりました。

酸化マグネシウム入りビワ染液

2~3時間放置後の染液を温め直して、シルク靴下を染色。染液10分→椿灰媒染20分→染液20分。

染色後、濡れた状態の靴下。紫っぽさのあるくすんだピンク色。乾くと紫みは薄まります。

ビワ染め紫っぽいシルク靴下

普通に染める時よりも、紫っぽい雰囲気が強まる気がします。

みょうばん媒染をしてしまうとオレンジになりそうだったので、椿灰媒染にしました。何度も使い回したものなので、どの程度アルミ媒染の効果があったかはわかりません。

※枇杷の枝染めの話はこちら→ ビワの枝でオレンジピンクを染める

先に色が出る感じ

2番液の染液の色

アボカドの種スライス(2番液)10g、水1リットル、沸騰後20分やや強火。

水に酸化マグネシウム500を1リットルに溶かし、溶かした水溶液を86ml程度、片方だけ入れた。添加の有無を比較。(MgO量を減らした)

染液は薄紫ピンク色。左が水。右がMgOで、少しだけ濃く、黒ずんだ雰囲気があります。

アボカドの種2番液の色酸化前

空気を含ませた後。MgOのほうが明らかに濃く、濁っています。

アボカドの種2番液の色酸化後

3番液の染液の色

引き続き3番液を煮出し。アボカドの種スライス(3番液)10g、水1リットル、沸騰後20分やや強火。

液の濃さが逆転して、MgOを入れない方が、濃い液になりました。

煮出し直後。左が水だけ、右がMgOを入れたものです。

アボカドの種3番液の色酸化前

空気を入れた後。

アボカドの種3番液の色酸化後

なので、MgOを入れたほうが色が出やすくて、2番液の段階で先に色が出てしまったのかな?と思いました。

煮残った種も、MgOのほうが紫黒色になっていて、使い切った感がありました。左が水、右がMgO入りで煮残った種です。

煮残った種の色比較

染まる色

シルクの靴下を2番液で染めているところ。左が水、右がMgO入り。

アボカドの種酸化マグネシウム有無で染色比較

染まる色は、さほど変わらない感じがしました。

液色自体は濃く見えますが、それがそのまま染まるわけではない感じ。さらに時間を置いてから染めたほうがよさそうな感じがしました。

種の紫っぽい感じが染まるといいなと思います。

※アボカドの種の紫っぽさについてはこちら→ アボカド染めの紫っぽさ

時間経過と染液の色

時間を置くと染液に赤みが出るのは、水で煮出した場合と一緒でした。染液の色は、水よりも白濁、濁った色になりましたが、薄い場合は変わらない感じ。染料の使用量が少なかったからか、効果がよくわかりませんでした。

アボカドの種 2番液

アボカドの種スライス(2番液)24g、水1リットル、酸化マグネシウム500を0.16g入れた。沸騰後20分やや強火。

とれた染液は、白濁した薄黄色。ふだんは白濁しないので、そこが違います。

酸化マグネシウム入りアボカドの種1番液の色

空気を含ませると、すぐに赤みが出ました。

酸化マグネシウム入りアボカドの種1番液の色酸化後

さらに3分後。少し紫っぽさもあって濁っています。

酸化マグネシウム入りアボカドの種1番液の色3分後

20分後。染め始めた後も、液が濃くなりました。

30分後。さらに染液の色が濃いです。

白濁しない場合

何度も煮出して、染料が少なく薄い場合は、白濁したり濁ったりしませんでした。

アボカドの種 3番液

アボカドの種スライス(3番液)24g、水1リットル、酸化マグネシウム500を0.16g入れた。沸騰後20分やや強火。

3番液は澄んだ紫ピンク色でした。薄すぎると影響が少ないのかもしれません。

酸化マグネシウム入りアボカドの種3番液の色

空気を含ませた後。

酸化マグネシウム入りアボカドの種3番液の色酸化後

アボカドの種 4番液

アボカドの種スライス(4番液)24g、水1リットル、酸化マグネシウム500を0.11g入れた。沸騰後20分やや強火。

空気を含ませた後。

酸化マグネシウム入りアボカドの種4番液の色酸化後

とてもきれいな染液の色でしたが、薄すぎて、染めている間に液色が落ちて茶みが出てしまいました。

染液の紫っぽさ

アボカドの皮8g+種15g、水2リットル、酸化マグネシウム500を0.28g入れた。沸騰後20分やや強火。

酸化マグネシウムを入れると、染液に紫っぽさが出て、ワイン色になると思います。

アボカド染液酸化マグネシウム入り

その液で1回染液に20分浸したハギレ。シルクはくすんだ薄紫、濃染剤をしたサラシは紫みのあるピンク、濃染をしてないサラシは染まってません。

アボカド皮と種酸化マグネシウム入り染色1回目

シルクはみょうばん媒染するとオレンジっぽくなります。濃染したサラシは、乾くと小豆色っぽい雰囲気も出てきます。

テストして思ったこと まとめ

  • 酸化マグネシウムを入れたほうが色が出やすい
  • 液が濃くなるからか、どの段階で染め始めるか見極める必要がありそう
  • 今まで染めるタイミングを液色で判断していたけれど、液色が黒ずんで違うので、判断しにくい
  • 適量はわからないけれど、少量でも差が出た
  • 重曹と比べると、重曹を入れた方がきれいな色に染まる感じはする(たぶんアルカリ性だから)

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。草木染めをしていて、水の違いかな?と思ったことがあったら、ぜひ教えてください。

※長時間煮出すアボカド染めに挑戦した時も、酸化マグネシウムを入れました。その話はこちら→ コトコト煮出すアボカド染め