羊毛フェルトで草木染め財布作り
2022年春に毛刈り体験した、岡山育ちの羊(かんべーくん)の羊毛から、自分用のお財布を作りました。
毛刈りをした羊毛が自分の手で身の回りのものに変身して、使うたびにちょっとうれしい。そういうものが好きです。季節感を無視して、年中使おうと思います。
羊毛フェルト化とがま口財布作りについて書きます。羊毛を草木染めをした話はまた今度書きます。
目次
手作りがま口財布
今回の羊毛フェルト財布
表は茜染め(インドアカネ)のアルミ媒染。表面に毛玉っぽさがあります。幅は口金12cm。お札が二つ折りで入るサイズです。
裏は鉄媒染。マリーゴールド染め、茜染め、スオウ染め、五倍子染めが入っています。羊毛をちょっとずつ染めるのが楽しくて、自分にしてはカラフルです。
内側は、さくらんぼの枝染めシルク。使う上で重要なのは、中身のポケット。どこに何を入れるか決めて、自分好みになっています。
失敗点としては、ネットで買った口金の高さが4cmと低かったこと。もっと高いほうがガバッと開くので使いやすいです。
革財布に比べるとやわらかさがありますが、接着芯も入れたので、しっかりしています。
今まで使ってた財布
がまぐち作りは人生で2回目です。
7年前?くらいに作った1個目の財布は、日暮里繊維街で買った革の端切れから作りました。薄ければ家庭用ミシンでも革がなんとか縫えました。内布はシルクなので、使ううちにボロボロ。
高さがギリギリすぎて、口金を閉じる時にお札が挟まることがあるので、新財布は少し縦サイズを増やしました。
がまぐちは、口金と布をボンドでとめて、隙間に紙ひもを詰めて留めるもの。仕上げに口金の端をペンチ(専用の道具があればその道具)で潰して留めます。取れないの?と不安になるのですが、長年使って取れなかったから、取れないはずです。
小さい、上からすべて取れる、1つの口からすべて取れる、カードがたくさん入る(磁気的にはよくないかも)、という点が気に入っています。小銭は底にあるので、やや取りにくいです。
羊毛フェルト
羊毛は、「手紡ぎの会岡山」のイベント、吉備中央町で羊の毛刈り体験をしてきたものです。羊の名前はカンベーくん。
原毛からの糸紡ぎや織物や編物も先々はしてみたいですが、まだまだ草木染めだけで手一杯でたどり着けないので、とりあえずフェルト化で何か作ることにしました。
羊毛からフェルトを作る方法は2種類あります。ニードルでつついて固める方法と、石鹸水でゴシゴシもんでシート状にする方法です。
どちらかというと、羊毛フェルトというとニードルでつついて、小さいぬいぐるみやマスコットを作るイメージがあります。わたしも昔、小さい猫を作ろうとして途中で挫折しました。絵心が足りなくて、飼い猫に似なかったのが挫折の原因だと思います。
今回は、シートでのフェルト化に初チャレンジしました。手芸本を読むと、ブーツやスリッパ、バッグなども載っていて素敵です。羊毛の分量がそこまでなかったので、ガマグチにすることにしました。
ニードル針はこれです。
※写真はシートフェルト化の練習でお皿を作った時。フェルトの表面がボワボワしたので、ニードルでもつつきました。でも結局、フェルト化が甘かったと判断、ほぐし戻してお財布の一部になりました。スオウ染めです。
羊毛と草木染め
草木染めする
ウール、羊毛は草木染めに向いています。熱をかければぐっと色が入って、色抜けしにくいです。草木染めの色は日光に弱いものが多いですが、ウール製品は冬場に使うし洗濯も少ないので、そういう意味でも色が落ちにくいと思います。
染めているところ。茜染めです。
鉄媒染で少しずつ染めた羊毛。五倍子、茜、マリーゴールド。
混ぜて色を作る
アルミ媒染した茜染めが思ったより濃い色だったので、ブラシで白い羊毛を混ぜました。
本当はカーダーというブラシを使うのですが高価なので、100均のペット用毛取りブラシで代用。2個いります。
茶色いブラシのほう、針先に丸いゴムがついてないブラシがやりやすかったです。
毛玉になったり、毛が短くなったりしました。
色を混ぜるだけでなく、毛並みを揃えるのに使いました。
羊毛フェルト化作業
ざっとした流れを説明します。本を読みながらやりましたが、フェルト化させる手順は思ったよりむずかしいです。私の説明では作業の参考にならないと思うので、専門の何かを見たほうがいいです。
1回目失敗
作りたい大きさの型紙を作りました。移動させる用のシートとして、クリアファイルを使いました。
配置を決めて、型紙の上に置きます。
型紙の写真をとらなかったのですが、こういう緩衝材素材を切って型紙に使いました。(別のフェルト化作業時の写真です)
石鹸熱水をかけます。
これをゴシゴシこすると、繊維と繊維がからまってフェルト化していきます。はじめはやさしく、固まってきたら強く。
端っこを型紙にあわせて折りたたんで、ひっくり返して裏側の羊毛も配置して、裏側もゴシゴシ。
手順通りにやっているはずが、本当は表裏の端がくっついて袋状になるはずが、くっつかず。
次の作業として、巻きすで巻いて、タオルの上でコロコロして、さらにフェルト化が進むはずが、進まず。
巻きすというのはこれです。巻きずしに使う道具です。(別の作業時の写真。これはフェルト化が進みつつあります)
あまり縮まない状態で、乾かしたところ。かたまり具合が甘かったので、やり直すことにしました。
元々白かった部分も、フェルト化作業をすることで、淡いピンクに染まっていました。
2回目リベンジ表側
表裏を一度にフェルト化して袋状にすることはあきらめました。表側はある程度できているので、追加でフェルト化。
1回目はタオルをひいていましたが、四角いプラスチックトレイに変更。冬に作業して石鹸水が冷めやすいので、ゴシゴシして冷めてきたら温め直してかけ直すことにしました。
巻きすでコロコロの作業も丁寧にして、冷水で急冷もやってみて、なんとかフェルト化できました。写真だと違いがわかりにくいですが、触るとしまり具合、厚みが違います。
想像よりも時間がすごくかかります。
いつもウールを染める時、「フェルト化するから気をつけなくては」と思っている逆をしよう、という気持ちで挑みました。
2回目リベンジ裏側
裏側はかなりダメだったので、羊毛をほぐし直し。配置も変えて再挑戦。毛玉が増えます。
表と同様に、トレイに入れて石鹸水をかけてゴシゴシ。
石鹸水を電子レンジで温め直してかけます。熱い石鹸水では色が出るので、どんどん色水になります。
冷めたらトレイ傾けて石鹸水を集めて、レンジでチンして温め直し。電子レンジOKの計量カップ(100均のもの)があってよかったです。
これだけ色が流れるなら、この時点で染色作業をしてみたい、と思いました。
ある程度固まったら、持ち上げてみて、もみ洗いみたいにゴシゴシしたりもしました。
裏側もなんとかフェルト化完成。形は崩れました。思い通りの大きさ、形にするには、繰り返し練習が必要そうです。
ニードル修正
均一に、穴を開けずにフェルト化するのもむずかしいです。
薄くて穴があきそうな部分は、修正用に取っておいた羊毛で修正しました。
羊毛を置いて、ニードルでつつきました。たくさんつつかなくてはならないので、ニードル3本を束ねて使いました。
がまぐち財布作り作業
本体内側とポケット作り
内側はシルクで全体的に硬めの接着芯(ダンレーヌSX3)を貼りました。
カードを入れるポケットは、お菓子の箱を芯に使うことにしました。フランの箱がなかなかいいです。
接着芯を貼ったシルクをお菓子の箱で作った芯に縫い付けました。これは2段ポケットの内側。台形になっているのは端の厚みを減らすためで、外側は長方形です。
他の浅いポケットは布に接着芯だけ貼って、じゃばらに折りたたんで本体内袋の端と一緒に縫うことでポケットにしました。
主要なカードは1段2段のポケットに入れて、その他カード大勢はその脇の隙間に入れて、手前に小銭とお札を入れています。
本体外側
フェルトの形が崩れてしまったので、ミシンで縫い合わせて形を作ることにしました。布や革と同じ、表布が羊毛フェルトになっただけです。
カッターマットに型紙を置いて、ローリングカッターでカット。底にマチがあります。
※カッターの話はこちら参照→ 裁ちばさみよりロータリーカッターが便利
本体表面を中表に縫い合わせたところ。
ミシンでフェルトを縫うのは、思ったより普通に縫えました。繊維質なものを縫おうとすると絡まることがありますが、今回は大丈夫でした。
合体して口金付け
本体外側と内側をあわせます。
同じサイズで作ると厚みの分、内袋がはみ出します。開き部分を全体的にかがり縫いしました。
ボンドを口金に流し入れて、本体をはめ込んで、紙紐(がなかったので、手作り紙紐)を押し込みました。
ペンチで口金の脇をぐっと押さえて完成。
口金の端、かがり縫いが見えているのがかっこ悪いです。この部分の端始末を間違えたと思います。
羊毛フェルトで草木染め財布作りで思ったこと
- 媒染だけ先にしておいて、フェルト化する時に染色する、というのを試したい
- 手作りの醍醐味は、自分の好きに自由に作れること。袋物は、ポケットが重要だと思う
- 内側に弱くてやさしい色を持ってくるのもいい
- もう少し練習して、羊毛フェルトのスリッパを作ってみたい
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