アボカド染めの紫っぽさ
アボカド染めワークショップに向けてテストをしたので、その結果と思ったことを書きます。長くなるので、重曹などのテスト詳細はまた今度書きます。
アボカドはメキシコ産。熟した種と皮を冷凍保管していたもの。染め方はバケツで浸し染めで、煮染めはしていません。
人それぞれ使うアボカドや環境によっても変化するので、傾向だけ参考になればと思います。
染めた日:2020年8月~9月
目次
種の中身で紫み
みょうばんを使うとどうしてもオレンジっぽさが出てしまうのですが、種をカットして煮出して、無媒染で染めれば、紫みがあるいい色になりました。
今まで目指していたクリアな桜色とは違う、紫がかったような、小豆色がかったような、味のあるピンク色に染まりました。こちらのほうが、アボカドらしい色なのかもしれません。
椿灰媒染
1年前の種12g、水1.5L、沸騰後に弱火10分。空気入れる。使い回しの薄い椿灰で媒染(染液→媒染→染液)
媒染後に、染液に戻して染めたところ。紫っぽさあり。シルク靴下。
乾燥後。くすんだ紫っぽいピンク色。
椿灰(アルカリ性)だから紫みかというと、そうでもなく、無媒染なら紫っぽさがありました。ただ、椿灰液が使い回しすぎて中性に近く、きちんとアルミ媒染の効果があったのかは不明です。
ミョウバン媒染
染液で紫ピンクに染まっても、ミョウバン液に入れるとその色が消えて見えます。ミョウバン液が濃いほどその傾向が強いです。
そして、ミョウバン媒染後に染液に戻すとシルクの場合はオレンジに発色、レンガ色になりました。染液のできの問題かと思って、いくつか作って試しましたが同じでした。
左側:ミョウバン媒染 右側:椿灰媒染
ミョウバン媒染をするかどうか、悩んでいます。シルクを染めるなら無媒染でもいいのでは?という気もします。
一番紫っぽかったもの
何度も煮出したあとの種を重曹で煮出すと、紫みが強かったです。
種の重曹煮出し&無媒染
種27g分(3番液)、重曹0.15g、水500ml、沸騰後20分やや強火で煮出す。
種87g分(4~6番液。薄皮を除外)、重曹0.15g、水500ml、沸騰後20分やや強火で煮出す。
染液の色は、黒紫~ボルドーワインみたいな色。時間とともに染液の紫っぽさは減り、赤みが出てきました。2時間程度時間を置いてから、シルク靴下を無媒染で染めました。
乾燥後。くすんだ紫ピンクに染まりました。結構、紫みがあって好きな色です。
<追記>4ヶ月後。何度も洗濯洗剤(トップクリアリキッド)で洗った後のシルク靴下の色。薄くなりましたが、色あいは淡い紫ピンク系。いやじゃない色です。真っ白ではなく、この色は残るのだと思いました。
中和した場合
ハギレで中和の有無を比較しました。染液20分→みょうばん媒染20分→染液20分です。
重曹を入れているので、何もしないとアルカリ性pH8~9くらい。クエン酸で中和してpH6にして染めると、木綿はあまり変化なく、シルクはオレンジっぽさが強まりました。
上段:中和無しで染色 下段:中和後に染色
左:シルク 中央:濃染剤木綿 右:濃染無し木綿(木綿はオックスフォード生地)
染液が濃いと赤みが出るのに時間がかかりますが、濃染無しの木綿にも色が入るようになります。
種の薄皮と白い中身
残った種の色
何度も煮出した種を、重曹を入れて煮ると、煮残った種はボロボロになり、だんだん暗い赤紫色になります。これを見ると、種の中身の部分から、紫みが出ているような気配がします。
何度も煮出す
普段は20分だけ煮込んで染液を作っています。その場合、水を変えて2番液、3番液・・・と染液をとります。特に何度も煮出した種から紫色がよく出るようになって、特に重曹や酸化マグネシウムを入れると紫っぽくなります。
初めに出てくる色とは別の色のような感じもします。アボカド染めのやり方には、コトコト長時間弱火で煮出す方法もあるのですが、長時間煮出すことで、この紫っぽい色もとれるんじゃないかと思いました。どうでしょうか。
部分での違い
もしかしたら種を包む薄皮から色が出ていて、それで中身が染まったのかも?と思い、分離してテスト。薄皮と白い中身、両方から赤みが出てました。
左:種の薄皮 右:種の中身
種を包む薄皮自体が少ない量なので、薄皮の染液は薄い色で、クリアなオレンジ色。紫っぽさは種の中身から出ているような気がしました。
種と皮で染める
濃染ありミョウバン媒染
今回のワークショップでは、せっかくなので、種と皮をミックスして染めることにしました。こんな感じにしています。
- 木綿や麻は濃染剤で下地染め。
- 水1リットル当たりの分量:皮4g+種7.5g、重曹0.3g
- 水から煮出して、沸騰後20分やや強火で加熱。空気を入れてすぐ染める。染液→みょうばん媒染→染液。
予行演習で染めたサラシ。くすんだピンク系。紫みもある、落ち着いた色です。
1個だけネット上に書けない裏技も使いますが、それをしてもさほど色は変わりませんでした。
濃染剤を使うと、この紫色が付きやすいと感じました。濃染しないと薄ピンクです。木綿の場合は、重曹を入れて染めれば、みょうばん媒染をしてもレンガ色になりにくいです。
※ワークショップで染めた色はこちら→ 2020年9月13日(日)アボカド染めワークショップ開催報告 2020年9月21日(月・祝)アボカド染めワークショップ開催報告
濃染なし無媒染
同じような染液を作って、桜染めの寸胴鍋専用バッグ(木綿シーチング)を無媒染で染め直しました。くすみのないイチゴピンク色になりました。紫っぽい小豆っぽい色は濃染しないと入りません。
残液に着古した白シャツを入れたもの。桃色で、薄いのだけどピンクすぎる感じ。色落ち観察用にします。2021年9月。
シャツその後と色変化
畑で着けた土汚れを隠そうと、種(重曹入り煮出し・アルミ媒染)で重ね染め。2022年5月。
もう1回重ねようと皮+種(重曹入り煮出し・アルミ媒染)で重ね染めした。少し茶味が入った色になる。2022年5月。写真無し。
藍畑の野良作業で着用→60度湯洗い→陰干しを繰り返す。背中のピンクっぽさが抜けてオレンジベージュ系。自分の好きな服色とは違う(そこ重要)。服の裏側や日が当たらない部分は濃いまま。2022年8月。
重曹を使った話はこちら→ アボカド染めと重曹
酸化マグネシウム(便秘薬)を入れたテストの話はこちら→ 酸化マグネシウム(便秘薬)で赤みを出すテスト
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